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日本オリジナル短篇集。
『ロボット外科医』のインパクトに尽きる。他も面白いのだが、冒頭に置かれたこの短編が衝撃的過ぎた……。
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日本ではエリスンの短編集はハヤカワ文庫からこれより前に2冊出てまして、どちらも傑作です。本邦3冊目の短編集となる本作、通読しての印象は割と玉石混淆な感じ。SFでは無い通俗小説やファンタジーよりの作品も多く、かつ明確な起承転結が無い話もあり、これまでの2冊に比べるとちょっと取っ付きにくいイメージです。
が、所々にもの凄く純度の高い「エリスン節」が含まれている作品がありまして、なかなか巧く表現できないのですが「神秘性を帯びた暴力」とでも言いましょうか。世間一般の常識とはかけ離れ理屈や道徳は一切通用しない、ある種神話めいた独特の世界観の中で繰り広げられる暴力と怒りの爆発。すっきりした話・気持ちの良い話が読みたい人は、絶対近づいてはいけない世界ですヽ( ´ー`)ノ
鴨が気に入ったのは、「バシリスク」「冷たい友達」「クロウトウン」の3作。「バシリスク」「クロウトウン」は、正にエリスン神話としか言いようの無い理屈抜きの迫力が感じられ、頭で理解するよりもその迫力に圧倒されて酔いしれよ、というタイプの作品。「世界の中心で愛を叫んだけもの」「死の鳥」などに近い作風ですね。
でも、こうしたエリスン神話とは一風異なる「冷たい友達」が実は一番のお気に入りヽ( ´ー`)ノ乾いたユーモアに包まれた筆致で救いようの無い結末を描くという、後味の悪さにおいては随一といって過言ではあるまいヽ( ´ー`)ノ
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ハーラン・エリスン=毒舌な批評家なイメージがあったのだが、いったいどこから入った記憶だったのか???
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『世界の中心で愛を叫んだけもの』のタイトルがぱくられました!という事で変な風に名を馳せたハーラン・エリスンですが、SFファン、それもオールドSFファンには嬉しい短篇集。
エリスンの小説はSFというにはちょっとテイストが違って、ロアルド・ダールなどの作品に近いようなところもあると思う。
今回印象に残ったのは、まず冒頭にある『ロボット外科医』。雰囲気的にはレトロというか、ああ古いな、と思うところもあるけど、機械化による人間排除、それによる影響などが鋭く洞察されているのが面白い。エリスン作品にしては珍しく、ラストが爽快でもある。
『バシリスク』はかなり痛い。ベトナム帰還兵問題を扱った作品で、この時期は米国でも(でさえ)兵士は人殺しのように言われ、ひどい扱いを受ける事があったのだなあ、と感じさせられる。今、日本ではとうとう憲法9条の改正が叫ばれている。日本をとりまく情勢からして、当然の話だけど、いまだに9条信者の声も高い。憲法9条では国は守れない。そして、半端な改憲で、自衛隊員が悪者みたいに一部の人たちから糾弾されるようなセキュリティホールを法律上遺してはならないと思う。
『ヒトラーの描いた薔薇』では、神がなんと誤謬を犯し、しかもそれを押し通そうとするといういや~な話。確かに、キリスト教会にはそんなようなところも歴史上あった、と思う。またそういう部分が私は嫌いである。
しかし、福音書に続く使徒行伝など、いや、はっきり言って、使徒行伝を読む限りにおいて、そんな風に教会を変えてしまったのは、イエスより後の人たちなのだ。彼らが従来もっていた、ユダヤ的な倫理(そこには強烈な男尊女卑も含まれる)が教会を支配するようになった。特にパウロ!パウロがいけません。……いや、話を戻しますw
『睡眠時の夢の効用』は一番奇妙な後味がする。当時流行りの心理学や心理療法などをテーマにしているのだろうけれども、とある神に魅入られ、道具に使われた者というところがいかにもエリスンらしい。にしても、体に大きな口が開き、そこから何かが風のように出ていく、というイメージは奇妙でぞくりとする。
