紙の本
母親が酷いな
2017/11/21 22:17
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
足の悪いエイダは母親に閉じ込められ、虐待されて育つ。
母親が酷いなと思わされた。
今ほど母親は批判されないのもまた時代なのかな。
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第二次大戦中のロンドン、右足が生まれた時から奇形で母親から虐待され部屋に閉じ込められていたエイダ。母親がパブで仕事をしている間に歩く練習をし弟のジェイミーと疎開の子どもたちの中に入り込みいなか町へ向かう。やっと決まった引き取り手は、子どもを育てたことがない独り暮らしのスーザンだった。
教育も受けられず、自分の年齢さえも知らない姉弟。常に暴力に怯え、叩かれまいと頭を抱える。二人のこれまでに少しずつ気付き始めたスーザンも、自分の足りない部分を補いながらぎこちないながらも親子のようになっていくが…
母親の無知とDV によって苦しむエイダだが、スーザンとの暮らしのなかで本当に自分が求める生き方を探り始める。
単なる疎開児童と戦争のはなしにとどまらず、深く考えさせられる。
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お母さんがクズすぎて言葉にならない。
戦火の中でよい人たちと巡りあえて、自分の意思で物事を切り開いていく主人公に心を動かされる。
良本でした。
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エイダは内反足をもって生まれた11歳(というのもあとから判明するのだけど)の女の子。足が悪いために母親にうとまれ、憎まれ、「見苦しい足の怪物め!」とひどいことばを毎日浴びせられながら、狭い自宅の一室におしこめられて暮らしてきた。外へ出してもらったことはなく、当然学校にも行っていない。
そんなひどい虐待をうけて育ったエイダだけれど、天与の強靱な心を持っていた。ちょうど、5つ下の弟ジェイミー(またいい子なんだ、この子が)が学校にあがったころ、イギリスはドイツと戦争状態になり、ロンドンの子どもたちは爆撃を避けて地方に疎開することに。エイダの母親はむすめを人目にさらす気はさらさらなく、ジェイミーだけを疎開させようとしていたが、エイダは母親が寝ている早朝に、ジェイミーに助けてもらいながら生まれてはじめてアパートを飛び出し、疎開児童の集団にまぎれこんだ……。
ふたりをひきとってくれたスーザンが、オクスフォード出のインテリ女性で、しかも最近愛する女性のパートナーを亡くしたばかりという、この時代には珍しい人物像なんだけど、子どもを引きとる気がなかったこの人がほんとうにいい人で、不器用ながらもエイダとジェイミーをけんめいに育て、愛してくれる。
でもエイダは、この暖かく満ち足りた暮らしはほんの一時のものだと思っているので、スーザンの愛情をすなおに受け止められない。やさしくされればされるほど引いて、ときにははげしいパニックを起こしてしまう。そのあたりの、虐待によるトラウマの描写がリアルでつらかった。
でも、重くて暗いだけの物語ではない。スーザンの家で、ポニーの「バター」と出会ったエイダは、たちまち馬に心をうばわれて、自己流で乗馬をまなび、やがては村のお屋敷の馬丁と仲良くなって、馬の世話のしかたをどんどん身につけていく。馬の描写、自然の描写は、きらきらしていてほっと心が安まる。
エイダとジェイミー、あるいはスーザンの会話にも、はしばしにたくまざるユーモアがひそんでいて、ときどきくすりと笑ってしまうし。
屋敷のおじょうさまマギーとの交流や、ダンケルクの負傷兵救助で出会った酒場の娘デイジーとの交流など、エイダが生来の聡明さと心の強さを発揮して、どんどん人とつながっていくのもいい。
それだけに、母親があまりにもモンスターなんだけど……。でも、こういう親ぜったいいるから。だから、こういう物語がとどくべきところにとどいてほしいと願うのだ。
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ロンドンのアパートの一室でエイダは暮らしていた。足が悪く、それを恥じた母親に閉じ込められ、虐待される日々だった。ところが、ある日、子どもを田舎に疎開させることになり、エイダは弟と一緒に疎開列車に紛れ込む。田舎についた二人は、人嫌いの独身女性スーザンに引き取られることになったが、お互いにとって、なにもかも初めてのことばかりでとまどうばかり。それでも、エイダにとっては、自分の人生を取り戻す戦いがはじまったのだ。
