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ゴーストタウン、ゴーストライター、「ゴースト(幽霊)」だけじゃない世の中の消え去った、または消え往く儚いものや人の一瞬を切り取った小説。7編の短編集。その中でとりわけ印象的だったのはミシンが語る『ミシンの履歴』と放置子と戦後ストリートチルドレンが織りなす友情『きららの紙飛行機』と僚友を思って思って天寿を全うしたおじいさんの話『亡霊たち』。最終話の女幽霊が語る、思い出してよは全部の話に関係してくるのかもしれない。死んだら終わりじゃなくてそこから物語が始まることもあるんだね。お墓参り行かないとって少し思った。
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思っていた雰囲気と違ったためか、とても読みにくかった。
(私の家では何も起こらない、風かと思っていた)
女の子とミシンの話は読みやすかったものの、その後から進まず。
不思議な読後感はあったものの、涙があふれるほど感動することができず、私の無知さなのかなぁと思ってしまった。
幽霊連作短編とあったため、
個々で出てきた話が絡み合って一つの何かになっているのかと思ったら幽霊が出てくるという意味で連作で話自体に繋がりはありませんでした。
幽霊というよりも戦争の話が色濃かったように感じる。
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タイトルから怪談的な話を予想していたのだが、1番心に残ったのは反戦のメッセージだった。特に未練を残して死んだ人たちがあの世に渡る前にいる「キャンプ」の話が印象に残った。
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第1話 原宿の家
第2話ミシンの履歴
第3話 きららの紙飛行機
第4話 亡霊たち
第5話 キャンプ
第6話 廃墟
第7話 ゴーストライター
作者本人による朗読会で読む前に本を書くに至った背景や内容をさらりと聞いていたこともあり、時折作者の声が思い出されたり、特別な思いで読了。
読んでいる間中、亡くなった父や母が生きた時代を追体験しているかのようでした。面白かった!
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亡くなった人だけじゃなく、失われたもの、時を経て形を変えてしまった場所などのゴーストが登場する短編集。戦争が絡んでいたりするけれど、重々しい感じはなく、温かさも感じるけど物悲しい、秋の始まりにピッタリの本だった。
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ゴーストというタイトルに幽霊ものなのかと思ったが、幽霊以外にも物や残された者など色んな意味で失ったものたちの声が聞こえた気がした。最後の「ゴーストライター」という短編の中での幽霊らしき女性の台詞がたぶんこの本の言いたかったことを言っているような気がした。亡くなった者の聞こえない声、忘れずにいたい。
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短編7作。
切ない哀しみ。
立ち行かない歯がゆさと、悔恨。
ふとした温かみが胸を抉る。
戦争は何も生まない。
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ゴーストっていうか幽霊なってものもあるけど、怖くなくて、じーんとしたりかなしく感じたり。そういうのはいいやというのもあったけど、楽しく読めた。
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タイトルにもなってるゴーストというのは、「おばけ」も意味しつつ、ものや場所に残る思念のような意味も含んでる。
ゴーストが見える、という場合、そこに含まれる思念は純粋にその場所にある思念なのか、自分の方に何かそれに伴う思念があるからなのか。
ゴーストライターの話のように、ゴーストとの出会いは聞く聞かれるの関係が成立していて、その関係は通常は人間側の都合のいいように考えられている可能性が高い。なぜならゴーストの言葉は基本的に人間には届かないから。
それでも、ゴーストが見えるという時にはゴーストの側の思念の現れだと理解される。
ゴーストの気味悪さは、たぶん、本来語りかけてくるはずのないものが語りかけてくることにあるだろう。
じゃあ、ゴーストがふつうに語りかけられるのだとしたら、何を語るのか。
そういうことを考えようとした小説…かな。
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家に残る想い「原宿の家」、ミシンが見てきた歴史「ミシンの履歴」、「きららの紙飛行機」は、少年の幽霊とネグレクトを受けている少女とのお話。
ほか、全7つの短編作品。
読みやすくおもしろかったです。
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とても不思議な本だった。
