紙の本
「そっちじゃない」と言わないで。
2019/03/04 16:36
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
たくさんの絵本、科学絵本を残してくれたかこさとしさん。本書は「なぜ絵本を描くようになったか」などを盛り込んだ自伝語りです。「だるまちゃん」はどんな子か。「かわ」をどんな気持ちで書いたのか。むかーし読んだ絵本をもう一度開いてみたくなりました。未来の子供たちに向けたようなタイトルで語り口もやさしいのですが、「昔子供だった」人に向けた言葉がたくさんあります。
「こども」とはどういうものか。大人の予測範囲をはみ出しているもの。かこさんはそんなふうに思って絵本を描いてきたのですね。絵本を描いた本人も気づかなかったところに興味をもって見る子供もいる。ほかの人の気づかない「端っこの世界に気づいて、そっちを向いている子供」にも向けてメッセージを送りたい。「そっちじゃない」と言わないで、そこからつながっている広いところにも目が向くように。他人の気づかないところに気づくことって結構大事だということを、子供を目の前にすると忘れがちなことを指摘されたようでドキリとしました。その子は「そっち」に何をみているのか、と心を回すことができる大人になっているでしょうか、と。
どこにいる子供からもつながる見取り図を描きたい、と書くかこさん。『敗戦後70年近いのに、的確な「戦争」の絵本「非戦」を描く見取り図がまだ描けていない。』とも書くかこさん。「未来のだるまちゃん」に誰かがそれを見せてあげられるようにならないと、と思います。
紙の本
かこさとしさんの自叙伝
2017/04/15 18:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あらら - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵本作家かこさとしさんの自叙伝。
最初から絵本作家ではなかった。どうして描き始めたのか、作品に託す思いが書かれていている。
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【すべての親子への応援歌!】『だるまちゃんとてんぐちゃん』で知られる著者の歩んできた道のりとは? 90歳の国民的絵本作家から、未来への希望のメッセージ。
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一貫した人生思想と徹底的な謙虚な客観視点がどのように醸成されたのか,余すところ無く語られる.優しいということは最も厳しいことであることが納得できる.未来のだるまちゃんとは,別に子供達だけを指すのではなく,喜びを伴う未来を積極的に切り開こうという意思を持つ全ての人々のことでしょう.
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「だるまちゃんとてんぐちゃん」私の場合は両親に読んでもらったのではなく、自分で本棚から引っ張り出してよく読んでいた。一番のお気に入りだったのは「からすのぱんやさん」で、こんなパンがある!うわあこっちにもヘンテコなパン!と指さし指さしページをめくった(これに続編があったとは)。女の子が好みそうな絵柄ではないし当時の私も「この絵本全然かわいくない...」と思っていたけど、何故だか惹きつけられてしまって不思議でたまらなかった。
物事を突き詰めるのって容易いことではなくて、それに一生懸命になれる人は総じてかっこいい。
加古さんは戦争というものをずっと抱えているからこんなにも強いのかもしれないけど、自分を突き動かす原動力が使命感というのは......。これからの私や未来のだるまちゃんたちは、そんなものは背負わずに生きていけたらいいと思う。
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150刷を超えるロングセラー
「だるまちゃんとてんぐちゃん」を描いてこられた
かこさとしさん からの メッセージ
かこさんが「大勢」を描くのは
ー自分が世の中の中心だとはとても思えないから。
この世界は多様であり、自分はそのどこか端っこにいる。
でも 「端っこも世界なんだ」、と言いたい
と書いておられる
そんな かこさとしさんから
これからを生きていく若い人たちへのメッセージ
一冊の絵本に
一枚の絵に
一つの言葉に
込められているかこさんの深い思いが
改めて伝わってくる
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だるまちゃん誕生50周年、購入して読んだ。
幼少時代の話から現在までの自伝。(聞き書きのよう)
「生きるということは、本当は、喜びです。」
言い切ってくださるのが嬉しい。
子どもたちに「世界の地図」を、この考え方がすごく尊くて、読んでいてほうっとした。
関西出身の人に「へのへのもへの」きいてみようっと。
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二歳の子どもに、毎晩のように「だるまちゃんとてんぐちゃん」を読み聞かせしている身として、大変興味深く読みました。おおきなだるまどんは、僕でした。「・・・子どもたちは生きているし、これからを生きてゆくのだから、大人は密かに声援を送っていればいいんだ・・・」(p.255)との言葉を深く僕の胸に刻みたい。かこさとしさんの絵本は、単なる子ども向け絵本ではない。僕自身のことを内省しながら、人生が始まったばかりの我が子との付き合い方をはっきりと認識させてくれる、かこさとしさんの呼び掛けです。
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『だるまちゃんとてんぐちゃん』など数多の人気絵本を世に送り出してきた著者。19歳で敗戦を迎え、態度を変えた大人に失望した著者は「子供達のために役に立ちたい」と、セツルメント活動に励むようになる。そこでは、絵本創作の原点となる子供達との出会いがあった。全ての親子へ贈る、希望のメッセージ。
「BOOK」データベースより
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マンガ「黒子のバスケ」を読んだり、ずっとやめていゆたツムツム(スマホゲーム)を再開してしまったりで、すっかり読書時間が減少してしまってます(笑)
読みたい気持ちはいつもあるんだけど、なんだろね、この波は。。。
子育てモードが強まると読書熱が下がるのかな?
