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【「当社とはご縁がありませんでしたが、ご健闘をお祈りします」――ってオイ!】長期化する就活。学業を阻害し、既卒を排除すると問題視される「日本型新卒一括採用」は悪なのか? 欧米の事例と比較、解を探る。
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海老原嗣生さんの新著ということで読んでみましたが、全体の内容的には氏のこれまでの著書で語られていることがほとんどな感じで、それを「新卒一括採用」にフォーカスを当てて論じたもの。
氏の著書の中では「残業」と「ホワイトカラーエグゼンプション」にフォーカスを置いた、『いっしょうけんめい「働かない」社会をつくる』が今まさにタイムリーなテーマでもあり、全体の構成バランスも良い。
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「保育園落ちた、日本死ね」
今年一番叩かれまくった言葉ではないだろうか。
「死ね」という発言が汚い。匿名ブログに信憑性は無い。日本死ねと言っている奴が日本から出て行け。
などなど。
俺は思う。
その言葉を批判してる奴らは、よほど順風満帆な人生を送り、政治社会に対して無批判で従順な人たちなんでしょうね。
社会に対して発信できない不満から出てきた一言が「日本死ね」だし、批判すべきは不満の根源なのだろうに。
どこにもぶつけることのできない不満を持ったことのある人が「日本死ね」には共感を覚えたのではないだろうか。
俺が人生で一度だけ完全な鬱状態に陥っていた就活期は、まさに「日本死ね」と思っていた。
さて、日本の新卒一括採用が多方面から批判を浴びているのは周知の事実である。
現在働いている社会人は、どうにかしてこの就活を乗り切った先に働いているのである(そうでなかったなら、いい時代だったんですね)。
批判されては朝令暮改のように就職活動時期をずらして、それで対策しましたとはいっては、繰り返し批判はおきるわけで。
そんな表面上の対策したところで、就職活動というシステム根本が変わらなければ意味がないって、誰も思わないのか?
批判されっぱなしな日本型就職活動だが、果たして欧米の就職活動に移行すべきなのか?
日本では就社と呼ばれるメンバーシップ型採用だが、欧米では正しく就職のジョブ型採用といわれる。
募集条件が日本と違って明確で、採用前から仕事が限定されているために、採用後の働き方がわかり易い。
よし、欧米のジョブ型採用に移行しよう、ってちょっと待った!それって、いい面ばかりを見ていませんか。
本当のところは、入社してから退職まで全く同じ仕事を数十運年間延々と続け、昇給もないまま給与は低く、教育課程において就ける仕事が選別されていくといったマイナス面に対してはまるで言及されていない。
ジョブ型採用にだって、悪い面はありますよ。
就職はその国の文化によってシステムが違う。
良い面もあり、悪い面もある。
ではいったい、日本ではどういった就活システムを目指すべきなのか。
本書では、その点を指摘する。
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巷に溢れる就活改善方策のデタラメさがよく分かる。日本の大学生の就職は外国に比べれば簡単であることがよく分かる。分不相応な選択しなければ就職先はあるらしい。そもそも大学に行くべきでない人も多いのも問題だろう。
娘の就活の時に沢山お祈りメール来てたがなんとか就職できのが6年前?でもってすでに4回目の転職。訳わからん。
就職協定は昔から守られてなかった。自分も守らない組織に就職した。成績証明書を無理に出してもらった記憶が。
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帯にあるように「恨まれてますよ」なので、メールの書き方をどうこう、、、という本ではありません。
海老原さんのいつものやり方で、その筋の「権威」な方や、それに乗っかるだけの乱暴な意見を、データでばさばさと斬ってくれます。
教育と雇用については、だれでも「経験者」として意見を言います。でも、大抵は浅はかなものです。年上でも、上司でも、それは同じ。
後輩や部下に一席ぶったあと、そちらからくだらない人だな、と思われないために読んでおくとよいでしょう。
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採用活動が焦点だけど、日・欧米比較は採用だけでなく職務給制度にもふれられている。一概にどちらがよいわけもなく、隣の芝が青くみえるだけ。年功で昇給することを当たり前の権利だと考えてきた世代に、就職の入り口だけ欧米化しろと言われるときの違和感。
