紙の本
電力業界がわかる
2020/06/04 07:36
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投稿者:ふくろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
前半は現在の電力業界の状況、後半は今後どうなっていくかについて書いています。電力業界の現状の問題とその問題への対策として検討されていることがわかりやすく、自分で考えるための論点が整理できました。
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電気事業の明日を語る本。
お金2.0を読む前ならもっと感銘をうけたかもしれない。
分散化電源が入って電力量の限界価格がゼロに近づくことは説得力があるのだが、小売会社の今後が見えにくい。事実見えにくいのだからしょうがない、のはそのとおりかもしれないが、基本なくなる、というならいうで断定した方が分かりやすいのではないだろうか。
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分散電源社会。
どちらかというと、CO2削減のためにはどんな社会にすべきかということを論考したもの。
電気自動車の存在が不可欠。
BERも重要。電流の周波数を安定化する役目だったり、提供価値は存在している
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電力の2050年、特に原発が稼働せず人口も減少していく日本で、如何にインフラとしての電力供給を維持していくかを、東電在籍の著者等が若干電力業界寄りではありつつも極力フラットに書こうとしている良書。
分散電源や蓄電池の技術進歩が無いと手詰まり感がいっぱいと。
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パリ協定を契機に脱炭素化が経済合理性に叶うようになり、再エネの導入が飛躍的に進んでいる。太陽光(PV)や風力といった再エネ、原子力、CCS付き火力に今後の発電はシフトし、加えてエネルギーの電化が進む。今でもエネルギー使用の75%は非電化でこれらは電化により脱炭素化と省エネ化を進めていく。
PVの価格が指数関数的に下がり、拡大が著しいがその行く末はエネルギー価格がゼロに近づきあらゆるものの価値がゼロに近づく世界。しかしPVのよう大量の分散化電源の導入は、既存の火力、原子力発電所の稼働率が下がり資本効率を悪化させる。加えてPVには慣性が無いため、周波数や電圧の維持(Δkw価値)ができないし発電量のコントロールもできない(kw価値)。現在のように発電量(kwh)にしか焦点を当てない制度では分散化電源電源が増えていった先で対応できないため、適切にkw価値とΔkw価値を評価する制度設計が必要だ。再エネの変動調整で期待されるのはストレージだが、特にEVの普及が鍵となる。
IOTとブロックチェーン技術により機器単位で電力使用量を安価に把握できるようになり、企業も消費者も電気では無く、「テレビを見る体験」や「料理ができる体験」に対してお金を払うようになり、こうしたサービスを提供するUXコーディネーターに向けて電気は提供されるようになる。ブロックチェーン技術により機器同士が自動で会話し、電力の最適な運用を行う。
脱炭素化圧力と技術の進歩により今後急速に電力システム改革が進むことを予感させる本です。
◯5つのD
・Decarbonization(脱炭素化)
パリ協定: 今世紀後半にカーボンニュートラル達成
・Decentralization(分散化)
再エネの導入により分散電源が増える。しかし風力や太陽光には慣性モーメントがなく、周波数を維持できない、コントロールには知恵が必要。
また、ベース電源の利用率が下がり資本効率が悪くなる。
・Deregulation(自由化)
メタボリックになった電気事業を競争環境に置きスリム化が目的、しかし最適化が進みすぎると投資家と社会で求める設備率に乖離が生まれ、停電や需要の小さい地域が無視されるため、規制も必要。
これまでの自由化で実は電力価格は下がってない
・Digitalization(デジタル化)
IOT, AIの導入
モノから価値、体験を売るビジネスへ
1. 徹底的に消費者の無関心に寄り添い、AIが個人の好みを把握し、足りないものは自動補充(アマゾン)
2. ニーズを創造する。例)ナイキ: 運動を楽しむという体験を提供、そのためのデータ管理アプリを提供
・Depopulation(人口減少)
2040年に半数の市町村の存続が難しくなる、2065年に8800万人、老年人口38.4%、
◯小売
・スマートメーターの普及で家電製品ごとの使用量が見える化されれば、電気ではなく電気を使うサービスの提供になる。
・ブロックチェーン技術によるmachine to machine取引、がマイクロ決済のコストを格段に下げる。
・電力会社は企業や家庭でなくUXコーディネーターへ電気を販売する。
・契約単位が機器や設備になるため、使う電力が事前にわかり、電気代の節約に繋がる。常に使う?一時的?→安い時間帯
◯発電
・電源の非化石化と需要側の電化
・電気は全エネルギーの25%しかなく、75%は直接燃焼。
・原子力は脱炭素化、エネルギー安全保障の観点から必要。しかし自由化された世界で初期投資が大きくリスクの大きい原発は難しい。そこで期待されるのが小型モジューラー原子炉SMR。投資リスクを抑え、負荷追従も可能、
・火力発電+CCS
・地球に到達する太陽光のエネルギーは1kW/1m2、地球全体でみると1hで年間消費量を賄える。
・
◯ネットワーク
・送配電事業は自由化されない。発電や小売りの競争が活性化するような公平な事業運営が必要。
・ユニバーサルサービスを見直し、コスト構造を顕在化させ、仕様に応じた電気代への上乗せが必要。
・託送料金は現在kwとkwhに課金する二部料金制。しかし使用量に応じた費用増分は小さく、ほとんどが固定費によるものなため、一本化が望ましい。
自宅でPVを導入する場合送電線を使う必要が無くなるが、kwhに送電線の固定費の回収も含めて課金している現状だと、不当にPV導入圧力が働く。
また、自宅にストレージを、導入してもhwhに課金される状態だと充放電で課金されてしまい導入が進まない。
◯発電所が提供する価値
・kwh: エネルギーとしての電気の価値
