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世界の各国や地域の内政、外交、経済などに地形の制約が大きく影響している、地形がその地域の紛争に深くかかわっている(地形に囚われている)という本。
それ自体は目新しい話ではないと思うが、世界全体を同じ論旨で説明しているのがいい。
面白かったのは前半の中国、ロシア、アメリカの章だった。大きな国で地形を想像しやすいからだろうか。
後半のアフリカ、中東、インドとパキスタン、ラテンアメリカは、地名に馴染みがなくて眠くなった。章の初めに地図はあるのだが、もう少しそれと関連させるといい。
翻訳は少しわかりにくいと感じた。元の英文が言いたいことは違うんじゃないかと思うところが何ヶ所かあった(原文をみてないのでわかりませんが)。
タイトルもちょっと違和感がある。恐怖というより、地形に囚われているという意味で原題のPrisonersを生かした方が内容にあっていると思う。
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世界各国が置かれた状況を地形という視点から分析した本。北朝鮮の章はやや主観的な批判が多かったが、その他は分かりやすく納得感があった。
グーグルマップを見ながら読むとより分かりやすい。
アフリカ、中東、インドパキスタンあたりの章が特に面白かった。
やはり、地理的に他のコミュニティと交流することが難しく、土地は広くても小さなコミュニティが乱立し言葉も宗教も異なっているところに、そういう文化的な背景を考慮せず他国が勝手に国境を引くといいことがないのだなと思った。
運河や平野などの最低限の地理的条件が揃った上で経済的に発展するためには、言語と価値観を揃えて多くのコミュニティと交流し、様々なノウハウを交換し合うことが一番重要なのだなと感じた。
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現在、世界各地でいろいろな紛争が起きている。
国際紛争の大きな特徴は、そのほとんどが隣接した国同士の争いから発生すること。
国家の成立にあたっては、思想信条を同じくする者が集まるというケースもあるが、その地理的条件も無視することはできない。
いや、むしろ、地理的条件などの制約をうけつつ、現在の国家に収斂してきていると言える。
そのため、現在の国際紛争を読み解き、そして将来発生し得る状況の展開を予想する基礎的知識として、地政学的知識は非常に重要であると思う。
本書は、章ごとに中国、ロシア、日本と朝鮮、アメリカ、中東などの地域について、その地理的条件と歴史的な変遷についてコンパクトにまとめられた入門書といえる。
副題である「地図と地形でわかる 戦争・紛争の構図」が、本書を非常によく表していると思う。
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地形が国の行く末を半ば決めてしまうことがわかった。
中東の紛争はだいたい西欧の雑な分割が原因。
相手が攻めてくる可能性を捨てきれないがために牽制しあったりするのは愚かな事だがしょうがないとも思う。
一見なぜそこに固執するのか分からない場所でも、資源や軍事戦略上、交易路に宗教的価値まで様々な理由があることが分かる。
世界を俯瞰して見るのにも役立ちそう。
外から日本がどう見られているのかは興味深い
まあ防衛費増額だけ見れば当然か。
攻めにくい地形だったために米軍の被害が増えるのを嫌って原爆を落としたというのは一側面としてあると思う。
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原題が地理の囚人ということで、人類がいかに地形に捉われているのか、地政学が国家や人々の動きを決める上で大きなファクターなのかを教えてくれる。
中国、ロシア、アメリカ、日本と朝鮮半島、西ヨーロッパ、アフリカ、中東、インドとパキスタン、ラテンアメリカ、北極圏。
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近年の各国の動き、領土や経済支援等が、地理的・地形的制約の中で、どのようにその方針を取るようになったのか、取らねばならぬと考えるようになったのかが、書かれている。
実際は、これらの制約以外にも複雑に要因が絡み合っているのだろうが、この観点からでは、非常にわかりやすく理解しやすい。
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紛争の多くが隣国との争いから、戦争の多くが統治だけではないメリットを目的としたものという事を、地形だけで説明しているのが面白かった。
ここに時代背景や、宗教的なものが絡んでくるが、非常にわかりやすく述べられていた。
インド、アルゼンチン、中国の経済に注視したら面白いかも。
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日本語タイトルはちょっとミスリードしていると感じるが、地政学という観点は、歴史上の出来事を俯瞰するためにはとても興味深い。
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アフリカ南米は地政学上の不利を跳ね返さず、先進国の身勝手な国境設定という負の遺産に苦しみ続ける。
弱肉強食の構図は変わらず。
