投稿元:
レビューを見る
衝撃だった!
内容は将棋棋士の羽生善治氏が昨年放送されたNHKスペシャルの取材を通して、人工知能についての考察をまとめた本。高度な内容を素人にもわかりやすい言葉で説明しており、棋士とは思えない内容である。また、登場人物もすごい。
昨年囲碁のトップ棋士に勝ち衝撃を与えたAlphaGOを作成したディープマインド社のCEOのデミス・ハサビス氏、ソフトバンクの孫正義氏など。
これだけでもすごいんだけど、一番の衝撃は取材の時期。昨年2月に海外取材をしていること。将棋ファンなので知っているが、王将戦というタイトル戦の真っ最中だったはず。その対局の合間に海外取材を実施していたなんて。もうこの人は将棋の棋士という枠組みを超えているとしか思えない。
これからの時代は間違いなくAIと呼ばれる人工知能と向き合わなければならいになる。そうした時代に人工知能について考えさせられる良書です。
投稿元:
レビューを見る
棋士の羽生さんがNHKの番組を通じて人工知能について取材を重ね考えたことをまとめた一冊。おそらく日本で一番「知能」「思考」に向き合って来たであろう羽生さんの、人工知能に対する率直で平易ながら深い考察や疑問が述べられていてとても面白かった。進化を続ける人工知能とどのように向き合っていくか、今後の大きな課題であるが、羽生さんのような瑞々しい感性を持ってその動向を観察していきたいと思う。余談ですが経済、計算機科学、脳科学と羽生さんの知的バックボーンすごすぎる。
投稿元:
レビューを見る
将棋ソフトと棋士の対戦でソフトが勝つ日が来るか?という問いにほとんどの棋士が「永遠に来ない」と答えたのに対し「2015年には人間が負ける」と正確な予想をした羽生名人。
人工知能が今どんな段階まで発達していてそれによって何が解決し何が解決できないのか。
人工知能が絶対的な威力を発揮するのは似たような大量の事例を記憶しそれをもとに正解にたどり着くというような分野。将棋ソフトがこのディープラーニングという手法でめきめきと強くなったのが好例。開発秘話として、現在入手できるプロの棋譜10万局分のデータをインプットしまずソフトを作成。そのソフトをコピーし次にはソフト同士を対局させ、新たに100万局分の棋譜を得た、と。1局数秒で打ち終わるのでどんどんデータがたまった…
その一方で人間が簡単にこなす、「認識」「応用」には弱い。本の中ででてくる命題でなるほど、と思ったのは「知らない家にいるときにコーヒーを淹れる」など人間なら経験と類推、応用ですぐできることができない。
解析可能なものは人工知能でどんどん工程や効率が改善されていく。しかし、そうでないものが厳然として存在する。書中で食べログの話がでてくる。もし完璧な評価がされたら、高得点の店しか残らなくなる。しかしそれは正しいのか?2点台でも「俺はこっちの店が良い」とうものがあって多様性が維持され、新しい料理や味が生まれ広がっていくのではないのか。
最後にでてくる、人工知能とはいうが、では「知能」とはなにか再定義が必要になる。
今のところ、人工知能には人間が膨大なデータ(答えのある)を与え学習させなければ人工知能は機能しない。膨大なデータがあったとして、例えば「日本人の常識的な行動様式」を人工知能に学ばせることは可能なのだろうか。「なんとなくこんな感じで」というような部分が大きいものはそもそも教えられない。日本の文化や日本人の思考様式を考えると日本人型のAIは永遠に開発できないんじゃないだろうか。
今後人工知能で置き換えができないものが残っていくと考えれば日本や日本人はガラパゴスと言われながらも残っていくように思う。
投稿元:
レビューを見る
人工知能の核心 羽生善治 NHKスペシャル取材班
2017年3月10日 発行
2017年3月26日読了。
2016年5月15日放送のNHKスペシャル「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」より
将棋の本ではなく現在の人工知能に対する潮流、考え方を天才棋士、羽生善治さんの視点から読み解く。
人工知能研究の最先端を取材しながら、今何が起きているのか、そしてこれからの社会に与える影響はどんなものがあるのかについてまとめた一冊となっていて非常に興味深く読めた。
もちろん、将棋と人工知能についての関わりについても書いてあるがそれ以上に人工知能とは。人間の能力とはについて考えさせられる。
これからの人工知能のますますの台頭を前にして是非読んでおきたい一冊。
投稿元:
レビューを見る
人工知能に対する関心が高い羽生さんの知見を綴った本である。
人工知能の得手不得手は何か、今後苦手な分野を克服できるか
また感情を持たせて人間に近付けることはできるか、
人工知能とどう付き合えばいいかなどに触れている。
