紙の本
やっぱり好き
2021/07/01 06:37
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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
中村文則作品、基本的に長編は憂鬱な時や気持ちが上へ向かない時に好んで読みます。波長が合ってすんなりと入れるから。
しかし、短編やショートショートは、不思議な話やユニークな話、真面目な話が入り乱れているため、ちょこちょこと空いた時間で読む。
今作は本当にいろいろな中村文則を堪能できる非常に満足度の高い一冊でした。
特に好きなのは[信者たち]の神なんてくそくらえ感のある男女でした、意外と神も楽しんでたかもよ。
紙の本
次々に傑作を発表され、アメリカでも評判の中村文則氏の味わい深い短編集です!
2020/06/12 09:39
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『遮光』(野間文芸新人賞)、『土の中の子供』(芥川賞)、『掏摸<スリ>』(大江健三郎賞)といった傑作を次々に発表されると同時に、『掏摸』の英訳版 『The Thief』は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙でベスト10小説に選ばれるという快挙も待たされた作家、中村文則氏の作品です。同書は、異次元的でバラエティーに富んだ話が13篇収録された短編集で、長編小説とはまた一味違った旨味があり、味わい深く楽しめる一冊となっています。同書を読むと、中村文則氏の心や思考が少しだけ垣間見られた気分になりますが、なかなか理解するには難しい作品には間違いありません。ぜひ、一度、読んでみてください。
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投稿者:デンパチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いま、のりにのってる作家なだけあって、なかなかにおもしろかったです。またつぎの作品もぜひ読んでみたい気になった。
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『糸杉』『嘔吐』『三つの車両』『セールス・マン』『体操座り』『妖怪の村』『三つのボール』『蛇』『信者たち』『晩餐は続く』『A』『B』『二年前のこと』の13話。
うーん、何というか・・・困惑?
ちょっと、電車で読むのが憚られるようなお話多々。
うっかり隣の人にでも見られたら、「この人、何読んでるんだろう」と引かれるんじゃないかと(笑)。
・・・なんて書くのは失礼か。
この短編の中で、ちょっと面白かった話もあるんですが、やはり、題材的にどうなのよ? という気もするので、明言するのはやめておきます。
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「一度の過ちもせずに、君は人生を終えられると思う?」女の後をつける男、罪の快楽、苦しみを交換する人々、妖怪の村に迷い込んだ男、首つりロープのたれる部屋で飛び跳ねる三つのボール、無情な決断を迫られる軍人、小説のために、身近な女性の死を完全に忘れ原稿を書き上げてしまった作家―。いま世界中で翻訳される作家の、多彩な魅力が溢れ出す13の「生」の物語。
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独特の世界観のある短編集。
中村文則さんの性描写は秀逸。
戦争の歴史をテーマにしたA、Bは、静かにじっくりとこのときの歴史をふり返ることができる。
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評価が低い理由は、個人的にこの作家にはあまり書いて欲しくない作品だったからかもしれない。
独特の暗い部分があり雰囲気は好きだ。
作家としての幅を示すには色々な作品を生み出していかなければならないのも分かる。
でも違和感があり、例えばエロにしてももっと言葉を絡めて表現して欲しかった。
自分のイメージの問題だと思う。
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ゴッホの《糸杉》 肉厚の絵の具のうねり ミレーの麦穂の絵 ゴッホが死んだのは三十七 憂鬱の中に沈殿 卑俗な日常 人の姿が疎らまばら 蜘蛛を絞めている 呆然とする 白いものが経験した快楽 くびり縊り折ることができる細さ 懺悔 迷惑防止条例 私の男性器は犯罪なんです 仰け反ったのけぞった 目の下のクマが酷い。かわいくないパンダみたいだ。 ろっかん肋間神経痛 生活保護の申請 男に必要なのは"危機と遊び" かいこうたけし開高健の言葉 「どうだい?三十五にもなってチンポコって言う奴。…革命家だろう?」 「そーれ北斗神拳だー」 痒い 「…だね。…まだ悲しいくらいチンコ立つし」 鳥注意報 日本は資源大国 あなたも、望みを叶えるために、こうなったのでしょう?自分の歪んだ人生の中で、いや、歪んでいたからこそ、望んでいたものを。 呆然と跳ねている 濃淡の激しい裸婦の絵 蛇は、ネズミを飲み込んだことで腹が膨らみ、ネズミを入れたカゴの格子の間から、出られなくなっていた。その姿は、見るからに無残だった。蛇は罪を犯した。私のネズミを覗いているだけでは足りず、飲み込んだという罪だ。 体裁を保つ 処女懐胎を描写した 女のセーターを強く捲り上げ 自分の卑劣さと神からの軽蔑の眼差しを意識しながら 暗い欲求 アトレウス王 トイプードル ゼラチンのようなぶよぶよとした生活 粗野で健康的な、浅黒い…。 