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なんだ、裏表紙に『被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う高校生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で、泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!』とあったので、てっきり二つの話が並行して進み、最後に結びついて、あっと驚く結末になるものだとばかり思って読んでいたのだけど、それぞれ別個に発表された7つのお話を纏めた短編集だったのね。
途中からそれに気が付いたのだけど、それにしては登場人物が同じだったり、“首折り男”だとか“時空のねじれ”だとか“子どものいじめ”などがお話を跨いで出て来たりで、何となくひとつのお話の体になっているのが不思議な作り。
解説を読んで、上手いことこの本が出来上がった手口がよく分かった次第。なるほど面白い。
ところで、伊坂幸太郎の近頃の話には、人を人とも思わない傍若無人な行為やいじめが頻出するのだけれど、今回もその例に漏れず。
どうにも胸糞が悪くて読むのが辛くなるようなことも多いのだけど、クワガタに対して人の手が伸びてくるように、天の配剤で悪い奴には天誅が降りちゃんとバランスが取れるようになっている、最後には正義が勝つのだということを、作者は本気で信じているんだな。
本のテーマとは外れるけれど、これだけ繰り返されて、改めてそんなことを思った。
「水兵リーベ僕の舟」、確かに記憶に残るフッと口の端に上がる言葉。
その後は「そ~曲が~るシップス、クラークか?」って覚えていたのだけど、ネットで見ると今は「七曲がある」と言うのかい?確かに“Na”をソーダだから「そ~」っていうのは、ちょっとこじつけって、その当時から思っていたけどね。
『僕の舟』、古めかしいテイストで塗したこの作者らしい話も良かった。
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今までの短編を集めて、首折り男というキーワードを中心に通らせた短編集といった感じのものです。明確にそれが主人公というわけでもなく、出てこない短編もあります。しかし全体として話が通っている、まさに協奏曲といった趣の、他に見ない小説だと面白く読ませていただきました。短編それぞれの完成度も高く、感動したり、あっと言わされたりしながら楽しませていただきました。著者の頭の中では、いろんな人物が勝手に生活していて、そこから短編を切り出していけば、こういった作品になるのだなと、なんとなく思いながら読ませていただきました。最後まで読んで、うーんすごい。と今はその組み立てに感動しています。
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伊坂幸太郎の短編集。
謎の殺し屋“首折り男”にまつわる話を中心に集めています。
最初の話“首折り男の周辺”は「Story Seller」に、最後の話“合コンの話”は「Story Seller Vol.2」でそれぞれ読んでたので、なかなかに期待の大きい文庫化でしたが・・・
その2編以外は・・・首折り??
ちょっと意外な短編集でしたが、気付けば一気読みで・・・(^_^;)
伊坂幸太郎、恐るべしっ!!
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伊坂幸太郎らしいお話し。
短編が微妙に繋がってるような、いないような…
首折り男とはまた、突飛なネーミング。だけどホントに首折り男だった。
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首折り男と呼ばれている殺人犯と、伊坂幸太郎さんの作品ではお馴染みの探偵とは名ばかりの泥棒黒澤がそれぞれ織りなす7篇の短篇集。
それぞれの物語が交錯する連作短篇集だと思っていたけれど、そうではなくそれぞれがそれぞれに完結している。ただ、首折り男、泥棒黒澤、時空のねじれ、人生の分岐点などのキーワードがそれぞれの物語にちらちらと見え隠れしている。リンクしている様でリンクしていない…関係無い様で実は関係している、影響を及ぼしているはずなのに全く影響を受けていない…そんな不思議な感覚の物語達だ。現実なんてそんなもので、誰かにとっては重要な事が誰かにとってはどうでも良い事で、誰かにとってはどうでも良い事が誰かにとっては重要な事なのだと改めて気づかされる。
読む前に首折り男と泥棒黒澤が対決して…などと勝手に想像を膨らませて盛り上がっていたので何だか肩透かしをくらってしまった…それぞれの物語も余白の部分が非常に多く、伊坂幸太郎さんの作品の醍醐味である、後は妄想で補って楽しんでねスタイル、いつもならこの後どうなるのか、あの時どうなっていたのかと楽しんで妄想出来るのだけれど、今回は全編が淡泊すぎて妄想するには余りにも物語の展開に物足りなさを感じてしまった事は否めない。
