紙の本
生き別れた双子の兄妹の物語が織りなす、未完の長編SF
2017/09/10 23:17
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星月夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ピアリス」は、
モーさま(萩尾望都先生)が雑誌「The Sneaker Special」にて、
木下司のペンネームで連載していた、未完の長編SFです。
カラーイラストや挿絵もあり、
巻末にはインタビューや、連載当時のコメントなども載っています。
双子の兄ユーロと妹ピアリスが、空港で生き別れる場面から物語は始まり、
ユーロ目線の物語と、ピアリス目線の物語が交錯して、物語は進んでいきます。
読みやすく、続きが気になって、あっという間に読んでしまいました。
なので、話が面白くなってきたところで止まっているのが、残念でした。
インタビューによると、雑誌が廃刊した状態で話が止まっているようで、
モーさまのコメントからも、続きが刊行される可能性が少ないように感じました。
ユーロとピアリスが、やがては再会し、物語はどう繋がって展開していくのか…
読者側の想像で、話の続きに思いを巡らすのも良いものの、
「ピアリス」の続きが、気になってしまいました。
でも、最後の章「青いリンゴの木」の、最後の一文が、
ピアリスの願いや祈りが込められていて、
良い場面で止まっているな…という印象を受けました。
未完の話でも気にしない方や、モーさまファンにはオススメします。
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実は萩尾望都が書いたSF小説ということで身構えた。なんとなれば「銀の三角」みたいなのが活字で押し寄せてくると思ったから。相当真面目に読まないと理解すらできないかもと。視覚に訴えてくる、つまり文字よりは理解しやすいだろう萩尾SF漫画を何度も何度もページをいったりきたりした我が身なので。そのくらい萩尾望都のSFは難解な面があることも否めないと思う。
ところが、このピアリスは意外と分かりやすくすらすらとストーリーが頭に入ってくる。登場人物たちの会話も非常に分かりやすい。初出誌が何やらジュブナイル向けの雑誌らしいので、ある程度分かりやすさを追求したのか、それとも最初からそのような構想だったのか知る由もないが、萩尾望都の長編SFとしては非常に取り組みやすい作品と思える。
もしも、作者を萩尾望都と知らず萩尾望都が挿絵を描いているというだけの理由でこの本を読んでいたら、やはり萩尾望都の絵が似つかわしいるお話だと思っただろう。この物語のあちらこちら、全体のベースに萩尾ティストが満載なのだ。萩尾望都SFの根幹は時空のねじれを利用して、過去と未来を行き来しキズを修復することだと私は勝手に思い込んでいる。うむ、繰り返す、キズの修復だな。
残念ながら未完のまま発行されたけれども、時を超えて続きを待ち続けます。
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未来を視るユーロと過去を視るピアリスの双子の物語.故郷のアムルーでは戦争が続き難民となった二人は5歳の時に離ればなれになる.それぞれがそれぞれの運命を背負って何かが動き出した.というところで,,これで終わるのですか?とてもショック!
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「ピアリス」萩尾望都著、河出書房新社、2017.07.30
238p ¥1,566 C0093 (2017.08.31読了)(2017.08.25購入)
雑誌「The Sneaker Special」(角川書店/※1995年廃刊)
1994年春号・夏号・秋号・冬号に発表。全4回連載。
【目次】
I ユーロ シモン修道院
II ピアリス 「9×7」
III ユーロ カルカーシュの予言者
IV ピアリス 青いリンゴの木
【巻末特別企画】
萩尾望都インタビュー「SF作家・木下司は私でした」
☆関連図書(既読)
「戯曲・半神」萩尾望都・野田秀樹著、小学館、1987.10.20
「斎王夢語」萩尾望都著、新潮社、1994.09.20
「思い出を切りぬくとき」萩尾望都著、あんず堂、1998.04.23
「一瞬と永遠と」萩尾望都著、幻戯書房、2011.06.14
「マンガのあなた SFのわたし」萩尾望都著、河出書房新社、2012.02.28
「コトバのあなた マンガのわたし」萩尾望都著、河出書房新社、2012.05.30
「物語るあなた絵描くわたし」萩尾望都著、河出書房新社、2012.11.30
「愛するあなた*恋するわたし」萩尾望都著、河出書房新社、2014.05.30
(「BOOK」データベースより)amazon
ピアリスがぼくのような目にあってませんように。決して決して、ぼくのような目にあってませんように。“ユーロ カルカーシュの予言者”より。願いに力があるのなら、あたしは一番にこのことを願おう。いつか、ユーロに会えますように。“ピアリス「9×7」”より。萩尾望都のSF世界。
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萩尾望都さんが20年前に別名義で書いた小説。
当時の連載での萩尾望都さんのイラストもたっぷりで、話もすごく面白い。
が・・・・未完とはーー!未完とは知らずに読んだので大ショックです。完結の予定もないとか。。。
書籍化するなら完結させてからにしていただきたかったなあ・・・・それより
やっぱりマンガで読みたいー!
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未完だよね。
もう書く気はないっていうけど、これからユーリとピアリスが再会して、というところを書いてくれなくちゃ、
続きが読みたい!
