紙の本
サルでもわかる・・・
2017/06/08 11:18
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
文化の多様性が消えていくということは私たちが生き残るために払わなくてはならない代償なのだろうか。人類の倫理規範は他の動物のものと比べて優れていると考えるのは驕りなのだろうか。共感の感情の基盤の研究を通して社会の暴力を減らす手立てを作る手助けとなって欲しいものだと考えさせられた。
紙の本
若い読者のための第三のチンパンジー (草思社文庫)
2019/04/17 17:41
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投稿者:lakini - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレ
なんか、タイトルを見て、勝手に、もっと哲学よりの本だと思ってたんだけど、めっちゃ思いっきり、人類学というか生物学というか的な内容だった(笑)。
結構淡々と書いてあるから、しかも大発見があるというわけでもないから、その辺は、そんなに「面白い!」という物ではなく、じゃあなんでそんなにこの本が山積みだったのか??と思ったくらいだったが、どうやら、この著者、銃・鉄・病原菌、だかの著者だったらしい!何も知らずにタイトルだけで買ったんだけど(笑)、期せずして、興味のあった著者のを読んだことに(笑)。しかも、解説を読む限り、そのエッセンスは、十分本書にも入っている、と。大体展開は読めたゼ、らっきぃ。
あと、こういう分野って、まだまだ未知のことも多いし、そもそも考古学的な世界の話になると、化石とかから仮説を立てて想像せざるを得ないから、結局、淡々と事実を書いているかのようにも読めるものの、このロジック自体が、この著者の独特な思想と知識によるもので、十分面白いものということなのだろうということも、解説等読むとすごく分かった。そこ理由だな。
でも、もちろん、読んで面白かったことも結構あり。チンパンジーも200語以上の語彙を教えれば覚える(視覚情報を使用)のであって、知恵の差ではない、要は人間は、たまたま声帯が発達したからこれだけ言語が扱えるようになったんだ、とか、人間とチンパンジーの遺伝子の差は2パーセント未満、とか。地球外生命を探すとかいうけど、本気か??地球の歴史を考えれば、自分たちより発展した文明の人と出会った場合には確実に蹂躙されたり虐殺されたりすると思うが…信じられん。とか(笑)。確かに、って思った。進化の歴史を考えれば、同じタイミングで進化することなんて相当レアなのに、って。
あとは、、何かまだあったはずだが…何だっけ。。あ、そうそう、農耕文明が何故ヨーロッパではすぐ広がったのに他の大陸では広がらなかったのか。これは、土地が東西に延び同じ気候だったから。ペトラが実は森林の中に王国があった(超衝撃だった)が、薪とかの取りすぎで滅亡したと思われ、侵略どうのではない、とか。他の文明も意外と同様とか。そんな感じで昔から人類は環境破壊と他種の絶滅を加速させてきたのであって、昔に戻るべきとか言う人もいるが、むしろ今の方が、いろんな不安要素もあるものの、一応は過去から学んだ行動を起こしているから希望があるのではないか、とか。人間以外の動物も虐殺的な、同種の殺しも行うらしいとか。
個人的には、that's it !だけど、サクッと読める感じの本でこれだけ得られれば十分よね。
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あの名著「銃・病原菌・鉄」の作者です。
彼の基本理念は人類は皆等しく同じ能力を持っている。
決して西洋人だけが偉いのではない。
たまたま地理的、経済的な諸条件で偶発的に西洋人がのし上がった。
発展途上国の人々が経済的、政治的、宗教的な制約がなくなれば
今の所謂文明人の勝るとも劣らない活躍をするだろう。
文明の進歩とは何か?それを考えさせる一冊だと思います。
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P222 キツツキと収斂進化
いろいろな種類の生物がそれぞれ独立して進化していきながら、同じような特徴を帯びるように変化していったり、あるいは似たような生態的地位、つまり生存を可能にする環境を占めるようになったりすることを生物学者は「収斂進化」と呼んでいる。
