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紛争解決(未解決)の本質を鋭く指摘
2017/06/05 22:12
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投稿者:くまぷ~ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界三大戦略家とも言われている、エドワード・ルトワックの過去の論文も含めた、最近のインタビュー結果をまとめた最新作
空想的平和主義の方々が猛反発しそうなタイトルだし(笑)、有識者であったとしても本文の内容や表現が少々過激では...(^_^;)と思われる箇所が散見されるが、帯にも書かれている「国連・NGO・他国の介入が戦争を長引かせるのだ!」氏の主張は紛争解決の本質を捉えており示唆に富む。
また、氏の代表的な主張である戦略の逆説的論理(パラドキシカル・ロジック)について、新たな形で随所に展開されており、全ての主張に同調はできないかもしれないが、議論のきっかけとして使うには最適な書だと思う。
『中国4.0』『自滅する中国』『エドワード・ルトワックの戦略論』などを併せて読むと、理解はより深まると思うが、エドワード・ルトワックの名前は知っているけどこれまで他の著作を読んでこなかった方が最初に読む本としても、氏の主張のエッセンスがほぼ盛り込まれているので適していると思う。
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大戦略の重要性
2017/05/11 09:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ZATO - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦争は巨悪であるが、大きな役割を果たしている」「戦争の目的は平和をもたらすことにある」と認識する戦略家エドワード・ルトワック氏の標題の論文を含め、奥山真司氏(地政学関連の著書・訳書あり)によるインタビューをまとめたものです。
それだけに現状のわが国が置かれている状況(対中国、対北朝鮮など)に対する具体的なアドバイスがふんだんに盛り込まれていると共に、戦略論の概要を把握するのにも適した書籍となっています。現実を見据え、大戦略の重要性を認識して行動することがわが国の存続には重要となります。
現在の国際情勢に対し、マスメディアの皮相な報道ではわからないことや実際どうすべきなのかを知りたい方にお勧めです。
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平和を希求する現実主義者
2017/04/30 11:15
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幼稚な平和主義者が逆上するようなタイトル。しかし素直な気持ちで読んでみると,実に穏健な主張であり,どのように平和を実現するかの処方箋となっている。昨今学術会議が軍事研究を拒否するという意味のない決議をする日本では,まっとうな社会科学が育たないことがよくわかる。まっとうな議論のできない我が国が悲しい。
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刺激的な内容
2017/05/02 11:59
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投稿者:黒酢 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、戦争の善悪ではなく、戦争が本来的に備える機能を、現実に即して説明しています。
戦争って、そもそも何だろう? どうして人類は戦争を続けてきて、今もなお続くんだろうか?
そういう疑問をお持ちの方は、本書に回答があります(正解かどうかは知りませんが)。
現実に即した(バルカン半島やアフリカの内戦などの実態に基づいた)一応の説得力がありますので、戦争について考える上で、非常に有益な考察だと思います。
個人的には非常に刺激的な内容で、読んでよかったと思いました。
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論争の書
2017/06/20 09:48
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投稿者:コーク - この投稿者のレビュー一覧を見る
これでもかとルトワックの基盤となる思考が詰め込まれている。個人的に承服し難いぶぶんもあるが、考える糧として非常に面白い本だと思う。
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紛争に介入してはならない
2019/03/20 22:49
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投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦争の目的は平和をもたらすことにある」人間は人間であるがゆえに、平和をもたらすには、戦争による喪失や疲弊が必要になる。だから、中途半端に介入するな、というのが、この書のテーマである。
気になったこと。NGOや国連などの組織の在り方である。ともすれば偽善ともとれる姿勢。そして、被害者ビジネスをやっているようにしか見えないNGOや弁護士連中のこと。他人の不幸で飯を食うのは止してくれ。
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ルトワックの日本向け公式ファンブック?
2017/11/27 17:47
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投稿者:hassan - この投稿者のレビュー一覧を見る
ルトワックが提唱している「逆説的論理」
そして戦争の機能面での考察について、かなり踏み込んだ内容と複数の具体例が提示されています。
日本人読者に向けた内容ですから、国連やNGOの無能への痛快な指摘はもちろん、日本の戦略について多くの紙片が割かれているのも特徴的。
ルトワックの口から徳川家康や武田信玄の名前が飛び出したのは驚きました。
日本人として、とても示唆に富む内容です。
しかし、複数回に渡る多様な論点のインタビューの書き起こしとルトワックの論文を纏めたという形式のせいで、内容は少し散漫で、同内容の繰り返しも目立ちます。
軍事とルトワックの戦略論について最低限の知識の持ち主でなければ、こんがらがって何が何だかわからなくなってしまうかもしれません。
この本はまるでルトワックの公式ファンブックのようです(笑)
ルトワックのファンを自任する人は買って損がないかもしれません!