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タイトルはともかく、おすすめ。
就活の問題は、学業抵触、3年次の成績評価の組み込み可能性、留学阻害要因化。
日本、アメリカ、フランス+ドイツとオランダのシステム比較。
企業は就職ナビのオープン前に募集できない。ナビオープンで内定までどっと雪崩れる。大学の考査期間は一時休戦。説明会の繰り返しが学業阻害要因。インターンシップの名を借りた就職説明会代行が抜け道。
企業に成績パスを用意させる。GPA3.5とか。大学は説明会を重視せよ。ナビに10月以降は一日インターンを一時掲載不可にする、ナビサイトオープンを12月3週にする。
日本型就職をどうにもできないという前提のもとに、忍耐力継続力、論理構成力、聞く話す、仲間とうまくやる、マナールールの遵守を学生時代になんとかせよと。レポートに赤入れびっしりやれと。うーん。ジョブトライアル。試行採用3か月、非正規長期化はダメ。職業訓練として、転職回数に入れない。仕事、勤怠を企業は記録、提出して助成金をもらう。
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■日本では組織の末端に大量の空席ができる。だから新卒採用が可能。
■欧米企業の人材補充は経験者の中途採用が主で,新卒採用を行っている企業でも新卒採用者の比率は低い。欠員が生じた際に,職務内容を提示して当該職務の経験者を中途使用することが一般的である。
■世界でも稀な日本企業の「新卒一括採用」はこれまた世界でも稀な「無限定雇用」そしてそれに発する「企業のイニシアティブ」が三位一体となってできた魔法の人員補充策だ。
■習熟に応じてタスク入れ替え。
・「できることから任せて,徐々に難しく」という日本流の育て方を人事の世界では「ゆで蛙」という
■「新卒一括採用」をどう変えていくか。そのヒントになるのが欧米の入職の仕組み。
・欧米では新卒時点で仕事に就かなくても就職のチャンスはいくらでもある
・欧米では交互教育(インターンシップや見習い訓練などの就業経験)が整っている
・欧米では総合職採用ではなく職務別の採用である
この3つのポイントをもとに日本の就職システムに対して次のような改善案が語られる。
①だから日本でも,新卒時点にとらわれず,卒業後にゆっくりと考えられるようにすべきではないか
②そして,大学の早い段階から,交互教育のチャンスを豊富に用意して,キャリアをよく理解した上で仕事を選ぶべきではないか
③さらに言えば,交互教育での出会いから,就業体験先企業に早期に内定していくような,時期にとらわれない通年型採用に移行していくべきではないか
④新卒採用でも,職務別の雇用形態をとり,「必要なスキル」が明示された形で募集活動が行われるのがよりスムーズだろう
要約すれば日本型就職の改善ポイントはこの4点に尽きる。
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不景気になって新卒の就活が大変になると巷間で囁かれる、”日本新卒一括採用を変えなければならない”とか”グローバルスタンダードの導入”、欧米に習った”同一労働同一賃金”の実現だとか、それで全てが解決するんならなぜさっさとやらないのか。単に守旧派・保守派の抵抗なのか。本書は、タイトルがキワモノ的な割には真面目にその辺の疑問、フラストレーションを解消すべくしっかりと解説してくれる一冊だった。本書を読むと、就職・就活というのは社会全体のシステムとも当然関連しているわけで一部分だけ簡単に変更できるようなものではないと言うことが理解できる。企業にとって新卒一括採用には新卒一括採用なりの大きなメリットがあるし、新卒や社会にとってもメリットはある。そのメリットを捨てるのは社会がガラッと変わらない限り難しそうだ。
本書では、日本の”就活”システムの近代から現代までの変遷とその歴史、西欧諸国との比較とその違いからのメリットと問題点、著者の考える今後の目指すべき方向について、簡潔に分かり易く解説されている。著者は学者ではなく、就職業界で実務に携わってき人で、米国や欧州の状況についても現地で体験しているようで、単なる机上の空論ではない説得力がある。さらに本書には、箔づけの意味もあるのか、学者も含めて各分野の識者へのインタビューも掲載されている。
個人的には、欧米、とりわけフランスの就職状況が詳しく理解できたのが大きかった。それとの対比で日本の新卒一括採用がどのようなシステムなのかも良く分かる。
