紙の本
ニューイングランドの夏の風景
2019/11/25 22:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
前評判が非常に高かったので、単行本のときは見送っていたが文庫化されたこの機に読んでみた。
まず思ったのは構成がとても凝っていること。1975年夏に起こった少女失踪事件とそれが一気に動き出した2008年になって、ある重要人物が容疑者として逮捕され、それを受けて容疑者を信じてその容疑を晴らそうと調査に乗り出した新進作家。しかし彼は処女作で高い評価をうけたにも関わらず第二作が書けずスランプに陥っていた。しかしそれを逆手に取り、その調査過程と結果を執筆することで出版社を黙らせ自らの作家としての再起と容疑者(彼の恩師でもある)の名誉回復を賭けて事実究明に乗り出す。
発端は失踪少女の遺体が発見された2008年であり、そこから1975年当時に何があったのかを遡って探る作家の調査活動をたどるのがストーリーの骨子なので、各チャプターが31章から1章へと過去の一点へ向かって収斂していく形になっているのが面白い。が各章のなかでも2008年現在の状況も適宜差し込まれ、それが話の展開をスピーディにしており、長い話を飽きさせない工夫が凝らされている。
ただ気になったのは、登場人物がどうにもステレオタイプなこと。出版社社長などが特に顕著で何かB級ドラマを見ているような既視感がある。物語の核となるノラの二面性についてもとってつけた感が拭えない。
これは自分の好き嫌いかもしれないが、やはり人物造形をもっとしっかりさせたほうがよかったと思う。下巻に期待したい。
投稿元:
レビューを見る
序盤長い!
そしてゴールドマンが鼻持ちならない奴で、ちょっと読んでいてイラっとする。
でも、噂通り面白くって一気に読んでしまった。
そして思うのは、どうして翻訳物っていうのはわりと話の筋に関係のない人物のキャラが濃いのだろうか。
投稿元:
レビューを見る
翻訳本で、しかもボリュームたっぷりの割にサクサク読めた。
これは翻訳家のスキルが相当高いと思われる。
内容についてのレビューは下巻で。
投稿元:
レビューを見る
最初は取っ付きづらいことが多い海外小説だが、あまり抵抗なく一人一人の情景が入ってくる。
頭のなかで登場人物の情報整理が大変だけど、下巻の展開がシンプルだと面白いだろうにと、期待。
投稿元:
レビューを見る
面白くて、次は?次は?って、夢中で読んで。気づいたら、真夜中だった。とか、1日中読んでた。なんて日もあったぐらい。
30数年前に失踪して、白骨化して発見されたノラという女性。このノラについて、あらゆる人間から話を聞き出す過程、そして事件当時まで遡る回顧的な章もあって、個人的には読み応えがあった。
出てくる人物がどれも怪しく感じるが、まだ誰が犯人なのかは分からない。
続きの下巻も、楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
スイスが生んだ傑作ミステリは噂に違わぬ素晴らしさ!人気作家となったマークスは2作目が書けずに悩み、恩師で大作家のハリークバートのところへ行く。しかしハリーは33年前に失踪した美少女の殺害犯として逮捕されてしまう。彼の無実を信じて捜査を始めると意外な過去が次々と明らかになる。凄い筆力とストーリーは惹きつけて離さない。33年前ハリーに起こった数々の事件、少女ノラとハリーの許されぬ恋。2人を巡る様々な人々。ページをめくる手が止まらない。誰が真犯人なのか、ノラは何者なんだ、邪魔をするのは誰だ?マジで下巻を早く読みたい!
投稿元:
レビューを見る
読みましたが。何を言ってもネタバレになりそうで。いつも私が言ってる「田舎はこえーよ」というのは、そこに行った人だけが知る、閉鎖された隠し事があり、好き勝手に隠蔽できることです。「おかしい」と思っても、おかしいルールの中でも生きてるため、異変に気付きません。そして人間はいとも簡単に、感情的な思い込みで、天使にも聖母にも、悪党にも悪魔にも瞬間的になりうることです。下巻読んでからまとめよう。かつて、まとめたことなどあったのか。
投稿元:
レビューを見る
デビュー作がベストセラーになったものの二作目が書けなくて苦しむマーカス・ゴールドマンは、大学の恩師で小説家としても大先輩のハリー・クバートにその苦しみを訴える。
しかし、ハリーの家の庭から33年前に行方不明になった少女の死体が発見され、殺人犯として逮捕されてしまう。
マーカスはハリーの無罪を証明するために、独自に調査を始める。
実はハリーとその少女・ノラは人目を忍んで付き合っていた。
ハリー34歳、ノラ15歳。
付き合うだけで犯罪になる…っぽい。
怪しい人はたくさんいるが、よきアメリカ人、よきキリスト教徒というフレーズが何度も出てくるので、多分犯人はよきアメリカ人でよきキリスト教徒と思われている人なんじゃないかなあと予想してみるが、今のところ決定打はなし。
最後の最後で、ハリーの知らないノラの顔が出てきてびっくりしたけど、よく考えるとそれは全てハリーを守る為なのかもしれない。
ハリーを逮捕されないように、ハリーが家を追い出されないように。
だとすると、ノラは心からハリーを愛していたことになるけれど。
ハリーが「ノラ。愛しいノラ。」などと言うたびに、内田百閒の「ノラや」を思い出してしまった。
ハリーは内田百閒じゃないし、ノラは猫じゃないけども。
それにしてもこの作品の出てくる母親どもは、ひとりとして子どもの話を聞こうとはしないのが気になる。
そういうの、ほんと嫌なんだよね。
投稿元:
レビューを見る
絶賛スランプ中の若手作家が恩師の窮地を救うべく奔走するミステリー小説。舞台はアメリカだが、原書はフランス語のよう。上下巻併せて千頁近いボリュームの割に実にスローペースな展開だが、癖がなくテンポの良い文章で、リーダビリティーは高い。若干拗らせた性格の主人公もキャラクターが立っているが、殆どの登場人物が彼に協力的過ぎて物足りなくもある。ハリーを巡る女性陣の思惑や名著と謳われている作中作が三文ロマンス小説さながらで、その辺りは少々興醒めするかも。下巻はどんでん返しの連続らしいが、どう着地するのか非常に気になる。
投稿元:
レビューを見る
スイスの作家がフランス語で書いたアメリカを舞台にした謎が謎呼ぶミステリ。上巻としての面白さの持続力は素晴らしい。
投稿元:
レビューを見る
テンポも良く読みやすい。
謎も抜群。
失踪し33年後に白骨化して見つかった少女の闇が見え隠れしてくる。結末が気になる。
気のせいだろうか、自分が海外小説で面白いと言われ読んだ本の多くが少女が汚い大人たちの犠牲になっている話ばかりな気がする…
ミレニアム、ザリガニの鳴くところ、自由研究には向かない殺人など
外国では大きな問題となって永遠テーマなのかもしれない。
とにかく傑作の予感。