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【犬を愛する人たちに捧げる人間の痛みと誇りの物語】その犬の名はギヴ。ひとり傷だらけで発見された彼の過去には、人々の悲しみがあった…。『音もなく少女は』の名匠が贈る感動の物語。
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犬を愛する私には苦しすぎる。
どんなに素晴らしい犬でも、すごいことをした犬でも、彼らが苛酷な目に遭うのを、甘受出来ない。
犬は気高くなくたってちっともかまわないから。
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読みながら 泣けてくるエピソードたち。それでも残るのは絶望ではなく 明日への希望。
親子2代の犬の名前はGiv。彼は犬としての精一杯を生きている。人として精一杯生きている人、生きようとしている人々と共に。辛さや悲しさ苦しみや痛みをその身の内に持っていてなお他者を愛する心を忘れない彼らには “人” と “犬” の区別は無い。ひたすらに思いやり続ける彼らが幸せに生きていける社会であってほしい。
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モーテルの女主人アンナの元から盗まれたギブ.暴力に支配された兄弟の間でどうなるかとハラハラしていたら素敵な女の子ルーシーが現れ,ギブも一緒に幸せになるのかと思ったらまさかのハリケーン,でもこのギブの善良でしかも諦めない不屈の魂は,最後にすごい奇跡を呼び起こす.人間と犬の信頼の物語.
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やや困惑。訳者が伝えるように清々しい物語だが、どこをどう行けばどうなるのか全く先の読めない展開で、せっかちな私としては一貫した興味が持続しなかった。
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ある犬と、そこに関わる人間たちの姿を描いたロードムービー的小説、
犬が中心に据えられてはいるが、物語は決して犬の視点で語られることはない。
ほのぼのとした話でないところが、戦争を経験しているアメリカの物語だなと思う。
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とある犬と、人々の物語。
ディーン・クーンツの「ウォッチャーズ」が人を犬好きにする一番の作品って思ってましたが、そこに一石を投じられることになるとは。
も、最後の方は涙で字がにじんでたよ。
生まれた環境によって虐げられた人間が、自分の力で足で歩きだそうとする姿や、どうしようもなく傷ついた人が、やはり自分の力で再び立ち上がろうとする、そこに寄り添う犬。
純粋なものの存在は、無垢であるからこそ、シンプルに力になるのだろうか。
シンプルだからこそ、自分自身の内なるものを見つめ、結局のところ、自分自身が行動を起こすしかないのだと、悟らせる。
無垢なものの意味は、そういうことなのかもしれない。
「暴力の教義」もそうだったけれど、テランは人の根底にある暖かいもの、柔らかいもの、を信じているのだろう。そしてそれをきっと<心>と呼ぶのだろう。
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読んでいる時も読み終わった後も、ハラハラドキドキして、けれども、心が温かくて…。ギブを抱きしめたくて、優しく撫でたくて…。「ありがとう」って言いたくて…。それが出来なくて、その代わりに、本にそっと頬寄せて…。
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読む前は、もう少し犬を全面に出したというか犬目線の物語なのかと思ったが、あくまで語り手は人たちであり、その人間たちの強さや弱さ、幸せや不幸せ、素晴らしさやどうしようもなさ等を描き出すためのギミック、触媒として犬が使われているような類の作品だと、読後は思いを新たにした。
作者が言いたいところの本質的な部分は、大戦後の朝鮮戦争やヴェトナム戦争、近年では湾岸戦争や911にイラク戦争、それにカトリーナ等といった個人の力では抗しきれない災厄を体験したアメリカ人しか理解できないような気もするが、それらを潜り抜け翻弄されてきた人たちの間でまた、物言わぬギヴが運命の流れに翻弄されながらもジッと耐え続けている様には素直に感動を覚える。
ギヴが、犬たちがいなければ再生できなかったであろう人たちが、確かにいた。
全編まるで回想かダイジェストかのような著者独特のスピード感溢れる簡素で淡々とした文体も、変に物語に湿り気を与えず良かったように思う。
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深い愛情を根底にした、爽やかな物語。
ギブが引き寄せた人々が見事に絡み合い、紡がれる。犬と人間の不思議な出会いは大きな運命、目に見えない力から放たれた糸のよう。
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海外文学の和訳本は初めてだったため、独特の比喩や言い回しが新鮮だった。
犬という純粋な存在の強さ、また人間に対してもたらす情愛の深さを感じられた
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ハンガリー動乱、ハリケーンカトリーナ、9.11、イラク戦争、山火事、ベトナムの影、アメリカを襲う大きな出来事と、それに巻き込まれ傷ついた人々の不思議な縁を作り出す犬の話である。
章頭に超越的な話者が登場したりする独特の文体で、犬は徹底して擬人化を免れ、語らず、思いを告げることもない。ただ行動によって人々に寄り添う。
ずっと昔に読んだ『禅とモーターサイクルメンテナンス』の印象とつながるところがあった。私には共感しきれない部分があるのだが、このような善良さと不屈の意志が共有される感じが、「アメリカ」なのだろうか。
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言葉を話さない犬ではあるけれど、その存在によって、出会った人の人生をつむいでいく、一種の神話のような物語。
それにしても犬の人生があまりにも波瀾万丈すぎて、もう少し平穏にすごさせてやってくれと、作者に訴えたくなったよ。
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犬のギヴが主人公の物語。ギヴの最初の飼い主はモーテルを経営する女性のアンナ。モーテルに止まった兄弟のうち、兄がギヴを盗む。そして、弟と知り合った女性のルーシーの手にギヴが渡る。しかし、ルーシーはハリケーンのカトリーナの被害に遭い死亡する。ギヴは様々な困難を乗り越えながら、物語の語り手のディーン・ヒコックに出会う。そして最後は、・・・。読んでいて悲しくもなり、微笑ましくもなり、様々な感情を味わえる。犬好きであれば、ギヴの一挙手一投足に共感を覚えるだろう。ギヴが主人公であるが、犬の視点で語られることはなく、あくまでも人間が物語を綴る。小説として面白い試みであるし、それが成功している。本屋大賞の翻訳部門に入賞したのも頷ける。
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犬より猫派なのに、去年は本も映画も犬にとことん泣かされ、その勢いで本作にも手を出しました。各節の冒頭にある太字の部分がとっつきにくく、読むのに難儀しそうな気配。訳者のあとがきから読めば、それも払拭されます。
ギヴと名付けられた一匹の犬をめぐる物語。飼い主のもとから盗み出され、それでも次の優しい飼い主に出会うことができたのに、降りかかる不幸。
訳者が言うように、著者はギヴをまったく擬人化しません。ギヴの気持ちを推し量ったりしなくても、ギヴの行動をそのまま記せば、それだけで何もかもわかるのだというように。
やはり犬ものの『容疑者』に比べると、私には没頭しにくい文体ではありましたが、それでも涙が出そうになったところがいくつも。犬好きにはたまらないだろうと言うけれど、猫好きでもたまらん。