投稿元:
レビューを見る
今最も新刊を心待ちにしているシリーズ、なかなか文庫化もされないため図書館予約の後、数か月を待って読了。
今作で特徴的なのは機龍兵装(ドラグーン)の出番が全くナシ!しかしながら息を飲むスリル、アクションシーンは用意されておりシリーズを通しての構成は踏襲されている。過去作品以上に警察内部、各関係省庁の、軋轢、駆け引きに満ちており、やや当惑気味に感じる諸兄がいるのかも?しかしながら魅力的新キャラも登場し(仁礼警部いいです!)個人的にはプラスマイナスでプラスの勝ち!であった。
今作においては物語の視点において夏川警部補、宮近警視の登場が多く、やや印象の薄かった感ある二人の輝きが増している!特に宮近警視、激務である官僚業務の傍ら、友人である城木警視への気遣い、警察官としての在り方と出世レースの間で揺れる人間像、終盤においての沖津とのやり取り…痺れた(宮近!いけ好かないと思ったけどイイ奴じゃないかー!死ぬなよ!)
今回も敵の尖兵たる「狼眼殺手」は非常に魅力的に描かれている。対するは虚無のヒロイン、ライザ・ラードナーであり、当然ながら鈴石緑警部補が絡む。かつての同胞同志での命のやり取り、IRF、北アイルランドの世情は想像に難いが、それぞれが背負うモノが、その対決をよりドラマティックに仕立ててあるのは、これもシリーズのお約束であり月村氏の技量の為せる技であった。
ライザ救うため、己の手を血で汚してしまった鈴石警部補。彼女の汚れた手がライザを虚無の淵から救い上げる手となりうるのか?自次作以降への持越しとなった。彼女には幸せになってほしいと切に願う。そして由起谷vs關 剣平の対決構図が明確になった!これにも痺れる。
何もかも忘れて没頭できるこのシリーズ、次を待ち望む日々がつらい…
投稿元:
レビューを見る
何と今回は龍機兵の活躍一切なし。すごい新境地を開いたものだ。従来の重厚な警察小説に経済小説が加わっても尚、龍機兵シリーズの体を成しているあたりさすがと言えよう。経済疑獄をめぐる捜査がいつの間にか連続殺人事件の捜査にまで発展。挙句の果てにその敵は国家と来たものだ。そんな難題に特捜部はどう立ち向かうのか。さすがの沖津も苦戦を強いられることに。そしてその連続殺人の犯人は特捜部のある人とも因縁があったりと、龍機兵は出ずとも相変わらずのスケールと緊張感。そして、物語は一つの結末を迎えることに。これまでのクライマックスの昂揚感そのままに終わるエンディングではなく、静かな感動が胸を打つ。それでもやはり龍機兵の活躍が見たかったので減点w。
投稿元:
レビューを見る
今回機龍兵が一回も出てこなかった!その点は物足りなかったものの、物語としての重厚さは全然損なわず、かなり読み応えがありました。
仁礼さんがユニークでいいキャラでした。
2018.5.19
投稿元:
レビューを見る
機龍警察シリーズ最新刊。今作は龍騎兵の戦闘がないというかなり思い切った内容に。しかし面白さは抜群。
警察小説の色合いが強くなり更に経済小説・スパイ小説的な側面も加わって濃密な人間模様と高難度の駆け引きが展開されている。
日中合同プロジェクト「クイアコン」に関わる一大疑獄。さらにプロジェクト関係者が次々と殺害される非常事態に特捜部は捜査一課・二課との合同捜査に着手する。
警察内部、国税局、検察庁、政財界、裏社会、中国諜報部。いくつもの勢力の思惑が複雑に絡み合う国家レベルの陰謀。
かつてないほどの窮地に鋭さを増す特捜部長・沖津の「悪魔」の頭脳。
そして警察の捜査網をやすやすと突破する凄腕の殺し屋「狼眼殺手」。その存在がIRFの「死神」ライザ、テロで家族を奪われた鈴石緑の過去の因縁と交錯する。
シリーズの象徴である機甲兵装を登場させない、戦闘シーンも少なめ。それでもここまでの作品を仕上げてしまう著者の実力は間違いなく本物。
