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「火花」同様、この主人公の永田も又吉さんの一部なのかもしれない…と思って、あまり永田好きじゃない、と重く痛々しい気持ちで読んでいました。又吉さんはむしろ好きなのですが、一部を取り出して強調されると苦手なのかも、と。
考えすぎて空回りするような、これ本気で言ってたら怖い、と思うこともありましたが、永田が沙希に言うラスト辺りの長台詞ふたつはぐっときました。
永田にとって、沙希は光のようなものだったのかも。壊してしまって初めて、大事だったことに気付く。切ない。
しんどかったですが、面白かったです。又吉さんの作品、これからも読んでいきたいです。
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「火花」で又吉は本物だと思って次作も絶対読もうと思ってやっと読んだところ。
in one sittingで読みました。珍しいんだよね、一気読みできる本ってそうそうない。
太宰感がプンプンするけど私はそれは大好物なので快感しか覚えず、精緻な描写からは主人公のねっとりした自意識が読者に読みながらにして空気を通して入ってくる。いい。
人間凸凹で寄りかかり過ぎるともうどこまでが自分でどこまでが相手なのかわからなくなって、自己と他者が恋愛によって結合すると切り離すのはレゴブロックのように簡単にはいかず。
昔子供の頃粘土細工した時に、胴体先に作って手足を後からつけたら接着が難しくて、なんとか水つけながらつけて、もう一度手を作り直したいと思って取ろうとしてもその時にはもううまく取れなくなって諦めて粘土ぐしゃって潰すはめになる、みたいな感じ。
テレビで、火花の時読みにくいという読者の声をたくさんもらったから読みやすくしたって言ってて不安になったけど、全く又吉節は消えておらずなんやねんって思った。テーマはただし身近になったかな。
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主人公が又吉としか思えなかった。
いやーなんか最低なんだけどさ、周りからどんなに反対されてもわたしだけは。って思っちゃう気持ちは分からないでもないな。
むしろ人には分からなくてもわたしは好きだって言える人が強いのかもとか、今なら思う。
幸せってなに?って考えてしまった。
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心に響いた
主人公の永田の描写が
自分と類似していたからだと思う。
永田が自分ではないかと錯覚したほどに。
これは太宰治の「人間失格」を読んだ以来だった
最後の場面は特にせつなかった
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針先くらいの大きさしかない、つまらない、大したことない自己顕示欲にがんじがらめになっている主人公が大っ嫌い。
今まで読んだどの本の主人公より、「こいつ嫌いだわ」って思った。
心の狭さ、器の小ささ。
逃げることでしか保てない自分の軸。
でも、その人間臭さに惹きつけられた。
うだつの上がらない毎日を、
丁寧にしたいのにどうしたらいいかわからない恋人との日々を、
自分で自分の首を締めながら生きてる様は、
たとえ悪あがきだろうと、
演劇という拠り所を通して「生きてる」そのものだったんだろうな。
終盤の畳み掛けの熱量がすごい。
登場人物たちの人となりはしんどいけど、結果、すごく良本。
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「火花」テイスト
ここに出てくる「永田」の方が、より又吉さんぽいな。
と思った。
明るく屈託の無い前向きで「永田」の事をある意味信頼している「紗希」
独りよがりでマイナス思考な「永田」
真面目に話すことが恥ずかしいのか「紗希」の前ではふざけてばかり。
何だか似ている「私」と。
「火花」よりもこっちの方が好きだな。
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劇場
火花がかなり良かったので読んでみたが、正直期待よりはかなり普通だった。なんというか、面白くないといえばそれまでなのだが、火花ほどみんなが楽しめるストーリーではないなというイメージ。太宰治や芥川の様な極めて文学的な言い回しと、ストーリーがかみ合っていないようにも感じてしまった。
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恋愛小説として読むならば、薄っぺらい子供のままごと感が拭えないかな。前作よりもよく練られていたし、読み心地は良かったけれど、共感も反感も産まれないちょうど真ん中くらいの「無」な読み物だった。
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これね、又吉が書いたものじゃなかったら、気持ち悪くて読みきれないとおもう。又吉が書いた違う本にもチラっとこの女の子の話出てきて、そのときはあぁなんかせつなくて優しくていいなって思ったのだけど、劇場はあまりに主人公の自我が強すぎて気色悪くてもやもやした。又吉好き、から入るから読めるけど、誰でもないひとが書いたものだったとしたら、理解してあげようと思えなかったと思うよ。
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なんだこのクズ男と思いながら読んでいても、読後ずっしりと心にしこりが残りました。私も彼と似たようなとこが多少あるかもしれない。だからなのかな?彼は自業自得なんだけど、そうするしかなかったのかな。苦しいです。
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主人公の卑屈さ、彼女に対するクズさに嫌気がさしましたが、最後は感動してました。
時より出てくるユーモア、劇の構成は面白く、クズだけどすごい才能を持っているのではないかと思わされました。計算してのことだと思いますが、アイデアすごいです。
自分の評価は低めですが、純文学があまり好みではないので、好みの問題だけです。
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芸人又吉の第二作目。
どうしても「火花」と比較してしまうことになってしまいます。
文体は、純文学にこだわらずにストレートな感じがしました。
自意識過剰の主人公は「火花」同様にどうしようもなく痛くてクズな人間で、恋人は理想的なほどできた人で、その恋愛は哀しいほどすれ違うものでした。
純文学で恋愛といえば、エロスなシーンがあってもよいかと思いますが、極力排除された構成になっているのは、意図がありそうだと思いながらも読み取れませんでした。
ともかくラストの会話は、このシーンを書きたいために執筆したのではないのではないかと思えるほどすばらしい出来でした。
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デビュー作が評価された作家やミュージシャンは、往々にして「2作目のジレンマ」をどのように超えるかが大きな困難であり、そのジレンマを解決できずに歴史に埋もれた創作者は枚挙に暇がない。さて、本書を読了して真っ先に感じたのは、著者は一人の純文学作家としてのその陥穽を超克し、そのポジションを確立しただろう、という感覚であった。
今作では演劇の脚本家である若者を主人公として、芸術という自己表現に従事する人間が、必ずどこかでぶち当たるであろう”自らの才能を信じることの不安”や”自分より評価されている他者への羨望や嫉妬”などの感情が、余すことなく描かれる。天才でない大多数の創作活動に従事する者でこうした感情を抱かないものはいない(抱かなかったのだとすれば、それは天才か馬鹿かのどちらかである)はずであり、その感覚の生々しさがこうした言語化され、ストーリーに中に自然と配置される技術は、著者の強い才覚に基づくものであろう。
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又吉さんが書いているという時点で、既にその世界に入れている、入らされている?
独りよがりの主人公の胸が締め付けられる切ない物語。
サッカーゲームの選手名を作家さんにして、イタリア、ブラジル代表と戦わせるシーンは又吉さんのセンスが光る。やはりツートップは芥川と太宰か。
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正直、読み始めてから1/3位まで
ちょっと後悔するくらい、永田の話がつまらなかった
なかなか読みたいという気にもなれずだった
でも、中盤前に、どんどんと引き込まれ
気になり、気持ちを寄り添い、心配になり
最後は切なくて切なくて、
永ちゃんも、さきちゃんも、悲しくて切なくてアホで
若さゆえ、勢いなのか、正直なのかな気持ち
思い出したり感じたり、貴重な読書時間を過ごした