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連合赤軍って事件のことも含め聞いたことがある程度でよく知らなかったけど、桐野サン流の切り口で興味深く読めました。
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主人公の西田啓子は、かつて連合赤軍にいて「総括」から逃げ出してきた一人だった。今はスポーツジムに通いながら、60代で独身。過去のことがバレないようひっそりと暮らしている。妹の和子とその娘の佳絵と交流はたまにある。
ある日、元連合赤軍のメンバーから連絡があったことを機に、少しずつ日常が変わっていく。昔あったことを思い出し、他人の記憶と自分の記憶を照らし合わせ、今さら誤解だったことを思ったり、隠していたと思ってたのに知られていたり。
この事件のことはあまり知らないので、本当にこんなことが日本であったのかと思うとぞっとする。桐野夏生作品らしく全体的に暗いイメージ。同時代を生きていた人だったらもっと感情移入してしまうのでは。勉強になった。
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連合赤軍事件を新たな視点から描く。西田啓子は総括という名の下に行われたリンチ殺人を恐れ、ベースから脱走した。
服役後、啓子は身を隠すようにひっそりと生きてきたが、ある日昔のメンバーからジャーナリストが取材を希望しているとの連絡が。姪の結婚式、かつての恋人などと話し、啓子は過去に向き合うようになる。
永田洋子の死や東日本大震災など、現実の出来事を絡めてリアリティが増していく。甘いといわれればそうなのだろうが、ラストは期待が持てる形でよかった。
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さすが、桐野さん。西田啓子という人物が実在したかのような書きぶりです。誰もが知っていて、触れたくない事件。あの時代の端っこに生きた人間として共感するところがたくさんありました。君塚との会話の懐かしさともどかしさ。
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(2017.08.15読了)
連合赤軍の山岳ベースから脱走し、5年の服役後、現代を静かに暮らす架空の女性を主人公に、猟奇的なリンチ殺人事件とは別の切り口から事件を捉えた作品です。
連合赤軍事件当時の記憶はありませんが、小学校高学年の頃、間違って読んでしまった高木彬光の『神曲地獄篇』に物凄い衝撃を受けたことを思い出しました!子供が読んではいけない本でした。
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1970年代に世間を震撼させた、連合赤軍の大量リンチ殺人事件。その関係者として逮捕歴のある女性が、主犯格だった死刑囚の病死にともない、目を背けてきた過去と向き合うことになる。
事件そのものは取材に裏打ちされたフィクションだが、主人公は架空の人物。でも、本当にいたのかと思えるほど、現実味を帯びていた。
本作に限らず、作者の描く主人公の多くは自己中心的で共感するにはほど遠く、時には嫌悪感すら覚える場合もある。でも、読者に媚びないその姿勢が桐野夏生の魅力でもあり、だからこそ生身の人間臭さを感じるのだろう。
暴走する仲間の行為に耐えきれず、山岳ベースから脱走後、逮捕、服役を終えた主人公は、周囲の視線に怯えながら孤独な老境を迎える。両親は心労から早死にし、妹も離縁され、自身も過去にとらわれている。が、苦しんではいるものの、積極的に暴力行為に加わっていないことを理由に、どこか罪の意識は薄いようにも思える。
この事件について、リーダーの永田洋子死刑囚に対する、女性個人の資質として片付けた判決文に違和感を示し、男尊女卑に目を向けたのも、作者ならではの新しい視点だろう。
さらりと描いている総括の場面や、子どもを産んで戦士として育てるなどという幼稚な考え方は、新興宗教の事件にも通じるところがあり、心底吐き気がした。
あの時代、確たる志や思想からではなく、半ば勢いで学生運動に参加した若者も多数いたはず。それがエスカレートし、歴史に残るような悲惨な事件へとつながった。服役後は身心が病んで自殺したり、親類縁者とも絶縁してひっそりと生きている人たちがいるわけで、若気の至りでは済まされない将来が待っていることを、当時は誰も想像できなかったに違いない。20代の若者たちの暴走の末期には、何ともやりきれないものがある。
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連合赤軍の大量リンチ殺人事件
当時ただこわい!と思っていた
もちろん今も
勢いで参加する人も多かった学生運動
その終焉が……
同世代の事件だけれど遠かった
主人公に共感は一切できなかったけれど読まずにはいられなかった
実際の事件とフィクションを織り交ぜて境界がわからない
作者の力量だと思う
ラストに希望を見て本を閉じた
≪ 夜の谷 狭い集団 狂気のみ ≫
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連合赤軍の話。
私は世代じゃないので、詳しくよく知らないけど
当事者だった主人公の言いたいこともわからなくもないから
当時の若者だったら引っ張られてたかも・・・
巻末の参考文献見たら、あれ、本文に出てくる名前たくさん
え?どこまでがホントの話?
