紙の本
きっと、この時代の「一人っ子」はつらかったよ
2022/12/29 11:41
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投稿者:読者E - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和40年代、1970年代前後で、一人っ子は珍しい。本書でも、そのことの言及がある。2020年代の感覚だと、どこまで「珍しい」を共有できるものだろうか? 兄弟、姉妹がいて当たり前。一人っ子だと、何か訳あり、もの珍しい存在になってしまう当時の背景を意識して読むと、その後の展開を味わい深く読める1冊。
一人っ子同盟だったメンバーは、その後どうなるのか。子ども時代の別れは唐突だ。またどこか、大人と違ってドライでもある。物語としての期待はあるけれど、現実は物語のようにはならない。そのあたりのリアリティを、作者は外さない。それを確認できる1冊としても読めるはず。
紙の本
お薦めです
2017/07/25 06:57
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投稿者:Atsushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分には5才離れた弟がいる。お互い家庭を持ち、会うのは盆暮れくらいになってしまった。それでも、色々なことを話し、お互いの幸福を祈る。そんな兄弟姉妹のいない複雑な事情を抱えた一人っ子3人。「事故で兄を失った一人っ子」、「母が再婚して弟ができた一人っ子」、「両親が自殺した一人っ子」、それぞれの悩みや葛藤。子どもの心情を描かせたら著者の右に出る者はいない。海水浴のシーンが一番心に残った。それぞれの後日談が知りたい。
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小学校一年生から六年生までのノブ君とハム子。二人の一人っ子、男の子と女の子。二人はそんな風に考えるんだ、そして感じるんだ。行って戻って迷って進んでチョッピリ不器用な子たち。そんな事もあったね。二人も陽介もオサムも今は幸せに暮らしてるといいなぁ
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ノブくんの兄が幼い頃に亡くなった事によって記憶が無いながらにも
家族に気を遣ったり、自分をわざと不幸に思ったりとしているのが
とてもいじらしかったです。
当時兄と一緒にいた母は毎年のように命日が近づくと体調不良になり
その事で罪を感じたり、父は普段はとても大らかであまり何も
考えていないような人ですが、誰も責められない行き場のない心が
あったのかと思うと言葉に表せないです。
それでもそれぞれの家族が一緒になって微笑み合いながら慎ましく
生活していく姿が平凡ですが温かみを感じました。
ハム子のこの時期の思春期らしい行動や言動が
時によっては周りの人を困らせたり、迷惑をかけたりと大変ですが、
実は頭が良くてとても周りの人に気を遣ったり、
大人と変わらない考え方をしたりしてとても繊細で
寂しがり屋な子供なんだと思えました。
普段ノブとはつっけんどんな態度を取ったりしていましたが、
時には優しく時には愚痴を吐いたりして、
行き場の無い気持ちを全部伝えているようで二人の関係は本当に特別で
良い関係だと思いました。
その後のハム子の事も知りたくなります。
転校してきた年下のオサムくん。
お調子者で嘘つきだけれどその裏には複雑な家庭の事情があり、、
それに対してノブが変に気を遣っていてるのが優しいなと思いました。
けれど徐々にオサムに対しての接し方が変わってくるのが分かり
成長しているのでとても微笑ましく見えました。
ノブくんも側にいたらきっとうざったい存在かもしれないですが、
本当のオサムくんの心の中は寂しくて
誰かにかまって欲しくてたまらないのが伺えます。
両親の本当の事を知っているゆえに、
それに振り回されて自分の環境までも変わってしまうこととなり
寂しさ一杯なのかと思うと切なかったです。
お父さんの
「とりあえず、しっかり晩御飯を食べて、お風呂に入ってさっぱりして、
ぐっすり眠って、明日のことは朝になってから考えればいいさ」
「おカネで解決できない悩みごとは、メシと風呂と布団があれば、
意外となんとかなるものなんだぞ」
「自分の子どもに好きな場所や、好きなことや
好きなものがあるっていうのは、
親としてはなによりもうれしいもんだよ」
「好きなものを訊かれて、ちゃんと答えられるうちは、
人間、みんな、だいじょうぶだ」
という言葉が印象的でした。
ノブにとってもハム子、オサムの存在は一人っ子とは
また違う世界が味わえて、二人にもまた特別な関係が過ごせたことで
この時期の出来事というのは生涯忘れられないものだと思います。
今はもう会えない友達と過ごしたあの頃の事を同じように思い返し、
この時期の経験というのは貴重なものだと思いました。
どの登場人物、家族をとっても裏には悲しい事や辛いことがありますが、
それをお互いにカバーしながら生きている姿がとても良かったです。
子供の頃の昭和の時代が舞台になってい��ので、
懐かしい記憶と思い出が交差しながら切なくも心が温まる作品でした。
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一人っ子ということで惹かれて買いました。いろいろ感じてますが、とにかくもう公がハムにしか見えなくなりました。
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筆者は、小学生を題材にした作品が多いが、良く気持ち、行動を押さえていると思う。読み手が自分たちに置き換えた場合に共感できることが多いのではないだろうか。2017.8.25
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うん。昔たしか、こんなだったよ。
我が家は団地ではなく新興住宅地だったが、地元神社のお祭りには参加するのは古くからの集落だけだったな。
(我々は遊びに行くだけ)
・・・・・鈍感だぜ、少年!
