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地味だが堅実なルポルタージュ
2020/06/19 20:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯では前大統領の朴クネ氏の沈痛な表情の写真が目立つが、本書の執筆が政権末期に当たったという程度で、朴政権についての集中的に扱ったものではない。
上記だけはおことわりとして書いておきます。
「絶望の~」と刺激的なタイトルに目が行ってしまうが、堅実かつ実直に書かれた、悪く書けば地味な、しかしルポルタージュとしてはよく出来た作品である。
文化や経済まで広範かつ雑多に扱っているため、掘り下げが浅いかもしれないし、反面で軍事・安全保障・外交に関しては、筆者の専門分野だからか勢いがついて各章の終盤が尻切れに終わる箇所もあり、それなりのバランスの悪さも目立つ。
しかし国政から地方議員までコネコネコネ、しがらみしがらみと四六時中コネとワイロと籠絡ばかり、読んでいるだけで疲労とめまいを感じてしまう。
将来像から働き盛りまで、富豪か貧乏人か、学閥か叩き上げか、全てを二者のどちらかに塗り分けなければ気が済まないという社会も実に極端である。
筆者の提言とは逆の話だが、こうした悪い意味での人情頼みの国とは、少し距離を置くのも方策なのかもしれない。
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著者は朝日新聞ソウル支局長。
これまでの取材活動をもとに、韓国が現在に至った経緯を政治・歴史・経済・教育・社会・軍事・外交面から解説している。
記者でしか知りえないことも書かれてあり興味深いが、次作ではもう少し突っ込んだ解説をやって貰いたい。
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朝日新聞社のソウル支局長が語る韓国の「今そこにある危機」ルポ。韓国と相性が良さそうなアサヒの記者ですら「絶望」と名付けてしまうほどの国らしい。
トランプ大統領をはじめ、世界では自国第1主義を主張する主導者が登場しているが、韓国は昔から国ぐるみでそんな傾向がある。他国の批判をものともせず、自国の主張を通そうとする。
そんな強気な国民性だが、政治力や経済力、軍事力などの国力は世界と渡り合えるレベルではない。北朝鮮の核は怖いが、米軍とは協力したくない。日本の経済協力はほしいが、慰安婦問題では叩きたい。中国の言いなりも嫌だ。そんなどっち付かずで中途半端な態度が韓国流の自国第1主義だ。さらに社会では自分第1主義。過度な学歴社会、財閥支配、現職大統領の罷免など引き起こす。
そして、セウォル号沈没事故。指示を聞かずに勝手に逃げ出した者が助かり、指示通り船中にとどまった者は亡くなった。いかにも韓国らしい事件であった。
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韓国駐在記者が韓国のルポタージュを書く時でさえ、『日本dis』『反安倍政権』を忘れないのは、さすが朝日新聞の記者である(人として褒めていない)
・細かい事実誤認
・韓国側はそう主張しいているが、日本側からの裏取りをしていない一面的な記述
・韓国にとって都合の悪い部分は省略する
・関係無いことまで、安倍政権批判を忘れない
・Aを批判する時はBを持ち上げ、先ほど持ち上げたBを批判する時は、Aを持ち上げるという手段を選ばない批判のテクニック
等々、『さすが朝日新聞社の記者だ(褒めていない)』と納得する数々のテクニックが披露されている。とても卑しい文章である。
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2017年3月に朴槿恵大統領の逮捕があった。歴代の韓国大統領は退任すると検察に逮捕されたり収監されたりするが、朴槿恵大統領は初めて罷免され逮捕された。韓国の政治、歴史、経済、教育、社会、軍事、外交の分野を詳細に分析したルポルタージュ。この本は「嫌韓本」ではない。それについても表題の「絶望の」という修飾語がきついような感じを受ける。かなり厳しい内外の環境に韓国はあるが、絶望というわけではないだろうが…。著者は朝日新聞ソウル支局長である。
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2年も前に出版された本なのに、つい最近の事が書かれているように思える。物事がよく見えている人が書くとこうなるのか。さすがだ。
2019/11現在、日本政府は異例の「戦略的無視」政策を取っているが、非常に合理的な判断だと思う。「おわりに」で述懐されている通り、なまじ見た目が似ているからか、お互い自分達の常識に当てはめて相手を判断する嫌いがあるが、歴史経路が全く異なり、文明化の時期が100年も違うのだから常識が通じなくてイライラするのは当たり前である。だったら深く付き合わなければいい。隣人だからといって仲良くする必要は全くない。
我が家も隣人の一人とは波長が全く合わないから最低限の付き合いしかしていないが何も困ることはない。国同士でも同じことだ。