どうしても主人公に感情移入して読んじゃうので
被害こうむった親族たちの苦悩側にわずらわしさすら感じてしまって
こうやって印象操作とかって行われるんだなとおもた
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連合赤軍の世代じゃないワタシなので、読む前は、知識ゼロだしあまり興味ないけどなぁ・・・って感じでしたが、すらすらと一気読み。さすが桐野夏生です。
主人公のおばさんが、なんというか偏屈でかなり自分勝手で、イヤなおばさんで。
そういうところのリアルさが面白かったです。
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現実の連合赤軍や浅間山荘事件を素材としているので、ノンフィクションといえるかもしれないが、主人公である西田啓子は架空の人物である。
その啓子の想定外の結末に一筋の光を見る。
(内容紹介)
連合赤軍がひき起こした「あさま山荘」事件から四十年余。その直前、山岳地帯で行なわれた「総括」と称する内部メンバー同士での批判により、12名がリンチで死亡した。
西田啓子は「総括」から逃げ出してきた一人だった。
親戚からはつまはじきにされ、両親は早くに亡くなり、いまはスポーツジムに通いながら、一人で細々と暮している。かろうじて妹の和子と、その娘・佳絵と交流はあるが、佳絵には過去を告げていない。
そんな中、元連合赤軍のメンバー・熊谷千代治から突然連絡がくる。時を同じくして、元連合赤軍最高幹部の永田洋子死刑囚が死亡したとニュースが流れる。
過去と決別したはずだった啓子だが、佳絵の結婚を機に逮捕されたことを告げ、関係がぎくしゃくし始める。さらには、結婚式をする予定のサイパンに、過去に起こした罪で逮捕される可能性があり、行けないことが発覚する。過去の恋人・久間伸郎や、連合赤軍について調べているライター・古市洋造から連絡があり、敬子は過去と直面せずにはいられなくなる。
いま明かされる「山岳ベース」で起こった出来事。「総括」とは何だったのか。集った女たちが夢見たものとは――。啓子は何を思い、何と戦っていたのか。
桐野夏生が挑む、「連合赤軍」の真実。
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メインのテーマも興味深いが、アラ還姉妹や結婚間近の姪っ子のやりとり、年金一人暮らし女子の暮らしが危なっかしい20代の山ごもり生活と対称的すぎてあっという間に読んだ。60代の生活には好奇心をもって、20代の思い出はこちらまで苦く。
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赤間山荘は小学生のころだったかな?
実はよく知らない事件で、この本でようやく知った。
いまは平和過ぎて、この主人公の気持ちがよくわかる
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今なぜこの事件を取り上げたのだろうか?それもこんな形で…巨大な鉄球があさま山荘を破壊する映像をおぼろげながらも記憶している世代の私でも何を伝えようとしているのかまったく理解できなかった。
罪を犯した活動家たちを擁護するつもりはないがそれでもきっかけには「世の中を変えたい」という思想がありそれが紆余曲折を経てあらぬ方向へとねじ曲がってしまった背景がある。
つまりはその話のさわりの部分を描かなければ片手落ちどころか胴体かないのに等しいのではないか。
いろんな側面で多くの犠牲者があった事件でありもっと慎重に扱うべきであると思う
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2011年2月連合赤軍永田洋子が亡くなり翌月3月11日東日本大震災。全く関係の無い2つの出来事であるが、リンチによって12名もの人命を奪った永田死刑囚と一瞬にして何万名もの命を奪った震災とが不思議とリンクする。架空の人物である元赤軍であり元服役囚『西田啓子』の今をリアルに描く。元服役囚の重苦しさとラストに感じた一縷の望み、何故か心地良い読後感。読んでよかった。
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昭和の大事件。生中継されている時に見た多くの機動隊員の無表情な顔や、山荘を壊す鉄球のことは今でもはっきり覚えてる。
子供にとって、リンチとか暴力とか、怖すぎて逆に他人事‥。違う世界の話のようで犯人のことや事件の全体像、そこに居た人達がどんな人だったのか?なんて考えたこともなかった。みんな、若かったんだ‥。当時の「私」からしたらせいぜいひとまわり上くらい。
今なら自分の子供のような年齢の若者たち。
あの時代、若者たちは何に怒り、何を成そうとしていたのか。
手法が過激すぎたために、結局「目的」がうやむやのまま誰もが本質から目を背け続けてきてしまったのではないか?
一線を越えてしまう啓子と私はどこが違うのか?
ふと、現代に置き換えてそんなことを考えさせられた。
(以下2021年6月追記)
読書会のため改めて文庫本を読み直してみたら…
初読時には創作だと思っていたシチュエーションが丹念な取材、実際の証言に基づいていた事を知り驚愕。満点でも星が足りない‼︎