紙の本
頑張ってます、学校司書さんたち
2017/08/24 05:33
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学校から高校まで学校図書館に入ったことがない。
もう随分昔のことだから学校図書館も今ほど充実していなかっただろうが、体育系のタイプでもなく学校図書館にも行かず、よく学校に通っていたものだ。
今の学校図書館にはオシャレな雑誌や漫画だってあるそうだ。きっと空調だって効いているだろうから、環境的には言うことはない。
それでも生徒たちに本を読んでもらおうと、学校司書さんたちは涙ぐましい努力をしている。
若い人たち向けに編まれた「岩波ジュニア新書」の一冊として刊行されたこの本は、そんな学校司書さんの活動を描いていて、この本を読んだ高校生はきっと学校図書館はどんなものかのぞいてみたくなるのではないだろうか。
著者の木下通子さんは埼玉の高校で学校司書をしている。
埼玉でビブリオバトルを積極的に実施したり、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本」を選んだり、そこで選ばれた本の作者さんの講演を「図書館と県民のつどい」で開催したり、その活動は半端なくアクティブである。
学校司書さんは学校図書館にいるだけと思ったら大間違いだ。
つまり、木下さんの活動は単に本と人をつなげるだけでなく、本で人と人がつながっていくものといえる、
もちろん本を読むことに慣れていない高校生にとっては、まず本を読む訓練が大事だ。木下さんも「本を読むのには練習が必要」と書いている。
そして、その先には木下さんのような大きなネットワークがあるかもしれないよと、この本は教えている。
この本が若い人たちの、本を読む、動機づけになればいい。
紙の本
『読みたい心に火をつけろ!』
2017/07/29 20:30
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
埼玉県立高校の学校司書による学校図書館活用のススメ
と同時に、学校司書のしごと、埼玉県の高校図書館の歴史と活動、読書のたのしみなど、若い人たちと本をつなぐ豊富な実践を語る
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埼玉県の県立高校の現役司書さんによる図書館ガイド。堅い、暗い…といった図書館への先入観をふきとばし、本と親しみ、本を通して人生を充実させることを教えてくれるありがたい場所なのだなぁと一からわかる。地元の小中学校の図書室事情はここ2年ほどで大きく改善して、司書がいていつもあいている図書室がある喜び・楽しさを子らも実感しているところなので、なるほどと思う話も多かった。
ビブリオバトルなどのイベントで縦横に連携して人の輪が広がっていく様子、司書採用試験が一時中止されてしまったときに現役司書たちでイベントをして再開へ向けて働きかけたこと、司書としてのアンテナの張り方など、図書室にこもっているだけ、本を読むのが好きというだけではできない部分のエピソードも新鮮で、司書という仕事の全体像を知ってここから目指す読者もいるだろうと思う。
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学校図書館に司書は必要だと思うし、著者がしている活動も立派だ。
高校生ビブリオバトルも楽しそうだ。高校生も嬉しいだろう。
が、「これでいいのか」という気持ちにもなった。
ライトノベルばかり読む子がいても心配しないで、ライトノベルでお腹がいっぱいになったら、ふつうの本を読みます、とあるけど、そうだろうか。そういう子もいるだろうが、そうでない子も多いと思う。
今ライトノベルもかなり多様化している上、かなりの数が出ており、読者層が上がって、講談社や新潮社でもラノベを読んできた若い人をターゲットにしたレーベルもあり、一般文芸書でも「これはラノベ」と思えるものもたくさんある。ラノベだけ読んでも一生過ごせる、趣味としての読書生活を満喫できる。
高校という教育現場の司書であれば、もう少し名作や古典や翻訳もの、あるいは哲学や科学や歴史など多様なジャンルに触れさせるよう生徒を導くのが仕事ではないか。
子どもに人気のある本を優先すれば、この本で「埼玉県の高校司書が選んだイチオシ本」に挙げられたような住野よる、有川浩、三浦しをん、三上延、東野圭吾、辻村深月などのラインナップになるのは当然だけど、これでは書店の売れ筋と何ら変わらないではないか。
わざわざ司書がイチオシするなら「こんな本もあったんだ!」「知らない作家だけどおもしろそう」「そんな学問もあるのか」といったような本を推すべきでは?