フランスはある意味、能力(や多少は生まれた環境)によるある意味の階級社会が出来上がっているようで、子どもの頃から能力に応じてコースが分けられる。変な夢を見せて人々を駆り立てるわけではなく、それこそ「分相応」「身の丈」に合わせて生きていくしかない、ある意味割り切りやすい親切なシステムかもしれない。それがあって初めて職能による採用があり、同一労働同一賃金なのかも。日本はそれと逆で、原理的には誰でも組織で昇進可能だという夢を持てるが、その分、夢を見ている限り仕事に駆り立てられ、ブラックにもなりやすい。著者の指摘にはとても納得させられるものがあった。
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題名がなかなか強烈だが、副題の内容を丁寧に整理して書かれたものだ。
日本としてどんな歴史を歩んできたのか、欧米諸国はどうなのか。各国、各時代のシステムの「功罪」を明確にしている。その上で今後の日本がどうあるべきか、その説得力はかなりある。比較的読みやすく、コラムも興味深い。人事などである程度経験を重ねた人だけでなく、学生にも読んでもらいたいと思ってしまう。(学生には少々難しすぎるかもしれないが…)政府主導は期待できないからこそ、民間と教育機関が手を取り課題を積極的に解決するよう進めていくべきだと思った。
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これもブログで見かけて手に取った本。
世間でよく言われることに対して、日本のこれまでの採用や人事の歴史から振り返り、欧米の実際を取り上げながら、丁寧に解説している。
よく表面的に言われるようなことではなく、きちんと丁寧に議論をしていて、改めて勉強になった。
大勢のジョブ型採用と言うのは、キャリアアップというのがそのままではないと言うことや、それより以前に手に職をつけておく必要があると言うこと、は既に知っていた。
この本で初めて知ったのは、超エリートの早期確保と、脳エリートの宿を別西様(今まで私が知っていた欧米のジョブ型産業)と言うこと。
日本のやり方も日本のやり方で良いことがかなりある、と言う事は言われているけれども、実際にはあまりにもランダムすぎるもの、というのが今の時代にはそぐわないのだろう。入社してしばらくしないとキャリアを描くことが難しい。
ジョブ型ジョブ型と言うけれども、実際の落としどころとしては、ある程度のディビジョンを絞ってあげて、その後は本人の希望とともに社内異動を試みると言うあたりではないだろうか。
ここ数年の流れで言うと、転職事情、といったところもこの人に解説してほしいと思った。実際のところ、新卒よりも転職市場の方が大きいのだから。
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基礎能力と将来性、肌合いでの採用になっている
肌合い重視のため、新卒未経験を取りたがる
成績重視はできない。GPAがバラバラ。
インターンシップの目的
社会人生活を知る、会社仕事内容のカタログ、職務のミスマッチ削減、風土のミスマッチ削減、職業訓練。
日本型雇用慣行
年功序列、企業内組合、終身雇用、メンバーシップ型
日本型だから、取締役が一人抜けても、新卒を一人採用すればよい。配置転換が自由、昇格がある。社内のモチベーションを保ちやすい。
OJTで育てる=なれたら難しい仕事をさせる。欧米ではポストの変更は難しい。
仕事を決めていないから、無くなっても解雇はできない。無限定社員の雇用を守るため、残業と賞与がある。
日本型雇用の改善点
卒業後に就職を考える。大学時代に交互教育でキャリアを考える。時期にとらわれない採用。職務別の雇用形態。
職務別と職種別採用は違う。
日本では経理事務は仕事の入り口、欧米では経理事務についたら一生事務。誰でもエリートを目指せる。非正規にしわ寄せ。フランスでは、早いうちにエリートとそうでないものに分けられる。
日本型雇用は使い勝手がいい。
日本の同友会インターンシップは受け入れ人数が少なすぎる。社員総数1万人に対して70名。本気でない証拠。
採用直結にすると、一括採用が一括インターンシップに代わるだけ。
日本では採用基準が、基礎能力と人間性だけ。だから採用時期はいくらでも早められる。学業の達成との連関性はない。
職種別採用にすると、大学でそこまで教えられるか、の問題になる。
日本型は、誰でもが出世できる幻想がある。だから長時間労働になりやすい。しかし入り口で差別することに耐えられるか。
高卒求人は1~2割に減少。大学教育のジレンマ。
学費が私立理系100万、私立文系70万、国公立50万とどこでも同じ。
