紙の本
煌くような伊吹ワールド
2017/10/21 18:50
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タンポポ旦那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
系統的に言えば、「ミッドナイト・バス」、「今はちょっと、ついてないだけ」に続く路線で、仕事や家庭に疲れた大人の再生物語。改めてこの三冊を並べてみると、バス運転手にカメラマン、そして本作の総務、トレーナーにダンサーと、何か多彩な素材を生かした職業シリーズの趣も…。
ストーリーは端的に言って、リストラ組が全く畑違いのバレエ団に出向、戸惑いながらも目の前の仕事に集中・没頭する事で、自分の居場所・生き方を見出していく、という伊吹ファンにとって言わば“安心”の物語。とは言え、いわゆるマンネリ感は皆無の、むしろ煌くような伊吹ワールドが展開され、ついつい秋の夜長の一気読み。
バレエ団をカンパニーと呼ぶのは勿論、団員たちの経済事情や生活、トレーニングや階級など興味深い道具立ての上に、同族企業のM&A、社内の出世競争等々を絡めた物語は、前二作以上に面白かった。
来月には、また新作が発売されるようだし、来年は「なでしこ物語」の“ミッシングリング”も刊行が予定されている。ファン冥利に尽きる思いで、楽しみで仕様がない。
紙の本
お薦めです
2017/07/25 06:58
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投稿者:Atsushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「リストラ予備軍」として何ら知識もない「バレエ団(カンパニー)」へ出向を命じられる青柳誠一。そんな彼は年齢や職業を超え周囲の人の理解と協力の下、年末のバレエ公演を成功へと導く。様々な困難にも真摯で誠実に立ち向かう主人公の姿は圧巻。高野が瀬川を認める八月の章が一番心に残った。人は誰でも色々な葛藤と闘って生きねばならないと再認識させられた一冊。読後感がすがすがしい。お薦めです。
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流石人生再生モノが強い伊吹先生だなぁ
前には踏切版を軽やかに踏み切って、今回は豪快にオセロで黒を白にひっくり返した。終盤は引き込まれて一気にラストまで読んでしまいました。
カバー画も面白いよね。スーツで軽やかにバレエのステップを踏む。。。青柳さん?
私もいつか、会心の白を打ち込みたい。
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少しずつ読もうと思っていたら,物語にぐいぐい引き込まれ,先が気になって一気読みしてしまいました。
この著者ならではですが,読後感は抜群に良かったです。
いけいけな道を歩む人からは,なかなか評価されない,地味だけど実直な人が,見事責任を果たし,きちんと評価される姿は,読んでいてとても勇気づけられます。
映画化されたら面白そうですね。
「世界の恋人」高野さんは誰が演じるのだろうと想像すると,楽しい気分になりました。
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面白かった。
青柳氏は最初の頃からずいぶん変わったなあ。
人間って幾つになっても成長出来るんだって思えた。
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家族と仕事を失いそうなサラリーマンの悲喜こもごもでもあり、将来を見失いそうだったOLの奮闘記でもあり、引退がよぎるバレエダンサーの有終の美学でもあり、、
フラッシュモブのシーンはありありと眼に浮かび、よかった。
でも他の伊吹作品と比べると自分の中では今ひとつかな…。
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伊吹有喜さん、「風待ちのひと」「四十九日のレシピ」「なでしこ物語」、最近では「BAR追分シリーズ」、楽しく読んでいます。一方で「ミッドナイトバス」と「今はちょっとついてないだけ」は読後感が「?」でした。どうやら伊吹有喜さんの作品、私にとっては「吉」か「凶」かわかれるみたいです。新刊「カンパニー」(2017.5)はバレエ(踊る方)を題材にした作品です。347頁です。この作品は、読み始めて5日目、まだ100頁。失速していますw。
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青柳のイメージがつかみにくい。リストラ候補、一方的な妻からの離婚に流されているダメ人間がカンパニーへの出向で成長したことになっているが、周りの評価が変わっただけで本人の変化はそれほど感じられない。バレエ団のあれこれは興味深かった。
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前知識なしに読み始めた時は、華やかなバレエ界の話だとばかり思っていたのに、突然の妻からの離婚宣言に加え、リストラ要因として部署異動した上、慣れないバレエ団(カンパニー)への出向という出だし。まるでエンタメ版半沢直樹のようだ。
話自体が良くできていると思うので、無理に色っぽい話を加えない方がスッキリ読める気がした。
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バレエの公演を成功させるための裏からのあれこれに,プリンシパルの悩みやあり方を加味し,恋愛感情もサッと振りかけたエンタメ.新解釈白鳥の湖を見てみたいです.
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楽しく読んだ。でもちょっとかんたんすぎるというか、さらっとまとまりすぎてる感じはあった。350ページくらいの、それなりのボリュームを感じさせない。
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素敵な物語でした。最後までわくわくしながら読了しました。バレエに対する日本のショービズや、芸術的価値、評価の低さをたんたんと描いているのに、読み進めるうちに登場人物の熱さに共感しました。さまざまなジャンルの踊り、踊ること、踊る人が好きなら、読むとどきどきできると思いました。こういう物語を連ドラ化してほしい。
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突然妻子に出ていかれた男。
共に世界を目指していた選手に突然引退されてしまった女。
会社のリストラ候補となってしまった二人に下されたのは
会社が支援しているバレエ団への出向。
誰もがもがき苦しみ新たな道を見出だしていく
とても好みな展開ではあるが
も少しそれぞれの人物描写が濃いと更に没入できた気がする。
【図書館・初読・8月5日読了】
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+++
合併、社名変更、グローバル化。老舗製薬会社の改革路線から取り残された47歳の総務課長・青柳と、選手に電撃引退された若手トレーナーの由衣。二人に下された業務命令は、世界的プリンシパル・高野が踊る冠公演「白鳥の湖」を成功させること。主役交代、高野の叛乱、売れ残ったチケット。数々の困難を乗り越えて、本当に幕は開くのか―?人生を取り戻す情熱と再生の物語。
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何の予備知識もなしに読み始めたのだが、とても面白かった。バレエの世界には全く縁がないので知らなかったが、バレエ団のことをカンパニーと呼ぶらしい。タイトルはまさにバレエ団のことなのだが、製薬会社の再編成やリストラに絡んで、会社に人生を振り回される青柳や瀬川を見ていると、会社のカンパニーが描かれているとも言えるかもしれない。世界に名だたるプリンシパルにも、わき役に甘んじるダンサーにも、トレーナーにも、企業から出向してきた社員にも、それぞれ人生があり、抱えているものがあり、コンプレックスがあり、誇りがある。仕事も立場も違えど、同じ人間なのだという思いを強くする。どんな立場にいようとも、ひとりでは何も成し遂げられず、周りの人々と一緒に作り上げていく喜びがあるのである。決断は自分でするものだが、そこに至る道筋にはたくさんの人がいて、さまざまな思いがあるのだと、あたたかい気持ちにさせてくれる一冊だった。
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リストラ候補のサラリーマンと、引退を考えるバレエダンサーのお話。
登場人物それぞれの違った思惑が絡まりつつ、バレエ公演を成功させようとする方向で一致してゆく。
登場人物が多いですが、実在の色んな人をモデルと思わせるキャラクターでイメージしやすく、話のテンポもよくて、サラッと読めました。
爽快なエンディングで、とっても面白かったです。