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講談社ノベルス→講談社文庫→TSUTAYA復刊プロジェクト徳間文庫
「僕」がいったい誰なのか、あの日何が起こったのか、が徐々に明らかになっていくその先が気になってとにかく途中で止められない。その過程もたまらんけれど、28年前の太田さんの文章の若々しさというかみずみずしさというか!
伝言サービスなんて今の子はわからないよね。いまなら使えないネタを新鮮に読む事が出来る、でも決して古くない。ミステリ初心者にもいいんじゃないか。
あと、二つのあとがき。これも楽しい。
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20年も前の傑作がこうして読めるのはありがたい。夢中で謎を追っていた。最後の終わり方も良い。なぜ彼は似ていたのか。本当に似ているのか。あの断片的な記憶はどこまで正確なのか。想像が尽きない。
あらすじ(背表紙より)
五歳のとき別荘で事件があった。胡蝶グループ役員の父親が階段から転落し意識不明。作家の母親は自室で縊死していた。夫婦喧嘩の末、母が父を階下に突き落とし自死した、それが警察の見解だった。現場に居合わせた僕は事件の記憶を失い、事業を継いだ叔父に引き取られた。十年後、怪しいライターが僕につきまとい、事件には別の真相があると仄めかす。著者長篇デビュー作、待望の復刊!
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表紙とタイトルのインパクトにつられて購入しました。四半世紀以上前の作品とは思えないくらいみずみずしく読めた作品でした。他人の憎悪や執着がこんなにもリアルに迫り来る作品は初めて読みました。読んでいる間、ずっと心臓が痛かった。ラストにつながるシーンはほんとにゾクゾクしました。蝶の姿は当分見たくない。
「自分はだれだ?」だれもが思うアイデンティティについての疑問を、こんなにも、悲しい形にしてしまうのは残酷だと思いました。裕司がこれからどう生きていくのか。知りたいけれど、知りたくない気もします。いつか彼が記憶を完全に思い出したら、彼はしあわせになれるのでしょうか。
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5歳のときに別荘で事件が起きた。
母親は自室で首を括って自殺。
父親は階段から転落して一生昏睡状態に。
そして現場にいた僕は当時の記憶を失ってしまった。
10年後、事件の真相を追うフリーライターの男が現れた。男は、事件には封印された秘密があり、それには僕自身が大きく関わっている、と仄めかす。
いったいあのとき何があったのか?
これでもか、これでもか、というように追い打ちをかけられページをめくる手が止まらない!!
予想外のトリックとみずみずしい感性で描くミステリー。
著者の長篇デビュー作待望の復刊!
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主人公が被害者、加害者、証言者、トリック、探偵役、記述者の6役を担うという謳い文句は期待していたほど曲芸的なものではなく肩透かし気味。
しかし、15歳の少年が記憶を取り戻そうと着々と真相に迫っていく展開はサスペンスフルですし、青春特有の繊細な雰囲気も出ていて読み応えがあります。
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全編〝僕〟の一人称で進む物語。
「君はいったい誰なんだ。」突然現れた髭面にサングラスの謎の男と共に、自分のルーツを辿る中学生男子の物語。
母の死、植物状態の父…過去に起こった事件の真相から浮かび上がる〝僕〟は…誰。
事件後、記憶を失ったらしい〝僕〟は、父親の弟、叔父の家の世話になっている。
事件が見えだすと〝僕〟の姿も見えてくる。
「僕は誰?」
〝僕〟のみの視点で、終始一人称なので、文体としては少々退屈。
後半に進むにつれ、展開にもややクールダウンがいなめない。
資産家、別荘、幼馴染、謎の男、死、遺産…
ミステリーだけど、良くあるパターン。
ライトノベルな一冊。
2017.07.03
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うーん、まぁ、まぁ、まぁ、まぁ、書いた本人も拙いとの表現で大学生?の頃に書いたとからしいです。うん、面白くなくはないけど、全体のバランスとか流れがどーも唐突な感じが終始しており、ミステリーとして色々謎っぽくしてるようでしてないような?なんかどの謎も半端な感じがしました。
もっとギリギリまで追い詰めて追い詰めてやり込めて欲しかった感大!笑笑
もったいない感じかなぁ。読めなくないけどなんかもっと面白く描けそうな一冊でした。
今もう一回書き直してほしかったなぁ。
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自分が何者であるのか。
多数の人が悩むことなく答えられる問いに答えられないこと。
それはとてつもないストレスではあるけれども、世の中には知らない方が幸せなこともある。
すべてを知りたい気持ちもわかる。
知らなければよかったという後悔もわかる。
彼は事件の被害者であり加害者であり証人でありトリックである。
その真相にぞっとしました。
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およそ30年も前の作品とは知らず、あっという間に読了。
『自分はいったい誰なのか』
本当に誘拐されてきたのか、であれば似ている理由とは…?
決して皆まで語られない結末も、かえって想像が膨らむ。
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中学生の「僕」は考える。
自分は誰なのか
どうして生まれたのか、何のために生きるのか
きっと、そのようなことに思いを馳せる学生は少なくないだろう。大人と子どもの狭間で自己を見つめ直す。中学生はそういう年頃といえる。
でも「僕」の場合は少し違う。決定的に違うのは、思わぬ形でその答えを得てしまうところだ。自分は両親の愛によって生まれたのではなく、私利私欲のためにここにいるのだと知ってしまうことだ。
全体を通してあまりにも悲しくて暗い話だった。
結局「僕」は誰なのか明らかにならないし、その後ふたりはどうするのかも見えてこないし、モヤモヤする読後感。
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何となく読んできて
多重人格で主人格が隠れてる話なのかな?
なんて考えてたけど
全然違った 笑
とっても辛く悲しい話だった。
自己中な大人たちに
好き勝手にされた子供たち。
本当嫌な奴ら。
結末もなんだか悲しい終わり方。
後味は良くない。
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15歳の僕。5歳の時に母の自死、父の階段転落事故からの植物状態という事件の後、それ以前の記憶を失っていた。
「君はいったい誰なんだ。」
事件を知る男の問いかけにその解答を探し始める。
太田さんのデビュー作とのこと。
謎めいた書き出しと思わせぶりな記憶障害。この少年が犠牲者で加害者でトリックそのもので記録者を担う。
1993年ノベルズが底本の再販。
驚くようなトリックや精神疾患は使われず、それらの役割をすべて少年に担わせたストーリーをおもしろく読みました。
語り部が15歳の少年だからちょと甘めの文章かな。