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「人」を語り継ぐことは
なかなか難しい
ややもすれば、無条件の礼賛になってしまって
そりゃ、いい人なんだろうけれど…
となってしまって
あなたはそう思ったのだろうけれど…
になってしまいがちである
ところが
栗原康さんが語れば
いや、これが面白いのなんの
良いことも、だめなことも
なにもかもみんなひっくるめて
そりゃあ、次に伝えたい
この人
だろうね
になっていく
一遍上人の
姿、形、人となり
息遣いまで届いてきそうです
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一遍上人伝
でも、退屈な伝記ではない。
宗教の解説書でもない。
というか、私はきちんと一遍上人を学んだことはないけれど、たぶん言ってることは、びんびん伝わってくる気がする。
捨てろ捨てろ捨てろ
一所懸命、報償として土地をもらい。
それを守る武家社会において、独自の宗教理論を展開し、広めた一遍上人。
独特な筆者の語り口を含めて、読む価値のある一冊だと、私は思います。
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これだ!一心不乱に踊って念仏唱える。
一周回って新しいクラブカルチャーみたいな。
なんにもいらない。
全てを捨てて念仏を唱える、唱えて唱えて念仏の中に自分が消えて仏となる。
捨てろよ踊れ、唱えろ念仏、南無阿弥陀仏。
そんな一遍上人の熱い気持ちが著者の饒舌かつアナーキーな書き口を通して伝わってきます。
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独特の文体で一遍上人の生涯を追う。フオオ、フオオオオオ!
一遍上人といえば踊念仏であり、市井の人に混じって念仏を説いて回った鎌倉時代のお坊さんである。日本史の教科書にも載るくらいの有名人であって名前と踊念仏くらいは覚えているが、生涯の詳細のことはあまりよく知らなかった。
鎌倉時代に限らず坊主というのは汚職と堕落にまみれていたし、仏教自体が国体に飲み込まれたり、生臭坊主の飯の種になったりしていた。血の穢れと称して女性への差別が強くなっていったのもちょうどこの頃である。
そんな時代に身分も貴賤も男女も関係なく念仏による救いを説いて廻ったのが一遍上人であって、差別の歴史を考える上でも実は重要な人物である。
本書の特色といえば冒頭触れたとおり帯でも触れられているとおり、独特の文体、口語混じりの勢いであろう。例えば13歳から25歳まで九州で仏門修行に出ていた一遍が呼び戻された後のくだりである。
「一遍は、十二年ぶりに故郷の道後にもどった。きっと、お兄さんも弟たちもよろこんでくれたことだろう。その後、ちょっとした屋敷をかまえて結婚もした。一遍もいい歳だ。そりゃあやることはまあきまっている。セックス、セックス、セックスだ。子どももうまれた。女の子。しかも、ひとりではない。どうも一遍には、もうひとり奥さんがいたらしく、そっちにも女の子がうまれている。いいね、煮ても焼いてもセックスだ」
別に一遍は生涯性豪だったわけではなく、後に再出家して旅に出てからは淫戒を守っている。ただまあ、本書全体がこういう雰囲気で進んでいく。ところどころに著者の感想が織り込まれてくる。いいね、とか、かっこよすぎる、とか、そういうのがちょいちょい入ってくる。好みの問題であろうが、授業というよりは講談のような勢いである。
一遍上人そのものでなく、著者が一遍上人をどう見ているか、が本書の主題であろう。著者のことはよく知らないが、この人がこんなにも愛してやまない一遍上人とはどういう人だろう、みたいな興味が湧く。人の心理とはそういうものだ。詳しく知りたかったら別の資料を追えばいい。巻末に大量の資料が掲載されている。膨大なバックボーンがそこにあるのだが、別に難しいことは考えなくていい、ただこの文体の流れに乗って踊ればいい。それが一遍上人の教えであろう。
あえて注文をつければ一遍上人に関する絵図は数多く残されているのだから、関連する絵図を掲載して欲しかった。権利とかいろいろあったのだろうか。
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踊り念仏って中学校の歴史の中で習う、よくわからないけど印象に残る、一遍という名前と共に、記憶には残っているがよく知らない代表的なものの一つ。今更ながら踊り念仏とはなんぞやという気持ちで読んでみる。。。楽しそう。たぶん、この時代に私が生きていたらハマる。空也とのつながりなどは全く知らなかった。他力本願という意味も全然理解していなかった。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏としばらく無心で唱えてみたくなる。
ただ、本の内容はとても興味深いものの、文体に最後まで慣れずに終わった。
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作者の想像でうまく補完しながら軽妙に読ませる一遍上人の一生。太くてまっすぐで、現代に苦しむ自分にも響くものがある。あとがきまで含めての作品。
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一遍上人はおろか仏教すらまともに知らなかったが、面白くかつ分かりやすかった。はしがきの部分から面白い。コミカルでテンポが良く、所々ですくっと笑えた。漢字とひらがなの使い分けが独特で読みづらいところもあったが、何よりノリが軽くどんどん読めた。これだけ読むと、一遍てパリピなの?みたいな印象になってしまう程だが、そんな軽ノリで一遍や仏教に触れられて良かったと思う。とりあえず踊念仏がどんなものか気になって仕方ないのと、念仏を唱えたくなった。