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瑞々しいフルーツの盛り合わせ、ただしちょっと毒入り。
6編の短編で描かれるのは、ピュアな人間の欲。
甘美で、苦く、痺れる。
読むと中毒を起こす。
それがまたクセになるほど、うまい。
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この人の一人称小説が好きです。
『ラメルノエリキサ』の主人公のようにアイデンティティを苛む劣等感から自身を護るために過剰に攻撃的な態度をとったり、本書収録「ラスト・デイ」の主人公のように、不意の・所与としての死への恐怖の反転ともとれる意図された・獲得される死への衝動に突き動かされたり。
そういう多分に自覚的な狂気の中をいかにも愉しげに・必死そうに生きる彼らが、物語を通じて結局はわりとまっとうなところに落ち着いていく、自分自身とそれを取り囲む家族だとか友人だとかのなかに再統合されていく姿というのは、ちょっとさびしくもあり、またちょっとほっとさせられてしまうところもあり。
にしてもやっぱり短編よりは長編のほうがいいなぁ、と。
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夢に関係するちょっと不思議な話集。
世にも奇妙な物語のような印象。
事故によって得た義手の、装甲や腕力をあえて上げて、自分があたかもヒーローとして振る舞うようになるロボットアームは面白かった。
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6つの物語の主人公たちはそれぞれにいわゆる「普通」のヒトではなく、そばにいる人たちから多分避けられたり遠くからちらちらとみられるような、そんなかなり壊れかけた人たちで。この世界で生きていくのはしんどそうな人生。なのに、辛そうじゃない。いや、辛いんだろうけど、なんというか結構人生楽しんじゃったりして。だからどんよりしない、読み手も。
そして最後の一篇は、主人公がサメ。
壊れかけた人たちの物語を読んできて最後の最後に一番まともなのがサメってのが、なんともいいじゃないか。
サメ、いいねぇ。
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自殺願望がある女性が
ようやく自殺するかと
思いきや
死にたい気持ちを殺す という展開に
目を見張りました
白昼夢というか
ぼんやりと 魚を眺めているときに
想像する世界のようで
不思議な 短編集でした
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誰しもが、問題というか、大なり小なりの欠陥を抱えている現実を、夢に夢見てなんとか生きているというリアルさが心にすっと入ってきて惹かれた。
個人的には「ラスト・デイ」と「彼女の中の絵」が好きです。
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たしか住野よる氏がTwitterでつぶやいていて興味を持った本。
図書館にて借りる。
いやあコレは好きなヤツ。
かなり好き。
三崎亜記の作品に近い傾向がある気がする。
どれも非常によかったが、サメの2編がかなり好きである。
サメは本当にサメなのか?
それとも幻覚なのか?
人間の見たサメの夢なのか?
はたまたサメが見た人間の夢なのか?
夢と現実の境目がわからなくなる。
こういうジャンルの作品であるならば今後もこの作者の作品は追っていきたい。
いやあホントよい作品だった。
好き。
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短編集。
絵を描くときのひとつひとつの筆が重い、と感じる。ひと動作。ひとつの心の動き。景色。それらの存在感がヤバイ。短編なのに短編を読んだ気がしない。日常の一遍を切り取り、活け作りのように切り取られたひとが気づかないまま生きていくような感じ。
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人が持つ夢、人が見る夢、人を侵食していく夢、人を呑み込む夢。そしてサメの話。
現実に即しているようでほんの少し浮かんでいる、それは現実との反発からの浮遊感に思えた。【虫の眠り】の人の善悪を図りきれない人間一人ずつにそれぞれの見ている生きている世界がある、だから導く答えは意味をなさないという感じがとても好きだった。
サメがいればまっとうに生きていける気がする、というのはよく分かる。
最初のお話はちょっと押し切られるような印象だったからあまり好きではなかったけれど、お話が積み重なったいくうちに面白さが増していく不思議な短編集だった。
違うんだけど、印象の中だけなら阿刀田さんみたいだった。
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「夢をみる」というテーマを主軸に展開している作品。夢をみるといっても千差万別でそういう捕らえ方もあるのかと、素直に驚いた。さまざまな人間の望みが「夢をみる」という形で描写されていた。中には夢に取り込まれてしまって、大変な事になってしまった話もあったが概ねハッピーエンド。すべてがすっきり解決したわけではないけれど、それでも明るい方向へ向っていると思った。文章は難しくなく、かといって軽い感じでも無く丁度いい感じ。
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とぼけてて、でもすごく真摯で、著者の描く世界がとてもすき。
いやな陶酔を感じさせない隔離されてる感。
希死念慮にんげんだから、「さて、私は死にたい。」という文頭から速攻で惹き込まれた。
そのあとも着地するまでの基本スタンスがだいすきだけど、はじめっから、「さて、」である。すてき。
でも結末まで読んですきだったのは、絵描きの話とサメの話かなー
公式紹介に「痛快な毒気」とあって、……、、、わからん!あああ理解力!
いじめられっこがボールペンでクラスメイトを刺す話はあれだけど、他の六編はむしろ、思うようにいかない中で真っ直ぐに向き合っている気がする。
もがいている彼らを見て、攻撃してすっきりしよう、みたいな意図は感じない。
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独創的な発想で描く,不完全な人間が心の拠所を求める短編集。
1.希死念慮2.義手3.明晰夢
4.夢の絵探し5.人をペンで刺す
6.ブラックチップシャークに救い求め