→これは梅棹忠夫が「文明の生態史観」で生物学の「遷移(サンクション)」の概念を用いて日本とイギリスが別々に独立して進化をした結果、どちらも近代化し、同じような文明にたどり着いたと説明したことを彷彿とさせた。
本書の文脈とは全く関係なく、あくまでただの連想。
本書では、収斂進化の存在を認めつつも、反例も多いことを根拠に、人類の考える方法による宇宙での同様の生命体探索に疑念を投げかけている。
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ジャレド・ダイアモンド博士版の「サピエンス全史」で氏の専門分野である生物学や文化人類学、歴史学などの観点で人間の歩んできた道を俯瞰できる。また、人間と動物、人間とチンパンジーの違いについて考えることで、人間の未来についても考えさせられる。人間とチンパンジーは遺伝子的には98.6%まで一致している。にも関わらず、動物実験でチンパンジーに薬物を投与することは禁止されない。捕鯨とどっちが酷いのか。仲間殺しや自ら生息する環境を破壊するのは人間だけでなく他の動物にも見られる。とすると、このDNAに書き込まれた天性を放棄あるいは抑制するのはむしろ困難で、人類の未来は暗いのか。この本が若い読者のためのとあるのは、本書に描かれている人間の本性を学ぶことで、未来を変えようとするきっかけになればという願いらしい。若い人だけでなく、みんなにおすすめです。
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幅広い教養が身につく本。
一つ考えさせられたのは、ジェノサイドは何故起こるのかということ。ナチスが特別悪い奴らだったわけじゃなくて、きっと人間の心理の奥に潜む理由があったはず。ジェノサイドは無かったという人がいるのも、そんなばかなと思うのではなく、何故そう思う人が現れるのかを考えることが重要だと思った。
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なんか、タイトルを見て、勝手に、もっと哲学よりの本だと思ってたんだけど、めっちゃ思いっきり、人類学というか生物学というか的な内容だった(笑)。
結構淡々と書いてあるから、しかも大発見があるというわけでもないから、その辺は、そんなに「面白い!」という物ではなく、じゃあなんでそんなにこの本が山積みだったのか??と思ったくらいだったが、どうやら、この著者、銃・鉄・病原菌、だかの著者だったらしい!何も知らずにタイトルだけで買ったんだけど(笑)、期せずして、興味のあった著者のを読んだことに(笑)。しかも、解説を読む限り、そのエッセンスは、十分本書にも入っている、と。大体展開は読めたゼ、らっきぃ。
あと、こういう分野って、まだまだ未知のことも多いし、そもそも考古学的な世界の話になると、化石とかから仮説を立てて想像せざるを得ないから、結局、淡々と事実を書いているかのようにも読めるものの、このロジック自体が、この著者の独特な思想と知識によるもので、十分面白いものということなのだろうということも、解説等読むとすごく分かった。そこ理由だな。
でも、もちろん、読んで面白かったことも結構あり。チンパンジーも200語以上の語彙を教えれば覚える(視覚情報を使用)のであって、知恵の差ではない、要は人間は、たまたま声帯が発達したからこれだけ言語が扱えるようになったんだ、とか、人間とチンパンジーの遺伝子の差は2パーセント未満、とか。地球外生命を探すとかいうけど、本気か??地球の歴史を考えれば、自分たちより発展した文明の人と出会った場合には確実に蹂躙されたり虐殺されたりすると思うが…信じられん。とか(笑)。確かに、って思った。進化の歴史を考えれば、同じタイミングで進化することなんて相当レアなのに、って。
あとは、、何かまだあったはずだが…何だっけ。。あ、そうそう、農耕文明が何故ヨーロッパではすぐ広がったのに他の大陸では広がらなかったのか。これは、土地が東西に延び同じ気候だったから。ペトラが実は森林の中に王国があった(超衝撃だった)が、薪とかの取りすぎで滅亡したと思われ、侵略どうのではない、とか。他の文明も意外と同様とか。そんな感じで昔から人類は環境破壊と他種の絶滅を加速させてきたのであって、昔に戻るべきとか言う人もいるが、むしろ今の方が、いろんな不安要素もあるものの、一応は過去から学んだ行動を起こしているから希望があるのではないか、とか。人間以外の動物も虐殺的な、同種の殺しも行うらしいとか。
個人的には、that's it !だけど、サクッと読める感じの本でこれだけ得られれば十分よね。