ただ、インドの下剋上があるかどうか。
北極がホットな争点というのはなるほど。
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世界の地政学的状況がほぼ全方位的にレビューされており、刊行から6年以上経た今でも基本的な枠組みはそのまま通用する。ロジック的にジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」の延長線上に近いものが見受けられる。
カプランの「地政学の逆襲」と読み比べると、解釈者の視点による違いが楽しめるだろう。
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地形という物理的要因が文化だけでなく政治・軍事、戦争、紛争に影響を与えているかという地政学のもと、世界の地域や、そこにある問題を丁寧に解説している。
川や海があっても、人間が利用しやすいような地形でない場合は天然の要塞や陸の孤島となり、人が住める場所においては、資源をめぐる紛争や宗教上の対立などが起こることが様々な例から分かった。
他国の地形、文化を考えずに先進国が勝手に国境線を引いたり、敵の敵は味方だったり、争いの絶えない中東・アフリカの状況や、あまり馴染みのない南米の状況についても、知ることができた。中国が、本で紹介される、どの地域にも絡んでくるのが印象に残った。
北極圏や、ひいては宇宙空間においても、各国の思惑があり、競争の場となりうることに、争いの火種はどこにおいても常に存在し続け、終わりがないように感じた。
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国際政治(「国際関係」という今どきの中性的な用語は敢えて使わないでおく)を考える上で、国家が直面する地理的条件を踏まえることは当然の前提だ。高坂正堯が国際政治を学ぶには地図と百科事典を手元に置いておけと言っていたのを思い出す。近年ようやくそうした当たり前の常識が見直されつつあり、「地政学」や「地理」という言葉を冠した本が書店でかなりのスペースを占めるようになった。遅まきながら冷戦というある種の「平和ボケ」から目覚めたということかも知れない。
玉石混交と言えばその通りだが、この手の本は学者が書いたものはあまり役に立たないし面白くもない。本書のT・マーシャルもそうだが、数年前に出た名著「地政学の逆襲」のR・カプランも元々はジャーナリストだ。特に本書にはマッキンダーがどうした、スパイクマンがこうしたという学者好みの講釈はない。地図を片手に世界中を歩いて集めた情報が満載だ。国境線を引いただけの平面地図ではなく、土地の起伏がわかる地形図が掲載されているのも、地理に対するまっとうなこだわりを感じる。自然の要害である山岳地帯や砂漠、食料生産と居住空間のための平地、交易インフラであるとともに有事の補給の鍵を握る河川(水の供給源でもある)、道路、大型船が寄港できる水深のある海岸、天然資源へのアクセス等が重要だが、これらを巡って国際紛争は起こってきたし、今後も起こり続けるだろう。
通読して感じるのはやはり中国の瞠目すべき海洋進出だ。尖閣や南沙諸島といった近海への張り出しは勿論、パキスタンの港湾を租借してパイプラインと道路でインド洋への出口を確保するかと思えば、パナマ運河を凌駕するニカラグア運河建設に投資する。またアフリカ各国へは惜しみない援助で天然資源と国連票を押さえにかかる。安倍元首相どころではない文字通りの「地球儀を俯瞰する外交」だ。潤沢な資金をバックに大陸国家の制約を克服し、着々とシーパワーとしての地歩を固めつつある。当面アメリカの海軍力には及ばないだろうが、拮抗するのは時間の問題と考えた方がいい。いたずらに危機を煽る必要はないが、日本として冷静な危機感は持つべきだ。
地政学は図式的な決定論に陥りがちなために忌避されてきた面もある。この点著者は「人類の歴史は、食うか食われるかのゼロサムゲームだった。地理的決定論と人間の本質を結びつけて考えると、ゼロサムゲーム以外の歴史が生まれることは難しかったと断言できる」と指摘するが、こう付け加えることも忘れない。「しかし、科学技術が地形の牢獄から私たちを救い出した例がいくつもある」これは逆に言えば、科学技術が地形による庇護を我々から引き剥がす場合もあるということだ。蒸気船が鎖国をこじ開けたように。ともあれ本書は、我々を取り巻く現実を直視し、悲観でも楽観でもなく、リアルに国際情勢を認識し、国家戦略を構想する上で欠かせない視点を提供してくれる。
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これも学校の授業でやるべし!!
難しかったけど、『だいたい』の感じがわかりました。
地政学、勉強になるわぁ。
(まだまだこれからやけど。)
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世界の現在の政治の状況である。よく書かれている。原題はPrisoners of Geographyであるから、地理学の囚人たちという意味である。恐怖という意味はない。地政学というのは作ったタイトルであり、英語ではGeopoliticsであるので翻訳しすぎである。
ただ、世界の情勢がよくわかる。しかし、2015年の出版で2016年の日本語版出版なので、9年近く昔のことなので、第二版が翻訳されれば学生が世界情勢のことを知るのに役立つであろう。