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第二次世界大戦中のイギリス。
主人公のエイダが母親を捨てるまでの戦いの話。
マチルダは小さな大天才を思い出した。
弟がもう少し活きてきてほしいことと、主人公が賢く(教育の面で)なってほしい。児童書として優れているのだけれど、その部分でもやもやしてしまう。
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戦争の足跡が近づくロンドン。
足に障がいを持っているエイダは、弟のジェイミーが疎開することを聞く。弟について疎開したエイダは、「子どもの世話の仕方なんて、しらないのに。」と始めは話していたスーザンと住むことになる。エイダ・ジェイミー・スーザンの三人は、自然に囲まれポニーのバターやマギーなど村の人と過ごし明るくなっていく。バターで石垣を飛び越えられた日に、二人の母親が迎えに来る。
三人はまた一緒に住めるのか。
愛してほしい人に愛してもらえないエイダ。大切な人を亡くし、一人閉じ籠っていたスーザン。血が繋がっている、いないに関わらず「相手を思いやる気持ち」がなければいけない。そんな風に思え、また「自分を認める」め「相手の思いやりを素直に受け入れる」事の難しさもわかる本。
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家に閉じ込められ教育も受けずにいたら、どうやって知識を得ることができるだろう。
親に愛されずに虐待を受けていたら、どうやって人を信頼する心が育つだろう。
そんな境遇で育った11才のエイダの心情が見事に描かれている。
母さんから逃げたエイダと里親や周りの人々との会話のズレ、頑なさ、疑り深さが繰り返し描かれる。だからこそエイダの体も心も自由になるための葛藤と勇気に胸打たれるのだろう。
それはまさに戦いだ。
1939年、英国も戦っていた。
戦時下の状況を織り混ぜながら、厳しい時代を乗り越えてゆく人々の姿が描かれている。
エイダと馬との交流は心暖まる。足の悪いエイダが風のように走る馬にどれほど惹き付けられたか、切ないほど伝わってくる。
(続編につづく)
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2018年高校の課題図書。課題図書というと、読書感想文ようでしょ?との先入観から、“まずつまらないだろうな”と構えてしまうのだが、最近の事情は違うらしい。
一人の足に障害を持つ少女が、第二次世界大戦が始まったイギリスで、自分の障害と運命と戦争とを戦い抜く。
なんとなく伊吹有喜さんの「なでしこ物語」を思い出させる。作者自身が虐待の経験があり、トラウマの描写は読み手の心をえぐるほど。
日本はイギリスと戦った側になるのだが、戦時中の庶民の暮らしはどの国でも同じ、空襲も同じなのだと実感する。
世界が不安定な今、こういった本に触れると、どうにか均衡を保つことの大切さを思わずにはいられない。
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内反足で歩くのが困難なエイダは、母親から虐待を受け家から出られず、周りの住人からも知的に問題があると誤解されていた。第二次世界大戦のために疎開することになり、弟とともに家を出る。エイダの挑んだ戦いとは、本物の戦争だけでなく、母親と周りの環境と、自分の気持ちを大事に生きていくための戦いだった。
はじめは、自尊心の低かったエイダが、スーザンやマギー達との出会いで、自分に自信を持ち意思を表すことができるようになっていく様子は、辛い物語の中で、読み進める力をくれる。
教育や整った暮らしが、子どもにとってどれ程大切かを考えさせられた。
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2016年ニューベリー賞オナー賞
読書感想文課題図書
