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<目次>
はじめに~観光はもっとも「希望のある産業」である
第1章 日本の「実力」は、こんなものじゃない~「大観光時代」を迎える世界と日本の現状
第2章 「どの国から来てもらうか」がちばん大切~国別の戦略を立てよう
第3章 お金を使ってもらう「魅力」のつくりかた~「昭和の常識」を捨てて、質を追究しよう
第4章 自然こそ、日本がもつ「最強の伸び代」~「長く滞在してもらう」ことを考えよう
第5章 「誰に・何を・どう伝えるか」をもっと考えよう~「So What?テスト」でうまくいく
第6章 儲けの9割は「ホテル」で決まる~「高級ホテル」をもっと増やそう
第7章 観光は日本を支える「基幹産業」~あらゆる仕事を「観光業化」しよう
<内容>
『新・観光立国論』第2弾。かなり具体的な提案が随所にみられる。そして、耳の痛い指摘も随所に。たとえば、文化財の扱い方(ちょっと前にとある大臣が学芸員を批判して物議を醸したが、著者はこの大臣と似た指摘をする。文化財は保存するだけのものでなく、活用するもの。触るな!写真撮るな!ばかりでなく、例えば二条城の大広間に、什器を並べて江戸時代の使われ方を再現するとか、もっと大胆にあの大広間で食事ができるようにするなど…)。あるいは説明文やパンフレット。無駄が多く、わかりにくい(どころか専門化した理解できないものが多い。もっともな指摘だ)。今のままの日本では、人口が激減し、税収も激減する。文化財ひとつとっても税で賄わなければならないなら、近い将来、日本の文化財は全滅する。観光化することで、各文化財の持ち主(寺社や美術館なども含めて)が自腹で文化財の保護ができるようになる、という指摘は正しい。
外国人ならではならではの指摘、経済アナリストならではの分析。頭の固い日本人にどこまで通用するか。しかし、文化財保護問題からして、待ったなしの状況に直面しているように思う。
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観光業を発展させる事で、観光業を生業にしている人以外に恩恵がないと考えてしまうかもしれないがそれは違う。国内にいる旅行好きに新たな日本の一面を見せる事が出来る。現に最近の観光地はどこもクオリティが高くなっている、日光東照宮は綺麗になり、東照宮に至る道も綺麗になっている。
ほとんどの部分は過去の著作に書いてある事の焼き直しではあるが、スポーツ産業への提言は面白かった。日本のスポーツ観戦はスポーツのみしか楽しめない。スポーツにあまり興味のない人達を呼び込まなければならないと。つまりにわかファンを取り込む事が非常に肝要だ。最近見たニュースではサーフィン、ゴルフなどは競技人口が大幅に減ってしまい、ゴルフに至っては半数が60台以上というゲートボール並みの人口構成となってしまっている。日本には華道、茶道、柔道と道を追い求める求道者のような姿勢が求められるが、それが新しく始めようとする若者への参入障壁となり人口構成を、歪めていると確信している。にわかファンこそ、将来を担うファンである事に全ての娯楽産業の人間は考えを改めなければならない。ファッション登山で良いじゃないか、インスタ映えから始まった観光でも良いじゃないか。
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日本在住歴30年以上のイギリス人、デービッド・アトキンソン氏による日本観光論。彼は元々証券アナリストなのだが、現在は国宝や文化財などの修復をする日本企業の社長を勤めている。
昨年、日本に訪れた外国人観光客は2400万人で、10年前と比較すると3倍に増えており、さらに日本政府は2020年に4000万人、2030年には6000万人という目標を掲げているそうだ。この大きな目標を達成すために必要な施策について、アトキンソン氏は豊富なデータを元に分析している。
現在の外国人観光客は、中国や台湾などアジアからの短期滞在者が中心なのだが、今後目標達成のためには、欧州などアジア以外の地域からのインバウンドを増やし、客数とともに客単価も増やす事が重要である。そのためには爆買い頼りではダメで、五つ星ホテルの整備、文化やスポーツの産業化、カジノの誘致などによる収入の安定化が必要とのこと、もう補助金に頼る時代ではないのだ。
確かに日本は人口減少のフェーズに突入しており、先細って行く税収を補うためには外国人観光客の誘致が有効策、というより必須課題なのかもしれない。はるばる遠方から日本を選んで訪れる観光客のために、受け入れる私達の意識の変化も必要なのだと思った。もちろん歳入の確保も大切な事なのだが、何より一人でも多くの日本ファンが増えてくれればうれしい限りである。