萎びた首 私の未来を遮る行き止まりの壁 倒錯した快楽 皇軍としての誇り かしこ畏くも天皇陛下は なんと支那人は卑劣なのだろう 歴史と断絶し 敵を殺し、女を犯し、軍歌でも歌えばいい。歌詞の意味などどうでもいい。私達は皆孤独だから。部下達が私を囲む。笑顔に満ちている。私はこれほど人間を愛したことがなかった。 戦勝国の蛮行は揉み消されるが、敗戦国の蛮行は明るみに出る。この軍票は我々の恥であり、外地に飛んでいくことで、憎悪の芽を生むだろう。 彼女は肯定し促しうながし続けた。 先ず精神的なゲージを上げる 笑いというのは、僕の面倒くさい意識を通り越し、条件反射のように発生するから精神的にいい。 転移 カナブン 池袋の芸術劇場がある西口の公園 塞き止めていたもの 志賀直哉『暗夜行路』彼女の言う真っ白い雲の群れ 黒い鳥に色んな意味を付与 果物とスプーンのみで性を表現しようとしたり ダリ 「ニョ」と変な声を出してしまった。なんで「ニョ」だったのか、今でもわからない。
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短編集。超純文学だった。その割に官能小説として書いたものもあるというけど。正直意味不明で飛ばし読み。芥川賞の人だもんなぁ。でもまたほかの本も読んでみよう。
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実験的小説を含め、さまざまな作品が収められた短編集。とにかく生きること、なんとか生きていくことがテーマのように感じます。「妖怪の村」と「晩餐は続く」が特によかったです。
表題作の「A」は続く「B」とセットになっていて、戦地で切り離され、それでも生きていかなくてはならない人々の孤独に圧倒されました。こんな経験をしたら、生きて帰っても決して誰にも話さないだろうと。
ここ数年、戦争経験者の高齢化によって話が聞けなくなっていると言われていますが、身近な経験者は何も語らなかった、という話も聞きます。どれだけ言葉を尽くしても彼らの苦悩をあらわすことはできないのだろうと、この短編集を読んで思いました。
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久しぶりに中村文則作品読みたいなぁっと思って適当に手に取ってみた、短編作品だとも認識なく。
2007年から2014年に発表された短編を集めたもので、非セクシャルな作品、安部公房を彷彿とさせるシニカルで不思議な作品、個人エッセイのような作品と幅が広い。今まで読んだ作品が鬱々として内省的、自滅的な印象が強かったので、こんなに幅の広い作風を使い分けることができるなんてびっくり。もちろん元々好きな作家だったけど、さらにハマってしまいそう。
甲乙つけがたい作品が並んでるけど、個人的には『嘔吐』。主人公の精神的に周囲と隔離している心境、内に秘めている狂気がぞくぞくっと伝わってくる。もしかして、この主人公って。。。怖っ!と想像力駆り立てられる。
『善は駄目な人間を引き寄せる』。。。悪サイドからの理不尽な言い訳に聞こえるけど、結果があるならば理由は何でもいいんだよなぁ、常人にはどんなにでたらめに思えても。
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『それから真っ白な画面を見るのが怖くなったのだけど、結局僕はその白い世界の中に入り込むことになった。言葉を書いて、言葉を重ねて、そこにある迷宮のような通路に入り込み、どのような領域に自分が行くことができるか。
これまでに、色々なことを書いてしまった。僕の人生の出来事も、それを書いたら駄目だろうということまで。作品がよくなるのなら、それでいいと思ってしまっている。何を書いても、いいと思ってしまっている。あらゆる価値より、作品がよくなればいいのではないかと、思ってしまっている。作家にとっては、作品が全部だから。』
中村文則さんは、大きな大きな白い画面に長編小説を書いてくれてさえいればいいと思ってしまう。短編はあまり好きではないので、長編だけでいいと思いました。根本的に短編が好きではない私の好みの問題ですが。
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2014年刊行の単行本を文庫化。
『あとがき』によると、短編集は2冊目だそうだ。そんなに少なかったかなぁ?
ジャンルとしては文学なのだろうが、ホラーとして読んでいるような気がする。『糸杉』や『嘔吐』、『セールス・マン』などは特にホラーテイストが強いし、『妖怪の村』は『鳥の襲来』という古典的ホラーを思わせる冒頭部から、J・G・バラード的な週末世界が広がる(結末は全く違うが)。また、『三つのボール』は『怪奇的なピタゴラスイッチ』と言いたくなる。
収録作のテイストが後半にかけてじわじわ変化していく様子も面白い。
内容とは全く関係無いが、4冊買った5月新刊のうち、本書だけ本文用紙が違うのは何故だろう?
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中村文則らしい短編集。
信者たち、晩餐は続く、がとても面白かった。
彼の作品は癖も強いし、作品を選んでしまうなぁ、と思いながら、するすると読んで、うん、そうなんだよ、と共感してしまう。
やはり才のある現代を代表する作家なのだ。
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全ての短編において中村文則ワールド全開。ストーリーに好き嫌いはあるが、「三つの車両」、「セールスマン」、「妖怪の村」が良かった。全ての作品で感じるけど、この内容は中村文則じゃないと書けない小説ばかり。