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本書は「親子の役割逆転」について書かれた本である。
親子の役割逆転とは、親が自分の子供に、自身の親の役割を押し付け、子供に甘えるというものである。子供が家庭内で親の役割を果たしている・果たさなければならない状態のことをいう。
親子の役割が逆転した家庭のケースを、具体的に説明しているので、非常に分かりやすく、また重要なことは繰り返し繰り返し記述されているので、要点をつかみやすく記憶にも残りやすい。
本ケースにおいてなにより残酷なのは、そういう家庭にある子どもに対して周囲はなかなかその心情を理解できず、単なる甘やかしからのわがままだと思われてしまう点にある。しかし、決してこのような家庭環境は特殊なケースではないことが分かる。
それ故、家族間の問題や社会問題と対峙する際には、親子の役割逆転という新たな視点を加えてみる必要があり、その点で本書は重要な役割を果たしている。
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子供にしがみつく心理 大人になれない親たち。加藤諦三先生の著書。親離れ子離れが出来ない幼稚な共依存親子は少なくないと言われるけれど、親離れ子離れが出来ない幼稚な共依存親子で本当に問題なのは親であって子ではないと思う。いつまで経っても子をあたからも自分の所有物やペットのように扱って纏わりつく親は百害あって一利なし、そういう自覚が必要。ある程度の年齢を過ぎたら親から子を突き放して放任するくらいのことが必要なのかも。
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テレフォン人生相談でおなじみの加藤先生の著作。著者自身も親と確執のある関係だったせいか、親に対して少し手厳しい感がある。
しかしながら、親に潰されている子どもというものを見ていると、その子の親に対して思うところは多々あります。こどもは「育てる」ものだと感じました。
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解決の意志のない人々が集まるのがカルト集団だが・・・
うまい表現だと気に入った。
親が子に甘える現象、それを「親子の逆転現象」と著者は表現する。本当は親自身が心に問題を抱えているにもかかわらず、それに直面したくないがため、それを意識せずに済む方法なら何でもしがみつく。あらゆる人間関係に破綻し、すべてにそっぽを向かれた人間の行き着く先が、子供だ。そう、自分に対して無抵抗に従わざるを得ない存在である子供がその餌食となる。子供は親の保護と愛を必要とするから、親に対して無抵抗無批判にならざるを得ない。その性質をとことんまで利用しつくし、子供から愛を搾取し続け、自己の欠乏感を満たそうと必死となる親、必死で子供にしがみつく親。それが子供の人格とその後の人生を徹底的に破壊する。その弊害は甚大だ。著者は、繰り返し繰り返し、筆致を変えてそのことを伝えてくれる。渾身の一作だ。