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『真田太平記』の後日談だが、書かれたのはこちらの方が先とのこと。
信之がどうしても”はんかく斎”の大泉洋しか思い浮かばなくて困った(笑)。『真田丸』のスピンオフとしてドラマ化してくれないかなぁ…。#真田丸どうでしょう
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作中、真田信之は「“大名”とは?」ということに関して語っている。“大名”というモノは、農民が農耕に従事し、商人が商いに励むように、“名君”と呼ばれるような領国経営に努めるのが「当然」なのだとしている。一定以上の格を持つ大名に「なることが目的」であっては「ならない」としている…この感じ…重いと思う…
また真田信之は、厳しい時代を共に駆け抜けた父や弟と袂を分かつ選択をした…それが善かったのか、善くなかったのか?その辺を最晩年を迎えて振り返るという感じも、本作の“柱”のようになっている…
本作はかの池波正太郎の作品である。作者の名調子で、厳しい時代を駆け抜けて「信濃の獅子」とも呼ばれた男が、最晩年に遭遇してしまった危難の顛末が語られる本作…お薦めな作品だ!!
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真田信之が90過ぎまで生きたこと、この小説を読んで初めて知った。父と弟を失ってから、どんな気持ちで生きたのか?良き領主であったこと、この小説を読んで偲ばれた。
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2016年の大河ドラマ、真田もの放送中に間に合った。
ニュースで「2016年の大河ドラマの人物は真田幸村」と聞いたときには
「幸村は大坂の陣の瞬間芸だし今までも映像化されてるし、脚本家三谷さんも主演俳優堺さんでも信之の方が合ってそうじゃないか。後半生は家を守って、ラストでバレたら取潰されるかもしれないのに石田三成からの手紙を隠し持ち続けた手紙出せば面白いじゃないかい」などと思ったけれど、幕府との知略戦や藩主物語、そして93歳のおじいちゃんによるお家騒動収束物語ではやっぱり見る人少ないかな?(笑)
真田信之のドラマは「真田太平記」で渡哲也さん、「真田丸」では大泉洋さんが演じていますが、寿命に触れた場面は信之長寿を分かった上で書いてるんだろうか思ったり。
渡さん(亡くなった正妻に)「ワシが行くまでもうしばらく待っておれ」
⇒あと40年くらい先ですね。
大泉さん(老いても矍鑠たる親族に)「100歳まで生きられる者などいるものか」
⇒あなた100近くまで生きるじゃないですか。
大泉さん(波乱の人生を愚痴り)「いつになったら私にも安らぎが訪れるのか…」
⇒まだ50年くらいは大変ですね。
★★★
松代十万石の元藩主真田信之は信濃の黄斑(コウハン。虎のこと)と呼ばれた真田昌幸の嫡男。
徳川に逆らった父昌幸と弟幸村の死後、幕府に睨まれながら真田の家を守り続けていた。
すでに将軍は四代目の家綱の時代。
戦国を知る唯一の大名で「天下の名物」と言われた信之も93歳。家督を次男の信政に譲り隠居生活に入っていた。
しかしある日藩主信政が死んだという知らせが入る。
信政の次の藩主の候補は二人。
まずは信之の次男筋の孫、信政唯一の男児右衛門佐(ウエモンノスケ)。1歳になったばかりの庶子、しかもその出生をまだ幕府に届けられていなかった。
そして信之の長男筋の孫の信利。すでに真田分家沼田の城主で、将軍家綱の老中酒井忠清を舅としているが、享楽を好み領主としては性格に難がある。
幕府に睨まれている真田家に家騒動が起これば取潰しの危険もある。
老いたりと言えでも信濃の獅子と言われる信之は幕府を相手に最後の知略を尽くす。
★★★
93歳と85歳の70年に渡る主従関係、数代に渡って入り込ませる忍びの暗躍、相手を揺さぶる諜報戦、領主の心得、名君とは、家臣と領民に全幅の信頼を寄せられる信之の存在感。
そして信之の見る夢、60年も前に分かれた父昌幸の「信之の血は冷えておる」という言葉。
まあこの小説のあともまだまだ信之の孫たちは騒動を起こすわけですが、「そこまではもはや我らに面倒が見きれぬことよ」
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真田幸村の兄の真田信之が90歳を超える長寿だったことは有名だが、その信之が90歳を超えてからの話。信之の藩を守るための秘策はよく練られているが、それを亡き父の昌幸に問うシーンは面白い。最後に予想外の展開が待っているが、池波作品の読書後の爽快感は格別である。「真田丸」で登場する真田家の人々の行く末をわかってドラマを観ていればもっと楽しめたと思うと、早く読まなかった事への後悔の念が強まる。