ここに取り上げられた本は圧倒的に文学作品が多く、そうでないものも『空想科学読本』『世界で一番美しい元素図鑑』『翻訳できない世界のことば』など、意外性はない。
まあ、こういう図書館なら生徒は楽しいだろうと思う。今読みたい本がたっぷりあって、買わなくてもいいんだから。
しかし、一生教科書以外で古典や名作、文学作品以外の本と出合わず社会に出ていいのか。
岩波から出ているから期待して読んだけど、ちょっとがっかり。同時期に出た成田康子著『高校図書館デイズ』(ちくまプリマー新書)では、もっとまともな本が紹介されていた。
同じ高校の図書館でどうしてこうも違うのか。
偏差値、などとは言いたくないけど、偏差値が高くなくても読書意欲がある子には流行りの読みやすい本以外も薦めてみるべきではないか。
学校司書は基本一人でやっているので、選書が偏ってしまうのは危険なことだと思う。
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学校図書館に関わる人は読むべし!
学校司書なら、なおのこと読むべし×読むべし!!
大人が読んでほしい本と子どもが読みたい本には、当然のことながら大きな差があり、遠い道程です
この差を埋めることが、埋められる本を用意したり手渡したり、それらの仕掛けを作ることが、学校司書の役割の1つであり、醍醐味かなぁと
丁度『高校図書館デイズ』を同じタイミングで読みました
それぞれの学校司書さんの人柄がにじみ出ていて、視点の違いも興味深く読ませていただきました
この巡り合わせに感謝!
明日からも頑張れそうです
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何もできてないなと思って死にたくなるのと同時に、私にもできることはないかなと探ってる。
何かひとつでも、何かひとつでも。
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2017/9/19
017||キ (4階総記)
「何かおもしろい本ない?」「調べ学習の資料が見つからない…」など、学校図書館には多様な注文をもった子ども達がやってきます。
そんな子どもの「読みたい」「知りたい」に応えるのが学校司書です。
貴女も本当の学校図書館の役割を知って、学校図書館を活用してください!!
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前半は司書のあるあるが詰まっている。
とくに「暇そうでいいな」と言われてカチンとくるとか。
「暇そうに見えた方が生徒も先生も声をかけやすい」という考え方はいいなと思った。
「本を読まなくても生きていける。でも、本を読むことであなたの世界は広がるんだよ。」という台詞も素敵。
後半は実践報告など。
これだけのことができる司書が、全国にどれほどいるのだろう。
読めば読むほど憧れがつのるけれど、「うちでやろうとしたら・・・」とマイナス面ばかり考えてしまって、実行に移せない。
まずは、理解してくれる仲間を見つけなければいけないのだけれど、そこがまた難しい。
「物語は生きるあなたに寄り添ってくれる存在」
これを、私も伝えていきたい。
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学校図書館の活用方法、学校司書の紹介などがとても楽しく書かれている。埼玉県での司書採用試験の復活を目指すイベントの数々にはとても驚いた。今、埼玉県の司書採用枠はとても多いので、司書のアピールがいかに大事か実感した。最後の方の章では、なぜ人は読書するのか著者なりの考えが示されていた。常に考えていたいところ。
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埼玉県の高校で学校司書をしている著者が、ビブリオバトルやフェスティバル、また書店や出版社、作家さんまで巻き込んで毎年イチオシ本(ランキング)を企画し、中断されていた司書採用試験を再開させてしまうなど、一見地味に思える学校司書の活動を紹介しながら、活発な活動を綴っている。
ものすごく具体的に書かれているので、こういう企画うちでもやりたいな、とか、司書のネットワークを活用してこういうことしてもいいんだ!と驚くことばかりでした。
学校図書館の現状や、今なお十分に学校司書が配属されていないことに、やっぱり日本の図書館って世界的に見て遅れてるんだなと納得。まさに現場の声。
わたしも企画頑張ってみよう!
