紙の本
読書の喜び
2018/05/22 04:02
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
親からの資産を受け継いで、優雅に読書を楽しむ稔の生活が羨ましいです。本の世界を通して、周りの人たちと繋がっていく様子も面白かったです。
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なんか、「もう少し気楽に読ませてくれたらいいのにな。」と思える本でした。
頭をグルグル回さないと理解できない割には、「だからどうしたの?」と思えるような内容で、読み込み足りないんだとは思うけど、「読者って苦労すべきなの?」と思わざるを得ないような内容でした・・・
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始まりから終わりまで、どうしようもなく好きだと思った。江國さんの紡ぐ世界観、まんまで。愛おしくて淋しい、けれどもきちんと存在している、そんな世界だった。
出てくる登場人物も、稔が読み耽る本のストーリーも、そして著者の織り成す言葉と世界も、まるっとすべてがどうしようもなく好きだと思った。
江國香織ファンだけでなく、本の虫のひとにも読んでもらいたい。
なにをしていてもどこにいても、ついつい小説を片手にしてしまうひと。待ち合わせ前のちょっとした時間、電車や飛行機などでの移動時間、帰宅後の静けさのなかでぽつんとする読書、眠る前のベッドでの時間。人生の合間、合間に物語を読み、現実と現実ではない世界を行ったりきたりしているひとに読んでもらいたい。
こんな小説ははじめて読んだし、江國さんだから描けたようなものだともおもう。
ラストの1ページが好き。はい、お疲れ様。それがリアルで、それ以上に相応しい言葉は読者にも見つからない。それほどしっくりくるラストであった。惚れ惚れするほどに。
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主人公は読書ばかりしている50歳の稔。友人の大竹と淳子、姉の雀、
登場人物は10人以上いて、彼らの生活が細やかに描かれる。色んな人がいて、色んな複雑な感情があると、人間そのままを肯定している物語のような気がする。
変わっているのは、稔の読む海外のミステリーが途中途中に入ってくること。それも登場人物は10人以上。さらに稔が2冊目を読み始めて混乱。
一度目はよくわからず通読。二度目は紙とペンを片手に相関図を書きながら読んだ。
難解です、江國さん。
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読書をしている途中に話しかけられる“あの感じ”にすごく共感してしまった。
夢中になりすぎて、実は周りを寂しくさせていたのかも、と思うと少し反省したりもした。
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P256夫婦というのはグロテスクだ。結婚して以来何度も考えたことを、渚はまた考えてしまう。互いに相手の考えていることがわからなくても、それどころか、相手の存在を疎ましく感じるときでさえ、夜になれば一緒に眠り、朝になればおなじテーブルにつく。小さな不快さも言葉のすれちがいも、何一つ解決されないまま日々のなかに埋もれ、夜と朝がくり返され、夫婦以外の誰とも共有できない何かになってしまう。世間では、それを絆と呼ぶのだろう。だから、絆というのは日々の小さな不快さの積み重ねのことだ。
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作中作、気になりすぎ。
いいとこで中断されて、もやもやしながらどうなるんよって突っ込み入れながら。
本編の間合いといい、人柄といい、なんだか久しぶりに江國さんらしいというか、ああ、大人ってって思いながら、いろいろ思い当たるところもあったり。
このくらいの心の隙間があったら、いいんだけどなあと。
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読書好きの中年資産家の日常を描いたお話。著者らしい風変わりな登場人物は相変わらず。ひたすら描れる風変わりな人達の日常は意外と普通だったりする。江國香織の作品を読んだという満足感は得られる。
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最初の数ページを読んだところで、突然文章がぶちっと切れて白い行が1行。うわっ、乱丁?落丁?なんか校正のミス??いやいやわざと?と思いつつさらに数ページ読むと、今度は同じ文章が二度続いてまた白い行が。絶対に乱丁かなにかミスでしょ??と思い、そしたら新しい本に変えてもらってから読もう、と思って本をとじたわけで。ツイッターでも騒いで本当にバカなわたし。で、なぜかその夜ふと夜中に目を覚まして考えごとしていて、あ、あれはミスなんかじゃない、あれで正しいのだ、とふっと理解した。
ぶちっと切れていたのは、登場人物が読んでいる本の文章なんだけど、つまり、登場人物が意識を本から離したところでぶちっと切れ、眠かったりして何度も同じ行を読んだとき、同じ文章がくり返されているという。
最初からすっとわからなかったわたしは本当に馬韓なんだろう。だれも、ミス?とか思ってないみたいだ。
でも、え?と一瞬思わせるっていうしかけなんだろう。。。