・kw: kwhを需要に応じて入手するための設備を確保する価値。
→取引する仕組み: 容量メカニズム
・Δkh: 需給の変動をフォローし、周波数、品質等の品質を維持する価値。
→取引する仕組み: アンシラリーサービス市場
☆kw, Δkh価値を適切に評価する制度設計が必要。公共財のため基準の設定が難しい。
◯EVの役割
・kw価値供給の担い手となる。全時間帯を通じて90%の車両は停車している。
・常に系統とつながった状態にするのはハードルが高い。
・自動車は個人が所有するものから、アグリゲーターが所有し、輸送サービスとkw価値の提供を行うようになる可能性がある。
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原子力についての考察はとってつけたような印象が拭えないが、縮んで高機能化する受給システムに、電力インフラをどのように接合するかについて深くて広い論点が挙げられており、内容は豊かだ。
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エネルギー問題の専門家達が書いた、2050年時点でのエネルギー産業の未来予測とそこに至るベストシナリオ、ホラーシナリオ。最も印象に残ったのは、良い方のシナリオでいけば、2050年までにはエネルギー(特に電力)は、太陽光等の新エネにより、無尽蔵の供給を得るようになる、というところ。これはブロードバンド時代直前に「これからはジャブジャブ・インターネットになる!」と村井先生を中心として提唱していたあの頃のインターネット業界と重なるものを感じたこと。
ジャブジャブ電力が到来すれば、いまのあらゆる産業や社会は大変革を遂げると思う。機会が莫大に生じる。ベストシナリオだけを信じて今からいろいろ仕掛けたいなと前向きな気持ちになりました。
ちょっと時間がないので、またヒマな時に詳細を書き足します。
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noteにも書いたけど、今後のトレンドを5つのDとしてわかりやすくカテゴリー分けされている点が良い。
またマネタイズ方法がモノから体験"サービス"に移ることをよく理解できる良書
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今後のエネルギー産業がどうなっていくかを分かりやすく説明した本。頭の固い私にはなかなかスッと入って来ない所も多く再読が必要だと感じた。電気は手段であり、今後家計費から電気代が消えるという考え方は面白く、実際にそうなっていくだろうと思う。昔は電力会社に就職すれば安泰だと思ってだけど、時代は変わって行くんだなと切に思う。
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エネルギー業界で働く身として非常に興味深い内容であった。
○電気の購入という概念ではなく、サービスの購入になる。(その中に電気代は含まれている)
○送配電事業者もPVや蓄電池の普及、人口減少によう需要減で全く安定的ではない。託送料金も簡単には上がれないだろう。
事実確認としては非常に役立ったが、一方でその対策としてはもう少し踏み込んだ具体的な内容が欲しかった。ビジネスモデルとかの具体的なイメージがあればより分かりやすかったと思う。
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【内容】
エネルギー業界が直面している、あるいは今後直面するであろう変化について「5つのD」というキーワードでまとめられており、それぞれのDに対する問題点やそれに対する筆者の考え(現状の分析や解決策等)が記載されている。
5つのD
1. Depopulation(人口減少)
2. Decarbonization(脱炭素化)
3. Decentralization(分散化)
4. Deregulation (自由化)
5. Digitalization (デジタル化)
【感想】
「5つのD」というキャッチーなフレーズでエネルギー問題が簡潔に述べられており、今後、日本はどのように変化していくのか、また何をどうすべきなのか、ということを考えさせられる内容だった。
特に日本が抱える大きな問題の1つである人口減少の影響により現状の電力インフラを維持することが困難になる(かもしれない)問題は、今後の更新工事を計画する際、設備の規模感を検討する重要なポイントになると感じた。
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エネルギー業界初心者でも、kWh価値, kW価値, ΔkW価値が何を意味するのか、再エネ増加が電力システム全体にどのような影響をもたらすのか、今後の電力サービスはどうなるのか、を概観できる良い本でした。電気自動車のTeslaがVPP事業を手掛ける現在、全貌を理解するのは大事だと思いました。
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エネルギー関連の本を読むのが初めてだったが、分かりやすかった。
ただ初めて知ることが多すぎて理解しきれていない気がするから読み返す必要はありそう。
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30年後の2050年、エネルギー産業を取り巻く5つのD[Depopulation(人口減少)、Decarbonization(脱炭素化)、Decentralization(分散化)、Deregulation(自由化)、Digitalization(デジタル化)]について書かれておりとても参考になりました。日本や外国を取り巻くエネルギー環境を冷静に考えつつ、極端に脱原発・再エネ促進と向かわずに地球環境及び省エネについても考えていければ良いと思います。
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娘が生きているであろう2050年、2100年へと思いを馳せながら読んだ。約6,000万人まで人口減少すると予測されている2100年の日本。人口減少を見据えたコンパクトシティの実現、妥当性を確保した発電設備のスリム化のために、これまでよかれとされてきたユニバーサルサービスを見直す必要があるという提言が興味深かった。