電子書籍
野蛮な世界
2017/07/31 19:04
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投稿者:hima - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は「人殺しの経験」を大げさに自慢するような野蛮人であるが、明らかに世界はそれ以上にずっと野蛮であり、そのことを否応なしに再認識させられるのが本書である。要するに、もう嫌になるまで殺し合え、それを止めてはいけない、ということである。これが容れがたい世界の真実だというのだ。本書の内容は「平和を欲さば戦への備えをせよ」という有名な格言を、説得力のある実例で論拠付けて体系化したものであり、大半の読者は不承不承、著者の論理展開に納得させられてしまうであろう。
しかし問題点もいくつかある。著者の説に従うなら、憎しみの連鎖を放置してよい事になってしまうが、それはどう納得すればよいのだろうか? また、パレスチナを度々貶めているのは只のエスノセントリズムではないだろうか? もし著者がユダヤ系以外であるかユダヤ人に対しても厳しい言葉を吐くのであれば、説得力が損なわれることは無かったであろうに。
もう一つ残念なところとしては、興味深い幾つかの言説に論拠が示されていない事である。これは本書の内容の多くが自署ではない聞き書きによって構成された弊害が露呈している。その例の一つとして、大東亜戦争の着手条件は太平洋戦争の完遂すなわち米国の完全制圧の見込みであったとの持説の提示は、あまりにも突飛である。開戦を決断したかどを断罪されたA級戦犯たちにもそんな事など及びもつかない妄想に違いなかったであろう。まさか著者ほどの人物が幼稚なGHQ史観などに与するとは思えないだけに、いずれの機会にその論拠をぜひ聞かせてもらいたいものである。それに現代の我々は因果は巡り攻守替わって当時の米国に近い、すなわち攻撃を恐れる立場に晒されているから、なおさら何を教訓とすべきか渇望するものである。
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【ベストセラー『中国4・0』に続く第2弾!】「戦争は平和をもたらすためにある」「国連介入が戦争を長引かせる」といったリアルな戦略論で「トランプ」以後を読み解く。
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★戦争にチャンスを与えよ
・戦争の目的は平和をもたらすこと、
・戦争の妨害=平和はもたらされない=決定的な勝利、戦争による疲弊という終戦要因が阻害される
・NGO、国連等の無責任な介入が戦争を長引かせる
・和平合意、難民移住などに関する責任をすべて引き受ける
覚悟がある場合はOK
・難民キャンプが自然な拡散を阻害し難民、紛争を永続化させる
★尖閣に武装人員を常勤させる提案
★同盟こそ最強の戦略、軍事力のみでは負ける。
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中国4.0の続刊というポジショニングで、前書で導入した戦略の逆説的論理、大国小国理論などを、中国に閉じない形にgeneralizeして戦争の有用性を説いている。が、結局中国集中砲火に再帰結している気がしないでもない。
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なかなか挑発的なタイトルです。
本書は経済学者、戦略家、歴史家、国防アドバイザー、シンクタンクの上級顧問といった様々な肩書を持つエドワード・ルトワックの著作。
「戦争の目的は平和をもたらすことにある」
著者は本書の中でそう説きます。
この逆説的に思えるテーゼが何故言えるのか、それを実際の戦争(紛争)の歴史を振り返って説明をしてくれます。
本書は著者が過去に寄稿したいくつかの論文で構成されています。
そのため章ごとにテーマが変わるので、最初から最後まで一貫したテーマで通底しているわけではありません。
いうなれば過去論文の短編集、といった感じです。
◆「1. 自己解題「戦争にチャンスを与えよ」」および「2. 論文「戦争にチャンスを与えよ」」
冒頭にある通り、著者は「戦争は平和をもたらす」と説明します。
太平洋戦争や第二次世界大戦後、日米や西欧諸国の間に戦争は起こっていません。
一方でパレスチナや旧ユーゴスラビア諸国、ルワンダなど、長年にわたって紛争状態が続き、ゆえに国土が荒廃して発展の余地すらない地域が数多くある。両者の違いはどこから来るのか。著者は「外部から戦争が調停されたか否か」であるといいます。
なぜ外部調停により停戦を迎えた紛争が長年にわたり対立状態を解消できないのか、その理由が語られます。なかなか説得力のある理論であはありますが、現代の価値観からすると受け入れづらいものでもあります。
◆「3. 尖閣に武装人員を常駐させろ(中国論)」
ここでは、日中の尖閣諸島をめぐる対立について、日本側の「あいまいな」態度に警鐘をならしています。
なぜ「あいまいな」態度が事態を悪化させてしまうのか。中国の特異な政体と絡めて理由が語られます。
◆「4. 対中包囲網の作り方(東アジア論)」
中国(というよりも習近平)の野心的な行為と中国という国の幼児性・特異性が分析されると同時に、その覇権主義的な行動を抑え込むためのアジア各国およびアメリカの連携について語られています。
中国の分析がなかなか面白い。それと同時に反中同盟から脱落しつつあるフィリピンの分析もなかなか面白い。
◆「5. 平和が戦争につながる(北朝鮮論)」
本章は以下の指摘から始まります。
「北朝鮮は特異な政権である。特異な点として二つ挙げられるだろう。一つはリーダーのヘアスタイルがひどい、ということだ。」
ちょっと吹き出しました。本書ではこのような表現がちょいちょい出てくるのでなかなか楽しませてくれます。
しかしその後はまじめな話となり、北朝鮮が侮れない国であると説きます。
そして北朝鮮に相対する日本に選択肢を提示しますが、これがなかなか厳しい。。。
◆「6. パラドキシカル・ロジックとは何か(戦略論)」
パラドキシカル・ロジック(逆説的論理)について説明がされます。
これは1章や2章にも通底する内容です。つまり「戦争が平和をもたらす���「敗北が勝利をもたらす(逆に勝利が敗北をもたらす)」「大国は打倒できるが、小国は打倒できない」ということ・・・。なぜそのように言えるのか?