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ジャレド・ダイアモンドってそんなにいいのか?という疑問を解決すべく手に取った一冊。
内容としてはラディカルな人間否定が中心となっているように見えた。「人類はXXをしてきた」「我々はXXという過ちを繰り返してきた」という原罪をたっぷりと盛り込んだ感じで、この辺りはちょっと面倒くさいというか、なんだか「生きててスミマセン」みたいな印象をもたらす。なんか他に書き方なかったのか?と思う。
この自己否定感というか「全人類の自虐ネタ」の部分を除いてしまえば、内容としては進化生物学の本としてはダントツに読みやすく内容も濃い。
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現在の人類が置かれている状況ー大量殺戮、環境破壊を目の前にして「何も学ばれることなく、忘れ去られていく」と感じるのが自然であるように思う。「過去を理解し、将来の手引きに」できる新たな人々の出現を是非見てみたい。
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罪もない市民を理不尽に傷つけるような凶悪犯罪者が、人権を盾にして刑を免れようとしている姿を見てやりどころのない怒りと虚しさを覚えてしまうのは、きっと僕だけではないと思います。
そういう時に僕の頭をよぎるのは、いっそのこと、そんなことする鬼畜な犯罪者は人間じゃなくてチンパンジーなんだよ、ってことにしてしまえば、チンパンジーには人権なんか無いんだから極刑にでも市中引き回しでも、あるいは生体実験のサンプルとして利用するでも、なんでもできるんじゃないのか、という、ちょっと危ない思想だったりします。
でも現実にはそんなことはもちろんできない。じゃあ一体、人間とチンパンジーの差って一体なんなんだろう、という疑問を持ったのが、僕がこの本を読むことにしたきっかけです。名著「銃・病原菌・鉄」の著者ジャレドさんならこの僕の疑問を簡単に解決してくれるだろうと。
ところが、いくらジャレドさんと言えども、この疑問はそう簡単に解決できるものではないようで、本の中でも、この疑問に答えるために実に様々な視点で人間とチンパンジーとの違い、長い進化の過程でチンパンジーはいつチンパンジーから人間になったのかなどの研究と考察が語られていました。
まず、遺伝子的に見ると、コモンチンパンジーやピグミーチンパンジーと人間の遺伝子は、98.4%が同じなのだそうです。このたった1.6%の違いが、人間に、チンパンジーを捕獲して檻に入れたり生体実験のために殺すことを許しているのか、と問われると、簡単にそうですとは言えない。
じゃあ遺伝子構造以外で人間とチンパンジーの違いは何なのか。言葉を話す、繁殖期以外でも性行動をする、介護など他人の世話をする一方で他人を殺す、絵画や創作などの芸術を楽しむ、たばこや酒を飲んだりドラッグをやる(自傷行為をする)、ジェノサイド(大量殺戮)をやる、など。これらは、人間特有の行為なのか、そもそもなぜ人間はこういった行為をするのか、チンパンジーや他の動物はこういった行動を取らないのはなぜか、など、ジャレドさんお得意の「なぜ、を突き詰める」がこの本の中でも実践されています。
この、人間とチンパンジー(あるいは人間以外の動物)の違いってなんだろう、その違いはなぜ生じたんだろう、という疑問が突き詰められていった結果、この本の最後の方では自分が人間であることが嫌になってきます。この地球に生きる生物の中で、自然を損ない、他種を絶滅危惧に追いやり生態系を破壊している唯一の生物が僕たち人間だけであるという絶望的な結論がこの本のクライマックスだからです(この本の後半1/3はほとんど人間が地球にもたらした害悪について述べられています)。
凶悪犯罪者はもうチンパンジーってことにしていいんじゃね?、という良からぬ思想がきっかでこの本を読み始めた結果、凶悪犯罪者どころか自分も含めて人間みんなクソじゃん、という結論に至ってしまいました。そんな読了後のなんとも言えない後味の悪さを味わいたい方に、この本をおすすめしたいと思います。(←そんな人おらんやろ)。
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タイトルに惹かれてついジャケ買い。
ハーレムを形成する種のオスは体がデカく、つがいになる種は雌雄の体格差がない。言われればそうなのに気付かなかった。確かにそうだ。チンパンジーと人間の遺伝子についての解説も。分かりやすく「へー」が続くので、暇な時間に何も考えずさらっと読むのに向く。