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前著「新・観光立国論」から約2年。その提言を受けた世の中の変化も反映して、実践編としてどのようにしていけば良いのか。その問いに答えた内容になっています。豊富なデータを駆使し、説得力ある内容で書かれています。観光につながるサービス産業に携わる人間は必読なのではないでしょうか。我々はどうなれる可能性があり、そこにどのようにして向かって行くのか。参考となる外国の具体例も書かれており、イメージしやすくなっています。日本人を始め近場から来日する観光客向けにしか整備されていない設備。爆買いに頼る問題点。そこからどのように変化をして行くべきなのか。思い切った「やる」という覚悟を決めるか決めないかだけ。著者の最後の主張が身に沁みました。
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前作「新・観光立国論」のアップデート版。なのでインパクトは薄れたが、従来通りわかりやすくロジカルな展開。今作の特徴はよりビジネス的に観光単価をあげるための提案として、高級ホテルの増加、自然体験観光の充実、カジノ設立など。カジノについては依存性についての反対が多いが、パチンコ、競馬など、より依存度の高くて接触が容易なギャンブルを放置しておいて、より安全なカジノに反対するのはナンセンスとの指摘は面白かった。いったん慣れてしまうと気にしなくなるが、新しいものへの拒否感は強いということだ。
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地方のレンタカーの整備が必要
2025年にアジアから2945万人、2030年に4438万人。UNWTOより。
量よりも質で、入館料を高く。
ドイツがターゲット。
日本は自然災害が多いので、多様性が保てる。
ハンティングツーリズムで獣害を解決。
五つ星ホテルが観光収入をあげる。
観光もスポーツも同じ、一般の人、関心のない人も楽しめるようにする必要がある。
スタジアムはスポーツを見るためのものではなく、いろいろなことができるような場、アミューズメントスポットにする必要があると思った。
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観光大国になる4条件は「自然・気候・文化・食]と筆者は指摘。
そして、日本は文化観光に頼りすぎて、より客層が広い国立公園などの自然観光を十分に整備しておらず、観光客向けの情報発信も不十分。
世界の人が日本に求めてるのは豊かな自然でそれこそ大事にすべきだと主張する。
日本では、自然はお金にならないと言われることがありますが、それは世界の常識に反しています。自然こそ、「稼げる観光資源」なのですと。
とくに日本では、スキーを除いて、自然を使うアクティビティが十分に育っていない。
たとえば釣りや狩猟。日本ではとくに害獣で問題になっているけど世界には金をはらっても狩猟したいひとがたくさんいる。
そういうことがわかってないし、国立公園の整備もマス志向でラグジュアリーのほうにいかない。
とくに「自然体験」も、文化体験よりも長い時間を必要とするので、必然的にそこで落としてもらえる対価が高くなる傾向があるのです。
所用時間はコストに比例する。たとえば15分で食べるファストフードよりは、3時間以上かかる懐石料理のほうが高価格です。
また日本の国立公園というのは、そこへたどり着く交通費と比べて、宿泊施設のバランスがかなり悪い、価格帯の多様性がないという問題があるとも。
たとえば10時間かけて旅行するときに泊まりたいホテルと1時間でとまりたいホテルは価格がぜんぜん違うと。
日本はとにかく昭和時代の大量にひとにきてもらって画一的サービスで処理するという世界からぬけだせてない。
だから日本の観光業者の多くは、「爆買」の中国人観光客を「上客」だととらえていますが、それは「昭和の観光業」の思想を引きずっているがゆえの誤解です。
日本が観光立国化するための補助線としては良書であった
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【定量分析】
感覚ではなく全てがデータに基づいて述べられているので説得力があります。
日本を観光大国にしましょう!
近い将来、観光客を今の5倍にはしましょう!
できると思います。
そうすれば、英語もできるようになるのでは?
あるいはドイツ語もできたりするかも?