しかけにまんまとひっかかったから言うわけじゃないけど、うーん、わたしはこの登場人物が読んでいる本(劇中劇じゃなくて、なに? 本中本?)をそれほどおもしろいと思えなかったような。北欧だかロシアだかのミステリみたいなのと、南米だか暑いところのミステリみたいな話だけど。それが全体の何分の一かわからないけど(適当にいうと五分の一くらいに感じたけど)それを読まされるより、本編をもっと読みたかったかも。
ストーリーは、なにかできごとがあるわけでもなく、中年のいろんな立場の人たちが、淡々と、連綿と、いろんな自分の人生を生きていっている、というような感じで、いかにも江國さんといったふう。なにも解決とかしないし。どうして?と思うことの理由もわからないまま。とらえどころがないというか。嫌いじゃないけど。やっぱり、江國さんの文章自体をわたしは好きなんだなと思う。
本を読んでばかりいる稔は50歳で、膨大な遺産があるので働かなくてよくて、いつも本の世界に入っていて、他人に興味がなくて冷たいように見えるのに、わりにまわりに人がいて、かまってもらえて、世捨て人のようになっていないのが不思議というか。うらやましいというか。どうしてなんだろうとか思ったり。あと、なんというか、反省とか後悔がなさそう、こんなふうに本読んでばっかりでどうなんだろう?っていうのがないのもうらやましいというか。
(うーん、江國さんは、なんですかね、好きなように生きる、っていうのがいつもテーマなんですかね。。。)
(どうでもいいけど、同世代なんだけど、どうもやっぱりバブル期っぽいというか、浅野温子とかゆう子とか出てきそうな気がして…)
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2018.1.26
稔、雀、大竹、波十、淳子、渚、茜、由麻。本に入り込むと現実に戻ったときに一瞬?てなる感覚、よくわかる。大きな事件は起きない、登場人物のそれぞれの日常が静かに進んで行く。
ふつう、なんてきっとないのだろうけど人は無意識のうちにそれを求め自分と比較してしまう。渚の、夫婦とか日常生活に対する感じ方が、なんとなくリアルに思えた。
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しばらくぶりに読んだ江國香織さん
文体のテクスチャみたいなものが変わっていました
以前よりも寡黙になった気がします
けれどたくさんの想像力を内包させた、ありふれた様な日常をドラマチックに描くことは江國さんにしか出来ないことです
素晴らしい作品でした
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久しぶりの江國香織。大人の恋愛なんてものは到底理解できていない高校時代から好きな作家さん。
日常のありふれた光景や物質のディテールを、素朴なのにすてきな描写で見せてくれるのは、相変わらずでした。
ストーリーにのめり込んで、ページをめくる手が止まらない!というタイプの話ではないですが、年度末で頭がごちゃごちゃしてるこの時期にはぴったりの本。
なにも始まってないし、本を閉じてもなにも終わってない。裏表紙の向こう側にも登場人物達の生活は普段通り連なっている感じ。見られていたことも気づかずに。
読みかけの本の情景を思い浮かべ、ページに指をはさんだままの状態を、「左手の人さし指だけが、まだあの場所にいる」と表現する感覚が好きです。
朝の子供部屋が「眠りと子供の匂い」がするのもイイ。
二人きりで部屋に閉じ籠り、それぞれ本の世界にのめり込む。ときどき「おもしろい?」とか声を掛け合うことで、意識は別々の世界にいるのに同じ空間を共有している幸福感を味わう。これが理解できるのも嬉しい。
でも、一緒にいるのが本を読まない人である場合「そばにいてもいないようにしか感じられなかった」と思わせてしまう悲しみも嬉しい。
波十ちゃんも好き。この子の目線が、感性が、自分のなかで勝手に映像化されてるその顔が好き。
読み手のバックグラウンドによって感じ方は様々なストーリーだと思いますが、本の中の本に強面の彼が登場すると、夏を夢見る雪だるまが脳裏をよぎるのは私だけではないはず。
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こういった大人の小説を読むとあぁ、大人になってよかったなとしみじみ思う。とっくにもう大人だけど。登場人物が多いけれど読み進めるにつれてちゃんと位置が定まってきているのが腑に落ちる感じ。波十ちゃんが好き。
ところどころに入る翻訳小説が効果を奏しているらしいのだけれど場合によってはかえってうるさい気がしたところも…
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ああ、終わっちゃった。という寂しさ。稔と共に本を読んでるその時間が愛おしかった。暑い、寒い、あったかい、すずしい、美味しい、不味い、楽しい、悲しい、寂しい、色んな人々の感覚や感情が側で感じられる本だった。
江國香織さんの書く人々は好きだなー。
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「小説の筋はもうよく思い出せないが,それらの名前には覚えがあった.」というのにつきます.本ばかり読んでいる大金持ちの稔氏と彼を取り巻く人々の何気ない日常を淡々と綴って面白い.そして,ところどころ挿入される小説が気になった.