紙の本
プロトンの雰囲気
2023/01/13 19:23
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投稿者:自転車好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
グランツールのプロトンの中で、選手が何を考え、どのように戦っていくのか、雰囲気がわかる名著です。山本選手の文章も読みやすく、自転車ファンは大変楽しめると思います。
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奈良県出身のプロロードレーサーの本なので親近感を持ちながら読めた。表彰台やテレビに映らないところで、レーサー達は過酷な戦いをしているんだなぁと初めて知ることができた。
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白地をベースに、一行だけマリアローザをあしらった差し色が入った、シンプルで印象的な装丁。東京書籍っぽいなと思ったら、ご名答、東京書籍でした。
ジロ・デ・イタリアの全21ステージにわたってインサイドレポートをする形式だが、自己紹介を兼ねた「はじめに」と「プロローグ」を読んだだけで、一気に著者の人柄に引き込まれてしまう。
あとはアベレージより少し劣るサブアベレージレーサーのリアルが書かれており、プロトン内部の様子が良くわかる。最終ステージを走り終え、エピローグを読むと、ますます著者を応援したくなってくる。魅力的な選手だ。
さあ、走ろう、走り続けよう。
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自転車ロードレースのノンフィクション。とても面白かった。同様の本でエスケープ、アタックは外の人が内部を取材して書いたものだが、本作は出場選手が内部から書いたもの。先頭を走っている訳ではなくハラハラドキドキ感は薄いが、グランツールの内側の世界を覗くことができ非常に興味深かった。
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「"普通"の若者である自分がジロ・デ・イタリアを完走…」ということをやたら強調されているが、例え血のにじむような努力をしても本当に"普通"の人は決してグランツールを完走することはできないだろうし、そもそもプロコンチームに入ることさえできないだろうから、あまりそこを前面に出されると鼻白んでしまう。
肝心の中身の方は、しかしとても面白い。
元々が山本元喜選手のブログを土台にしているというから、余計な脱線や誇張や修飾なしに(プロトン、グルペット等のロードレース専門用語の説明や、出力ワット数の解説すらない)ジロの日々がリアルかつ克明に描かれ、選手はこんな風に感じているのか、レース展開はこんな風に決まっていくのか、といった内部世界が垣間見えて非常に興味深い。
そして著者が自分を"普通"だと感じてしまうほど、周りは超人揃いなのだということが、直接的な描写はないにも拘らずよく分かったりする。
小さな日本人がヨーロッパに渡り、グランツール出場に至るまでの生活がどうだったのか、という過程の奮闘にもとても関心はあるが、この本においてはそこをすっ飛ばし、あくまでステージレースの期間だけに限っているのも奏功していると思う。
あと、同じ選手の呼称がファーストネームになったりラストネームになったりするのはまったくもっていただけない。
書き手の責任もさることながら、ここは編集が仕事をしなければ。
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軽く読めて面白かった。
プロはすげーなーということと、やっぱりグランツールを完走するだけでも大変なんだなと実感できる本だった。