身近な例でいうと「中国は大洋覇権を握るために空母建設を進めているが、それがゆえに大洋覇権を握れない」。なぜそのように言えるのか。この分析はなかなか面白い。
◆「7. 「同盟」がすべてを制す(戦国武将論)」
ここでは戦国時代の武田信玄、徳川家康、織田信長の3名を取り上げて、彼らの戦略的優秀さを語っています。
外国人が日本の戦国大名について分析するとはなんだか違和感がありますね。ただここでの分析は一般論の範囲であり、要は戦術性と戦略性の2点が語られています。
本章終盤のメッセージは、今の日米同盟に照らし合わせるとなかなか含蓄があります。
「「同盟」は大戦略を遂行し、勝利を獲得するうえで不可欠な選択である。あらゆること(を一国でなす)には限界があるからだ。
・・・そして、もう一つ忘れてはならないのは、「同盟」という戦略は、しばしば不快で苦難を伴うものでもある、ということだ。」
◆「8. 戦争から見たヨーロッパ」
ここはなかなか面白い。著者の(マッチョイムズな)性格がもっともよく表れた章といえます。
一言でいうと、「戦士の文化の衰えた国は衰退する」ということです。
なんじゃそら!?と思いますが、ここで展開される論理がなかなか面白い。
「いずれにせよ、ここにシンプルな一つの事実がある。アンダーソン・クーパー(CNNのアンカー。すこぶるイケメンで紳士。だがゲイである。)には子供がいないが、トランプには子供が五人、孫に至っては娘のイヴァンカだけでも三人いる。将来、孫が10人から15人程度になるのはほぼ確実だ。
もちろん、アンダーソン・クーパーはフライトアテンダントの胸を触ったことがないほど上品だろう。ところが、彼には未来がない。トランプには未来がある。」
◆「9. もし私が米国大統領顧問だったら」
タイトル通りアメリカに提言する政策論が展開されます。それがビザンティン帝国や徳川幕府の戦略から導出されている点が面白い。
それに著者がオバマ大統領を良く思っていないところも面白い。オバマ大統領の上品さと著者のマッチョイムズの相容れなさがよくわかります。
◆「10. 日本が国連常任理事国になる方法」
まず著者が指摘するのは「常任理事国入りを目指して日本がとっている戦略は全くの誤りだ」という点です。
日本はブラジル、インド、ドイツ、ナイジェリア、南アフリカなどとタッグを組んで常任理事国入りを目指しているが、これで目標を達成できる見込みはゼロである、なぜか?日本は「誰も欲しない」プランを追及しているからだ、と著者は言う。
ではどうすればよいか?「カギを握るのはインド、そしてロシアである。」著者がこう説く論理はなかなか面白い。
本書は上記の1,2が本書のハイライトでしょう。挑発的なタイトルですし。
ここでのメッセージを簡単に要約するならば「対立する両者が自国のリソースを使い切るま��戦ってこそ、その後に平和が訪れる」ということです。
もし外部の調停で生煮えの状態で戦争を終えても、両者はまだ戦う力と戦意を残しているため、その後も対立と緊張状態が解消されないのです。この状態は国土の復興と発展を妨げるわけです。
また上記のアジェンダを通して分析される北朝鮮や中国、ロシアの性格についても興味深い。
著者は中国を「鈍感な国」といいます。
「さらに厄介な問題がある。中国は、隣国を完全に見誤る伝統を持っている点だ。
・・・この理解力のなさは1979年の中越戦争を考えても驚きだ。
・・・つまりベトナムは、中国にとって、隣国であるだけでなく、つい最近も一度敗北した相手なのだ。にもかかわらず、今回もまた失敗を繰り返しているのである。」
この鈍感さは中国の「組織的欠陥」に由来すると著者は言います。この分析はなかなか面白い。
またロシアにおいて、プーチンの国民に対する態度について説明した以下の内容はおもしろい。ロシアという国と国民の特異性をよく表していると思います。
「プーチン氏が自国民に発しているメッセージは、以下のようなものだ。
”ロシア国民よ、あなた方はアメリカ人のようにリッチにはなれないし、フランス人のようにエレガントにはなれないし、イタリア人のようにおいしいものも食べれられない。しかしあなた方は、世界最大の領土を持つ帝国の人間であり、これは誰に与えられたものではなく、戦争に勝つことによってロシア人自身が獲得したのである。・・・その代わりにロシア人は耐えなければならない。帝国の人間として耐え忍んでほしい”