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著者の他の本と重なる部分はあるが、一冊で様々な側面をさらっと味わえてお得。人間を知る旅へと引き込まれる。高校生くらいの時にこんな本に出会いたかった。
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マオリは虐げられた側という感覚があったが、実はニュージーランドの生態系を最初にぶち壊し大型生物を何種類も絶滅に追い込んだというのは発見だ。
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P.54 「とどのつまり、ネアンデルタール人には、人間にとってもっとも重要な資質である「革新性(イノベーション)」、すなわち新たなものを生み出す能力が備わっていなかったようである」
ハッとさせられる。技術こそが人類の生活を変えてきたものであり、新しい技術を生み出せなければ、私たちは滅んでしまったネアンデルタール人と同じだ(滅びゆくのだ)。
700万年前にチンパンジーと袂を分かった人類の祖先は、最終氷河期の6万年前に突如針、釣り針、臼と杵、返しのついたモリ、弓矢などのテクノロジーを持ったクロマニョン人に至る。
これらのテクノロジーのおかげで、オーストラリア、北ロシア、シベリアに進出。ヨーロッパで遠距離の交易も始まる。装飾品を用い、芸術と美のセンスを持ち合わせていた。楽器を奏で、音楽があった。
クロマニョン人はアフリカや中東からヨーロッパに侵入し、技術で劣るネアンデルタール人を絶滅にいたらしめた。
言葉がこの人類の大躍進を可能にした。咽頭の筋肉が可能にしたらしい。
ジャレド・ダイヤモンド『第三のチンパンジー』
とても学ぶことが多かった。
• 北アメリカに人類が到達した当初、マンモスやウマ、ラクダ、地上性のナマケモノ等、多くの大型哺乳類種に溢れていたが、人類が到達した後80〜90%が絶滅に追い込んでしまったこと。家畜化できる可能性があった動物もいただろう。、ユーラシア大陸でウマを家畜化し、戦車として用いたスペインの探検隊により、南北アメリカ大陸の人々は蹂躙され虐殺された。
• 地理的条件により、人類の繁栄は大幅に決定づけられるということ。具体的には、栽培できる植物、家畜化できる動物の分布により大きく影響されたこと。そして気候によって生息環境が制限されるが、ユーラシア大陸は東西の軸に伸びており拡散が容易だったのに対し、アメリカ大陸は南北の軸に伸びており拡散が容易でなかった。さらに、ユーラシア大陸の中東で農業が始まったのは、小麦等のもともと生産性の高い穀物が自生していたおかげであり、対してアメリカ大陸には生産性の高い自生穀物がなく、あったのは当時生産性の低いトウモロコシであった。
• 古代文明が築いた多くの大都市が、人間自身が起こした木材伐採、過剰農業による環境破壊が、森林壊滅による砂漠化、土地の栄養不良、土壌流出による灌漑不可能化を引き起こし、最終的に放棄せざるを得ない運命となったことが実例をもとに記されており、驚異と脅威を感じた。ニューメキシコ州チャコキャニオンのプエブロ・ボニート遺跡、ヨルダンのペトラ遺跡、イースター島、ヘンダーソン島等の太平洋の島々
• 私たちが数種の動物を絶滅させたことにより、動植物の有り様が根底から変わってしまうことがあるということ。
• マレーシアでは数十年の間に淡水魚の半数が絶滅したということ。
• ジェノサイドは人類の歴史のどの時代にも見られ、類人猿のコモンチンパンジーと共通の人類の特性のひとつであること。
• 狩猟採取民は農民よりもずっと健康だったこと、より平等な社会で、余暇のある生活を送��ていたこと。
• 農業の発展により、階層、中央集権社会も発展してきたこと。農業により戦闘にのみ特化した軍隊が生まれたこと。
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友人からおすすめとして借りました。進化生物学者の書いた自然人類学的の入門書。いま話題の感染症にもふれてあるし、歴史や生物学、環境学など幅広い内容。悪く言えば広すぎてよくわからないけど、そもそも進化生物学(だけじゃないけど)を目的に書いてるわけで、各エリアの深掘りは他の専門書に譲るはず。そういう意味での入門書なんだろう。文庫で約400ページとけっこう多いが、読みやすい