紙の本
いつかの夏感想
2017/09/26 20:01
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投稿者:右ソルデ - この投稿者のレビュー一覧を見る
できるだけ私自身を礒谷利恵さんに重ねていた。あの場面で私は礒谷利恵さんのように強くあることができるであろうか。そうあることができるように日々生きたい。
もうひとつ、色々な本を読んでいるけど、警察、司法もまだまだ考える余地はあると思う。
紙の本
二度と起こってほしくはないが
2019/07/30 14:36
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投稿者:とも - この投稿者のレビュー一覧を見る
2007年8月24日・・・・あれから干支が一回りし、時代も平成から令和へと改まった。
その間、東日本大震災・熊本地震・大阪北部地震・北海道地震・台風や豪雨などによる水害など、幾度の災害を経験した。
2016年11月に刊行された単行本を文庫化し、改めて出版された。
衝撃なシーンから物語は始まる。
想像するだけで恐怖、血生臭さ、また名古屋独特の蒸し暑さも相まり、気持ち悪さを感じる。
両親の出会い、そして愛が芽生えてから生れたて娘。この世に生を受け、生まれてまもなく、父親が亡くなる。
そんな娘を祖母と共に育てる母親。
やがて娘は小学生、中学生へと進んでいく。
そして高校、大学へと進むものの挫折を味わうことになるが、気丈な母親に似たのか、ただでは起きない。あの日も気丈なだった。
最後に遺したメッセージ・・・。
犯人たちの身勝手で短絡的な考え方、行動には呆れ返るばかりだが、そんな人間に無惨な最期にさせられたと想像すると、亡くなられた彼女は、さぞ無念で悔しかったろうとしか言いようがない。
31年余りという短く、そして悲惨な最期を迎えてしまった彼女。二度と同じような過ちが起きてはならないが、この事件の加害者のような人間は、恐らくどこにでもいる。児童虐待、動物虐待を嬉々として犯すのも同じだ。快楽のため、自己正当の犯罪者は、かつての加害者を神格化する傾向が強い。
あれから十二年。
四十代も半ばに掛かり、優しく才能溢れた主人と共に、幸せな家族を作っていただろう。そして、人の気持ちもよく分かる素直な子供にも恵まれていたであろう。そんなことを想像すると、人生を狂わせ、奪い去った犯人たちをさらに許せなくなる。
主犯格「堀廣末」は、死刑が確定したことを最後に記す。
紙の本
ノンフィクションとは?
2017/04/18 07:28
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2007年の、夏に名古屋で起きた闇サイト殺人事件を、被害者OLの母の視点、また母子の絆を中心に描いたノンフィクション。そうした視点は解るのだが、その分、事件の客観性に欠ける。もちろん、メディアは一過性であり、ネットは猶更だから、書き残すことに大きな意味はあるのだが、母の側からの一方的すぎるきらいは否めない。著者はノンフィクションからスタートした人だが、その後、小説も書き始めたせいか、「小説的な手法」が垣間見えるのもやや不満。ノンフィクションは事実を忠実に描くべきではないか。また、母の視点を生かすことは良いが、1行でもいいから反対意見、つまり死刑反対論も取り込まないとバランスが取れないようにも思う。全体に優れた作品だけに、残念。
紙の本
書く事の意味を考えさせられる。
2017/02/18 10:28
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めは大崎さんは何故こんなノンフィクションを書いたのかと、疑問を感じながら読み続けた。
途中読むのを止めようかと本を置いた時もあった。
最後まで読んで、ようやくこの本の価値が分かった。
残虐な事件の一つなのかもしれないが、そこには被害者家族の人生があり、誕生から事件までの物語がある。
そして残された母親の苦しみ、娘の思い出、加害者との戦いがあった。
あとがきに、事件の時の被害者利恵さんのバックの中にあった囲碁の本は「野たれ死に」であったと記されていた・・・。
電子書籍
今までで1番泣いた
2017/01/15 20:45
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投稿者:さよならベイベー - この投稿者のレビュー一覧を見る
等と、すごい批評が並んでいたので読んでみたが、正直泣くとか泣かないとかは関係なく、、、
また暗所番号の件もそこまでおぉぉ!とはならず、ただただ悲しい事件を詳細に教えられた。
全ての凶悪事件がこのように文字化されたなら、本当に少しだけだけど、遺族には多少慰めになるのかな?