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作者のあとがきにあった「小さきものであった自分」という言葉がとても印象に残ってます。
どんな人でも「小さきもの」の時代を経て大人になっていく。そして、大人になると、かつて自分が「小さきもの」であったことを忘れがち。まだ「小さきもの」の自分はそこにいるし、決して消えないとも思う。
重松作品は「小さきもの」の自分を思い出させてくれる。そこが好きです。
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複雑な事情を抱える小学生が、地域のしがらみや友人関係、そして家族内の見えない壁を乗り越えていく物語。
主人公のノブとハム子の状況もさることながら、転校生オサムの存在が異質すぎる。「ど根性ガエル」の五郎のように「~でやんす」が会話の語尾に付き、嘘つきで泥棒という最低の子供だが憎めない。どんなに小さな子でも「男の意地はど根性でやんす。厳しいでやんす」。
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小学生時代の、複雑な家族関係の中で抱くもやもやを描く作品力はさすがな上で、今回は中だるみを感じてしまった。もちろん、名簿を使ったり、公民館、夕陽を使ったりとすごいが。公子(ハム子)が、村山さんに全く心を許さず、四歳の陽介くんを疎むことに心が痛く、共感出来なかった。オサムのでやんす口調のくどさ。どういうクロージングになるのかと。駄菓子屋のおばあちゃん克服。藤田→村山に1週間だけ改名。うーん。それなのかなともやもやを抜け出せなかった。いずれにせよ、子供にとって親の大事さ、弟や妹が抱える劣等感は学んだ。
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【あらすじ】
ノブとハム子は、同じ団地に住む小学六年生。ともに“一人っ子”だが、実はノブには幼いころ交通事故で亡くなった兄がいて、ハム子にも母の再婚で四歳の弟ができた。困った時は助け合う、と密かな同盟を結んだ二人は、年下の転校生、オサムに出会う。お調子者で嘘つきのオサムにもまた、複雑な事情があって―。いまはもう会えない友だちと過ごしたあの頃と、忘れられない奇跡の一瞬を描く物語。
【感想】
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同じ団地に住むノブと公子は小学6年生。共に一人っ子。でも本当はノブには幼いころに亡くなった兄がいて、公子は母の再婚で急に4歳の弟ができたりして。
ふたりの付かず離れずな関係が良いです。ここに4年生の転校生オサムがやってくる。これがなかなかの曲者。でもオサムには複雑な事情があって。
そう、色んな大人の事情があって、6年生の子たちにはまだどうにもできないことがたくさんある。それがもどかしい。でも大人になってもどうにもならないこともある。最後までもどかしい気持ちは抱えたままだったけど、登場人物みんなが優しさを持っていて、どこか憎めなくて、温かみを感じる物語でした。
ちなみにうちの娘も一人っ子。こんな気持ちなのかなぁ。家の中で話せる子ども仲間がいないっていうのはやっぱつまんないのかな。ま、今はこの頃よりも一人っ子が断然多いからまた違うかもしれないけどね。
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うーむ この本も最高によかった~
重松 清氏の「一人っ子同盟」。
子どもが主人公の作品。
人生にはどうにもならないことがある。
子どもには もどかしさが沢山。
どうにも切ない 重松氏を代表する作品だと思います。
あとがきに重松氏の思いがしっかりと詰まっています。
大切な宝物になりそうです。
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子供は大人が思っているよりずっと大人で、大人は子供が思っているほどぜんぜん大人じゃない。
世の中どうにもならないことは確かにあるんだけど、小学生にその諦観があるのがなんとも悲しく、寂しい。
一人っ子にしかわからない寂しさと、孤独感、だからこそ感じる結束感がじんわりぐさっとくるお話。
押し付けがましくない、でも明白なメッセージが伝わってくる、そんな一冊。
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昭和40年代くらいの話だろうか。兄弟がいるのが当たり前というか、一人っ子が珍しかった、そんな時代の話。
それぞれが複雑な事情を抱えている一人っ子の男の子と女の子。その交流というか日常を綴っているんだけど、何か大きなうねりというか事件が起こるわけでもなく、淡々と、むしろ陰陰鬱鬱と、もどかしいくらいに何事にも消極的な主人公という感じで、あまり共感できる部分はなかった。