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【由来】
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【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
・
【目次】
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司書一年目のわたしでも共感できて、また励みにもなった本
目指すところが同じだと感じるところがたくさんで勇気付けられました
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すごい実践家。読書や子供たちに対する熱い思いが怒涛のように伝わってきて、こちらまで元気になるよう。
同じ図書館に勤めるものとしては、合間合間に挿入される、実践の記録がありがたい。なるほど、こんな風にブックトークしてるんだな、とかこんなオリエンテーションしてるんだ、とか様子がよくわかるし、 自分でもこんな風にやればなんとかできそう、とか、これは自分では出来ないから、もう少し勉強しよう、とか自分の仕事に引きつけて考え易く、とても良いモデルになる。
また、今ではビブリオバトルの第一人者とも言える木下さんと、ビブリオバトルとの出会いも印象的。自らやりたいと思ったことではなかったのが意外だったけど、与えられた機会を生かして熱心に取り組み、やがて周囲を巻き込んで大きな流れを作っていくのが素晴らしいと感じた。
あの周囲を巻き込む力はどこから出てくるんだろう…。
羨ましくて仕方ない。
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小学校と高校とでは違うなあというのが全体的な感想。
特に「図書館はクラスや学校になじめない子どもたちの居場所にもなります」というのは、私の勤務する児童数1000人を超え、休み時間もカウンターに列ができるような学校では、全く当てはまらない。
以下、参考になった部分
「本を読まなくても生きていけるでしょ」
「先生にもオリエンテーション」
「分類ブックトーク」
「本を読むのには練習が必要」
「勉強で読むこと、楽しみで読むこと」
「インターネットじゃだめなの?」
「物語の楽しみ」
「学校司書には研修が必要です。」
私の働く自治体では十分な研修が行われていないのが残念。
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本当にいろんな活用法、充実させ方があるなぁとメモりながら読みました。第一人者、という感じ。学校司書の端くれとして、木下さんの取り組みや姿勢を見習いたい!!
p.28 面接練習
大学の推薦入試やAO入試の時期になると、志望理由書を見てください、面接練習してくださいと言う3年生が図書館にやってきます。普段、図書館を利用していない生徒も、このときばかりは友達の口コミで頼みに来て、放課後の予約がいっぱいになります。一見、学校司書の仕事と関係ないようなこの面接練習や、死亡竜勝を見ると言う仕事。実は、とても大事な資料提供につながっています。
今の高校生の大学選びは、漠然としている中で始めることが多いのです。取れる資格がはっきりしている、看護系、薬学系、教育系の大学なら、志望理由で自分の体験を語ることができます。
ところが広く教養を身に付けるための学問をする学科を志望する生徒は、特定の教科が苦手だからとか、やりたいことがないからと、消去法で決めてしまいがちです。そうなると、面接で志望理由を言っても、「この学部に進学して何を学びたいか」と言う思いが相手に伝わっていきません。本番の試験までに日がないときは、そんなに丁寧な事はできませんが、まだ、試験までに余裕があるときには、生徒に今まで体験したことや、なぜ、この学部学科に興味を持ったかを丹念に聞いていき、関連図書を進めます。
受験がまさに目の前に迫っているので、普段本を読まない子も、意欲を持ってお勧めした本を読んできます。「もっと早く図書館に来ればよかった」と言われることもしばしばあります。利用し始めた時は、必要の時。大学の図書館もいっぱい使ってね。