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うう未完…。というかこれでは導入部ではないか。やっぱり漫画で読みたいなあ、完結編で。20年前の作品、萩尾望都SF、おもしろさはもちろんだけど、差別と戦争と暴力のテーマについて、いろいろ胸に迫る。「弱さは恐怖に、恐怖が怒りに、怒りが暴力になるのだ。」「あたしたちは、怒りと暴力の世界に生き続けるしかないのだろうか。」
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まず、声を大にしていいたい。未完です! 未完ですよー、みなさん。せめて帯に書いておいて欲しかった(涙)
近所の本屋で見かけ、「萩尾望都の小説・ハードカバー・文芸の棚にポツンと1冊」という状況で、「この地域でこれを買う人は私しかいないでしょ!?」と勝手に使命感にかられて購入してしまいました。
面白かったです。一気読みでした。挿絵が多いこともありますが、文章だけでも望都さまの絵が浮かんでくる。なぜか、コマ割りまでイメージできるという不思議。
そして、第4章を読み始めたところで「あれ、このペースだと終わらないよね……」と気づき(←遅い)、巻末インタビューで「雑誌廃刊のため、連載がとまった」と知ったときの衝撃!
インタビュアー「本書の出版後にファンから絶対(続きを書いてほしいと)言われると思います。」
望都さま「いやいや、そんなことはないです(笑)。」
……というやりとりが、ありますが、続き、読みたいです! もう気になってしょうがないです! せめて、帯に「未完」って書いといてほしいです!(滂沱)
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マンガ家が書いたイマイチの小説か(個人的感想)
「木下司」名義で書いた小説
月刊誌に連載 4号で廃刊 以後未完のまま 掲載当時のイラストも掲載
作者は優れたストーリーテラーだと思うが、マンガと違って絵がない分を文字で描写しなければならない
本人もあとがきで書いているが、むずかしい
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好き……もっとゆっくり読めばよかった……。
苦しい物語が読みたくて読んだけど、すごく苦しい物語だった。
四篇に区切られながら、一冊を通して、ゆっくり、ゆっくり、絶望が深まっていく感じ。
だけど、少年少女たちの間にきらめく鋭い痛みとか激しさもどんどん光度を増して、救われない子供たちの美しさが際立ってきて、なんか、やっぱり苦しかった。
まとまったかんじは無いけど、続きはいらない。だけど、小説ももう書かないってことなのかな?音楽の在りても良かったし、もっと読みたい、です……
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図書館でたまたま目について借りてみた。内容が分からずに読み始めたことが結果としてプラスになることが今まで多かったけれど、この本ではその反対のパターンだった。二人のメインキャストの話が(このページ数で)どう結びついて結末まで持っていくのかに期待しながら読んだけれど「未完の大作」だったとは。しかも続編の予定もなしとのこと。それにしても「去勢」は痛そうだな。
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萩尾氏の紡ぎだす世界は本当に独特で素敵。頭の中がどうなっているのか知りたい。
ただ途中で終わっているのが残念。続きが読みたいです。
小説もマンガと同じくらいの水準だと思いました。
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住んでいた星が戦争になり難民として逃げる空港で生き別れになってしまった双子。SFな世界観も、作者本人による挿絵もとっても嬉しい。双子のそれぞれの人生を描くはずが、問題は未完だということ。4話書いたところで雑誌が廃刊になったらしい。4話だけでもそれなりの厚さがあるので、かなりの長編になったはずの話が、放り出されたままになっていて、とっても消化不良なので、なんとかしてほしいと切実に思う。
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漫画家の萩尾望都が別名義で25年くらい前に雑誌連載したSF小説。当時は作者の正体は隠していたそうで、挿絵のみ萩尾望都によるものとされていたらしいのです。
故郷のアムルー星の戦争から逃れるため双子のピアリスとユーロは、星の空港で生き別れとなってしまう。そのふたりの持つ能力過去を視る力と未来を視る力。それを欲するものの手により攫われるユーロ。ピアリスの住む街を襲う謎の勢力。
物語の扉が開かれこれから面白い展開が待っていると思わされたところで、掲載誌の廃刊により中断されています。
巻末のインタビューでも続きを書く予定はないとのこと。恐らく書きたい核となるものをその後のまんが制作で消化してしまったのかではないかと。
風呂敷を広げ切る前に終えられた世界ですが、それだけでも充分に面白いのです。それは背景に大きな世界を感じるからでしょうか。
謂わば物語り世界に浸る心地好さを味わえる作品なのです。物語に没頭し終わらないがゆえに目覚めぬ夢の如き快楽を与えてくれます。
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1994-95『The Sneaker Special』連載、木下司名義での未完のSF小説。5歳の時、国を追われて別の星の収容所にたどりつき、離れ離れになった双子の兄妹。未来を見る兄は修道院で育ち、過去を見る妹は最低レベルの島で育つ。
時間的に全然無理だからまだ当分は描けないよ、ネタだけはじゃらじゃらと、先の決まらないネタがいろいろありますので…って、マンガ家ってなんてすごいんだ。