個人的には最終的には人間が判断することが大事という言葉が残った。
人工知能の発展は避けられないが、人間が制御できなくならないよう倫理のあり方にも注目していきたい
投稿元:
レビューを見る
人工知能が人間に将棋で勝つようになる日の到来を、早くから予想していた羽生さん。人工知能がいま将棋界にもたらしているものは、今後、人間と人工知能の関係において問題となってくるものの先行事例であるという。本書では、羽生さんが、人工知能の最先端を自ら取材し、関係者と対談する。人間の発想と人工知能の発想の違いを、独自の観点で解き明かす羽生さん。さすがの鋭さ。彼が、人工知能を脅威と捉えずに、人間と共存し補完し合っていく対象と捉えている姿勢に共感を覚えます。
投稿元:
レビューを見る
希望や楽観視する事なく、客観的にかつ冷静に人工知能を調べ研究する様は流石だと思う。
彼ほどの王者ですらプライドを捨て、貪欲に新しい知識を吸収しようとする。
人工知能の成長や可能性もさることながら、人間の能力の凄さに気付かされる。
例えば、坂を転がっている途中のボールと転がりきったボール、2つのボールが描かれていた時、人間は異なる時間のボールが描かれていると認識できる。
例えば、将棋ソフトに癌細胞は見つけられないが、人間には汎用性があり、他の分野に活用できる能力がある。
例えば、人間はワザと接戦を演じ、僅差でやぶれる、いわば“接待”ができる。
人間って凄いよ。
投稿元:
レビューを見る
人工知能の専門家ではなく、将棋という別分野の一流の実力者である羽生氏が、人工知能をどのようにとらえ、どのような可能性を感じているのか、を紹介している、興味深い1冊。
羽生氏は、棋士は将棋を指す際に“直観”、“読み”、”大局観”を用いていて、コンピュータ将棋は、大量のデータを分析し、計算し、最善手を選択する、としている。このプロセスにおいて、人間と人工知能の違いは“美意識”の有無にあり、これは人工知能には恐怖心がないことによるものだと、指摘している。
また、コンピュータ将棋の指手から棋士が学んで、新たな定石が生まれる、ということもあり、人工知能から生み出されるデータや知見を人間が理解し、活用していくことが重要である、とまとめている。
投稿元:
レビューを見る
人工知能には恐怖心がない(通常なら怖くて指せないような常識外の手を打ってくる)
創造とはなにか、私見をいえば、創造の99%は、今までに存在したものを、今までにない形に組み合わせることでないか、とおもっています。確かに人工知能が得意な領域かもしれません。しかし、残りの1%か0.1%かわかりませんが、何もないところから、あたかお突然変異のように生まれてきた、破壊的イノベーションは存在するように思えます
こういう人間の思考の死角や盲点のようなものは、どうも私には、防衛本能や生存本能に由来しているように思えてなりません。人間は、生き延びていくために、危険な選択や考え方を自然に思考から排除してしまう習性があるきがします
人間がもつ美意識は、安心や安定のような感覚と近しいものであると思えるのです。一方、ある局面で危険を察知すると、不安や違和感を覚え、どんなに上手な手に見えても打たなかったりする
現状の人工知能の課題 水平線効果 問題を先送りにする癖がある 20手まで読むとマイナス1000点なのに、10手目までしかよまないプログラムだと、10手目以降はあたかも水平線の彼方にあるかのように考慮しないで、目の前のマイナス10点の(一見マシに評価される)手を選んでしまう。その結果問題を先送りにして、じりじりと負けるタイミンが遅くなる手を選び続けてしまう
ここ2年位で、人工知能の生み出した新手が、公式の対局に影響をあたえるようになってきています。(櫓の激減)
利根川氏 アルツハイマー病の患者は、記憶を忘れていたのはなく、呼び出せなくなっているだけかもしれない
人工知能が目を獲得した カンブリア爆発
チェスや囲碁のソフトの発展とはかなり異なる流れで発展してきた(ハードの向上に頼らずにソフトのを強くすることで日本の将棋は進化を遂げてきた)
人工知能のオープンソース化
google / TensorFlow facebook/Torch microsoft/CNTK preferred network/Chainer
多様性が進化を生む
投稿元:
レビューを見る
近年トピックの人工知能に関する本は多くあるが,本書は羽生名人から眺めた人工知能の世界観,延いては羽生名人の精神世界を理解するための参考書として捉えることが出来る.本書でも言及されているが,将棋の次手決定には,直感,読み,大局観が必要とのことだが,自身の生についても同様の姿勢であることがまざまざと感じられ,羽生人生哲学の一端に触れられる.盤即ち此人生とはよくいったものだ.