そんな事ないのかな。
ご冥福をお祈りします。
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あとがきにある「書かれたくないであろう人の人生を書いてしまったことに、ひきつるような後悔の念がなくはない」という一文にこの一冊が世に出ることの大きな意味があるのだろう。
この事件があったとき、私にとっては同じ名古屋に住んでいるとはいえそれは新聞やテレビを通して知るだけの「どこかであった恐ろしい事件」であった。
けれど、自分の娘が一人で外に出かけるようになるにつけ心のどこかで得体の知れない不安と恐怖がくすぶり始めた。
「行ってきます」と出かけてから「ただいま」と帰って来るまでその不安。今日も無事に帰ってきてくれたという、その当たり前の生活のありがたさ。
大切に育てて来た娘を、愛してやまない娘を、ある日突然に奪われる、その理不尽さ、怒り、悲しみ、そして守ってやれなかったという後悔。許せない。絶対に許せない。
もしも、私に超法規的な力があったなら、この犯人たち三人に、利恵さんがあの日あじわった恐怖、苦しみ、そして痛みをその何倍もの大きさで味わわせてやりたい。何の関係もない第三者でさえそう思うのだから家族なら、きっともっと強く思っただろう。悔しい。悔しすぎる。
利恵さんが最後まで守ろうとしたもの。自分の骨のくだける音を聞きながらも「生」への希望を捨てなかった彼女、決して犯人たちの暴力に屈しなかった彼女の最後の抵抗が、遺された母親にとって生きる望みではあるけれど、その誇りはあまりにも哀しい。
私は読みながら血の涙を流していました。いままでこの世に生まれる命すべてが尊いものだと思ってきた。どんな人も生まれて来たことに意味があると思ってきた。
いろんな事件をみるたび、その裏側のやむになまれぬ事情を想像し、犯行のもとになった「何か」を思いやってきた。けれど、この三人に関してはイチミリもそんな思いはない。この犯罪のどこにもやむにやまれぬ事情も、思いやるべき何かも、どこにもない。あるのは、ただひとつ。怒り、それだけだ。
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描写が生々しく、今の私の気分に合わず、24ページまで読んだところで、断念。
すごく体力を必要とする本のように思われる。
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[31年と4時間の闘いの記録]「闇サイト」で知り合った男3名により,ハンマーで数十回にわたって殴打された上,窒息により息の根を絶たれた1人の女性。幼くして父を亡くし,母のかけ替えのない愛情に守られながら育てられた彼女の半生をたどると共に,凶行の最中の彼女が,そして犯行の後にその遺族が見せた尊厳を記録した作品です。著者は,『聖の青春』や『将棋の子』で知られる大崎善生。
今までに様々な書籍を手に取ってきましたが,読書中に涙と震えがここまで止まらなかった作品は今までになかったと思います。悲惨や凄惨という言葉が陳腐に聞こえるほどの犯行に戦慄を覚えるとともに,最期まで立ち向かい続けた女性の勇気に,形容しようのない衝撃を受けました。今年読んだ作品の中で何か1つと問われれば,私は即座にこの1冊を挙げたいと思います。
〜暴力に屈しない。言葉でいうのは容易いが,実際にやり遂げることがいかに困難なことか。それを一人の三十一歳の小柄な女性が,命という最大のものを犠牲にして成し遂げてみせたのである。〜
死刑存廃に関する議論を行うときにも欠かせない作品になるのではないでしょうか☆5つ
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「ー」
前半はいらなかったのではないか。
しかし、後半は読むに価する。
本書を読むまで、闇サイト殺人事件については詳しく知らなかった。だからこそ、死刑判決には驚いた。永山基準は知ってた。命には命で償わなければならない。一見すればその通りだと思う。
法の役割は何であろうか。死刑問題は法そのものの意義について話し合わなければならない。
客観的出来事として、死刑制度を批判するのは簡単だろう。しかし、自分が関係者になった場合はどうであろうか。
小野不由美の夫が綾辻行人だという話に驚いた。
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2007年8月24日夜の11時過ぎ、その事件は起こった。
