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管理工学、政策過程論の専門家による公共政策学入門
2017/10/04 10:02
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済政策や教育政策に比べて「公共政策」は漠然としていて、ピンとこない人も多いと思います。公共政策とは、「政策問題の解決に向けた方針・具体策」のこと。そして公共政策学とは、「政策問題や公共政策を対象とした学問」であり、公共政策の改善を志向しています。「政策に対して投入する知識」と、「政策のプロセスを解明する知識」という、2つの知識を取り扱っていて、前者は主に経済学的な政策分析にあたり、後者は政策の決定や行政の実施の仕組みなど政治学や行政学に近い。総合社会科学、といってもよい、広い分野を扱う学問です。本書では、あまり細かい手法には立ち入らず、問題の発見から、政策の設計、決定、実施、評価という一連の流れを具体的な事例とともに紹介した点が特徴です。本書を読むと、公共政策学がどのような内容を研究対象としているかを把握していただけると思います。また、社会にある問題がどのように問題として認識され、政策が作られていくのか、理解する助けになるかと思います。公共政策学というと、どうしてもいかに解決策をつくるか、という点に注目が集まりがちです。しかし、そもそも問題がどのように発見されるか、そしてどのようなフレームで捉えられ、どう定義されるのか、といった始まりの部分が重要です。ここは経済学などでは扱いづらいところですが、この本では社会学の知見なども踏まえて、1章を割いて論じています。こうした話は、たかがレトリックではないかと言われがちですが、レトリックが重要なのです。たとえば地域公共交通のあり方についても、特定の事業者の経営問題としてとらえられると社会の支持は広がりませんが、「地域の足をどう維持するか」ととらえれば、議論の流れが変わってくるわけです。
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丁寧でよく理解できます!
2018/11/11 07:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
公共政策学というものが、一体どんなもので、どういうものなのかが、丁寧に判りやすく、且つ体系的に書かれており、よく理解できます。
本書の構成がかなり練られた骨組みになっていて、まるでテレビで解説をしてもらっている感覚で読み進んでしまいます。
テーマ自体はかなり多岐に亘りますが、現代社会において、本策を学ぶという事は大変重要であると思います。
こういう本は一読しておくべきです。
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社会問題はますます複雑になり、既存の学問では十分な解決策を提示できない――そうした意識から生まれた「公共政策学」。政治学や行政学、経済学など多分野の知識を総合化した新しい学問だ。専門家のみならず、市民の「知」も取り入れるなど、問題解決に役立つ学問へと進化している。本書は、少子高齢化、シャッター商店街、生活保護、学力低下など、日本の課題を例に取り、公共政策学のエッセンスを伝える入門書である。
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公共政策を問題・設計・決定・実施・評価に分けるプロセス論を基礎とした公共政策学の入門書。入門書としてそれぞれのプロセスを考える事例も含まれており、分かりやすい内容となっています。
公共政策とは何か、よく分からないという方にも十分理解できる入門編で、学生さんや一般の市民の方も読んでいただける本だと思います。
ただ、それぞれを考えるときの政策思考力的な観点は別の書籍に譲るというイメージでしょうか。この書籍のプロセス論をベースに政策OSとしての政策思考力が重要になると思います。
宮脇淳・若生幸也『地域を創る!「政策思考力」入門編』(ぎょうせい、2016年)http://amzn.to/2t3SDu8 あたりもお読みいただくとより理解が深まるかもしれません(難易度は上がりますが…)。
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公共政策学の学問の成り立ちや、政策問題の設定、政策設計、決定、実施、評価の過程について、具体的かつ身近な事例に基づいて説明されています。
専門的な用語もわかりやすく解説されていますし、各章・チャプターごとにまとめが入っていたのもよかったと思います。
個人的には、政策問題のフレーミングの重要性や、現状だけでなく将来予測に基づいて政策設計をすること、さらには政策設計にも戦略が必要という辺りが特に印象的でした。
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「公共政策学」の入門書です。
法学や政治学、行政学、経済学、社会学等の専門科目を、焼き鳥の串のごとし横から刺してまとめあげる分野が公共政策学です。
専門科目を一通り学習した公務員試験の受験生にオススメです。
来年公務員になるという人は、とりあえず読んでおけという一冊だと思います。
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本書は、公共政策学(公共政策を改善し、政策問題を解決することを目指す学問)の成立過程を述べるとともに、国や地方自治体において、政策問題がどのように発見され、政策がどのように設計され、決定され、実施され、評価されるかを具体的な政策を元に述べるものである。本書を読んで痛感したのは、自らの興味関心が公共政策学や行政学ではないのだなということ。しかし、現役の公務員が公共政策学を学ぶことも大切かなあと思う。