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これが30年前に読んだ「真田太平記」の前に書かれたものと知って驚かされた。
古臭さは全くなく、大往生した真田信之の晩年を楽しく感じられた。
最大の謎として、信之が関ヶ原で昌幸、幸村と袂を分かったのは、この本では、従来のお家存続を考え、親子、兄弟でコンセンサスをとっていたという説に反して、あくまで信之の冷徹な判断によるものという点。信憑性のある古文書でも見つからないかぎり、謎は解決しないが、池波正太郎の話にも納得。
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池波正太郎作品といえば、剣客商売、真田太平記、鬼平犯科帳…と有名なシリーズものが思い浮かぶが、この老将、真田信之とその家来、隠密らが、派手な戦闘をまじえるのではないが、静かに、緻密に、老獪にそして爽快に、自藩を守る戦いを繰り広げるこの一冊、是非ご一読いただきたく、強くおすすめする。
中心人物は真田信之ほか、暗躍するスパイたちである。自身の人生はすべて他人のために尽くすためにあるという生き方はとても想像も付かぬものだが、主君のために戦う彼らの活躍、思い、悲哀の描写心動かされた。
もちろん、真田信之もまた魅力的だった。人間味あふれる好好爺としての一面、経験に支えられた冷静な知略、そして、君主たるもの、いかなるものであるべきかという持論…。
慕われる人とはどのようなものか、そんなヒントも書かれている。
実に、面白かった。
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直木賞受賞の「錯乱」と同題材を扱う長編。
「錯乱」は堀平五郎を主眼に置くが、こちらはタイトルの通り、信濃の獅子と謳われた真田信之が主人公である。
90歳を過ぎて隠居の信之が家督相続における真田家の内紛に「むずかしいことじゃが、わしも、ちからを貸そう」の言葉に胸が熱くなる。
また、分家使者中村主水と玉川左門のやりとりもスジを通す爽快感を覚える。
信之の家臣や領民から慕われつつ、幕府をいなせる懐の深さが獅子と言われる所以なのだろうと感じた。
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真田昌幸、幸村親子没後、信之が幕府の陰惨な攻めから領国を、真田家を守り抜く。跳梁する隠密、宿直の若者の恋、複雑に絡む構図をわかりやすく展開する。信之を慕う農民の田植え唄、彦六の姿にも臭み無く爽やか。2020.3.7
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真田信之というのは真田家の面々からいうと、一般人から見ると地味めな印象だけど、そういうのを拾って読ませるのはさすがの大御所感。すらすら読めるし。
でもってあっちゃこっちゃで内偵やら隠密やらで忙しい時代なんで、まぁ大変。最終的には地味に頑張ってる末端が責めを負うという、いつもの展開なわけで、でも好きになるのはやはり我らがサラリーマン、通じるものがあるのか。
とは言えサクサク腹を切ろうという気持ちは理解できぬ。痛いし。おはるちゃんも、ねぇ、アンタ生きていれば良いこともきっとある、とかいう次元じゃない。
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『真田太平記』後、齢九十の真田信之。
信之最後の、幕府との闘い。
決して、信之の血は冷えていなかった。
信之の中には、熱い血が滾っていた。
これで、『真田太平記』の真の終わりを迎える。
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真田信之の信州松代十万石の家督相続をめぐる騒動を描く。徳川家康に仕え、信之の血は冷えていると、別れた父や兄から言われた信之。
冷静で、時代を見る目に優れ、たしかに見た目だけでは熱い武将ではなかった。しかし、この小説をよみ、わかったことは、表面的にどうであれ、智略をつくし、とことん生き抜く真田な熱い漢であることには、かわりはなかった。
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真田太平記の後日談なのにこれを書いてから真田太平記に取り掛かってたのか…
確か右近のエピソードの辺りに真田太平記との齟齬を感じたような気はするけど、真田太平記最終巻と同じく信之の大活躍のエピソード。
まず90歳超えたからと隠居して半年でマジかよ案件続出って言う、「後3日で定年退職する刑事が大きな事件に巻き込まれる」スキームみたいな事がまず興味をひくよね。
若い恋を微笑ましく見守るのもこっちまでニタニタしてくるし、密書の処分も豪気。
そして、最後は文章ではあるが、色や匂いを感じさせるラストで読後感を爽やかにしてくれる。