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朝井さんの本は、いつも時代小説ながら、主要人物が現代人的な考えを持つ。今回も介護についての話だが、昔の人も本当はこんなことを考えていたのかもしれないなと思う。
とてもよく介護について考えられており、現代人にとっても「往生訓」であり、介護に携わる人への応援歌ですね。
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世の中に 完璧な人などいない
完璧な老後もないけれど
それぞれの行く末を考える気持ちになります
自分の最後を預けることが出来る人って
なにがしかの縁がきっとあるんでしょうね
しみじみとした よい小説でした
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江戸時代版介護士ともいえる、“介抱人”として働く、お咲が主人公。
気難しいお年寄りや、身勝手な身内等と真摯に向き合って仕事に励む一方で、美しい母親との確執で悩むお咲の心情が良く描かれています。
江戸の介護事情も興味深く読めますし、爽やかな読後感が良いですね。
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江戸時代の介護事情が分かって新鮮だった。しかし、二十代半ばのお咲は、私のその頃に比べて明らかに老成しているなぁ。
良くも悪くも人間関係が太いこの時代を、切ないほどに羨ましいと思ったりもする。
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時代小説で介護というのは珍しく感じ、それぞれの人の生活に引き込まれました。
江戸時代、本当にこんな職業があったのか分かりませんが、とても興味深く読ませて頂きました。
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2021年8月16日
一気読み。
時代が違っても、介護やLGBTはあった…
いろんな人がいろんな個性で、相手を知って折り合いをつけて楽しく暮らす。時代が違っても、毒親もいるんだ。
我慢と諦めと運と矜持と気持ちの支え…
これからのお咲の暮らしに思いを馳せる。
お咲の色恋やときめきが少しも無かったのが、ちょっと残念。
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江戸時代、平均寿命は50才くらいとか言われますが、50才を超えることができれば、その後は多くが長生きしたのだとか。歳をとって介護が必要になったら、庶民はたいてい、家族が仕事量を減らすなどして面倒をみることになるのですが、裕福な家は面倒を見てくれる介抱人を雇うこともあって、この小説の主人公・お咲は、その介抱人を生業にしています。理由は胸の内に秘めていますが、口では「母親の借金を返しているので、身入りのいい仕事しなきゃなんない」と答えています。
介抱人の口入れ屋・鳩屋の主人夫婦や同僚、仕事で縁が結ばれた人々に囲まれながら、老いと向き合うお咲を通して、老いていく者、見守る者、それぞれの思いが描かれていて、身につまされました。
お咲と同居する母親との間も、複雑で厄介です。私自身、若い頃は母親とはうまくいかなかったので、一日も早く家を出たかったことを思い出しました。(今は仲良しですけどね。)
そして驚いたのですが、この本によると、江戸時代、親の介護を担うのは主だったんだそう。「主君に忠義、親には孝養を尽くすのが人の道」と説いて、親孝行を強いたのだとか。武士の場合は親の介護休暇が認められており、商人は番頭らにお店を託して介護に専心したのだそう。一方、主の妻女や孫は、家内を守るのが務めだったらしいです。いつの間に、嫁に押し付けるようになったんでしょうね?
ちなみに、猫はタイトルになるくらいとても重要なポジションなんですが、本文中にはほとんど描かれていなかったです(名作『夏への扉』の猫的な感じ…)。
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内容(「BOOK」データベースより)
お咲は、年寄りの介護をする「介抱人」。口入屋「鳩屋」の主人・五郎蔵とお徳夫婦に見守られ、誠心誠意働くお咲は引っぱりだこだが、妾奉公を繰り返してきた母親のだらしなさに振り回され、悩む日々―。そんな時、「誰もが楽になれる介抱指南の書」を作りたいという貸し本屋・佐分郎太から協力をもとめられた。「いっそ、ぎりぎりを攻めるってのはどうですかね、お咲さん」―「いいかも。そのぎりぎり」。長寿の町・江戸に生きる人々を描く傑作時代長編。
令和5年12月22日~26日
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自分勝手な母親の借金を返すため、生活のために女中より給金の良い介抱人の世話をするという今で言えばホームヘルパーのような仕事をするお咲。いろんな家の中に入り世話をする当人と打ち解けるまで献身的に手助けをする。その家族とも関わらねばいけないがアドバイス的な事を言っただけで怒りを買う始末。親の介護は子供がするのが当たり前の時代だから他人に任せるなどどれだけ世間の風当たりが強かった事か。
お咲に仕事を斡旋している口入屋の夫婦がいい。やり手のお徳は毒舌だが見放したりしない面倒見の良さがある。五郎蔵は急須を持つのが好きでお茶を勧めながら女中達の話し相手をする。このバランスの良い夫婦がお咲を仕事以上に支えているように見えた。悪い人ばかりじゃない。悪い事ばかりじゃない。お咲の日々の先にいつか母親と和解できる日が来るのだろうか。