紙の本
事実に基づいた検討の必要性
2017/12/24 10:21
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投稿者:しゅうろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本から、我々は分かりやすいロジックに飛びつき、「誤った思考」を発展させ、良い成果に行きつかない現在の構造を思い知らされた。
「事実に基づき、課題を見つけ、解決策を検討する」という、基本的な仕組みの重大さを考えさせられた。
原発問題を「事件は現場ではなく、会議室で起きているのよ」という、誤ったロジックへ誘導するマスコミの風潮も課題かと思う。
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脱原発本では書かれていない視点、情報を知ることができました。
・原発再稼働に消極的?な原子力規制委員会
・原子力規制委員会の非科学的な活断層議論
・世界一の水準にある日本の原子力技術
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こういう本が大手の出版社で出版しなかった(出版できなかった?)理由を考えてしまう。原発が必要だという人と反対だという人を比べると、冷静に科学的な側面から論じているのは前者に多いように思う。一般的に、何かに反対の人は「反対でない意見」はみな「自分とは相容れない意見」として一括りにしてしまうことが多くはないだろうか?
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奈良林氏の主張はさておき、櫻井氏の主張は「政府も電力会社も、原発に対する取り組みが非合理的で非科学的である。その結果、世論は脱原発に傾いている。もし、政府も電力会社も、原発に対する取り組みが合理的で科学的であれば、世論は原発を受け入れるはずである」であるように思いました。
しかしながら、政府や電力会社の原発に対する取り組みが合理的で科学的であることは、世論が原発を受け入れるための必要条件であって、十分条件ではないので、櫻井氏の主張は成り立たない、というか、不十分だと思います。
そういう意味では、政府や電力会社やマスコミや国民に、合理的かつ科学的であることを求める櫻井氏自身の姿勢に、合理性や科学の観点からは「?」が付く気がします。
また、櫻井氏は、原発についての合理的・科学的な説明を怠っている(しかも感情的に脱原発を煽っている)マスコミのあり方も責めているわけですが、一般人から見ると、櫻井氏もマスコミ側の人間なわけで、そういう意味では、とっても無反省・無責任で、自分のことは棚に上げた物言いに終始している印象を受けました。
一方で、奈良林氏は、原発を専門とする研究者ということで、原発に対する中立性を保とうとする姿勢を感じましたし、研究者ならではの視点から、原発の失敗に対する反省も述べており、研究者としての矜持を感じました。
ただ、原発を推進するために、原発のもつリスクを軽減したり、原発のデメリットを解消したりするための合理的・科学的な解決法を考え、実行してきた経験を積まれてきた方ということもあり、奈良林氏が、原発推進派として発言してしまうのは、やむを得ないように思いました。
全体的な内容としては、原発が必要な理由、というよりも、「東日本大震災で福島第一原発で事故が起こったのは、政府や電力会社が非合理的で非科学的だから」という点の説明と、櫻井氏による「政府や電力会社の原発に対する取り組みが合理的で科学的であれば、あんなひどい事故は起こらなかったのに」という後出しじゃんけんが中心です、
無反省・無責任で、傍観的で非科学的な櫻井氏の発言が鼻につき、読んでいて気持ちのよい本ではありませんでしたが、奈良林氏の説明については、読む価値がある本だと思います。