p.38 遅刻が多く、雲をつかむようで、ふわふわしていて、授業中眠くて、提出物も滞ると言う状況について、自分でも先生や親がどう見ているかよくわかっていて、言い出せなかったようです。その頃、彼女は、有川浩さんの書かれた「明日の子供たち」や朝井リョウさんの「世界地図の下書き」など、児童養護施設の子供たちの生活を描いた小説を熱心に読んでいました。それが、進路を決める際のきっかけになりました。今は、彼女は養護施設で働くために資格を取ろうと、大学で学んでいます。小説はフィクションです。でも、現実よりリアルなこともあります。子供たちはそんな小説の中の登場人物の気持ちからいろいろな感情に触れ、自分の気持ちに置き換えて逡巡します。その時間がとても大切で、できれば社会に出る前に体験してほしい体験です。本は心を助けてくれる。一人ひとりの子供が、皆違う気持ちを持って、図書館にやってきます。私たち学と学校司書は、図書館の中で、その子に合った声掛けをし、気持ちに寄り添い、時に本を紹介することもあれば、居場所として図書館を使ってもらうこともあります。先生と違って、評価をつけない大人だから、できることも多いのです。
p.45 本の福袋
・袋に入れる本は2冊にする(1冊だと苦手なジャンルのかもしれないけど、2冊だとどっちかが読めるかもしれない)
・先生にメッセージを書いてもらって福袋に入れる
→「図書館福袋にご協力ください。本を読みたいけど何を読んだらいいのかわからない。面白そうな本ないかなぁと、図書館に訪ねてくる生徒に向けて、ぜひ本をご紹介ください。先生方に、ご自分が読んで面白かった本、生徒に勧めたい本を図書館の本棚から2冊選んでいただきます。紹介したい本がない場合は急いで買います。メッセージカードに、お勧めの一言や、生徒に向けて励ますメッセージをご記入ください(記名ありでも無記名でも構いません)。本の紹介を書く必要はありません。読む意欲が出るようなメッセージを!メッセージカードは図書館にありますので、司書まで声をかけてください。中に何の本があるか見えないようにラッピングして(福袋)、生徒が借りていけるように図書館で準備します!」
書いていただくメッセージカードは、昔使っていた目録カードを活用しました。本を上げるのではなく貸し出しなので、バーコードを打ち出さなくてはいけません。図書館ソフトのブックリスト機能を活用し、そこに先生方が選んでくれた本をまとめ、バーコードを印刷。署名がわからないように袋に貼り付けました。ラッピングは100均をフル活用。ピンクとオレンジのカラーゴミ袋と、リボンを用意しました。袋が薄くて透けてしまうので、英字新聞で本を包みます。英字新聞で包むだけでおしゃれな感じになりました。
p.78 谷口先生のビブリオバトルは、グダグダでした。今から考えると参加者のハードルを下げるために、またぐらのビブリオバトルをされたのかもしれません。谷口先生のグダグダのビブリオバトルを見たをかけて私は、「なんだ、ビブリオバトルって、簡単じゃん」「練習しなくても思ったことを言えばいいんだ」「本が好きなら伝わるんだ」と思いました。参加者の感想にも、同様の言葉がたくさん書かれていました。それまで、「ちゃんとやらなきゃ」「人様の前でやるときには、絶対うまく話さなきゃ」と思っていた気持ちがすっと消えて、とても楽になりました。
そもそもビブリオバトルは、うまく話すことや、ちゃんとやることが目的ではありません。「本を通じて人を知る、人を通じて本を知る」のキャッチコピーの通り、それまで知らなかった本や世界に出会い、本を語る人やその人の持つ世界を知り、そのそして自分を知っていくことの連続なのです。
しばらくして高校生対象のビブリオバトルの大会で、しかも県の代表を決める大きな場で、1人の男子高校生のバトラーと出会いました。参加者の中で唯一、新書を取り上げていました。タイトルに惹かれ手に取ったこと、読んだものの内容はまだまだ未消化なこと、それでもその本のテーマについてこれからも考えていきたいと思ったこと、普段はそこまでものを考えたりしないことなど訥々と語ります。他のバトラーの完璧な発表と比べると、たどたどしくて、つい応援したくなるほどです。等身大の彼の言葉が、その本が彼に与えた影響の大きさとそれと必死に格闘して自分の言葉にしようとしてきたのが痛いほど伝わってきました。それから、ビブリオバトルのワークショップの講師などを引き受けても、行きの電車で読んでいた本を紹介しようと思えるようになりました。やっぱり、その時に本に心に響いている本を紹介するのが1番です。谷口先生あの男子高校生のように、「自分の好きな本」について素直に語りたいと思えるようになったのです。ビブリオバトルはいっそう身近なものになりました。