欧米は、人生の早めに答えを出させる=エリートになれるか否か。日本社会は階段を上がることが、雇用側も働く側も前提。
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大学生の就職活動のことを「就活」と呼ぶようになったのは随分以前のことだと思う。興味のある会社の就職用サイトがオープンしたタイミングでエントリーシートを提出するところから就活は始まる(ただ、私が知っている「就活」はコロナ前のタイミングでのものなので、それから何かやり方が変わっているかもしれない)。選考が進み、面接等が行われた後、合否連絡が企業から学生宛に送られる。その中の不採用通知のことを、「お祈りメール」と呼ぶ。不採用のことを「ご縁がなかった」と表現し、末尾に「今後の発展をお祈り申し上げます」と書く。このような紋切り型のメールのことを揶揄して「お祈りメール」と呼ぶのだ。
本書の題名は、日本型の新卒一括採用の功罪を論じるようなものであるが、実際には、日本と欧米(特にフランスとよく比べている)の雇用システム全体の違いについて論じている。
日本の雇用システムの最も大きな特徴の一つが、職務を特定しないまま採用する「新卒一括採用」であるが、それは例えば「学生にとって大きな負担」だとか、あるいは、「学業スケジュールを邪魔している」等の批判を受けることがある。また、最近では新卒採用のみではなく、企業の中で主にジェネラリストとして育成・活用されていく日本の雇用システム全体が、職務を特定して採用・育成・活用していく欧米型の雇用システムに対して劣っており、それが、日本の長期的な経済停滞の主因だ等と主張する人まで登場している。
それに対しての本書のスタンスは、「雇用システムは各国ごとにユニークな側面がある。ただ、どの国の仕組みも一長一短があり、万能なものなどない」というものである。例えば欧米型の雇用システム(本書では上記の通り、特にフランスの制度について詳しい)は下記の特徴を持つ。それは、職務ごとに採用・活用が行われる、その前提としての職業訓練の仕組みが充実している社会である。
①職業訓練などの公的インフラが必要となる
②市場ニーズに合うように訓練される人数を調整しなければならない。そのため、幼少期より、学業成果によって、就くべき仕事へと半ば強制的な振り分けが行われる
③職務別の契約のため、すぐ隣の仕事にも移りづらく、キャリア形成に必要な職務の幅が保てない
④ホワイトカラーの職務については学校での再現訓練が難しいので、企業実習を長期に行い補完する必要がある。そのため、学業阻害が起こりやすく、また、就業先企業でのブラック労働が起こりがちである
⑤職務が限定されるため、担当外の上位職務を切り出して少しずつ経験することができない。そのため、上位職務者と下位職務者が固定化され、それがそのまま社会的な階層となってしまう
⑥空席ができた職務毎に採用するので、新卒者は簡便なエントリーレベルの職務に空きが出たときしか雇われない。そのため、就業機会が減り、若年失業率が高まる
「雇用システムは各国ごとにユニークな側面がある。ただ、どの国の仕組みも一長一短があり、万能なものなどない」という本書のスタンスに私は賛成であるが、それに加えてコメントしておきたいことがいくつかある。
■特定の国の雇用システムは、「雇用の仕組み」だけから成立しているわけではない。それは、例えば、一国の教育システムと密接な関連を持つし、税制や社会保障の仕組みとも補完的な関連を持つ。すなわち、それらは、大きな意味での「社会システム」そのものであり、「雇用システム」だけを取り出して何かを論じることは出来ないはずだ。それは本書の中でも、「それぞれの国の社会構造が異なる中で、他国の事例を日本にそのまま接ぎ木するという話は現実性がない」と論じられており、その通りだと思う
■最近、「日本の雇用システムも、欧米のような"ジョブ型"を目指すべきである」との議論が盛んに行われている。ばかりではなく、国の政策提言書、例えば、2023年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」の中で、「労働市場改革を実行することを通じた構造的賃上げを実現」することが謳われている。ただ、大きく振りかぶった割にはその内容は、「リスキリング」「日本型職務給導入」といった、欧米的なジョブ型雇用システムを目指すことが論じられている。それに対しては、既に上記しているが、「どこの国の雇用システムも一長一短ある。日本と欧米のシステムの全体像を論じたうえで改革の方向を定めるべき」「雇用システムは、社会システムとして捉えるべきものであり、ある特定の制度のみを接ぎ木的に導入しても何の意味もない」と私は思う。