紙の本
ちょっと弱いかな
2017/12/20 01:38
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
初見の作家さんです。
テレビドラマの「相棒」「ウルトラ」の脚本家として有名なそうですが、私はどちらも拝見したことがないので知りませんでした。
同じような形で作家としてデビューされた方々の中では秦建日子さんや金城一紀さんの作品は何度か拝読したことはあります。
さて本作ですがまずまず面白くは読めました。
作中でいう日本の現状の司法構造や上の解説にある司法の信は確かに問うているのですが、ちょっと弱いかなと感じました。
冤罪を取り上げるときに司法制度や警察の取り調べを云々するならば、同時にこの国のマスコミのあり方も同時に問わなければ説得力が伴わないと思うのは私だけかな?
何かの犯罪で容疑者として警察に逮捕された時点でマスコミに顔や年齢・職業を晒されるこの国の犯罪報道のあり方は、その人物の犯罪であることがが裁判で証明され確定する以前に社会的に葬るのに近いものがあるように思うのです。
現に有罪となった被告に対して裁判官が量刑を下す際に、被告がすでに社会的に制裁を受けているので、そのことを考慮した的なことを述べたと時々報道で見聞きします。
ましてや起訴に至らなかった被疑者や無罪となった被告に対して、逮捕時に行った報道に見合うだけの報道が行われるのを見聞きすることはほぼ皆無ではないでしょうか?
作者がテレビドラマの脚本家というマスメディア側の人間であることが、この作品でマスコミの在り方についての言及がないことに繋がっているのなら、残念です。
紙の本
うーん…
2021/11/18 12:56
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投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
フィクションなので仕方がないのかもしれないが、全体的に展開が都合よくいきすぎているように感じた。要素を詰め込みすぎた感が否めない。
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テレビドラマ「相棒」などで知られる気鋭の脚本家の小説第2作。
第1作『犯罪者』で登場した3人組が、また活躍するシリーズ物ともいえるこの作品。
第2作は、3人組の一人刑事の相馬の幼馴染の家族が巻き込まれる冤罪がテーマ。
書中、主人公の一人が司法の現状を指弾する。
「捜査官は自分の筋読み通りの容疑者を逮捕しようと努力し、検察官は起訴した被告に関して有罪判決を勝ち取ろうと努力し、裁判官は事件の処理件数を上げようとする。その結果、たまに冤罪が起こってもだれも責任を問われず、咎められない」
さらに、冤罪事件を担当した当時の検察官にこう迫る。
「冤罪が生まれるのは偶然じゃない。捜査、起訴、公判、判決、全てを含めた司法構造から必然的に冤罪は生み出されている。この構造がある限り、・・・冤罪被害者は永久になくならない。・・・」
また、捜査で見つかった証拠のうち、被告人に有利な証拠は裁判には提出されないという。有罪率99.9%が、こんなところにも一因があるのだろうか。
日本の司法制度の矛盾を突きながら、第1作同様ジェットコースター的展開で、読者を翻弄させ、小説の面白さを体感させてくれる満足度超級のエンタメ。
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☆4.5
著者がテレビドラマ「相棒」を手掛けているという事で、
読んでると「たしかに相棒でありそうなお話だな。それも2時間特番の。」
という印象だった。
読了後に調べると、やはり特番をいくつか手掛けていらっしゃった。
中盤あたりで、大まかな仕掛けが明らかになり、
「えぇー?!そーなん?!」となり、終盤は怒涛の展開。
終盤どうなることかとハラハラさせるスリリングな展開に。
一方、それがやや急ぎ足に感じられるかも。
どう転んでも後味わるい最後なのではと不安になったが、
落としどころとしてはこれがベストなんだろうな、と。
中盤に少しだけ出てきた姉妹には幸せになってほしいな。
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少年たちの懸命に生きる短い夏の日々の眩しさと、冤罪に翻弄された一家のあまりにも大きな悲劇との対比に胸が痛くなる。聡明な子だという印象が強くなるほど、あの夏の12歳の尚の追いつめられる心情が読んでいて苦しくて苦しくてしょうがない。
自分はまだ人の良心や不正が正される世界を信じたいけれど甘いのだろうか。そんな揺らぐ胸底を、一人一人は微力でも三人合わさると確かな存在感と信頼の絆を発揮する彼らが支えてくれた。
散らばったピースがカチッカチッと埋まって謎が一つ一つ解かれていく度に前に戻って読み返し、場面や言葉の深い裏側を噛みしめる読書となった。
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巧みなプロットに唸らされ、そして冤罪という問題を軸として司法や警察の在り方、また被疑者に対する一般人の目という物にも考えを巡らされる問題作。尚の父を冤罪に追いやった元凶とも言えるあの三人が、ただこれっぽっちのラストでいい訳?もっとガツンと稲妻にでも打たれるような制裁が見たかった気がする。
