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昔話に登場するお爺さんお婆さんの時代は、今よりはるかに老人の地位が低かった、という事実に驚いた。貧しくても老人は敬われる存在だと当たり前のように思い、昔は今以上に老人は敬われていたと思っていたのだが、儒教思想が伝わる前の日本では全く違っていたらしい。
老人だけでなく、子ども、女性も同様だったことも書かれている。
また、女性については、女系親族が政治を動かしていた平安時代は女性の地位は高く、40過ぎても女性として扱われていたのに対して、江戸時代は遊郭文化が浸透し、女性は若ければ若いほどよく、40はお婆さん扱いだったという…。
時代背景によって女性の地位が変わることも興味深く読んだ。現代の男性がロリコン傾向なのも江戸時代の流れを引きずっているのかもしれない。多岐に渡る背景を様々な文献を読み解いて、分かりやすく解説している著者に脱帽。2018.9.30
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うーん、ちょっとくどかったかな。
面白いところもたくさんあったけど。
時代によって価値観なんてどんどん変わるし、あまり捕われすぎなくても良いかなぁと。
勉強になる一冊でした。
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絵本好きとして題名に惹かれました。
読み進めていくと、昔の年寄りの何とも怖いお話に・・
著者の老人論に驚かされます。
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「むかしむかしあるところ」に住んでいるお爺さんとお婆さんは、子供や孫もおらず、芝刈りや洗濯のため山へ川へと自ら働きに行く。それは老人を取り巻く厳しい現実を反映しているという。昨今は老後問題が取り沙汰されているけれど、戦後に築き上げられた「悠々自適の老後生活」の方がむしろ特殊なのかもしれません。
ところで、最後の章では「実在したイカす老人」が数人紹介されている。自分の葬式のシナリオを作り上げ、その中で棺桶から起き上がって一人芝居をするという四世鶴屋南北のユーモアもさることながら、上田秋成の冷ややかなリアリストぶりも印象的。曰く、「昔に戻りたいとは思わない、今のほうが美味いものもあるし、金と命があれば何でも手に入る」とか、「本居宣長は二言目には大和魂というが、その魂こそがこの国の臭み、欠点でもある」とか。