帰宅途中の磯谷利恵さん(当時31歳)が、愛知県名古屋市千種区の路上を歩いていたところ、白いワンボックスカーから出てきた男に道を尋ねられた。そして、一瞬の油断をつき、利恵さんは車の中に押し込まれ、手錠をはめられてしまう。バッグから現金とキャッシュカードを奪った3人の男たちは、拉致現場から30キロメートルあまり離れた愛西市の駐車場まで移動。彼女の頭にガムテープをぐるぐる巻きにし、頭にレジ袋をかぶせた上、40回にわたってハンマーで殴りつけて殺害。無残な遺体は、岐阜県内の山林に埋められた。
凄惨な内容もさることながら、犯人グループがインターネット上の「闇サイト」と呼ばれる場所で知り合い、犯行に及んだこともあり、発生当初から、多くの注目が集まった この事件。あれから10年、作家の大崎善生がこの事件を追ったノンフィクション『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』(角川書店)が刊行された。本書の内容に従って、この事件を振り返ってみよう。
加害者たちが知り合ったのは、インターネット上の掲示板「闇の職業安定所」だった。
「刑務所から出てきたばかりで、派遣をやっています。実にばかばかしい。東海地方で一緒になんか組んでやりませんか」
この書き込みをしたのが、住所不定無職の川岸健治という男。そして、この言葉に呼応して、堀慶末は「どうですか、何か一発やりますか?」というメールを送信。神田司は「以前はオレ詐欺をメインにしていたのですが貧乏すぎて強盗でもしたい位です」と、メールを送った。さらに、途中で離脱するもうひとりを加えた4人の男たちが、犯罪のために動きだしたのだった。
それぞれ、金に困っていた4人だが、どんな犯罪をするのかは誰ひとり考えていなかった。8月21日、ファミリーレストランで落ち合った即席の犯罪集団は、「夜間金庫を狙うか、パチンコ屋がいいのではないか」などと話し合う。しかし、いざ実行に移そうにも、強盗のターゲットを尾行中に見失い、ダーツバーを襲撃しようとしたら休み、さらに昔勤めていた会社事務所に忍び込み金庫を盗もうとしたところ 、金庫自体が 見当たらなかった。行き当たりばったりで、何一つ成果も挙げられない。これで終われば、ただの間抜けな人間たちだった。
しかし、初対面から3日後の8月24日。事件は起こった。
業を煮やした彼らが計画したのが、女性の拉致だった。
「ブランド品とか持っていなくて、黒髪で、あんまり派手じゃない地味系のOLだったら、たくさん貯金しているだろうから」というもくろみで、名古屋市内をぐるぐると移動しながら ターゲットを物色。磯谷利恵さんの外見は、まさに彼らが考えてたものと一致した。155センチと小柄な彼女の体格は、180センチの堀に押さえつけられるとひとたまりもなく、車の中に引きずり込まれた。
車内で手錠をはめられ、包丁を突きつけられ、恐怖のどん底に突き落とされた利恵さん。しかし、彼女は、犯人たちに臆することもなく、気丈に振る舞った。母親に家を買うために貯めていた800万円以上の預金が入ったキャッシュカー���を奪われても、決して正しい暗証番号を伝えることはない。頭をハンマーで殴られ、血が飛び散りながらも、利恵さんは「ねえ、お願い、話を聞いて」「殺さないって約束したじゃない」「お願いします。殺さないで」と犯人を説得しようとした。彼女は、母親に女手一つで育てられた。もしかしたら、その脳裏には、ひとり残される母親のためにも、死ぬわけにはいかないという強い思いがあったのかもしれない。しかし、そんな希望は、無残にも振り下ろされるハンマーによって打ち砕かれた。
翌日、犯人グループのひとり、川岸の自首によって、事件は明らかになった。
被害者の母、富美子さんは、事件後、加害者の死刑を求める署名活動を行い、その数は33万人にまで膨れ上がった。この署名は結果として判決に反映されることはなかったが 、神田・堀両被告に対して被害者がひとりの事件としては異例の死刑判決が言い渡される結果を勝ち取った(堀は、上告で無期懲役の判決となるも、余罪が判明し、死刑判決が下された)。
闇サイトで集った男たちによる、無計画な犯行の犠牲となった磯谷利恵さん。あまりにも短絡的な犯行によるその死を追っていくと、怒りや悲しみといったありきたり体の言葉ではとうてい表現できないような強い感情に襲われる。しかし、大崎が注目するのは、そんな卑劣な犯人たちを前に堂々と自分を保ち続けた利恵さんの勇気だった。
「凍りつくような恐怖の中で、 それでも利恵は最後まで自分を保ち続けた。どんなに痛かっただろう、どんなに苦しかっただろう、どんなに怖かっただろう。しかし孤絶する状況の中で、死の恐怖に向かい、 理恵はひとりで戦い抜いた。凍りつくような絶体 絶命の状況で、取り乱すこともなく、また絶望することもなかった。敢然と立ち向かい、ひたすら耐え抜いた。その知性と勇気を“誇り”に思い、また“感謝”する」
