紙の本
激変する音楽業界
2018/06/05 10:31
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投稿者:文学少年A - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨今、若いアーティストやバンドがライブハウスを借りてビデオカメラやスマホを置き「Youtube」や「ニコニコ動画」等の動画配信サイトに投稿、のちにiTunes等の音楽配信サービスにリリースし、またはわざわざ楽器を使わなくてもパソコン上でDAW等の音楽ソフトを使い作曲し、「SoundCloud」に曲を発表するようになっている。一方で、CDの売上はここ10年で大幅に激減し、国民的ヒットも消滅するなか、多くの人はコンサートやカラオケにお金をかけ音楽を歌ったり、聞いたりする。なぜ、そういう事が起こったのか。本書では前著「Jポップとはなにか~巨大化する音楽産業」(岩波書店)の続編である。
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現代の邦楽を批判する本ではない。むしろ著者は邦楽を「多様性や自由度を増し、どんどん面白くなっている」と評している。音楽の流通からメディアの変化を考察した一冊。特に第3章は音楽に詳しい・疎い関係なく勉強になる。辻野晃一郎氏が語るウォークマンがiPodに負けた理由も興味深かった。
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Jポップについて色んな角度から語った一冊。
Jポップの音楽的な話かと思いきや、構造的な話が多かった。
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インターネット登場後の音楽をめぐる状況。
今どこで、どういう形で音楽に触れているのか、
ライブハウス・フェス・ネット・パチンコ屋カラオケ結婚式・楽器店への取材。
CDという媒体が売れなくなり、
設備や機材を維持できるかたちで運営される場所が少なくなる。
ライブハウスのノルマ制は日本ならではのやり方。
ライブハウスの経営が安定しても、
音楽を聴いてほしい人は身銭を切ってすり減っていく。
むしろ、レンタルホールと割り切って、
目の前に客がいなくても、
ライブを動画配信すればいいという若いミュージシャンもいる。
大音量を前提にしないカフェで、飲食店としての経営と投げ銭の分配で
店もミュージシャンも客も負担が少なく楽しく続ける、という形が
増えているらしい。なるほど。
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JASRACの収益からパチンコや高齢者向けカラオケが
音楽を聴く場のひとつとなっているのは分かるけど、
それだと一部の有名な、昔から親しまれている曲に集中するよね。
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ウォークマンを生んだソニーの元エンジニアの方のインタビューの中にあった
「日本人は過去の延長線上で未来を考える」の一言が凄い。
確かに、時代が進んでまったく新しい環境が生まれているのに、
それがなかったころのアタマが考えたものに
いつまでも技術をつぎ込んでいくって
今もまだ続いてることで、ぜんぜん意味がないことだってあるかも。
電気自動車もその真っただ中にあるんだろうなあ。
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デジタル化が進んで、アマチュアでも、技術がなくても
安価に音を作れる、発表できる環境が生まれてる中で、
アナログシンセという「肉体性」のある楽器が
注目されているというのが面白い。
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2019年10月11日読了。2017年になり、ミリオンヒット連発の90年代から「Jポップ」がどう変化したか、を読み解く本。刺激的なタイトルだが、死んだのは「タイアップ」のビジネスであり大資本が大量生産したプロダクトを大衆に機械的に届ける仕組みであり、届ける側も楽しむ側も「より自由になった」と言えるのだろうか…。CDの売上が縮小する中で、パチンコ業界・カラオケ業界・ウェディング業界が音楽のサプライヤとして大きな勢力になっている、という指摘は面白い…。確かにいかにフェス文化が根付き隆盛とは言っても、フェスに行かない人には関係ない現象だもんな…。
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J-Popの質自体が悪化したという話では決してなく、J-Popの在り方が変わったということを主軸に置かれている。
文体自体は読みにくいということはなく、明解だった。
項目の一つには、音楽を聴くのが無料になった分、ライブに使われるお金が増えているというところがあったが、世界的パンデミックの中、現行の音楽産業の苦悩が想像された。