紙の本
かわいいごっこ (彩瀬まる)
2021/09/22 12:17
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紙文庫116ページ
“健康な生き物が、(略)発情して触って欲しがるなんて、当たり前のことじゃないか。どうしてあんなに汚いことのように思ったのだろう。かわいいかわいいかわいいね、と侮(あなど)れなくなることがこわかったのか。”
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窪美澄「朧月夜のスーヴェニア」
戦地に赴いた許嫁を待つ真智子の許されない恋。
お婆さんになった主人公の回想という形。
宮木あや子「蛇瓜とルチル」
芸能向けの衣装屋に勤める女性とアイドルの話。
この主人公、ショタなのかな。
完全にヤバい人だと思う。
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大好きな窪美澄さん目当てに買った小説集。
窪さんの話は、介護されている老婆が、戦時中の刹那的な恋愛体験だけを心の糧にして生きてきて、自分を介護する孫を、女の幸せを知らないと憐れみ、自分の方が女としては幸せだと感じる、という話。
年老いてもなお、女。
窪美澄さん、千早茜さん以外は初めての作家さんだったけど、読んでて感じたのは、
私は女だな、ってこと。
自分の中の「女」をすごく感じた。
男の人が読んだらどの女の人も嫌な女に感じるかも。
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このタイトルじゃなかったほうがよかったなぁ。
それぞれ短編はすごくよかったのに、タイトルがチープなのか残念。(別に略奪愛のアンソロジーではない)
女が描く女の業というか欲というか、それはやはり男が描くよりずっと迫るものがあるのよね。
こんな女を軽蔑すると思っている女にだって、こういう面はある。それをうまく隠すか殺すか、もしくは武器にするか。
あー女ってめんどくさくて愉快な生き物だわ。
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予てよりhontoの“欲しい本”には入れていて、何となくそのままにしておいたものを漸く買ってみた。
帯に『人気女性作家たちが描いた5つの<略奪愛>』とある5人の女性作家の手になるアンソロジー。
通勤で乗る電車の片道で丁度読みきれる量のお話ばかりで、2往復半で読了。
朝からこういう劣情を催す話を読むのも如何かと思いつつ頁を繰る。
私が一番期待していたのは、巻頭に置かれている窪美澄だったのだが、ちょっと辛気臭い話で残念。
その後も、何だか陳腐なお話が続く。女性が書くとセックスの描写はこうなり、男の心理はこうなるのかと…最後の宮木あや子だけちょっとマシ。
表紙の気怠い雰囲気とタイトルから来る淫靡な感じからはちょっと離れてて、単行本のタイトルは「きみのために棘を生やすの」だそうだから、タイトル変更に妄想を掻き立てられ過ぎたみたい。
普段は読んだ本は嫁さんとシェアするのだけど、この本はちょっとな…。
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好きな作家さん勢ぞろいで、おまけに好きなテーマだったので、全部の短編を面白く読めました。窪さんの『朧月夜のスーヴェニア』 と花房さんの『それからのこと』が特に印象的。だけど、彩瀬さんの『かわいいごっこ』の主人公と文鳥の関係性もいいし、千早さんの『夏のうらはら』のツンデレっぷりも、宮木さん『蛇瓜とルチル』もアイドル好きの宮木さんっぽくて、結局やっぱり全部良かった。
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窪美澄が好きなので、朧月夜のスーベニアを目当てに読みました。まあまあよかった。性を通して生を描く(うまいことをいった!)ことが上手な作家さんだと思っているのですが、戦時中を舞台にしちゃうのは直接的すぎてもったいなかった感。
後は夏のうらはらも好きです。
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まず裏の説明に略奪愛をテーマに…ってあるけど、まったく無くて、最後まで読んでビックリした!
女性が奪う話なのかと思えば、本当に誰からも一度も奪ってない…。
そっちを読みたかった私には、全然テーマに合ってませんでした。
やっぱり短編集なので、ちょっと物足りなかったです。コレは私のミスですが…。
あと、選ぶとすれば「夏のうらはら」は好きでした。この後の展開も気になる終わり方で好きでした。
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女性作家5人が「略奪愛」をテーマに紡いだ書恋愛小説集。話としては「それからのこと」「蛇瓜とルチル」に共感。「それからのこと」は戒めにしたいなと。女として、彼女の性質が分からなくもないので。恐ろしいけど。「蛇瓜とルチル」は主人公がもう少し上の設定だったら納得。窪美澄さんの「朧月夜とスーヴェニア」は重いけれど、さすがと感じた。
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短編で、5人の作家。
彩瀬まるさんの、かわいいごっこの、話が、好きでした。
文鳥が、出てくるお話。小さい頃、祖母が、飼っていて、手のひらにのせて、ふわふわの、毛の感触が、懐かしかったなあ。
本は、色んな事を、思い出させてくれますね^_^
それと、表紙が、とても、気に入っています!
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窪 美澄さんの作品を楽しみにしていましたが、残念な事に「朧月夜のスーヴェニア」は昨年2016年に刊行された「すみなれたからだで」に収録されていた物で既に読了済みの短編でした。
ただ私自身この作品は好きなので、初めて読まれる方には読み応えのある短編だと思います。
そしてこの作品集は略奪愛をテーマにはしていますが、それほどドロドロした感じの物ではなく女性心理を細やかに描いたクールでエロチックな印象を受けました。
5編共、読みやすくあっと言う間に読了しました。
面白かったです。
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略奪愛をテーマにした小説集。
女性作家たちの描く偏愛にドキドキする。
どうしてこんなにも、欲しいのだろう。
そして、どうしてこんなにも、求められたいのだろう。
「それからのこと」花房観音
なんだかリアルでよかった。設定はリアルじゃなかったけど。奪われたい、求められたい。
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かわいいごっこが好きだった。
人間ないものねだりで、何を手に入れても結局その喜びや幸せに慣れてしまう。大切なものをいつまでも新鮮に喜べたらいいのにって思う。
・いまだに時々、またかわいいかわいいのごっこ遊びにひたりたくなってしまう。馬鹿になって、侮られたい。お前を受け入れてやる、と傲慢に許され、思考を止めたい。
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花房さんの「それからのこと」は『花びらめくり』で既読だったけど、流石と言ったところで他からは飛び抜けた熱量を感じた。 彩瀬まるさんの「かわいいごっこ」は、読んでて心の一部がちくちくした。 花房さん以外で気に入ったのは、窪美澄さんの「朧月夜のスーヴェニア」かな。孫に介護されながら、かつての恋を回想する真智子さん…"愛し愛された記憶はいつまでも残るの"と。
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うーん…正直どのお話も(私には)あまり印象に残らなかったが、5編の中では 文鳥が登場する彩瀬まるさんの《かわいいごっこ》がアクセントになっていた。人と鳥、種族が違えど一人と一羽の女同士が恋敵から小さな友情を育むさまに和んだが後半は少し冗長にも思えたかも。思わず蹴ってしまった爪先に残るウサギの腹の感触。可愛い生き物にも性欲がある事に対しての嫌悪感は少しわかる。
年端もいかない少年と関係を持つ展開があまり好みではなかったのだけど、宮木あや子さん《蛇瓜とルチル》もよかった。でも蛇瓜、そんなにいやらしいかしら。