この本の著者は「だるまちゃんとてんぐちゃん」「どろぼうがっこう」「からすのぱんやさん」などの人気絵本の生みの親、かこさとしさんです。
内容は自伝エッセイみたいな感じ。
前半はかこさんの幼少期~大学時代(敗戦)までの生い立ちの話、
後半はそれ以降の絵本作家になってくまでの話、
最後にかこさんの思いみたいなのが書かれてます。
かこさんは戦時中を生きのびた世代の人です。
中学校くらいのときに戦争がイケイケどんどんな感じだったので、「自分も飛行機乗りになる!」と思ってたんだけど、身体測定的なヤツでひっかかり軍人になれないことがわかります。
で、今度は技術者への道を目指し、東大に入りますがそこで終戦。
敗戦し、その後の大人たちの手のひらを返したような言動に落胆・失望し、同時に自分だけ生き残ってしまった無力感にさいなまれます。
そんな状態でしたが、セツルメント活動(ざっくりいうと昔のボランティア的な活動)を通して子供たちとふれあい、そこで生きる意味を見いだし、紙芝居、絵本などをつくり始めます。
社会人になり会社に勤めながらもセツルメント活動はずっと継続し、四十後半で専業の絵本作家になり現在に至る、と、まぁこんな感じの生い立ちらしいです。
かこさん、最近流行りの複業ライフを20年くらいやってたそうで、その二足のわらじライフが絵本にも仕事にもすごくよかったと書いてました。
ほんと、そう思うわ~。
ひとつの仕事だけより、別の何かを持ってる人は強いな、と私も思います。それは金になる複業でもいいし、ボランティアでもいいし、子育てでもいいし、趣味に没頭するでもいい。
会社だけだとどんなに視野を広げようと頑張っても限界があると思うし、できる経験も少ない気がする。
それでも本人がよければいいのかもしれないけど、会社なんてどんな会社でも、いつつぶれるかわからんし、そうなったときに他に拠り所がないってのはとても脆いよなぁと思うわけです。
かこさんは、会社に内緒で20年くらい複業(金にならないボランティアだけど。)してて、最後には絵本一本でくらせるようになったんだから、やっぱりやりたいことがあったら、勝手に「どうせ無理だ」とか思わず、やってかないといかんな~と思いました。
でもね。
もちろん犠牲���しているものもあって。
会社とボランティアでの絵本とか紙芝居作りの二足のわらじ生活が忙しくない訳はなく、その皺寄せは家庭にいってたそうです。
家のことや子育てはすべて妻にまかせ、土日になればボランティア活動で外出続き、家にいても絵本作り。
奥さんは承知したうえで結婚したらしいし、当時はそういう家庭が当たり前だったけど、かこさんちの子供からみれば、「自分の相手はちっともしないくせに土日によその子と遊んでるの?!」と面白くなかったらしい。。
生きるということは選択の連続で、すべての選択は何かを得て、何かを諦めるってことなんだなぁと最近よく思います。
全部を同じく得ることはできないから、どこかでバランスをとらないとつぶれてしまう。
何かを選んだら、何かを選ばなかったという自覚と覚悟が必要なのだろう。
選択をするときには、自分の中の優先度を自覚しつつ、周囲と話し合って調整していくスキルが必要な気がします。
優先度つけるって、大事なことと大事にしないことを決めてくってことで、
大事なことはたくさん決められても、大事にしないことを決めるってなかなか難しいのだろう。(私、多分これは得意。)
子供らには「大事なこと」を選ばせることと同時に「切り捨てること」を意識的に選ぶ視点も育ててく必要があると思うのです。
でないと、優先度つけられないから。
あと、決断したらそれを周囲と調整するスキルも必要で、それって優先度を決めること以上に難しい気がするんだけど、やっぱりメチャクチャ大事な事なんだよねぇ。
勉強ができるとか、スポーツができるとか、子供にこうなってほしいっていう思いはたくさんあるんだけど、この2つを押さえておけばそこそこなんとかなるんじゃなかろうか。
てか、優先度を自分で判断して決められるようになれば、そんなにバカには育たないんじゃなかろうか。。。楽観的かな。。。
ワタクシ的名文
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そのお医者さんは緑内障の日本の権威なので、毎日、朝からお年寄りの長い行列ができます。「緑内障にかかる人が増えた」のではなくて「長生きする人が増えた」ので、緑内障が増えたように見える。その結果と論文を、お医者さんは示してくださいました。要するに長生き病というわけです。
なるほど、そういうものかもしれないなあと思いました。だったら嘆くより。これも個性だと思えばいい。そういうものはきっと誰にでもあるはずで、僕は欠点に見えるものとどう付き合うかで、人間の厚みが出るんだろうと思ったのです。
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最後の一文がいいなと。。
歳をとって緑内障になったけど、考え方を変えたとな。
欠点と向き合って、人間の厚みがでる。
いいな~。
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「諸君。よくぞ生き残ってきた。どうか体を丈夫にして、これからの世の中を生き延びてくれ。」
何が始まったのかといぶかしく思っていると、先生は構わずこう続けます。
「いいか。諸君。そのためには体操をよくしなさい。私は若い頃からデンマーク体操をやってきた。」