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よく作り込まれた話だし、冤罪というひどい話を扱っていたので知らなかったことも多く、先が気になってドキドキしながら読んだりもしたので、面白かった読んでよかったなと思ったけど、そもそも私はこういうサスペンスもの?がそれほど好きではない、ということが改めて認識できた1冊でした。
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出来すぎの展開は1度目なら喝采かも知れないが、2回目だと嘘臭い。途中からはすっかり冷めた気分で読んでいました。とても切ない背景は泣ける小説の可能性充分だったのに残念です。
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12歳の夏、最高の夏休みの思い出を残して突然姿を消した親友尚。23年後、刑事となった相馬は少女失踪事件の現場で、あの日尚が残したのと同じ印を見る。「//=|」という印の意味するところは・・・鑓水、修司、相馬のシリーズ第2弾。
「犯罪者」では会社の隠蔽体質を描いた太田愛が今度は、冤罪を通して司法の信を問う。
ーー23年前のその夏、相馬も尚も、この世界を信じていた。罪を犯した人間は、法の下に正しく裁かれ、罪を贖うのだと。だが世界は、自分たちが信じていたものとは違っていた。ーー
やっていない犯罪の自白の強要、証拠の捏造と隠蔽、警察・検察・裁判所の組織的な病理により引き起こされる冤罪。無罪が確定しても回復しない名誉、蹂躙される権利。
そんな法の下の理不尽のために大きく人生が変わらざるを得なかった少年の哀しさ。無邪気な子供のままでいられなかった尚と拓の人生を思うと辛くてならない。
普通の家族の幸せが一瞬にして奪われ、その先の家族の形を大きく変えた事実。
たった一つの冤罪が、その先に連なる無辜の被害者を作ってしまったという結末に暗澹たる思いになる。
太田愛の作品に共通してあるエピローグに描かれる救いが、この切なく哀しい物語にも一筋の光を投げかけてくれた。
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当時12歳だった少年を襲ったいくつもの悲劇。
少年は行方不明になり、今も行方が知れない。
そんな過去が明らかになっていく。
日本の警察や司法のやり方、冤罪の重さ。
裁く側もこの重さをわかって欲しい。
2023.8.15
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第1弾すっ飛ばして2作目から読んだけれど、充分に読み応えがあって面白くて。
先の読めない展開、次々と浮かび上がる謎。
500ページ近くあるのに、それすらも気にならなかった。
ただのミステリーだけではなくて、社会的な問題(今回は主に冤罪と日本の司法の構造について)も取り入れられているが、司法に明るくない私でも内容は理解できたし、上手く物語に溶け込ませているなぁと。
私はこの物語の中に出てくる柴谷の様に、自分がやってない罪について裁判では裁判官がちゃんと話を聞いて、しかるべき判決を下してくれるものと思っていたが、そうではないと知って驚いた。警察、検察が自分達に不利な証拠や証言をいとも簡単に隠蔽、隠滅できてしまう制度。
そして、罪なき人が犯罪者に仕立て上げられ自分の人生、残された家族、親戚、友人などの人生までもを引き裂いてしまう恐ろしさと、非情さ。
クライマックスで尚が、12歳の小さな身体と頭で母と幼い弟を冤罪から守ろうと必死になるくだりでは、思わず涙してしまった。
もしあの時、警察も検察もしかるべき正しい手段で捜査していれば、尚の父も尚も尚の家族も苦しい、死ぬほど辛い思いはしなくても済んだのに、と。
一家は離散する事なく、幸せに暮らせていははずなのに。。。
たらればなのは分かる。だけれど、何の罪もない家族が犠牲になり、裁きをくだした検察、弁護士、そして警察の人間はそんな事を忘れて昇進し、地位も名誉も何もかもを手に入れて、のうのうと生きているのはあんまりだ。
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犯罪者続編。犯罪者があらゆる方向で完成された小説だった一方で、今作で扱われる要素は絞られているのでそういう物足りなさはある。
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この人かな?この人かな?と犯人を想像しながら読むけど思っていた最後とは違った!それにしても登場人物がみんな頭キレすぎ!それでいて人間臭くてとても魅力的!
呼吸を忘れる展開、一段落してため息つきながらの納得。良いところで切り上げられなくて、寝る時間を削って読んだ。これも実写化してほしいけど難しいんじゃないかなー。
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23年前に行方不明になった友人。
そこにあった謎の印。
23年前に行方不明になった子供を探すよう、
依頼する母。
それを請け負う調査員。
少しずつ明らかになっていくと
グイグイ引き込まれた。
2作目ということなので、
少し間を空けて1作目も読みたくなった。
新しい作家発見(ほかの仕事もしている方ですが)。
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子供の頃の美しい夏と、現在の悲しい冬の対比。ひと夏の思い出がこれでもかというくらい尊く描かれているのでそれぞれの登場人物の現在での境遇が切なさを倍増させる。