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<目次>
はじめに
第1章 ジャニーズとはなにか
第2章 ジャニーズ結成~初代ジャニーズ、フォーリーブス
第3章 郷ひろみからディスコへ~郷ひろみ、田原俊彦、少年隊
第4章 それぞれのアメリカ~冬の時代、近藤真彦、ザ・グッバイ
第5章 80年代とジャパニズム~シブがき隊、光GENJI、忍者、関ジャニ∞
第6章 SMAPが開拓した道~SMAP、TOKIO、V6、Kinki Kids
第7章 ジャニーズがもたらしたもの~嵐、次世代、そして再びSMAP
おわりに
<内容>
ジャニーズ事務所のアイドルの歴史を追いかけながら、日本の音楽の歴史を語るもの。社会学書というよりも音楽書のような分析をしている(著者の略歴にも”DJ"という仕事が書かれている)。ただ、ジャニー喜多川が移民2世で、日本に「民主主義」を持ち込んだ(例えば、ジャニーズのアイドルは顔よりも”個性”が重視されているなど)とし、一方で途中までは「自我」が目覚めないうちが、「アイドル」だという話もある(「自我」が目覚めるとジャニーズ事務所を辞めたりする)。音楽的にも、局のコンセプトなども分析されていて、それなりに面白い。このタイミングで出版されている、他の「SMAP」本がどんな内容かはわからないが、この本は「SMAP」解散騒動の前から執筆されていたようなので、それを抑えた形で書かれている。
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ジャニーズの歴史、アメリカと日本の関係性。いろんなものが大きく動くときにSMAPが解散した。そんなときにジャニーズという事務所、ジャニー喜多川という人物を照らすことでジャニーズに所属している、いたアイドルたちとその楽曲、ステージで彼が目指したものは何かが浮かび上がってくる。音楽とダンスは重力や差別から一瞬でも自由になる武器であり享楽だ。それを体現しているアイドル、ジャニーが目指したものとは違うものになりながら新しいアイドル像を作り上げたSMAPと受け継いでいった彼らの後輩たち。アメリカと日本の関係が今後どうなっていくか、そしていつか来る体制が変わるときにジャニーズの音楽や目指すべきステージはきっとまた変わっていくのだろうと予感させてくれる一冊。
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「手の届かないスター」ではなくて「身近で等身大のアイドル 」。さらには平成不況時代に、一緒に"がんばりましょう"と語りかけてくれる「国民的アイドル」。時代の変遷に伴って人々がテレビに求めるものも変わってきて、そうした中で色々苦労したり試行錯誤したりしながら、オンリーワンな地位を築いてきた存在。
SMAPについてそういった見方をしている点は、同じ時期に出版された他のSMAP本に同じですが、ジャニーズ全体を語る対象としている点と、その際に「日系アメリカ人であるジャニー喜多川という人が目指しているもの」を捉えようとしている視点、そして音楽好きである著者の矢野さんならではの楽曲に対する考察、このへんが特徴的。
◼️SMAPの「身近さ」については、「自由でカジュアルなクラブカルチャー」「飾らないリアルな自我」といったキーワードで説明している。
どちらも、ジャニーズらしくないともいえばらしくない。というのもジャニー喜多川がそれまで志向し実現してきたのは、日常からかけ離れた恍惚とファンタジーの虚構の世界であり、自我の表現なんていらない(その意味ではアーティストである必要はない)、それを提供できるエンターテイナーであれ、という方向性だったからだ。
でも、じゃあSMAPは異端で、ジャニーズの本流と対立関係にあるとか、そんな単純な話でもない。昨今のメディア報道では強権的な印象もあるジャニーズ事務所だが、この本によれば少年たちの育成面においては、何が下手でも、美男子じゃなくても、ピュアでさえあればいい、誰しも磨けば光る個性がある、とかジャニーさんもいいこと言っている。
こういう姿勢も含めて、ジャニーズとは、ジャニー喜多川という人は、戦後の日本にアメリカのショービズのみならず自由と平等と個性の尊重、つまり民主主義を教えにきた、そういう存在なのだ。と矢野さんは言っている。
◼️また、「がんばりましょう」「オリジナルスマイル」などの楽曲が、発表時の意図やら作詞・作曲者の思いやらとは関係なく、震災などのきっかけで応援歌として蘇り、再び歌われる様子などをとりあげ、これこそポピュラー音楽の醍醐味だよね~と言っているところも面白い。「世界にひとつだけの花」や「Triangle」なんかは、もちろん良い曲だけど、正直仰々しくて戸惑うわ、と言っているところも共感した。
◼️他にも、ジャニーズ事務所の歴史を音楽面から解説している点は、あまり類似の本がなく貴重なのでは(確認したわけではないけど、そういう評判だ)。取り上げられる楽曲を知らなかったり、使われる音楽用語を聞いてもピンと来なかったりするので、じゅうぶん理解できたとは言えないが、「機会があればそういう耳で聴いてみよう」と思えたという意味では楽しめた。
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なかなか。
ジャニーズ事務所の歴史が知りたくて読んでみた。
ジャニー喜多川さんはアメリカ人だったんだ。
宝塚に影響を受け、メンバーの教育に力を入れているとか。
アメリカと日本の良いとこどり、柔軟な対応が今につながっているのか。
まだ、お元気らしいが、高齢でもあり、次世代でどうなるかが難しいそう。