p.157 カレントアウェアネスポータル2013/12/20 No.318に「埼玉県高校図書館フェスティバルに取り組んた3年間ー職種を超えた連携とつながりの中でー」
p.188 佐藤さとる 『だれも知らないちいさな国』
有川浩『だれもが知ってる小さな国』
中川李枝子『いやいやえん』
松谷みよ子『ちいさいモモちゃん』(ももちゃんとあかねちゃんシリーズ)→離婚や死をテーマにした作品
私は本とすぐ友達になって、その世界でたくさん遊びました。現実の世界で嫌なことがあっても、本の世界に入れば、あっという間に忘れて、違う自分になって飛びまわってみました。例えば物語の中に入ってコロボックルに変身したり、押し入れの中に入ってねずみばあさんと闘ったり、とにかく本の中の人たちと遊ぶのに忙しかったのです。そしてそこで元気をもらって現実の生活に戻っていくのでした。
当時、世の中の情報を得る手段は、新聞や本を読むことが中心でした。海外の生活、特にティーネージャーの暮らしを知るには本が1番でした。私は、L・M・モンゴメリの赤毛のアンシリーズや、ジーン・ウェブスターのあしながおじさんといった少女が主人公の物語に始まり、ドイツの作家エーリッヒ・ケストナーなど海外の児童文学のシリーズをどんどん読んでは、その世界に浸っていました。私と同じ年代の子供たちを描いていても海外文学の主人公の方が大人びていて、人間が持つ様々な感情や生き方の描き方がかっこよく、どれもが私にとっては刺激的でした。
p.192 学校司書が生きる環世界
音楽をしたことがある人の音の捉え方や聞き方と、全く素養がない人との捉え方や仕方は同じだろうか…聞き方だけじゃなく、音の捉え方も違うかもしれません。つまり同じものを聞いていても見ていても、その人が学んできたことによって、また担う役割によって全く違った景色をそれぞれが実感していく、そういったことが語られています。
実は「本を読む」と言う行為も、図書館の司書と、一般の読者では違う気がします。皆さんは、自分の好みや知りたいことに合わせて本を選び、読むと思いますが、私たち学校司書が仕事で本を読むときには、「この本は〇〇が好きな〇〇さんに住めるとさそうだな」とか、「この本は〇〇の授業で使えそうだな」と紹介した人や、使う人、使い方を頭の中で分別しながら本を読んでいます。本を購入する時も常にそのことを意識しています。自分の興味関心や、好き嫌いではなく、誰がどういう時に使えるか、あの生徒や先生ならこの本を手に取ってもらえるかも、など実際に使う場面や使いティア読者日本が渡って読む姿を想像しながら本を選びます。さらに、どうしてその本を手渡したいのか、核となる理由が説明できるのが望ましいです。
皆さんも、国語の時間やテストなので、あらすじを書きなさい、または内容を説明しなさいって言われることがあるでしょう。それと同じでほんの1番中心をつかんで説明することも私たち支所の大きな仕事です。ですから私たちは、内容をきちんと理解した上で、生徒や教員に進めるためのポイント��押さえておくようにします。そして直接話す時だけでなく、「図書館便り」に紹介する際にも、どこに引用したらいいのか、このフレーズを使えるかも、といった判断をしていきます。
とは言えあまり細かく説明すると、読んだ気になってしまうので、そこは工夫が必要です。読みたい気持ちに火をつけるには、策を巡らすことが重要です。
司書になりたての頃は、うまく紹介できずに悔しい思いをいっぱいしてきました。本を返しに来た生徒に「面白かった!」と言ってもらいたい、本をきちんと手渡せる司書になりたいと言う思いが私を成長させてくれたんだと思います。さらに言えば辞書として「自分なりの間世界を生きて」、「受け取った」情報を1番良い形で渡そうと努力したのだともいえます。
p.196