生まれつき足の曲がった少女エイダが主人公。母親の偏見と蔑視により酷く虐待され、外の世界を知らず、勉強もしていない。弟のジェイミーは学校へあがったが、その為ジェイミーが遊びに出かけると独りぼっちになってしまう。母親は子どもに関心がなく、弟の世話もエイダがしている。そんな辛い状況から抜け出そうと、歩く練習を人知れず始める。戦争が始まり、学童疎開を利用して弟と家を抜け出した。疎開したエイダ達が行った家は、唯一の親友を亡くして虚ろな毎日を過ごしていた独身女性スーザンの元だった。生きる気力をなくしたスーザンだったが、まっすぐに子ども達と向き合い、きちんとした暮らしをさせようとしてくれる。エイダも様々な事を教わり、信頼のできる人と思うが、いずれは別れなければならないのだからと心は許さない。子どもらしく素直で甘えん坊のジェイミーや、鉄のような顔をした婦人義勇隊のソートン夫人、厩舎の無骨そうなフレッドなど、個性豊かな人々の関わりの中で、母親の元に戻されないよう、不自由な足をかかえながら必死に役割を果たしていくエイダの成長と、戦争に翻弄される人々の物語。母親の虐待の理由については彼女自体が持つトラウマなどもわからないが、他の人物は魅力的で読みごたえがある。
大人にもおススメの物語でした。
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こんなにひどい母親がいるはずがない(と思いたい)けれども、実際にもいそうだなとも思った。エイダがスミスさんになかなか心を開くことができなかったけれども、徐々に心を開けるようになってよかった。
物語に魅力があり、引き込まれていった。最初はエイダを引き取るのを拒否したが、スミスさんはとてもいい人だと思った。このようないい大人がいると安心できる。訳者のあとがきにもあったが、スミスさん以外にも、フレッド、デイジーのお母さん、大佐など素敵な大人が話にたくさん出てきていて安心して物語に浸れた。
一方で、アニメチックな表紙や、あまり読みたくなる気がおきないタイトルはひっかかりました。お話がいいだけに残念。
スミスさんがあんなに大切にしているベッキーがどんな人だったかもとても気になった。例えば、学生時代の友人でとか、優しい人でとかといったもの。馬が好きな人だったくらいの情報しかないので、ものたりなかった。
戦争の描き方も、悲惨すぎず、ちょうどよい気がした。エイダがこんないい人に預かってもらえて、うまくいきすぎ? という気もしたが、エイダはひどい母親に育てられていたのでプラスマイナスゼロで人生って、そうやって帳尻が合っているような気もした。
エイダの母親は、どうしてこんなにエイダにつらく当たるのでしょうか? 奇形だから? お父さんが死なずにいてくれたらどうなったのでしょうね? お父さんだけは優しく育ててくれたかもしれませんが、お母さんと一緒になってエイダをいじめたかもしれない。
ひどい母親に育てられたが、エイダが力強く生きていける人間に育って、本当によかった。
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本書は小中学生の課題図書として書店で並んでいるのを見かけたのだが表紙があまりにも「ナウシカ」なので気になっていた。
先日図書館で借りて読んだのだが一応課題図書なのでこのレビューも読書感想文ばりに長くしようと思う。
目に付いたきっかけである表紙は青い服を着た少女が草原に立っていて左には馬、右には戦闘機という情景。
タッチがアニメ風だし隣に戦闘機があるのが「ナウシカ」を連想した要因なのだが、この戦闘機に少女が乗る事は無いのでおそらく戦時下である事を表す記号なのだろう。
しかしこの表紙は作品の主要なテーマである「少女の片足が不自由である」という事を一切描いてないので良く言えば少女の理想の風景、悪く言えば表紙詐欺と言えない事も無い。
そう、この物語は生まれつき右足が不自由でそれを理由に母親から虐待されて育った少女が戦争で疎開したのをきっかけに本当の自分を取り戻すという話である。
いささか全米ナンバーワンヒット的映画のような陳腐なあらすじになって恐縮だが本当にそうなのだから仕方ない。
舞台は英国で最も欧州大陸に近いケント州の小さな村で、主人公の少女エイダは弟のジェイミーと一緒にロンドンから疎開してくる。
疎開と言っても実態は彼女達を疎ましく思っている母親に厄介払いされただけであり、事実彼女の右足は内反足で踵から下が奇妙に折れ曲がり歩行どころか普通に立つのも困難な状況だった。