物語が次のステージに進んだ感もある。
次巻以降、さらにスケールの大きな展開が待っているはず。もちろん手に汗握る龍騎兵のバトルにも期待している。
投稿元:
レビューを見る
今回も面白い
ハレギは登場しないし、活躍はラードナーだけ。
それでも尿結石と戦いながらトイレにこもって一気読みするハイテンポなストーリーにはまっちゃう。
複雑な謎が少しずつ解けていき、ある程度は予定調和のエンディングに安心する。次回はもっともっとアクションバリバリの作品が読みたいな。
投稿元:
レビューを見る
ドラグーンが出てこない。ストーリーが複雑化しながら、アクションシーンはスピード感あふれる。ただ、シリーズ全体の世界に、ちょっとついていけなくなるかも。
投稿元:
レビューを見る
「敵」が少しはかすめてくるようになって,ますます複雑怪奇な様相を呈してきた.沖津を中心に結束を硬くしていく面々,警察内部の足の引っ張り合いや縄張り意識の中で,警察官に目覚めていく人たちもいることが救いだ.この先どうなるのか次巻が待ち遠しい.
投稿元:
レビューを見る
シリーズの中では一番好きな作品だった。テンポもテーマも女性キャラクターのかっこよさも。でも、敵まではたどり着いてない。次作を待つ。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ第5弾。最新作であり最終作品?いやまだ終わりではなく、続くような気がするが……。また今回も元テロリストで『死神』と呼ばれたライザ・ラードナー警部と特捜の技術部主任鈴石緑、そして新たな敵の『銀狼』(狼眼殺手)が中心として回る話だ。又話が果てしなく大きい。更に特捜部の秘密も明かされるが、その元になるドラグーンの技術に関しては、少し中途半端な形で今だ、その謎は秘密のままだ。これはいつ明かされるのだろうか?
投稿元:
レビューを見る
シリーズ第6作目で、最高潮に達する面白さでした。
しかも今回は龍機兵を登場させず…してこれだけ面白いともう先が楽しみで仕方ありませんね。
警察組織内部の縄張り争いや軋轢、暗闘の面白さ、テロや利権や政治とか犯罪や事件解決への捜査の面白さ、特捜部内での葛藤や苦悶する人間関係、敵味方複雑に入り組んだ中での駆け引き…どれを取っても一級品で、そこへ回復や再生といった人間らしさを取り戻していくドラマが入ってきて、ハラハラし、ドキドキして、涙させられる。このシリーズの面白さは、もう鉄板中の鉄板‼︎ 稀代の天才ストーリーテラーによる最高の一冊!でした。無茶苦茶面白いです。
投稿元:
レビューを見る
経産省とフォン・コーポレーションが進める日中合同プロジェクト「クイアコン」に絡む一大疑獄事件が浮上。特捜部は捜査一課(凶悪犯罪捜査を扱う)、二課(知能犯罪の捜査を扱う)と合同で捜査に着手する一方、最近方々で起きていた数件の殺人事件の被害者が「クイアコン」関係者であることが明らかになる。そして何者かによる「クイアコン」関係者を狙った連続殺人事件は、現在進行形で続いていた。
疑獄事件の捜査線上に浮かびあがるのは、政治・経済界の大物ばかり。そのため警視庁の捜査に検察庁が絡み、さらに巨大な利権が絡むプロジェクトの性質を嗅ぎつけた国税庁も大物の検挙に血道をあげる。
しかし特捜部捜査員たちは困惑する。果たして自分たちは、一体なんの事件を追っているのだろう。
贈収賄の疑獄事件。連続予告殺人事件。黒社会の抗争事件。ゼネコンの談合事件。中国情報機関によるスパイ事件――すべてが混然一体となって不条理の黒い靄を形成し、「クイアコン」の本質を覆い隠していた。
科学が人を救う時代はもう終わってしまった。なのに、科学に夢を見て現実から目を背け、変わってしまった世界を受け入れながら、人々は生きていかなければならないのだろうか?