死の淵に立っても、利恵さんは暴力に屈しなかった。そして、5歳年下の彼氏に“あるもの”を託した。
大崎は、その毅然とした態度を後世にまで書き残そうとしている。
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いつものように酒を2合飲み、今日は寝るまでに少し時間があったので、本を読むことにした。好きな作家の1人である大崎善生氏。本を手に取ると副題「名古屋闇サイト殺人事件」とある。何だかチープな副題を付けたねぇと思い、少し読む気が弱まりつつも、ページをめくると、目が覚めた。
ノンフィクションなのか、衝撃的な書き出し方が心に刺さる。酒が入った状態で読むべき本ではないと思い、この日は寝る。
翌日読み進むと、殺人事件のレポート、加害者、母、恋人、本人の過去にフォーカスを当てて話は進む。正直読んでいるのがつらく、吐きそうにすらなる。しかしながら、これは読まないとだめだ、そして自分に何が出来るかを考えなければ駄目だと思いながら読む。読んでいて心がしんどく、休み休みだが読む。
私に何が出来るだろう。先ずは、「被害者の冥福をお祈りすること」毎年8月24日に祈ろう。
そして、家族に伝えて、少しでも危険を感じたら逃げるなどをするように、この件を話そう。
死刑に関しては、考えを異にする。無期懲役の方が罪を償えるだろう、無期懲役の時点でその人は有る意味自分らしく生きれないと言うことで、死んでいると思う。家族がそうだったらどうだろうか?自分が殺されても、家族には早く忘れて、楽しい時間を自分らしく過ごして欲しいと思う。
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凄惨な事件の詳細が、あたかも見ていたかのように描かれていて、なかなかに衝撃的でした。
どこまでに裏付けがあり、どこからが著書の想像なのでしょうか?
それはそうと、著書の指摘のとおり、法曹界が50年前あるいは30年前の、いわゆる「永山基準」にいつまでも縛られていることには疑問を抱かざるを得ません。
重無期刑(いわゆる終身刑)を導入すれば、と私は思っているのですが、なかなかですねぇ…
法は抑止力であるべきだと思うのですが…
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前半の、被害者の生い立ちなどは詳しく書きすぎではないかと思った。
あとがきに「書かれたくないであろう人の人生を書いてしまったことに、ひきつるような後悔の念がなくはない」とあることから、著者はあえて被害者のことを深く掘り下げたのだろうことはわかるが…。
堀はこの事件で死刑判決を受けたものと思っていたので、無期懲役の判決だったというのは初めて知った。
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事件については簡単にしか知らなくても衝撃的だったし、どうしてこのような顛末になったのかが知りたくて手に取った。レポート本にしては内容は濃密。著者の筆力故か、まるで事件現場に立ち会ったようなリアルな描写と被害者感情、そして直前まで普通に生きた女性の人間らしさ、犯人達の短絡さ屑加減に、調書やインタビューやSNSなどから丁寧に取材して書いたんだろうなという事は分かった。この犯人たち相手では生き残ることは無理だったのかもしれないが、その絶望感の中で清く尊厳を守り切ったこの被害者はすごいとしか言いようがなかった。続いていただろう輝かしい未来を思うと、運命の不条理に心が痛む。涙なしでは読めなかった
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この事件はテレビでもたくさん報道されていたので
その後どうなったのかも気になり本を手にとったのですが
最初の犯行の状況があまりにも衝撃的で
怒りとショックで涙が止まりませんでした。
こんなに理不尽で卑怯な犯罪
とても人間のすることではない
信じられない思いでいっぱいで
犯人たちを赦せない、絶対絶対赦せない!!
と胸が苦しくなり
続けて読んでいけるか不安になるほどでしたが
利恵さんが生きた証を私の胸にも刻みたいと
歯を食いしばって読みました。
そしてお母さまやご親戚、彼氏さん
その他お知り合いの方々との
心温まる関わりを読むことで
更に悔しさがこみ上げます。
この残虐非道極まりない
犯人が2人しか死刑になっておらず
自分を擁護するために自首した者だけが
極刑を逃れたことに
言葉では言い表せられないほどの
憤りを感じた。