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朝日新聞の書評に掲載されていた。ヒトラーということでドイツでの小説と想定していたら全く異なっていた。短編集の中でのひとつの小説である。最後の地獄の場面で、地獄に落ちたヒットラーが地獄の門にバラを描いているというだけであった。
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1957年から2017年の新作まで含んだ短編集です。Amazonとかで評価が高いのですが、わたしは好みではありませんでした。たぶんSFを期待して読んだからだと思います。実際はファンタジーとホラーでした。
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短篇集。三冊目の作品集。
前の『死の鳥』と比べるとわかりやすい短編が多い気がする。読みやすい。
表題作の「ヒトラーの描いた薔薇」はヒトラー全然出てこない。なんかおしゃれな作品。あと印象的だったのが「苦痛神」。苦痛を取り除くとされる神が苦痛を与える側になるの少し面白い。苦痛の考え方も好き。
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短編集。
SFだけでなく、ホラーやファンタジーぽい作品も多々あり。
『死の鳥』よりとっつきやすい印象。
ベストは、よくある設定ながら著者らしい荒々しさが特徴的な「ロボット外科医」。
次いで、「クロウトウン」か。
「ロボット外科医」
ロボットが医師の仕事を奪う、まさにその様子を描いた作品。
「恐怖の夜」
人種差別。これを書いた作者は白人というのが良い。
「苦痛神」
神が主人公。苦痛の先にあるものは…。
「死人の眼から消えた銀貨」
人種差別。SFではないが、主人公が洒落てる。
「冷たい友達」
エリスン流ボーイ・ミーツ・ガール。舞台設定が特殊。
「クロウトウン」
地下都市。人間の環境への順応力が怖い。
「ヒトラーの描いた薔薇」
天国、地獄、神。サスペンス風。
他6作品。全13篇。
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モヤモヤ味わい比べセット。
並べられた十三種の珍酒について
「あれ、賞味期限切れてる…?」
「…固体…?」
「…隠し味…のみ…?」
など豊かなモヤモヤバリエーションを楽しめます。
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アメリカSF界の巨匠ハーラン・エリスンの短編集だが、エリスンってこんな情緒的なSFを書く人だっけ…?と違和感を覚えてしまった。ブラッドベリの作風が好きな人には合うと思う。個人的に一番好きな話は「ヴァージル・オッダムとともに東極に立つ」。
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60〜70年代の作品はエリスンの社会に対する怒りが強烈にぶつけられています。表題作「ヒトラーの描いた薔薇」では、主人公は理不尽に地獄に落とされ、神様に怒りをぶつけますがそんな中、ヒトラーは地獄の門に黙々とバラを美しく描き続けています。なかなか解釈が難しいですね。
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「ロボット外科医」★★
「恐怖の夜」★★★★
「苦痛神」★★★
「死人の眼から消えた銀貨」
「バシリスク」
「血を流す石像」
「冷たい友達」
「クロウトウン」
「解消日」
「ヒトラーの描いた薔薇」★★★
「大理石の上に」
「ヴァージル・オッダムとともに東極に立つ」
「睡眠時の夢の効用」
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1957年から87に書かれた作品が発表順に掲載されている。
エリスンを読んだのは初めてだけれど、解説にあるように、どれも理不尽なものに対する怒りと絶望が伝わってくる。
とりわけ古い作品にその傾向が強く、私はどちらかというと、そういった不条理さに満ちた最初の方の作品のほうが好きだ。
特に、「恐怖の夜」は読んでいて痛く刺さりすぎて目をそむけたくなる激しい衝動に駆られた。
けれど、こういう作品こそ、読まなければならないんだと思う。
どれも、祝福や幸せからは程遠く、人間が犯してきた罪悪について書かれているように感じる。