姉弟はスーザン・スミスという婦人に引き取られるのだがここで母親が幼少期にエイダの足を矯正するという対処をしておらず、幼い子供達に十分な食事すら与えていなかった事が判明する。
エイダを厄介者扱いし暴言をまくしたてる母親こそ精神障害者なのではないかと思うのだが、戦時下の英国でもまだ障害者に対する扱いは偏見と差別に満ちていたのだろう。
普通は戦争による物不足で母親の精神が荒んでいき次第に子供に対して当り散らしたりするものだが、却って戦争で疎開する前の方が人間としてまともに扱われていなかったとは皮肉な話である。
そしてエイダは母親の度重なる虐待で心身共に深い傷を受けており、スミス婦人の家での「当たり前の暮らし」を素直に幸せと感じる事ができなかった。
何かにつけ自分が価値の無いゴミのような人間であるという被害妄想に陥りヒステリー症状を起こすのである。
何もしてないのに殴られて罵られ、満足に食べる事もできず狭いアパートからは一歩も出歩けない。
そんな不幸な環境に慣れ過ぎると他人に対する感謝の気持ちも持てないし幸福に対して恐怖を覚えたりする。
エイダの心情が完全に理解できるとは言わないが人間生きていれば少なからず嫌な事があり、そういう時は少なからず被害妄想に陥ったりもする。
ただ彼女の場合はその原因が全て母親であるというのが悲しく、同時に腹立たしくもある。
そんなエイダも松葉杖によって苦労しながらも歩けるようになり、スミス婦人の家で飼われていたポニーに乗るようになってからは外の世界を歩き回る自由を得た。
少しずつ友達も増えて読み書きも覚えるに至った。
戦争によって却って��由になったのが皮肉ならエイダを以前より強くしたのも戦争だった。
エイダ達を引き取ったスミス婦人は親友の死から立ち直れず毎日を自堕落に過ごしていたような形跡がある。
言わば彼女もエイダとは違う意味で障害者だったのだ。
彼女のただ呆然と過ごす毎日に終止符を打ったのはエイダ達を引き取った事であり、戦争が激化して村に大勢の傷病兵が担ぎ込まれて来る頃には後方支援活動の忙しさから物思いに耽る暇も無くなった。
それと同時にエイダも自発的に傷病兵の世話をするようになる。
疎開するまでは自分に何の価値も無いと思っており、周りの出来事に無関心と言うより敢えて関わりを持とうとしなかったエイダが他人のために働こうとする場面は彼女の成長が見て取れて感無量である。
戦争を賛美するわけではないがエイダは戦争によって大きく変わった。いや、成長した。
先程「本当の自分を取り戻す」と書いたが、実は何が本当の自分かはエイダにもよく分かってないだろう。
まだ11歳なのだから。
それでも「何の価値も無いつまらない自分」から「人のために何かが出来る自分」に変われた事は彼女にとって幸福だったに違いない。
本書には障害者、虐待、子供の権利保護といった問題が山積みになっていて、一番嫌悪されるはずの戦争が一番どうでもいいように描かれている点が興味深い。
結局戦争も人が起こすものである以上、問題の程度としては児童虐待や障害者差別と同レベルであると言わんばかりだ。
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内反足で生まれたエイダは母親から蔑まれ、家の外にも出してもらえず歩く手段も与えてもらえない。自分から歩く練習を始めた頃弟が集団疎開で家を出ることを知る。自分はいく対象になっていないと聞かされるが母親に気づかれないように朝早く出発し、弟と一緒に疎開に潜り込むことが出来た。
兄弟を引き取ったのは自身もパートナーに先立たれ精神的に問題を抱えている様子の女性のスーザン。こどもたちの面倒を見るうちに立ち直る様子が見られ、次第に愛情をかけるようになってゆく。
エイダは長年の虐待のトラウマからうまく心を開いていくことが出来ない。いつ母親の元に戻らなくてはいけないかという不安と母親に植え付けられた自分に対する否定的な評価から幸せを拒んでしまう様子に、胸をしめつけられる思いがする。
虐待を受けた子どもの気持ちで描かれた作品はあまりなかったように思う。新境地の素晴らしい作品。
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戦時中のヨーロッパの話。
足に障害を持ち、虐待されていたエイダ、その弟が疎開先の
スーザンさんのもとで幸せに過ごす話。
ラストはスーザンさんすごい格好いい。