きっぱりとそういうと、やおらその「デンマーク体操」とやらを、ブンブン腕を振り回しながら、真剣な面持ちで黙々とやり始めたのです。
(中略)
非常時において、教科書通りの話をして何になる。
歴戦の現場を渡り歩いて来た人だからこそ、今、何を学生たちに語りかけるべきか、考え抜いたのに違いありません。
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敗戦後の、東大の授業で、「がんちゃん」という先生がいった言葉だそうです。
デンマーク体操、気になる。。。
この授業がきっかけで、いきる意味を失ってヤケになっていたかこさんが、再生できたそうです。
「非常時において、教科書通りの話をして何になる」ってのがいいな。
人が変わるきっかけって面白い。
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生きるということは、本当は、喜びです。
生きていくというのは、本当はとても、うんと面白いこと、楽しいことです。
もう何も信じられないと打ちひしがれていた時に、僕はそれを子供達から教わりました。
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ほんと、そうだなぁと思うのです。
「働き方改革、楽しくないのはなんでだろう」って広告で話題になってるうちの会社ですが、みんな仕事も生活も真面目にしなきゃと思い込んでて、「楽しむ」ことの優先度を下げちゃってないかい?と思うのさ。
人生は短い。
死ぬときに後悔しないためにも、人生は面白がって、楽しくいきたいし、そのためにどうすればいいか考えていきたいなぁ。
有名な絵本を作った背景なんかも書いてるので、かこさんの絵本読んだことのある人は面白いと思います!
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2017.10月。
加古さんの生い立ちや絵本を作る理由、絵本に込める想いなどが全て詰まっていた。重い一冊。こういう想いを背負って私たちは子どもたちと向き合い、伝えていかなければ。子どもたちの未来のために大人がしっかりしなければ。ひとりでも多くの大人に読んでほしい。
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子供のとき大好きだったかこさとしがこんな人生を送ってきていたとはつゆしらず。この感覚を忘れたくないな。親になったらまた読みたい本。
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かこさとしさんの前半生をたどるとともに、子ども観、創作観などを綴っている。つい先日、「かこさとしのひみつ展」というのに行ったとき、かこさんがセツルメント運動から転じて絵本作家になっていったと知り、興味をもって読んでみた。
理系の科学者でもあるからか、子どもと向き合い見つめ、それが数々の名作絵本に反映されていったのがわかる。それとともに、目の前のことを懸命にやっているうちに人生が進んでいったという教訓でもある感じ。
セツルメントの子どもたちとはしっかり向き合っていたかこさんだけど、わが子とはあまり向き合わなかったと。えてしてそういうものかもしれないけど、昔の男って感じがした。そして子どもの視点をよく知っているといっても、男の子の視点かなって感じも。
かこさんもこの本のなかで述べているけど、戦争の時代を生きた人たちは多くが平和の尊さを叫ぶ。こういう経験者たちのたくさんの言質が当たり前に通じる日本社会だったのに、いまそれが揺らいでいるような気がしてならない。戦争を知らない者たちが、未来のだるまちゃんたちの居場所をなくしかねない時代。
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『からすのパンやさん』は大好きな絵本でした。
かこさとしさんの自伝。
そっか、そんな想いで子どもたちと向き合い、絵本を描き続けていたのかと、本当に尊敬する。
子どもに携わる仕事をしている身として、忘れてはならない本。
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こうしてかこさんが出来ていったのだなぁ。
プークにもいたなんて知らなかった!
「子どもに弟子入りする」と言うだけあって、驚くほど細かく子どものことを捉えて尊重(というよりもはや尊敬)していて、だからこそああいう絵本たちが生まれるんだなぁと改めて思った。
震災の話するとき『こどもの行事 しぜんと生活』の9月の防災の日のページ読もう。
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かこさとしが語る、子どもへのメッセージ。
子どもという存在をどうとらえるのか。心理学、教育学、社会学、色々あるけれど、かこさとしは真っ向から子どもと向き合っている。彼ら彼女らの文化を大切にし、大人の上にも下にも置かない。
かこさとしのそういった態度は、戦前戦中から戦後を自分でつぶさに経験した責任から生まれているのだろう。これは戦後生まれには、理解できても実行できない態度のひとつ。大人の中に、裏切るものがいる。未来に生きる人のため、間違いに関して謝らなくてはいけない。かこさとしの戦争を描いた絵本は、結局間に合ったのだろうか。