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夏休みの課題図書として中高生に読んでもらいたい一冊。「こちらあみ子」よりはヒリヒリしない、発達に特性がある子の世界の話。
主人公のジュンは、人と関わるより世の中に溢れる音を集めて音楽を作り、奏でることに忙しい。自分は楽器だから、いつも自分の作った歌を独特な言葉にのせて歌ってる。ジュンは音と四季に敏感で、彼ほど季節の移ろいを繊細に感じられる人もいないだろう。彼に景色がどう見えているかよく伝わってくる美しい文章にときめいた。特にラスト。思春期っぽいくだりもとてもよかった。
ジュンが恋したギターの持ち主の男の子も良い。ジュンとの距離感、周りの友達の目に悩みながらもジュンに影響されて成長していく。
変な子と言われる子を内側から書いていくの、本当にその人の気持ちを自分事として理解できるようになるから良い。
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間違いなく傑作。
歌やメロディを文字であれほど綺麗に表現できるのか。読んでいて気持ちがいいしただただ関心。
登場人物たちもひとりひとり感情移入ができ、胸がしめつけられるシーンが多い。
続編や番外編などがあれば是非読みたい。
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読み始めてわりとすぐに、世界観に惹かれていったのに。
途中から、めちゃくちゃ言葉悪いけど主人公に対して胸糞悪い。
音楽的な独特な感性を持っていて、学校生活のなかで見れば、平気で障害者や精神異常者扱いされがちな変わり者。
独特な感性と変わり者なのは、別に変なことじゃないしダメなことじゃない。そこに才能があるとするなら、潰れないように、潰さないように守ってほしいとも思う。
でも。
「生きにくいのは世界のせい」で、自分が他と違うのは、「他が自分と違う」って思っているように感じた。
自分が変わろうとしないのに、世界が、ましてやすぐそばの周りの人間が変わるわけない。
何かに耐えようとして、その辺にあった木の皮やソファの破れかけた革や落ち葉を、ガムのように噛む。
きちんと向き合ってくれる友だちがいるのに、耐えてるのはお前だけか?ってイラつきもした。
いじめっ子の手下に、金属バットで殴られて、血も出ているのに、バットの音をもっと聞きたいと願ってみたり。
理解できないから無理やり理解しないけど、もう二度と読むことはないな。
最後の完結しない書き方も好きじゃなかった。