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紙の本
ベクトルの微分積分を学びながら
2019/07/20 05:02
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:類太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
微分積分・線型代数を理解した方にとって数学の方向性を考える良い指標になるであろう.
ベクトル解析を学びながら, 微分幾何・位相幾何・多様体・物理学の様々な概念の考え方を学ぶことができる. 問や章末問題は数学的に意味のある重要な物であり問の解答もかなりていねいである. ベクトル場の発散と回転は直観的にわかりやすい流体の流れの場で説明し導入する工夫がなされている. 直観的な説明がしにくい微分形式にも明快な解説を与えている. 微分積分と線型代数の復習が入っているのも良い. 物理学的な例は物理学から離れていた私でも理解できた.
ただ, 内積の連続性を既知としている. すなわち各成分の内積の極限を極限の内積に変形している箇所がある. 内積の連続性の証明は宮寺「関数解析」のレビューに書いてあるのでそちらも参照されたい.
また, ベクトル(a_1, a_2, a_3)とベクトル(b_1, b_2, b_3)についてe_iを第i座標軸方向の単位ベクトルとするときベクトルの外積について次の形式的な行列式による表示
(a_1, a_2, a_3)×(b_1, b_2, b_3)
|e_1 e_2 e_3|
=|a_1 a_2 a_3|
|b_1 b_2 b_3|
は知っておいたほうがいい気がする. 常微分方程式の解の一意存在定理(コーシー-リプシッツの定理など)や簡単な求積法も知っておくと細部まで理解できる. 曲線論の初学者は第2章を141ページ目と同時に読むと良いであろう.
それから, 半径rの円周(円弧)(rcosωt, rsinωt)の速度ベクトルが円周(円弧)の接線方向であること, 加速度ベクトルが円周(円弧)の中心に向かう法線方向であることを知っておくといい.
そしてオイラーの多面体公式の導出において空集合における微分形式の積分が0であるとオイラー-ポアンカレの定理の証明で1点における積分が0であるのは厳密に考えるとルベーグ積分による.
ちなみに, ガウス-ボネの定理とその証明で,
∫_∂D κ_g ds , ∫_∂D_k κ_g ds
とあるのは正しくは
∫_∂D κ_g , ∫_∂D_k κ_g
である(関数の積分ではなく微分形式の積分なので).
ベクトル場Xの点pにおける指数の定義
γ_p(X)=(1/2π)∫_Cdθ
は複素解析における留数の定義に, オイラー-ポアンカレの定理
Σ_iγ_(p_i)(X)=χ(S)
は留数定理に良く似ていると感じた.
第10章と第11章の図説については「数学ガール ポアンカレ予想」も参考になる.
割と面倒な計算は少なかったので読みやすかった.
飽きやすい私でも後半まで読むことができた.
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