分類ブックトーク本の背表紙に貼ってあるこのシールは、ラベルといいます。ここに書いてある数字は、「日本十進分類法」に基づいてつけています。「日本十進分類法端」は、国立国会図書館を除く、日本の他の図書館も共通の本の分類で、0から9-10のジャンルに分けて、本を分類しています。例えば、0 =総記。1 =哲学と、郵便番号のように、その番号を探せば、本が見つかると言う仕組みです最初に、0番は総記。ここには、図書館や本に関する本、どの分類にも入らない雑著と言われるジャンルが入ります。例えば、本の紹介するブックガイドなんかもここに入ります。今、流行っている「おかんメール」などの雑学書は049と言う分類になります。1 =哲学です。哲学や宗教と言うと難しい感じがしますが、ベストセラーになった渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」のような生き方をし直してくれる本や、血液型占いやビブリマンシー何かの占いの本、ギリシャ神話のような宗教や哲学の本もここの分類に入っています。2は、歴史や地理の本です。ここには、漫画で書かれた日本の歴史のシリーズなどもあります。NHKでやっていた連続テレビ小説(通称、朝ドラ)「あさが来た」を見たことある人はいますか?徳川家康など、歴史的人物だけでなく、朝のモデルとなった広岡浅子さんの伝記などもこの分類のところにあります。地理の本の中には、地理の本の中には、外国のブックガイドや写真集もあります。3は社会科学。社会科関係の本は全部この棚です。18歳選挙権が決まり、皆さんももうすぐ有権者です。でも、誰に投票するかどうやって決めたらいいの?そんなときには、こういう本「学校が教えない本当の政治の話」を読んでみてください。日本の政治の仕組みがわかりやすく書かれています。皆さんの中には、国際的な社会貢献をする活動してみたいと思っている人もいるかもしれません。世界の紛争やNGOなどの仕組みが書いてある「よくわかる世界の紛争」などの本もここにあります。せっかく女子校に入学したので、女性について様々な角度から考える方にも興味を持ってください。そういう本もこの棚にあります。例えば、この「絵本日本女性史」シリーズは、原始時代から現代までの女性が社会の中でどんな生活をし、役割を果たしてきたのかが詳しく紹介されています。教育関係の本もこの棚です。保育士や教師の仕事について書かれた本もあります。仕事と言うことでは、職業紹介の本もたくさんあります。中には、こんなかっこいいイラストで職業紹介している「日本の給料&職業図鑑+」もあります。進路選びにも活用してください。4 =自然科学です。ここには、「世界で一番美しい元素図鑑」など、きれいな図鑑もあります。天文や生き物や科学、動物学の本のほかに、身体や健康についての本もこの分類です。それから、正しいダイエットの方法とか、冷えをとるとか、体の仕組みについて解説してある本もこの棚にあります。後は工学や家政学の本です。設計や建築に興味がある人にはきれいな写真集もあります。そして、みんなが1番興味あるかな?お料理は、「基本の料理」「お弁当」「お茶」「洋菓子」「和菓子」など、細かいジャンル分けをして本を見やすくしています。お料理だけじゃなく、ソーイングの本もここにあります。ちょっと前に話題になった「今日も嫌がらせ弁当」などの本もありますよ。6 = 産業。産業ですが、ここには「動物の飼い方」などの本もあります。おうちで飼っている猫が病気になっちゃったなんて言う時は、この本棚を見て調べてね。それから、ここにはテレビ関係の本や、「ディズニーおもてなしの神様が教えてくれたこと」などの本もあります。ディズニーは人気があるので、コーナーを作ってまとめています。7 =芸術、スポーツです。サッカー選手、長谷川誠さんの「心を整える。ー勝利を手繰り寄せるための56の習慣」など、スポーツ選手が書いた本や「技術」「音楽」「演劇」など、皆さんの部活動に直結した本や、芸能人が書いた本などもここにあります。8は言語。言葉についての本です。今年流行った「翻訳できない世界の言葉」など、日本語だけでなく、中国語、ドイツ語、フランス語などいろいろな国の言葉について学ぶ本がここにあります。そして、9が文学。ここは皆さんにとって1番なじみがある本があります。勤務校の図書館では、日本の小説は作者のあいうえお順にこのように著者表示をつけて並べています。皆さんの大好きな有川浩さん、東野圭吾さん、山田雄介さんなどの本もたくさん置いてあります。