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書名が示すとおり「公共政策学」の入門書
網羅的に説明されているために理解が難しい用語や事象
の説明に不足を感じる。
新書という形式のため仕方ない面もあるが、さらに学習したければ紹介されている参考文献等を読み込む必要がある。
政策の形成は中央省庁で執行が自治体という構図がやや強調されすぎている嫌いがある。
組織間の協調の必要性を説いているが、第一線からの政策形成もありうることにも言及して欲しかった。
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政策問題とは「社会で解決すべきと認識された問題」である。ここで気をつけなければならないのが、社会での「望ましくない状態」が自動的に「問題」とはならないということである。「望ましくない状態」=「問題」ではないかと違和感を覚えられるかもしれない。しかし、「望ましくない状態」があったとしても、誰かが気づかなければ、もしくは、それを「望ましくない」と認識しなければ問題とはならないのである。(p.36)
ポリシーミックスにおいて重要なのは、複数の手段による「相乗効果」を発揮させることである。例えば課徴金という単独の手段のみで個人や企業に負荷をかける行為を制限したとする。基準や金額を厳しく設定すればある程度制限できるが、抜け道を探すような個人や企業が出てくるかもしれない。しかし、地道な努力であるが、環境保護の意識啓発を同時に行うことでそのような個人や企業が行動を変えるかもしれない。すなわち、複数の手段をうまく組み合わせることで、政策目的を達成できる可能性が高まるのである。(pp.81-82)
政策を適切に実施するためには、実施の仕組みのデザインとマネジメントが不可欠である。まず、政策が「実施可能性」の観点からデザインされていなければならない。また、マニュアルや主体間の調整といった実施の仕組みを現場からの視点でデザインする必要がある。そして、実際に実施していくうえでは組織間のコミュニケーションが必要であり、さらに、評価と連動したマネジメントによる改善が求められる。(p.211)
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社会で対応すべき「政策問題」の解決案としての「公共政策」を改善するための学問である「公共政策学」の特性と具体的な内容について解説。
公共政策学の来歴を振り返った後、「政策問題の発見と定義」→「解決案の設計」→「政策の決定」→「政策の実施」→「政策の評価」という政策のプロセスの各段階ごとに、少子化対策、中心市街地活性化政策、生活保護政策などの具体的な政策をモデルケースとして、公共政策学の基本的な考え方や手法を説明している。最後に、公共政策の改善に向けた方策を検討している。各内容のポイントを適宜まとめながら次のステップに進んでいくなどわかりやすい構成となっているなど、入門書として非常に優れた内容になっている。
公共政策の改善のポイントとして、政策分析における非専門家知識の取り込み、政策問題のフレーミング戦略の重要性、政策実施の仕組みのデザイン、マネジメントの必要性などが大切であるとよく理解できた。
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公共の内容と政策学の内容についての解説。具体的な政策を例に説明している
政策手段の区分は直接供給・直接規制、誘引、情報提供の3つ。直接介入、仕組み設計、情報提供。
費用便益分析で、費用便益費は1以上であるべきで、1.5以上が求められるものもある。
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公共政策学ってなんだろうと思って呼んだらとても面白い本だった。理論と実践のバランスの良い学問だなと思ったし、自分の仕事にもヒントとなることが書いて会ってとても勉強になった。
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各節や章の最後にその都度内容がまとめられていて素人にもわかりやすかった。
政策による社会問題解決のための学問、とのことだったが、一般的な問題解決の手法としても応用できそうだった。(たとえば問題の要因の分析や、政策実施後の評価の方法など)
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右とか左とか関係ない
声が大きいだけの人で決まってしまうのは嫌だ
限られた資源、幸せの感じ方は皆違うという制約のなかで
科学的に導き出された答えに従いたい
社会学、経済学、政治学、法学、行政学、心理学、そしてデータ分析特に因果推論的な
その他特定分野であれば諸科学の総合的な武器が必要
興味深い、ただ声が大きいだけの人
持論を述べるときに根拠なしに「どう考えても〇〇以外にあり得ない」などとめちゃくちゃな人
が台無しにするという荒野で僕らは、前に進め、る、のか
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170701 中央図書館
新書の中に押し込めるのは、かなり難しかったであろう。少子化、中心商店街活性化、規制緩和、エネルギー問題などなど、政策を決めて実行に移すにあたっては多くのステップが必要であることの雰囲気は掴み取れる。