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これな、なかなか面白かった。
前半、元タカラジェンヌを母に持ち、大学のオケで第一バイオリンをつとめる美しい娘・蘭花の、将来を嘱望される指揮者の卵・茂実に対する「盲目的な恋」のお話。
少女マンガのようでもあり通俗的でドロッドロのお話をグイグイ読ませてしまう。
後半、背が高くて細くて猫背でニキビで悩んでいて自意識過剰な留利絵の、蘭花に対する「盲目的な友情」について。
同じ時間の同じ出来事を留利絵の側から見てみると、その時の言葉やイベントの持つ意味がこうも違うかと思い知らされ、コンプレックスに苛まされる彼女にとって一筋の光である蘭花を自分のものにするために行う行為が狂おしい。
どのような結末になるのか、ベタな恋愛ものから一転、サスペンスに溢れたダークさがぞっとする怖さ。
巻末、山本文緒の解説が的確。
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辻村深月さんといえば青春、ミステリ、地方と都会、母と娘、女性同士の人間関係等、様々な題材を描くことのできる作家さんだ。今作は女性の恋愛と友情についてこれでもかと言う程に描かれる。相変わらずの一気読み。辻村さんはなんでこんなにも盛り上げ上手なのだろうか…
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蘭花の恋愛観も、留利絵の友情観も、自分と重ね合わせて考えてしまった。
特に留利絵のような、「自分は一番の親友だと思ってるのに相手はそうじゃない」みたいな、友情のすれ違いみたいなものはすごく身に覚えがあるので本当に胸が痛かった。
何で私が一番じゃないの、っていう。
茂実がダメ男だってわかってるのに離れられず、何だかんだ付き合いを続けてしまう蘭花の気持ちもわかる。
自分のことを愛してくれる人なんてこの人だけかも、って思ってしまうんだよなぁ。そんなことないのに。
恋愛も友情も、ほどほどに健全な関係でいたいな、と思った。
辻村さんの作品はこういう感情の動きがすごくリアルに感じられて、いつも登場人物にかなり感情移入してしまう。
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購入後、一年くらい気分がのらず放置状態だったのだけど、このほど漸く手に取った。まとまった時間もあって一気読み。
これまでの辻村作品とは雰囲気が全く異なる、一種の恐ろしさを感じた。女の盲目な醜い歪んだ友情ほど恐ろしいものはない。
ラスト数ページ、思わず、あぁ、、と声が漏れる。。。
先日、「ハケンアニメ」を読んだばかりで、どちらかというとあちらのテイストのほうが好きだな。気持ちも前向きになれて。
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盲目的な恋は理解できるが、盲目的な友情はどういったものなのだろう。どうも行き着く先は同じなのではと思ってしまう。本作はとても興味深く、一気読みでした。
あらすじ(背表紙より)
タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が―。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。
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盲目的な恋、盲目的な友情。どちらも自分が見たいものしか見ていない。そんな息苦しい世界でも生きていける人がいるのか。
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タイトル通りの内容。
『盲目的』とは誰に対してだろう。
蘭花は自身を欺き続ける茂実の、外見だけでなく中身も好きだったのだろうか?
茂実の美貌と、パートナーとして扱われる世界の心地よさ、周りから羨望され、注目される喜びが少なからずあっただろう。
留利絵は、蘭花の親友という地位につく事で、こんな美人の親友に選ばれる自分の素晴らしさを、周りに知らしめたい、羨望のまなざしで見て欲しいという願望があっただろう。
盲目的というよりは、打算的な気がした。
あえて盲目的というなら、『盲目的な自己愛』かな。。。。
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辻村先生の女同士のドロドロした話、好きです。今回もそういうのあるよなぁって思うところがたくさん。ただストーリーの捻りが少なくて、辻村作品の中では満足度がちょっと低いかなと思いました。贅沢だけど。
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構成も面白くてあっという間に読み終えてしまったが、だんだん気持ち悪くなってきて本を閉じた後はどっと疲れてしまった。この場合の、友情という執着、に対して嫌悪感しか湧かない。生い立ちや容姿のコンプレックスを要因とする、この執着。こわいこわいこわい。全く救われない。
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怖かった。ぞっとした。
女の敵は女で、ここまで盲目的になれるのもやはり女なんだろうな。
心臓もがれて潰された感じ。辻村さんすごいな。
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異常だ、こうはなりたくない。と同時に、何かのきっかけで闇に囚われると自分もこういう風になるかもしれない。という、、絶妙な怖さ。
引き込まれて一気に読みました。精神的に重く疲れます。
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桐野夏生のグロテスクは途中で放棄したけど、こちらは読了。
自分の心は歪んでないか、バイアスかかってないかと不安になる。
本人に自覚がない怖さがじわじわ怖い。
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蘭花、留利絵、美波。いまのわたしにはわからなかったけど、もしかしたら菜々子にも。
登場する女性3人ともにすごく共感する部分があって、同じくらい「ここまで盲目的になりたくない」って部分がある。
蘭花は恋に盲目的で、名前で出てくるのは普段呼んでる部分だけ。茂実星近以外は。
それは家柄とかを気にしない大らかさでもあるし、興味をもってないとも言える。
対照に留利絵は、良くも悪くも相手を強烈に意識するから、苗字に含まれる”家柄”も読み取ろうとしてる。
二人とも、「自分は特別な存在」でありたくて、その度合いが「現実でここまで意識してたらやばいでしょ笑」ってとこを超えてるところが、共感できるとこであり、共感したくないとこ。
美波は軽やかに見えるし、こうあったらいいなあ、わたしはこのタイプだなあと思ったけれど、こーゆう生き方は留利絵のような人をものすごく傷つけてるんだなって気がついた。
留利絵が気にしすぎで、ちょっと病的、って言うのは簡単だけど、美波の軽やかさは、軽薄さ、無神経さでもあるなって気づいた。
読後感は決して良くないし、おもしろいよ!って薦めたい内容ではないけど、久しぶりにのめり込んで読んだ、いい小説でした。
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恋と友情 二つの観点から語られる主人公とその周りを取り囲む人々、ラストが衝撃的で何度も読みたくなる作品
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誰も幸せになれてないような気がする。でも気づいたら執着している、盲目的になる気持ちはわかります。周りを見渡せば他に選択肢はあるのはわかるけど、失うのが怖い。