「ハリーポッター」シリーズなどの外国文学も揃っているほかに、英語の多読に対応した外国語の本もたくさんあります。図書館にあるのは、本ばかりではありません。皆さんが日頃手に取っている雑誌もあります。雑誌の付録は月に1階、ジャンケン大会でプレゼントしています。ぜひ、参加してください。図書館では、イベントの情報や新着図書の情報を、お便りにして配布しています。お得な情報満載なので、ぜひ、この情報誌を読んでくださいね!では、これから10分位時間をとって、図書館の中を自由に見てください。借りたい本がある人は、カウンターで貸し出します。こんな調子で話をしてきます。新入生は図書館=勉強部屋、自修室と考えている人も多いです。図書館=硬くて真面目な本ばかり、と言う1つのイメージを持っている人もいます。それを払拭するのもオリエンテーションの大事な役割です。図書館は、本と人をつなぐ場です。オリエンテーションで、司書が「本の専門家」であることをしっかり認識してもらい、本や調べ物について何かがあったら最初に聞こうと思ってもらえるように働きかけます。また何かを見つけた見つけに図書館に行こうと思ってもらえるように心をくすぐります。オリエンテーションが楽しかったと思えてもらえたら万々歳です。
p.213 そうこうしているうちに気持ちに余裕がなくなっていき、ある日あんなに好きだった本、特に小説が読めなくなりました。本は、私の人生にずっと寄り添ってくれた存在だったのでこれにはびっくりしました。今になって、その時のことを考えてみると、とにかく何を見ても悲しくなって、作品世界にそれまでのように入れないのです。母1人子1人だったことも悲しみを濃くしたのかもしれません。小説を読むのには、想像力が必要です。私の場合、主人公に感情移入してしまうことも多く、それ故、現実の重みが心の余裕を奪ったのかもしれません。
その後、他の小説も読めるようになり、心にも余裕ができました。読めなくなった時期を経たことで、次第に行く本が嫌い、本を読みたくないと言う生徒に、「無理して読もうとしないで、読みたくなったら読めばいいさ」とおおらかに接することができるようになりました。
一方で私は、その出来事を経て、本の面白さを伝えたいと言うよりを強く思うようになり、その後本音や読書にをテーマにした本をたくさん読むようになりました。その中の1つが「本を読む本」です。この本は本を読むための指南書で、読書の意味とは何かから始まって、本を初級、中級、上級と言う段階によって読めるようにする方法が書かれているのですが、そこに「文学の読み方」と言う項目があり、教養書と比較しながら小説の効用を説明しています。積極的に読書をする事はどんな場合にも大切だが、「教養書」と「文学書」ではその姿勢に違いが出てくる。「教養書」を読むときには、目をいつも鷹のように光らせて、すぐにでも襲撃できる体制になくてはならない。しかし私や小説を読むにはこれでは困る。その場合には、いわば積極的な受け身と言うべき姿勢が必要である。物語を読むときには物語が心に働きかけるのにまかせ、またはそれに応じて心が動かされるままにしておかなければならない。つまり無防備で作品を大するのである。10代で「教養書」を読むのはもちろん素敵なことですし大切なことです。でも私は、まず物語や小説を勧めたいと思います。それは、何度も言っていることですが、生きるあなたに寄り添ってくれる存在だからです。それらが伝えるのは、読む作業から読者が得られる経験で、それが上手に伝われば、読者は絵本を読むことで何らかの感情、喜びだったり怒りだったり、悲しみだったり…を得る得ることができるのです。物語や小説は感動や経験を与えてくれるものだからです。
p.227 「図書館は成長する有機体である」:竹内先生から「わからないと言う思いは捨て去るべきものではなく、それを大事にすること。そして、何かが見えるはずだと思って探すこと。見えないと思っていると、そこにあるものも見えない。あるはずだ、と思うと見つかる」と教えられ、まさに、私たち学校司書の仕事の真髄はここにあると思いました。竹内先生はよく、学校図書館の機能、「教」と「育」に分けて説明されます。まさに、学校図書館は「育」の場で、そこには子供の成長を信じて待つ大人が必要なのです。各自治体で資料(本)について、子供について学び続ける専任で専門の学校司書が配置されることを願ってやみません。