読んでていこごちが良いというか、柔らかく受け止めてくれる感じ。話し自体は可もなく不可もなく、文体が優しいのだろう。この人の書くものをまた読んで見たい
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戦争を背景とした(最後の一篇は違うか)ゴーストの連作短編集。
全体に文章がかっちりとした印象で、世界に入り込めなかった。「かたづの」を思うとよけいに物足りない…。
その中で「キャンプ」はとても良かった。最後の方でああ‼と…。
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『小さなおうち』以来の中島京子。7つの短編は時代背景も似ていて、懐かしさや昭和のぬくもりを感じさせるテイスト。巧みなストーリーテリングぶりが相変わらずみごとだなぁと各章ごとに思わされる。
本書のタイトルにあるようにゴースト(亡霊)たちが関わる不思議なお話だけど、怪談の様相はまったくなく、時代背景や史実に基づいた、あるいはしっかり取材した事実も巧みに活かされた、実に地に足のついたストーリーだ(幽霊の話なのにね・笑)。
亡霊、幽霊と書いたが、モチーフは土地、建物、あるいはモノに宿った思い、"念"といったものだろうか。目に見えて現れないものに、姿や形を与え、その意を語らしむ。新しい表現かもと思ったが、そもそも小説家の仕事とは、そういった、我々一般人が言葉に出来ない、さまざまな想いや感情を巧みに文章化するものともいえる。改めて、そう思える作品たち、なので上手いな、みごとだな、と思わされるのだった。
なかでも「ミシンの履歴」は秀逸なお話。ミシンというモノを通して描く昭和史、戦前戦後の女性の立場、社会進出の様子などがよく判る。「頼まれればどんなものでも縫った」とまるでミシンが仕事を引き受けて衣服を仕立てていったかのような表現が面白い。
「きららの紙飛行機」に出てくるケンタという幽霊は、何度もこの世に出て来ては一定期間を過ごし、実際死んだときと同じように、同じ場所で同じ交通事故で死ぬ(というのも変だが)運命にあるらしく、ぐるぐると同じ人生(?)を繰り返す。『ハリー・オーガスト、15回目の人生』等、リプレイものの話をどことなく彷彿させる面白い設定だ。
「亡霊たち」「キャンプ」は、そこはかとなく反戦のメッセージをにじませる。とくに「キャンプ」はいろんな人種が入りまじることからも、昨今の中東情勢からの連想で、いわゆる難民キャンプなのかなと読み進むと、、、この設えには唸らされた。
そして終章「ゴーストライター」。
社史や立身出世譚を本人たちに代わって執筆するなど代筆業を主に営む小さな出版社に就職した主人公が、とある日とあるバーで、ゴーストたちからゴーストライターの極意を聞くという面白おかしい作り。ユニークな設定や昨今話題となったゴーストライター話や過去の有名な代筆の話などを巧みに織り交ぜながら、実は言わんとするところが、本書のバックボーンというか、全編に一本の筋を通すお話であり、小説家としての著者の思いも語られているのかなと感じるところ。つまり、こうだ。
職場の上司、三流編集長は、ポートレート撮影に喩えてゴーストライターの極意をこう説く;
「『おしごと』するカメラマンはね、実物より、ちょっとだけ美人に撮るわけよ。それと同じでね、書くときも、実物より、ちょっとだけよく書く必要があるわけ」
それを聞いていた、そのバーにいた男(恐らく幽霊)は、編集長が寝落ちしてから主人公にこうアドバイスする。
「人というのはね、そうそう、簡単には気持ちを変えないよ。容易には口を開かないよ。口を開かせるには、こちらの思いを伝えなければならないんだ(中略) そうだよ。こちらに思いがなくて、どうして人に語らせるこ���ができるかね」
男が出て行った後を継いで、女(こちらも幽霊?)が言う、
「死んだ者の執念とか、怨念が、生きている人に憑りついてなにかを動かすなんて、そんな古典的なことを、あの人はまだ信じたいのよね(中略) そんなことはないの。起こらないの。実際は逆なの。生きている者の怨念が、あたしたちを骸から引っ張り出すの」
死んだ者の怨念という喩えで、この短編集の骨子を見事いい放っているんだなぁ。生きている者、つまり著者中島京子が、小説の形を使い自分の思いを、ゴーストをして語らしめているのだなということがよく判る。実に、お見事!!
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図書館で借りた本。7話の短編集。幽霊にまつわるショートストーリーなのですぐ読了できる話ばかり。ちょっと尻切れとんぼ感もあるが、電車の中や待ち時間に読む分には程よい長さだと思う。最初の原宿の家が好きかな。
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中島さんについての私のイメージは「なんか可笑しい」。特に長編は、淡々と描かれる中になんだかジワジワと来る不思議な可笑しさがあって好きなのです。
そういう期待をもって読み始めたのが間違いなのでしょう、良い話なのですが、最後の「ゴーストライター」以外は少し肩透かしを受けた気がしてしまいます。短編では、ジワジワ出すのが難しいのかな。
どうも中島さんについては私は長編の方が好きなようです。