このメッセージに対してロシア国民たちは「いいでしょう。あなたの言う通り耐え忍びます。国際的な経済制裁にも負けずに頑張ります」といっているのだ。」
こういった著者の歯に衣着せぬ分析やマッチョイムズな主張はなかなかユニークです。しかしその内容には的確さがある。
いつもは「まじめな評論家先生」の国際分析本を読んでいる方に、本書は面白い視点を与えてくれると思います。
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戦争を、平和の世界から見てはならない、と何かの本で読んだ記憶があって、そのことを証明する内容だった。
この国で、戦争にチャンスを与えよ、だなんて、刺激の強い題名をつけたものだと本屋で見かけ、つい購入。
ワイドショーやニュース、新聞、それにまつわる様々な人々のコメント、それらはただ、弾も何も飛んでこない場で行われていて、今目の前をどうにかする、数年の間にっていう考え方でしかなくて、実際それらは半世紀以上の覚悟がいるのだ。
でもそれは、戦争が、先の大戦でしかないこの国の人じゃ考えられないんじゃないかと考えされられた。
学校で、世界は広いなどと言われるけれど、言ってる人たちの頭の中の世界は、さほど広くはなかったのだ。
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雑な戦略論で、返って驚いた。個々の事例も簡略化し過ぎのままそれを根拠として自論へ持っていく我田引水ぶりで、正直これはない。
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アメリカ戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問。戦略家。歴史家。経済学者。
ルーマニアのトランシルバニア地方のアラド生まれ。イタリア、イギリス軍にて教育を受ける。一時イスラエルに居住。第3次中東戦争と第4次中東戦争を戦っている(陸戦でそれなりの戦果をあげている様子)。ロンドン大学で経済学の学位を取ったのちアメリカのジョンホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。国防省の官僚や軍のアドバイザー。ホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーも歴任。著書に「中国4.0」「自滅する中国〜なぜ世界帝国になれないのか」「クーデター入門ーその攻防の技術」他多数
全体のトーンとしては非常にエキセントリックで、実際の兵士や民間人の立場としてより、純粋な軍師、戦略家として、戦争という状態を人類のエコシステムの一部と捉え、それをあえて紛争から中途半端に抑えたり、人道支援として介入する国連、NGO等の戦争、紛争状態からの回避、支援が、かえって不安定状況の悪化、より非道い紛争を招く、という、読者に知的挑戦を与えている。これはシステム思考論におけるレバレッジポイントの考え方に似ており、(システム思考の求めているところとは異なるが)あえて平和という状態を無理に維持して、腐敗や不満の鬱屈をため込んだ不安定な状況を解放するためにあえて手放す(システム思考の中にも手放すことでレバレッジを得るというポイントがある)ことで戦争状態に放置する(争いが起こったら不介入で鎮まるのを待つことでそのエネルギーの解放により、平和という状態が確保できるという視点を持ち込んでいる。(著者は戦争を好んでいるわけではないし、避けるべきだとするが、避けざるを得ない状況になると、回避すべきではない、その代わり選択肢として戦略的思考による同盟の構築や電撃戦、欺瞞や包囲殲滅戦、戦略的な撤退等、総力戦は絶対避けるべきとの考え方をしている。また、敵との対応もインテリジェンスを駆使し、可能であれば買収する等、あらゆる手段を取るべきだ(戦争になってもドアは開け続け、交渉を継続すべきというインテリジェンス論(彼の独自の考え方で戦略は政治より強いという考え方がある)をベースに知的戦略論を読者に提示することで新たな視点を紹介している。
個人的にはあえてABC兵器等の非人道的及び人類の存亡に関わる兵器の使用について、忌避して書かれているようにも見えることから、1960年代のMAD(Mutual Assured Destructive:相互確証破壊)戦略等の戦略自体が狂っている状態からは距離を置いているところが気になるところである。