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抽象的な会話と煙に巻かれたような読後感。
そんな村上春樹の世界は嫌いではないのだけれど、今回のはそれほどでもなかった。
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「騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編」
原点回帰?
第1部を読み終えてさぁ第2部だ!と意気揚々としていたあの頃から大分経ってからの読了となる。村上春樹ならばこの私の気持ちを練ったあの独特な表現でどう表してくれるのだろうか。
「騎士団殺し」は村上春樹の集大成に位置付けられるとのこと。個人的には、初期作品の方が好みである為(但し、初期の作品を全て読破していない)、「騎士団殺し」は初期の風味を感じられる所があり読みやすく、世界観も割と好きでした。騎士団長と顔ながのキャラクターがなんとも言えない愛嬌があり、役割としても十分な活躍で近年の村上作品の登場人物では好きです(というか、他に好きな人物がいないけど)。
最後まで騎士団長殺しの絵画がキーとなっていて雨田具彦と騎士団長が対面するシーンや私がメタファーに入り込み、三途の河の様な川に対峙するところは印象深い。騎士団長はほんとにいたんだと語って終わるのも良かった。
とは言え、「巡礼」や「1Q84」辺りで気になった独特の表現や癖ある言い回しは健在(この点は好みだと思う)。例えば、免色に見つかりたくないまりえが胸が大きくなるかどうかに想いを馳せる描写があるが、全く腹落ちせず。今回もそうだが、登場人物が想いを性に絡めることが多く、何でこういう表現をするんだろうと。私も画家だからなのか目で見た描写が多い。女性の足がどうとかまでの描写いるかな?とか。
また、嘘やろ?と言えば私とユズの関係。ユズって一体何なんだよ?と思ったのは私だけだろうか。ただの我儘、メンヘラ、関わりたくない奴にしか思えなかった。私が騎士団長との不思議な出会いと免色という異質な存在との交流を通じて、何もかも受け入れる様な新境地に達したようだから、ユズを受け入れたんだろうととりあえず解釈したが、ヤッベーなと。
自分で出て行って、離婚届も出さず、他人の子供作って、結婚せず、終いには、「あなたはまだ私の夫だし、あなたの部屋を出て行ったときのままにしてある。戻ろうと思えばいつでも戻ってこられる」とまで言っちゃう。まあ、ユズを想像妊娠させたかもしれないとか言えちゃう新境地に達した私に感謝しないと(振り返れば、メタファーの穴という想像を超越した私であれば強ちあり得ないことではないかも知れない)。
免色って結局何がしたかったのか分からなくなり、代わりにまりえの方が存在感を増していく第2部だった。第1部がイマイチと感じても、第2部までどうにか手を出して貰えれば。
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2017年14冊目。
第1部以上に、身体的にズシンと来た。
特にメタファー通路をくぐり抜けるところは、読み手としての自分の全存在も重ね合わせているようだった。
普遍的なテーマに触れつつ、哲学小説ではない物語として描かれているからこそ、その感覚が味わえるのだと思う。
哲学を語るだけなら、小説にする必要はない。
第1部に続き、やはり過去の作品のテーマやモチーフが頻出していた印象だが、
個人的にはそれを単なる「焼き直し」と感じるよりは、統合しようとしているチャレンジに感じた。
時が来ていないのに描き切ってしまうことには危険を伴うテーマというものがある、という感覚はとてもよくわかる気がした。
村上春樹さん自身も、書くのに機が熟すのを待っているやり残しがまだあるのかもしれない。
顔のない男の似顔絵と白いスバル・フォレスターの男を描くことへの挑戦をそのまま放棄するとは思えないから、
第3部があるだろうとは予想しているけど、もしこれで完結していたとしても、
別の作品で姿を変えてこの挑戦は描かれると思う。
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何故一応ハルキストである私が今頃コレを読了かというと、電子書籍になるのを待ってたんだよ……!
だってどうせ何度も読むし。
しかし一向にならんので諦めて図書館のを読んだ。
再読したくなる頃にはきっと電子版も出てると信じてるッ。
感想としては。
「えっコレ続編出るっしょ?」ってカンジなんすけど、どう思います!?
先に読了の相方は「ナイナイ」ゆうてますが。
だって伏線やら謎やら大量放置で終わってんじゃん!
気になる人物も大勢放置だしさあ。まりえ父(両方)とか、奥さんの彼氏とか、雨田息子もなんだか怪しいよねえ。
私としては『1Q84』より3部を欲するなあ。
もしかして放置プレイを楽しめってことですか!?
