紙の本
戦争の反対語は「対話」
2021/10/05 17:01
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争・暴力の反対語は平和ではなく対話です―。
そんな言葉が引用してあるコピーに引かれ、手に取った。
読みやすく、一気に読んだ。
経済学者であり、ベストセラー新書「豊かさとは何か」で知られる暉峻淑子さんの著書。
人と人とをつなぎ、平和や民主主義を生み出す「対話」の意義を説いてあった。
では「対話」とは何か。
単なる「会話」でも、二手に分かれてどちらかに軍配を上げるような「討論」でもない。双方の主張を足して2で割る「妥協」でもないそうだ。
暉峻さんの言う「対話」とは互いに人格を認め合い、対等な立場で向き合うこと。
実際に暉峻さんが地元でそうした場を設けていることも知り、非常に感銘を受けた。
今の世の中には、すぐに敵か味方かとか左か右かとか善か悪かとか、単純に二元化して相手をたたきのめすような風潮がある。
現実には、私たち人間はそんな単純に二元化できるものではなく、一人の人間の中にも、さまざまな思考が複雑に存在している。
「対話」というと当たり前に聞こえるが、案外難しい。
まずはそうした姿勢になることから始めていかなければ。
電子書籍
戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話だ。
2023/04/18 07:10
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話です」。
平和というと、ただ戦争がない状態という漠然としたイメージになりがち。
「対話」となると、そこには目の前の一人の人が存在する具体的な出来事になる。
「対話が続いている間は殴り合いは起こらない」とも。
学生時代の恩師との対話。
難民支援の現場での対話。
教育現場での対話。
精神医療の現場での対話。
様々な実例をあげ、対話の持つダイナミズムを具体化している。
対話とは、話すことではなく聞くこと、とも。
対話こそ、人が人である証拠なのだ。
紙の本
戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話だ。
2022/02/24 11:10
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話です」。
平和というと、ただ戦争がない状態という漠然としたイメージになりがち。
「対話」となると、そこには目の前の一人の人が存在する具体的な出来事になる。
「対話が続いている間は殴り合いは起こらない」とも。
学生時代の恩師との対話。
難民支援の現場での対話。
教育現場での対話。
精神医療の現場での対話。
様々な実例をあげ、対話の持つダイナミズムを具体化している。
対話とは、話すことではなく聞くこと、とも。
対話こそ、人が人である証拠なのだ。
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「豊かさとは何か」を世に送り出して約30年、一貫して人々の暮らしに関わる様々な問題提起をしてきた筆者の最新刊。発売されてから、すぐに購入しました。
帯に、「戦争・暴力の反対は、平和でなく対話です」と書かれています。その考えに至った筆者の個人としての経験、あるいは「対話研究会」という筆者も参加する地域の取り組みを通じての蓄積、社会で起こっている事象を「対話」という視点で分析すること等を通じて、何を考えることが必要かを呼びかけています。
僕自身も日々の生活の中で、いろいろな方と話をすることで考えが磨かれていくというか、気づかされることがとても多くあります。個々の違い(苦手意識のようなもの)はありますが、やはり人は人の中(集団)でこそ成長するし発達するのだと思います。物事をすすめるのは、合意や納得が必要であり、時間がかかるものです。筆者が「対話や討論がない社会は支配者にとってこの上なく都合がいい」との指摘は、その通りだと強く思います。新自由主義に基づく政策が進められている今の日本は、対話がなくなってきている社会とも言え、人々の安全・安心な暮らしが崩壊していることをあたらめて気づかされました。
対話が生み出した新しい動きも紹介されています。やはり地域から、考えて取り組んでいかないと、社会を動かしていくことはできません。一つ一つ地道に取り組もうと思います。
おすすめの一冊です。
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対話が重要であることはわかりきっているのに・・・・。
上意下達は対話がなければ、スムーズに運びますからね。やはり、国策としての対話排除かな。
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「戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話です」。
平和というと、ただ戦争がない状態という漠然としたイメージになりがち。
「対話」となると、そこには目の前の一人の人が存在する具体的な出来事になる。
「対話が続いている間は殴り合いは起こらない」とも。
学生時代の恩師との対話。
難民支援の現場での対話。
教育現場での対話。
精神医療の現場での対話。
様々な実例をあげ、対話の持つダイナミズムを具体化している。
対話とは、話すことではなく聞くこと、とも。
対話こそ、人が人である証拠なのだ。
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第2章で紹介されている「対話的研究会」が素晴らしい.対話することに飢えている人たちは,対話できるような設定があれば,水を得た魚のように話を始めることが,多くの事例で紹介されている.対話をする基礎になる素養を,小学生の段階からしっかり教えていく必要があると感じた.理論的な背景を紹介している第3章はやや退屈だが,多くの研究者が対話の重要性を指摘しているという学問的なエビデンスは,お堅い考えの役所などを説得する資料となろう.ファシリテーターの存在は知っていたが,伊藤さんの役割は非常に重要で対話を実のあるものにすることのできる素晴らしい人材だと思う.
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「改憲」が日程に上りつつある現在、氏は平和新聞10月25日号において、憲法カフェなどの市民の中での対話の実践こそが、急がば回れ、それを阻止する力になると述べている。
その号を読んで、私はもっと具体的なことを知りたくて本書を紐解いた。久しぶりの暉峻淑子氏の本、実践的で、分かりやすく、示唆に富む内容だった。
西欧諸国と比べて、日本は対話の力が育ってはいない。その理由を、私は「会社にはホウレンソウなどの言葉しかない。YKでは対話は生まれない」と感じていた。氏も、様々な言葉で同じことを書いていた。曰く。「戦後の自由な言論の中で、なぜ対話がほとんど何の役割も果たしていないのだろうか。自主的な議論を許さなかった独裁権力の代わりに、効率性と利潤追求が対話を奪ってしまったのか。あるいは、あいかわらず上意下達の一方的な命令の仕方しか知らない日本の社会が、空気を読んで決めてしまう事なかれ主義をいまだによしとしているのだろうか」(31p)
もう7年も続いているという氏の近所の「対話的研究会」の詳細な紹介は、たいへん参考になった。何かを立ち上げたい。と切実に思った。
「空気を読んでいては空気は変わらない」とは、SEALDsの大学生の言葉らしい。氏は今年1月発行の本書であるにもかかわらず、今年の流行語大賞にノミネートされている「忖度」という言葉を、何回も何回も使って、忖度が重視される社会を批判している。
徹底的な教育委員会の学校管理「学校経営の適正化」に愕然とする一方で、市民と行政が徹底的に話し合った「調布保谷線道路拡張工事」の経験が、私を熱くする。読んで良かった一冊だった。
2017年11月読了