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観光ビジネスについて全くの知識なしですが、先輩からの推薦を受けて拝読。
日本は「世界一訪れたい国」になるポテンシャルがあるとの主張をアナリストらしく様々なデータを持って説明。
客観的な分析でありながらも、著者の熱量が伝わってくる文章だった。主張もはっきりしていて分かりやすい。
安倍政権の方針もあり、今後拡大が予想される観光産業の入門にもとても興味深い良著という印象を受けた。
※以下気になった点メモ
・日本は「世界一訪れたい国」になるポテンシャルがある
・グローバルでは観光は大きく伸びている産業。
・WTTCの試算では、観光産業は全世界のGDPの10%。全世界の雇用の11分1を生み出している。
・世界経済において、観光産業はエネルギー、化学製品に次ぐ第3の基幹産業
・安倍政権の戦略成功もあり、2016年度は前年比21.8%成長の2400万人もの外国人観光客が来日。
・訪日客数増加に円安の影響度は薄く、ビザ緩和が大きく影響。
・円安の影響が薄れ爆買いがなくなっても、観光客数に与えるインパクトは小さいと予想。観光業は国際情勢の影響をそれほど受けない。
・爆買いされる商品は他国商品が対象であることが多いため、日本経済に与えるメリットは少ない
・日本のように自然、気候、文化、食の4つの観光資源が揃った国は稀。
・アジアからの集客は順調。次のターゲットはお金を使ってくれる上客はドイツ。
・どの国から何人連れてくるというミクロ目標を持つべき
・これまでの日本の観光産業は売り手市場の「一極集中型」のため、量をいかにさばくかが求められた。
・これからは質を高め、リピーターを増やす必要がある
・日本は「文化資源」ばかりを重要視、「自然資源」にもっと着目すべき
・日本の自然の多様性は「四季」のおかげではない。四季がある国なんてたくさんある
・日本ほど自然災害の多い国はあまりなく、それがこの国の自然の多様性をつくった。
・自然資源はメインの目的になり、滞在日数を稼げる。
・京都ですら観光資源になり得る街並みは減少の一途。自然との抱き合わせでカバーすべき。
・文化保護、自然保護のためにも観光化すべき。
・日本は外国人にとって冷たい国。ネガティブな注意書きばかりで観光客目線になってない。
・マナーという言葉はデリケート
・キャッチコピーで文化のニュアンスを伝えるのは至難の業。もっと写真や映像などを活用すべき。
・価値の多様性に加えて、価格の多様性が必要。
・日本には5つ星ホテルが少ない。ハードは一流でも、ソフトが三流。
・IR(統合型リゾート)にとって収益装置のカジノは必須。
・カジノ運営のノウハウは世界規模で見れは豊富に溜まっている
・IRを入り口として、観光資源を発信していくべき
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新・観光立国論【実践編】
https://store.toyokeizai.net/books/9784492502907/
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ビジネスマン・プロジェクトに携わっている人などに強くおススメ。
内容としては観光に特化している様に見えるが、実はどの企業においての問題解決の手段として非常に有効なアプローチである。
現在の日本には、他の世界との比較を避けているだけでなく、それを良しとして自己満足を強要する空気を強く感じる。この閉塞的現状を打破するためにはどうしたら良いのかを、考え方から具体的解決策迄提案してくれる。
一言で言ってしまえば、「変わらなければいけない」。今迄の成功体験は、「成功」だったのだはなく、人口激増の中での「必然」であって、その経験にしがみついていても、二匹目のドジョウはいないのだ。
おまけにながら、最近流行りのハイライト入り。重要点に目が惹きつけられて思いのほか重宝し、結果通常の倍近い速さで読める。
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前作のアップデート版。
観光業は年々成長して行ってるので、前作から3年経って変わったところ、これからのところが様々見れるのがいいですね。これからも最新版にアップデートして本著を出して欲しい。
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新観光立国論・実戦編
といっているが
前の「新観光立国論」
を書いてから数年間で
どのように日本の観光業が変化したか
そして、さらに良くするにはどういう
改善策があるか
などが書いてある
前の本と比べてそんなに真新しいことは
ないが
より具体的で実践的なことが書いてあった
日本という国を考えるきっかけになるいい本
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「平成の観光業は、日本人のマス向けに作った観光インフラをアジアのマスに使ってもらうというモデルで発展してきた」
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【書評】日本が観光先進国になるための教科書『世界一訪れたい日本のつくりかた』
日本が外国人観光客にお金と時間をかけてでも行きたいと思われる国になるためには、何が足りないのか。
デービッド氏は本書でデータ、事例をもとに今の日本に欠けている部分を分析、そして今後どうするべきかを提案している。
1つ目のポイントは「相手目線」である。
日本人にわかることが、外国人にわかるとは限らない。
同じ言葉でも、国によって受け止め方が異なる。
頭ではわかっていても、日本の情報発信には外国人目線が欠けているものが多い。
これでは外国人観光客が、時間とお金をかけてまで行きたい国にはならないのではないか。
2つ目のポイントは「多様性」である。
日本には幅広い客層が遊べる商業施設がない。
またスポーツ観戦に関しても、他国と比べて幅広い客層に対応できていない。
日本には他国と比べて多様性が足りていないのだ。
外国人観光客が日本におとすお金が少ない所以である。
上記2つのポイントは何も観光業に限った話ではない。
どの業種にも当てはまる話ではないだろうか。
自分の勤めている会社、業界は真の意味で「相手目線」なのだろうか。
幅広い客層に対応できる「多様性」を持たせているだろうか。
現状の観光業を紐解くことで、日本そして我々が見直すべき固定観念が明らかになる。