紙の本
インターネットの功罪
2021/10/24 11:04
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投稿者:ツンドク翁 - この投稿者のレビュー一覧を見る
インターネット90年代に自身もシリコンバレーで起業し、音楽関連の最初期の企業として成功させた著者が、デジル革命について様々な視点から、否定的な面も躊躇なく指摘する内容。
通常目にする無料コンテンツの礼賛やSNSへの熱狂とは一線を画し、冷静に2010年代のインターネット状況を批判する。
インターネットを「大失敗」と表現する内容は、これからますます社会への普及が進むであろうデジタル活用への考察について、豊富な材料を提供してくれる良書である。
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まず、最初に。本書はタイトル通りワクワクするような内容ではない。
むしろ、昨今の「テクノロジー!」「イノベーション!」礼賛な風潮に冷や水を浴びせる内容だ。
当初は公平と自由をもたらすと思われていたインターネットは今や一部の特権階級に富が集中し、オーウェル的な監視社会へと進んでいることを指摘し、警鐘を鳴らしている。
著者の答えとしては巨大なIT企業に対して、IT長者に対して法律や民間の対応により規制をかけるべきだと唱える。
著者の言説はもっともだが、インターネットの負の側面と同じぐらい正の側面があるのではないかと私自身は思っている。
内容については本書を一読してほしいのだが、著者の言いたいことは最後の章と本書前半で言及されている。
そのため、本書はこんなに分厚くなくてもいいのではないかと思う(時間とお金の節約になるだろうし)。
私は本書を購入して読んだが、もしこの本を読もうと思っている友人がいたら、私の持っているものを貸すか図書館で読むように勧めるだろう。
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本書は90年代のITバブルの時代に音楽の配信ビジネスで起業・失敗しながら、IT業界の著述家として活動する著者による、インターネットのダークサイドに関する呪詛である。
著者の結論は極めてシンプルである。それは、「インターネットが人々に自由や力を与えて、より良い社会が作られるというのは、シリコンバレーの起業家による大嘘に過ぎない。むしろインターネットは既存の産業を破壊することで、富を1%の勝者に集中させ、途方もない格差を生み出している」というものである。そのための例証として、顧客第一志向を標榜しながらも従業員の雇用環境は最悪なAmazon、様々なパーソナルデータを本人の預かり知らないところで収集し自らのビジネスで悪用するGoogleやFacebookなどのビジネスの実態が挙げられる。
こうした不正義を是正するための唯一の解決策は、法律と規制により、”シリコンバレーのならず者”の自由さに歯止めをかけることが主張される。それは、「新たな人権」という名目で、実態はシリコンバレーの独り勝ちを面白く思わないEUによる「忘れられる権利」のような形態の規制を取ることとなる。
本書の内容をどこまで信奉するかは、もはやその人の政治主義を問うようなものであり、これが正しいと一方的に結論付けることはできない。ただし、これを読むと、シリコンバレーの脅威に対する日本政府の対応が後手に回っているという危機感はますます強くなる。日本の公正取引委員会が二流の組織であることは間違いないとしても、彼らはこの手の問題が極めて緊急性の高い問題だということを真摯に認識して、競争政策の問題から、シリコンバレーのビジネスの正当性を取り上げるべきであると個人的には強く思っている。
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インターネットによる負の側面に光を当てた作品。
グーグルやアマゾンに代表される企業が生み出したものは、個人に対して満足度を高める結果になったが、一方で雇用の減少、少数者への富の集中など、社会的には負の側面が強い。解消するためには法や規制などによる制限であるとする。
個人的には同意だが、やはりオープンソースなどの善の側面もある。社会・個人全体を含めたバランスを保つために協力し合うことが重要なのだろう。
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口は悪いが、著者の言い分もわかる。ネットで誰でもどこでもアクセスできることを喜んでいたWEB1.0から、応答を個別に対応可能になったWEB2.0でビジネスが大きく変わり、勝ったものが総取りの世界。個人が無料でサービスを受けるかわりに、無料で個人情報を提供することで、ネットガリバーの一人勝ちを助長している。インターネットは平等をもたらすかわりに、ますます不平等を助長する。産業革命の資本家がネット長者に変わっただけで、大衆が搾取される状況は同じ。対策は成金貴族のno-buruobure-juに期待しかないのか・・・・
中国の政府による監視社会を危惧していたが、西側も政府がネット起業に変わっただけで、1984の世界が迫りくる。くわばらくわばら。