けれど大好きな泥棒黒澤との再会に胸が躍った。もっと活躍して首折り男事件の解決にいつの間にか貢献してしまっていた…なんて展開を期待していたのだけれど、それはまたいつかの楽しみにとっておくとしましょうか。
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首折り男に始まり、いつもの黒澤さんも出てきて伊坂ワールドになるのだが、長編だと思って読み始めたので途中で少し混乱した。結果的には微妙に繋がっているようで関係なかったりするからやや肩透かしだった。それでも各ストーリーは楽しめるし「僕の船」では落涙してしまった。あとがきで伊坂氏自身も言及しているが、こうした短編の繋がりが妙な世界観を醸し出している。しかしもっとそれぞれのストーリーをじっくりと味わいたいという物足りなさは残る。
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連作なのか短編なのかがアンニュイな小説です。
一応、一話完結の体裁なので、それぞれの話を読んでいると、あれ?関連している?というラビリンスに陥ります。
ストーリーとしての時間軸を利用したギミックなのか、それとも普通の話なのか最後までわからない、そこが面白い。
それにしても、
やれやれ、
黒澤がたまらないぜ。。
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ほぼハッピーエンドを期待できる伊坂さんの作品
かなり理不尽な状況も描かれるけれど、きっとキッカケをつかんで、その人らしく生きていける。
だから、また伊坂作品を読んでしまう。
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連作短編のようになっていて首を折って殺す殺人犯の周りを描かれている。
帯には伊坂作品でよく登場する黒澤が主人公のように謳われていたが、実際は少し違った。
相談役の話や僕の船が個人的には印象に残った。
合コンの話は最初は男Aとか女Eとかでまどろっこしい書き方だな・・・と少し思ったが、読み進めると特に気にならなかったし最後の落ちも楽しめた。
どの話も伊坂幸太郎らしい面白さがあって読みやすかった。
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短編集。
複数の視点で描かれた物語が並行して進行していき、物語の結末に集約されていくスタイルで描かれている。
関係なさそうな物語が繋がっていく構成は読んでいてとても楽しい。
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飛行機に乗るといつも、神様から見える私たちの世界はきっとこんな感じなんだろうなぁ、と思う。世界は広すぎて、私たち一人一人の悲しみや苦しみは、ほとんど見つけられる事はない。それでもたまに、ごく稀に、見つけてもらえたときは、助けてくれるかもしれない、悪いものには罰を与えてくれるかもしれない。そういう存在がいるかもしれないと思うだけで、少し救われるような気持ちになる。クワガタを飼育しながらそんな事を思うなんて、さすが作家先生!
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ずっと長編なんだと思って読んでいたら短編集だった。
手直しや加筆をするとしても、こんなに見事に連作みたいに再構築できるもんなんだなぁ。
悪人には天罰を、善き人にはバナナを!
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伊坂作品はたまに村上春樹っぽいと感じるところがあるけど
本作は星新一を思い出した。
マジックを見るときに必死にタネを探すことは
本来の娯楽から外れてしまう。
伊坂作品も回収ばっかに気を取られ、
肝心の内容が入らないようでは本末転倒。
しかしそうは言っても気になってしまう。
と言った心理をうまくかわしてくれて、
バランスよく伊坂ワールドに
引き込んでくれた。面白かった。
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首折り男のための協奏曲
読み終わって響くこのタイトル
大須賀めぐみのWaltzリスペクトだと勝手に思ってる
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再読。連作短編集?なのかな。つながってる面白さも、つながってない面白さも両方味わえる。登場人物たちの微妙にかみ合わない会話もクスクス笑える。「天網恢恢疎にして、そこそこ漏らす」。重いテーマを軽やかな筆致で描く伊坂さんの真髄を表していると思います。