とかなんとか言いながら、やはり安定の面白さですよ。
読了後に色々妄想せざるを得ないってのは、優れた小説であるという証明のひとつではありますよね。
相変わらず文章のリズムとフレーズが絶妙なので、めっちゃ没入できて3日で読んじゃいましたし。
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羊シリーズ時代の独特な世界再び
ねじまき鳥以降、迷走してるんじゃないかと思われる作品が多かったけど
そこを通過して更に良くなってる気がする。
これは時間がたっぷりある時に
どっぷり再読せねば。。
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ちょっと生煮え感が残ってますな、本作は。
超現実的設定から現実そのものへの落とし込みに至る過程が今一つ必然性というか円滑さがない。東日本大震災等、現在の事象への言及が不足しているとかいった指摘ではありません。そんなものははっきり言えば不要、具体的な描写を回避していきつつ、今を物語るのがこの作家の本領。その鍵は何とも言えない現在への回帰性だと考えておりますが、本作、その辺りが煮詰まってないと思う次第。過去のキャリアを生かしきれなかったかな。
ところでThe Riverへの言及、「川」とのシンクロ性を狙ったものかな?The Riverを知らんと分らんわね、そういう意味でクラシック音楽等への言及も含意があるんだろう、この辺りはこの作家の読者への要求度の高さと言うべきか。
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最後の100ページで、一気に話しがまとまるバタバタした感じが残念。でも、村上ワールドに入り込めた時間が幸せだった。少々、退屈でも。
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第1部に続き、村上ワールド炸裂!
60センチの騎士団長が、誘う不思議な世界に入り込んでいく「私」。どの登場人物の言葉も、哲学的で、軽いやりとりの中にも、考えさせられる台詞がたくさん出て来る。
最終的にはハッピーエンドだけど、そこに至るまでの過程がいまいち理解出来ないところも…
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いよいよ完結編。物語がどのように収束していくのかとても楽しみに読み進めた。
「白いスバル・フォレスターの男」「騎士団長」「雨田具彦」「穴」の存在も徐々に明らかにされていくことになる。
秋川笙子と謎めいた免色との結末も楽しみでもあった。
現実とファンタジーの混同したような著者の世界観は顕在であり日を置いてまた読み返したい一冊。
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後編です。
起承転結の転・結ですね。
ラストまで読むとじっくりと温かくなるようなハッピーエンドでした。
村上春樹作品に欠かせない地底に潜って大切な何かはわからないまま現実世界に戻ってくる。
潜るのはきっと自分の精神世界に潜って大切なものを見つけてくることなのかな?とも取れる内容でした。
その為のサブタイトル「還ろうメタファー」なのかな?と。
後編でも免色さんがちょっと気持ち悪かったです。どんなに素敵な人でも隙がないとか、大真面目にやってる事が実はかなり一般とズレてるのが嫌に感じてしまうのかもしれないです。
いい作品でした。次回は短編かな?
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第2部。
『これが村上春樹です』という集大成のような作品だった。
読み終えた〜という謎の達成感が……。
それにしても、地下世界や不気味なモチーフのように、ホラーっぽい道具立てを使っていても、恐怖感はゼロなのは本当に面白い。
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「1Q84」以来の本格的長編であり、現実と非現実が交じり合うハルキワールドを堪能した。
奇想天外な登場人物、井戸、地下世界、少女、車、クラシック音楽などのおなじみのアイテムは、もはやお約束で既視感はあるものの、物語の主人公が作者自身を強く反映していると思われ、今までにない私小説色の濃い一作と言える。
本作の第3部か、次回作かわからないが、春樹は作家人生の集大成に向かおうとしている、そんな事を思った。
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『羊…』や『世界の終わり…』の香りも漂うこのタイプ好きです。
人生を終わろうとしている偉大な画家が、誰にも見せずに隠し持っていた一枚の絵を見つけたことから、不思議な世界へと入っていく「私」。前作『色彩を持たない…』からの流れなのか、重要人物の名前が免色さん。ストーリー内でも色の描写が詳しい。
そして、やはり「穴」や「暗闇」、「あちら側とこちら側の境」は重要なポイント。
TVピープルの様に小さいイデアたち。中でも騎士団長はかわいかった。話し方がいい。「諸君。」「あらない。」
ユズとの絡みがなかなか好き。
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個人的には、本作の主人公である画家に、作家である村上春樹自体を投影している意欲的な(というか非常に攻めている)作品であるな、と感じたし、作品内に父性を感じさせるキャラがいたりして、過去作とはがらりと違う印象を受けたのも事実。ともあれ、多分あるであろうと思われる第三部にも期待したい。
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まぁ、「うまくまとめた感」もあったけど、「物足りない感」も残してる。
前編/後編ではなく1部/2部ということは、続きが出るってことだろうか?
500頁越えが苦痛じゃないくらい読みやすいんだけど、キッチリスッキリ終えて欲しかった!