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我が秋田県の事例が紹介されていたのはびっくり。かつては物凄い塩分摂取量だったが、文明の発達により貯蔵に多量の塩分を使わなくなり、労働環境の改善で昔ほど汗をかかなくなったためにもはやかつてのような塩分は必要なくなったのだが、長年の啓蒙活動にも拘らず、塩分過多の家庭は多い。ヤマノミ族三年分の塩分を1日で使い切るような異常な摂取をしていた秋田県人の話はクラクラした。
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銃・病原菌・鉄、文明崩壊に続く大著。著者が長年フィールドワークしてきたニューギニアの伝統的社会とアメリカなど現代社会を対比させて論じていく。特に伝統的社会の方が多言語社会であるという指摘は、それぞれが依って立つ文化的背景を残しながら、他の文化への理解も当たり前の生活上の必要として持っていることを示してくれている。他文化への敬意を持つことは人類の最低限の共通項として定着させるべき事と感じた。まだ時間は残されているのだろうか?
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糖尿病やらが終盤に出てきて、なんでこの話?と思うような章に突入しながらも、最後はなるほどと思わせてもらえた。
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「1万1千年前の現代文明」と「現代文明」を同軸比較できたからこその示唆に富んでいる。特に第5部の「宗教」「健康」の内容が興味深い。「宗教」を進化心理学的に捉えた場合、伝統的社会をOrganizeする役割と、貧困層を中心とした自己治癒の役割が述べられているが、例えば神秘性など、現代文明の「時点」の違いで「宗教」の構成要素が変わるのが面白い。また「健康」面では伝統的社会における急速な環境変化による非感染性疾病の増加は人間の精神的適応力と身体的適応力の乖離が如実に表れており興味深い。
こうした文化人類学の考察や知見から人間の進化や本質をとらまえ、脳科学や遺伝子工学へアプローチしていけばさらにそういった分野の研究が進むであろう可能性を感じさせられた。
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作者が人生をかけたフィールドワークを通じて、伝統的社会との比較をしながら、自分達が暮らす現代社会のこれからの有り様や問題解決のヒント等を見出そうとする内容。
上巻レビューでも述べたが、「銃•病原菌•鉄」とは全く違う内容。
作者の年齢も合間ってか、「銃~」や「文明崩壊」等のの研究を通じて作者が感じた事、見えたことなんかを集大成として描いている。事実(歴史)の追求の面白さから、内容は哲学的な色合いが強い。
残念なのは少し内容がくどく感じる点かな。トピックス毎の考察が丁寧過ぎるのか、少し長くなりすぎているために途中で飽きてしまう。
というのも、作者の頭脳のスーパーっぷりは上述の二作に輪をかけてレベルが上がっている。元々は鳥類学者らしいけど、広過ぎる見識(ここまで幅広いと感じた人はいない)からか一つ一つの考察が多岐に渡り過ぎて、常人は着いて行くのがやっと。。。
ここら辺は、もう少しあっさり書いて頂いてもよろしかったのでは、と思う。
ただ、作者が言いたいことを一番詰まっている事は、読んでいてもひしひしと伝わってくる。多分、作者はもうこれほどの長編を書くつもりはない様な気がする。
そういう観点で見ると、「銃~」から始まった旅が終わった様な気がして、胸が熱くなります。
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宗教が発生した理由の一つが、因果を説明するためというのはかなり理解しやすかった。人には因果関係を理解したい欲求があるのと同じくらい、因果関係を説明したがる欲求もあるように思う。今もデマやオカルトがなくならないのはそのためだろう。
マルチリンガルが脳の健康維持に良いかどうかは、そういう結論でいいのかちょっと分からなかったが、これから勉強する外国語に何を選ぶかの考え方は少し影響を受けた。これまでは話者数が多いという理由で北京語が有利だろうと安易に考えていたが、他の価値観もあることがわかった。
高血圧と糖尿病については、人類が将来再び深刻な飢餓を経験する可能性を考えると、因子となる遺伝子が淘汰されてしまうのは人類にとって失敗になるのではという不安を感じた。
上下巻通して、やはり著者のニューギニアでのエピソードがとても魅力的で楽しい。かなり危険を冒して調査に出向いていて、地面に刺さった枝のことを気にしながらも結局鳥の調査を継続していたくだりはちょっと面白かった。(本当に建設的なパラノイアを実践するなら帰った方がよかったのでは…)
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脳科学関連の本(運動脳、食欲人…などなど)が最近ブームになったり、宗教についての解説(非常に初歩的だが…)が盛んにニュースなどで取り上げられたりするが、それらの叡智が全て詰まっている。
ページ数の割に内容が薄っぺらい本が多い中で、本書は様々なコンテンツが凝縮された、非常に読み応えのある本になっている。
著者の書いた順番としては
『銃・病原菌・鉄』→『文明崩壊』→本書 らしいが、文明崩壊よりも前に読んでしまった…順番変えた方が良かったか?
少なくとも、『銃・病原菌・鉄』は事前に読んでおいた方が理解が深まるし、著者のアプローチについても慣れておけると思う。