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SMAPさんの世界にひとつだけの花、triangleのあたりは大変共感。おおきなものを背負わされた。もっと、何となく、好きな人は好きでいていいみたいなまったりとした存在だったのに。
解き放たれて、良かったのかもしれない。まだ、40代。まだまだいける。頑張れ。
KANSHAして華麗なる逆襲を、という最後のセリフは粋だね。
音楽についての解説は良くわからず。
決してジャニーズタレントを非難しない姿勢は良かった。
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文化としてジャニーズのあり方を、
創設から現代まで描いた一冊。
なかなか難しいけど、
詳しく色々書いてあったよ
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ジャニー氏のアメリカ的ルーツからジャニーズにおける「王道」が定義づけられているのがおもしろい。Johnny's WorldとかABC座のトンチキさが理解できたような気になれるよ!☆
が、筆者はSMAPに思い入れがあるのでしょう、(2016年12月刊でまだ三人の退所も決まっていない頃)後半はそんな「王道」ではないからこそ最初で最後の「国民的」アイドルになった彼らの処遇についての私怨がにじみでててもったいないと感じた。
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アメリカのショービジネス、音楽シーンと文化への造詣を下敷きに、ジャニーズを論じた良書。
私はジャニーズになんの思い入れもない、すでに空気としてあった人間だ。
そんな自分がジャニーズを通して、戦後日本の音楽文化を肌で感じることができた。
キーワードは、自我、解放、民主主義。
ジャニー喜多川の哲学に感銘した。
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1962年にジャニーズ事務所を創設したジャニー喜多川氏の死去が大きく報じられ,同社の内幕がクローズアップされる昨今,ジャニーズファンならずとも手にとってしまいたくなる一冊。ジャニーズが照らしてきた戦後日本の芸能史を堪能してみませんか。
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タイトルとしてはちょっと大袈裟。
社会全体ではなく、主に日本における音楽の風潮と結び付けて論じている。
作者かなりニノが好きみたい。
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あなたの知らないジャニーズの歴史がここに。
ジャニーズが何を求めてきたのか。何を表現しようとしてきたのか。そのすべてはわからないけれど、ジャニー喜多川氏のルーツがアメリカにあることからのアメリカ的なショービジネス志向やジャポニズムは、説明を受けるとなるほどと思うことも。
この本が出た後にジャニーズ事務所は大きな変化があった。今も激動している。ここからが正念場なのでは、と思う。
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(01)
戦後日本の芸能史を標榜し、特に初代ジャニーズ以来、半世紀以上を経たジャニー喜多川が率いる事務所が目指してきたエンターテイメントの紆余曲折が総覧できる。紆余曲折と言っても著者がジャニーズにみた一貫性は、先行するアメリカ仕込み(*02)の音楽、ダンス、コメディなどが占領国ないしは同盟国としての日本にどのように受容させ、その際に、ジャニーズの興業と所属タレントたちの属性がどのように設定され直してきたかという点にある。
フォーリーブス、たのきんトリオ、少年隊、シブがき隊といった懐かしいグループも歌謡史の中に位置付けられ、ジャズ、ロック、GS、ディスコ、クラブ、ヒップホップとといった音楽や音楽文化(*03)をめぐって、所属の各グループや各タレントの展開が描かれており、面白い。
(02)
ジャニーズのとった全人的な教育機能、人材養成や能力開発についても触れられており、単にアメリカナイズされた個人主義や商業主義というだけでなく、喜多川の父がアメリカで布教していた密教の修行を思わせるような機関として、ジャニーズのやや仄暗い部分(*04)が浮かび上がる。
(03)
パクりとまでは著者は言わないが、70年代、80年代からジャンルを共にする音楽文化の中での引用の流行はあり、ジャニーズの楽曲にもそうした先行する類例があったとを分析している。また、90年代の渋谷のレコ村やクラブシーンは、そうした引用合戦の延長にあったことも的確に指摘している。
(04)
ジャニーズが宝塚に範をとっていたことも説得的に記されているが、ジェンダーの問題に深くは踏み込んでいない。ただ、キャラ的な奇妙なネジくれ、関西への執着など倒錯的なイメージについては言及されている。おそらく、その倒錯は、ジャニーズ事務所側のプロモーションの問題であると同時に、イメージを消費する「国民」側の問題でもあっただろう。
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ジャニ研!を読んだ後に、こちらを読みました。
前者は鼎談でジャニーズの音楽性やコマーシャルとの関わりなど様々な話題に触れているとしたら、後者は世の中の関心や所属アイドルの変遷について、ジャニー氏のエンターテイメントの考え方を軸に時代を追って解説がされています。
良くも悪くもジャニー氏が事務所の船頭であったことがよくわかりました。また、アイドルというコンテンツを消費してきた私たちの態度についても考えさせられました。興味深く読みました。