「――おかしいのは俺の頭か。それとも日本という国の方か」
「どちらでもありません」
「おかしいのは世界のすべてです」
2019年1月8日、IBMはCESにおいて世界初の商用量子コンピューター(名称:IBM Q System One)を開発したと発表。10月23日、グーグルは世界最高速のスーパーコンピューターが1万年かかる計算問題を量子コンピューターは3分20秒で解くことに成功して量子超越性を世界で初めて実証したと発表した。
前作である短編集『化生』で危惧された未来が、本作『狼眼殺手』で早くも現実のものになりつつある。そして現実でもまた、量子コンピューターは実用化への一歩を進めている。
そのニュースを踏まえて本作を読むと、沖津特捜部長たちの焦燥がリアルに伝わってきて怖いくらいだ。本当に、科学は人の未来を明るくすると無邪気に信じる時代は終わったのだと実感する。
けれど人間がもつ可能性の芽は何ものにも摘み取ることはできない。特捜部の捜査員たちと突入班の面々との関係、ラードナー警部補と鈴石技術班主任との関係に、変化が訪れる。変化は諸刃の剣だが、強靭な彼らがさらなる強さを持てるよう願わずにいられない。
さらに警視庁の内外に在籍する、得難い人材が沖津特捜部長のもとに集う。ドラグーンの出番はなかったが、その分人間ドラマが一層重厚に描かれたシリーズ第5弾。
投稿元:
レビューを見る
まさかの龍騎兵戦闘シーンなしの巻。政治的駆け引きと警察官僚の活躍とテロリストとの肉弾戦で構成される異色の一編。
その特色が賛否両論を生んでいるが、俺は賛成側。良質な長編シリーズにはこういう回があっても良いと思うのだ…ただし面白ければ…。この本は十分に面白いし、今後のシリーズに大きなうねりをもたらす既設伏線の一部回収と、新たな伏線敷設をやってのけているし。
狼眼殺手のアクションシーンもオモロイ。ライザについてはもうちょっと強くあって欲しいと思う(あれじゃ、悪い意味で既存の女性ハードボイルド主人公みたい)が、彼女と狼との確執描写は良い。背景が良いからアクションシーンもドキドキ感たっぷりで良い。
龍騎兵シーンなしでもこのシリーズ世界でオモロい小説は駈けると証明された巻。だが、やっぱりそこも大きな醍醐味の一つなので、次回作では大いにそのシーンを期待したい。
次作以降、敵側もきっとすごいドラグーンを出してきそうな気配だし、期待は膨らむ一方である。
投稿元:
レビューを見る
すげえ、機甲兵装全く起動しないで話が進んだ。
んで、面白かった。
いよいよ話が複雑に絡んで来て、次が楽しみで仕方ない。
タイトルのセンスはあんまり好きじゃないけど。
投稿元:
レビューを見る
機龍警察シリーズ、5作目。
これまで存在さえも不明瞭であった特捜部の《敵》がより形となって現れてきた感じ。現代に置き換えれば5G通信システムといったところか、日中間の一大通信インフラ事業をめぐる経済疑獄に対して、特捜部を始め、捜査一課に捜査二課、組対、公安と、警察組織のオンパレード。そこに国税局なども加わって、協力と軋轢の綯い交ぜ状態。「至近未来」の物語とは言えど、現代に通ずる生々しいリアルを感じました。しかも、今回は龍機兵の戦闘シーンは一切無し。ライザと狼眼殺手の因縁の肉弾戦が今作のアクションシーンを飾り、それも見事でした。
最終的には龍機兵の特殊システムがカギとなり、シリーズとしてのストーリーが大きく動いていきそう。今後も楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
キモノ戦こそ無いものの、相変わらず骨太なストーリー構成で満足度の高い一冊。緑とライザの心理描写パートで9割くらい相手のこと考えてるし、展開がそれを超えてきて更にびっくり……。あとバンシーの中で眠る緑、実質間接添い寝では???