投稿元:
レビューを見る
日本の首都、東京がある日突然雲に覆われた。内部の様子はまったくわからず、情報もすべて音信不通。はたしてこの危機に日本はどう立ち向かうのか!といったお話。
もしものときの危機管理シュミレーションをエンタメ小説に転化したような本だ。確かに小松左京さんらしく豊富な知識をふんだんに盛り込んだその情報量はすさまじく、知見の高さには恐れ入る。が、さて、それはいったい面白かったのか?と問われると、実はさほど面白くはなかった。
奇抜な設定に興味を惹かれてつい読み進めてしまうけれど、結局その推進力は「いったいこの雲は何なのか?」「中に取り残された人たちはどうなってしまったのか?」についての興味に尽きる。なのに、なのに、いつまでたってもそのことについては突っ込んだ議論にならず、どこまでいっても政治だ軍事だのマニアックなシュミレーションに終始してしまうのだ。しかも最後のページまでいってもそのことについては何一つ明らかにはならないのだ!!!!!!!こんなことって!!!!!!
著者が目指したものはこれでいいのかもしれない。だが僕が求めていたのはこれじゃなかった。がっかり。