投稿元:
レビューを見る
プロキシ、羽生善治による人工知能の本。
日本だと、人工知能というと将棋ソフトというイメージが強い気はするので、この組み合わせは意外なようでそうでもない(でも、羽生さんがコンピュータ将棋している印象はない)。
なんと、羽生さん自身は、コンピュータがプロ棋士を負かす日を2015年と20年近く前に予想していたらしい。そんなところまで見通さなくても。
なお、羽生さんによると人工知能にふなっしーは生み出せないとのこと。まあそもそも、ああいうのを人工知能が生み出したら暴走したと思われて強制停止しかねないだろうな。
それと、最近は電王戦というプロ棋士とコンピュータが将棋をするイベントが話題だけど、電気代がすごくかかるらしい。このへんも人工知能の課題なのかも。
ところで、自動運転については信用できないという意見をよく聞くのだけど、羽生さんは人工知能の判断を「絶対である」と信じないことが大事だとのことだ。そういうもんか。
投稿元:
レビューを見る
「1996年版将棋年鑑」に「コンピュータがプロ棋士を負かす日は?」というアンケートへの回答があり、米長邦雄「永遠になし」、加藤一二三「来ないでしょう」、村山聖「来ない」、郷田真隆「いつかは来ると思う。但し、人間を越えることはできないと思う」、羽生善治「2015年」。その羽生善治さんの「人工知能の核心」、2017.3発行です。パソコン、家電や車など人工知能を搭載したものの恩恵を受けていますが、専門的な話はちんぷんかんぷんの私ですw。将棋の話は面白かったです。あと数年したら人間は歯が立たなくなるでしょうと。
投稿元:
レビューを見る
現在の人工知能研究が幅広く、かつ、羽生さんの視点で日常生活になぞらえて分かりやすく解説してある。逆に日常になぞらえて説明出来るということは、今後人工知能かより身近な存在になることでもあるように感じた。興味深い内容であり、入り口としてはかなり入りやすいという意味で良書です。
投稿元:
レビューを見る
人工知能は囲碁から発展してきた歴史があり、将棋棋士として、人工知能をどのように見ているのか、非常に洞察に満ちた内容であると思います。人工知能も間違えることや、現段階では汎用化やコンテクスを記憶した対応が苦手であることを学びました。
投稿元:
レビューを見る
世界最高峰と言われる頭脳を持つ羽生さんがどう言う風に人工知能について考えているかがわかりやすかった。
人間にできて人工知能にできないものは何か?知性とは何か?など、人工知能と人間の違いをあげながら人工知能とは何かについてせまっていく内容だった。
羽生さんならではの将棋における、AIの指す手の違和感など「美意識」や「恐怖心」という言葉を使って説明されていた。
人間とは何か?本当に難しいテーマであるが、
あいまいなこともコンピューターによって0か1に分類できないものはないと言い切ってここまでテクノロジーが発展してきたが、実は0か1に分けられないものこそ人間らしいものなのではないかと羽生さんが言われているように、
これからもっと人工知能研究を追求して行くことで「人間らしさ」が見えてくるのだろう。