紙の本
分からなくてもいい
2019/07/29 00:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
日常に潜む当人にしか理解できない奇行の一瞬一瞬を捉えた詩集のような短編集。物語の性質上、読者に理解させる気はあまりなくて、それでも松田青子さんの解説を読むと理解できなくていいよねって思える。これはそういうタイプの本ではない。突き放される快感がある。分かり合えなくてもいいと肯定された気さえしてくる一冊。
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他人の存在は無視できないし。ゴミ箱とかパソコンとかまで、なんとなく有機物に思えてくるし。生きているだけなのに、まわりは、うるさい。
固有名詞を整理するのが、ちょっと大変。
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カフェ、あなたとパソコンごしに私は図書館で借りたこの本を読み、あなた、仕事中断しては私を見つめ、というのをやっていた。
あまりにすてきな本だから、後日ふたりで買いに行った。
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どんな関係性においても、片方が蕁麻疹に覆われているのが肝心だって、僕は思うようになったよ。
空き缶をつぶし、黄ばんだ新聞紙とともにまとめる。重要書類はシュレッダーにかける。切った爪は捨てる。例の写真と手紙を処分する。宿敵は厄介払いせよ。万難を排して、身軽な生活を。
カーラはこの世には朝方と夜型の人がおり、自分はその両方だが、確実に午後型の人間ではないと気がついた。言葉がでにくくなった。彼女がどんよりとしているのに、物事は不愉快なほど明るかった。
二人は午後の間中ずっとコーヒーショップに並んで座り、周りの世界から必要以上に意味を読み取って過ごした。ボクシンググローブをつけた男が目の前の歩道を歩いていき、それは永遠に一緒にいるという意味だと二人は思った。
この大容量のPDFファイルは私のあなたへの愛のシンボル。図表もたっぷりで、情報が詰まってる。すべて読み込むには時間がかかり、起動中はほかの仕事ができなくなる。・・・実のところ、それはいつも私のデスクトップにある。’ゴミ箱’をからにしてもまだどこかにある。ハードドライブを粉々にしなければならないだろう、私のあなたへの愛のシンボルである、この大容量のPDFファイルのすべての痕跡を消し去るには。
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Amelia Gray 『AM / PM』
文章からなんとなく滲み出てくる雰囲気はA.ベンダーとよく似てると思う。上手いか下手は分からないけど好きか嫌いかだとわたしはとても好き。毎ページに付箋を貼りたくなる掌編集だった。
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アメリアグレイ「AM/PM」http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207353/ … 読んだ。うーーんなんだろな、おもしろくなかった。日常や感情起伏の普遍性をこういう形で表現する作品が海外にはあまりないのか?日本だと私小説で日常を書くのは普通だし、短歌や俳句でシーンや感情を切り取って端的に濃厚に表現できてきてるしなー
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2018年1冊目。
表紙買い。
洋書は昔の有名な作品をたまにしか読んでこなかったので若い作家さんの作品は多分お初。
詩集を読んでいるようでやはり日本人とはまた違う感覚ではあるなと思いつつそれが新鮮でよかった。
これを機に今後は洋書にも色々手を出していく機会を増やそうと思う。
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ほぼ1ページの短いストーリーを集めてゆるやかに繋げた作品。
ミランダ・ジュライを好きな人におすすめかも。
べつに「孤独」「さみしさ」(この二つのワードはこの手の作家を形容するお決まりの言葉)に共感できなくても、というか別にそんなことは感じ取れなくても
単純に、イメージ喚起力のある良い散文として楽しめばよいので、警戒しないで。
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“自分の胸の中にある確かなこの気持ちをどうしたらいいのという時に、ある瞬間、人々は無意識に、〝普通〟から少しずれた、変なことをしたり、口に出したりしてしまうことがある。側から見ると脈略や意図が不明だったとしても、それはその人にとっては、人生に抗おうとする、決死の瞬間だ。そしてそのギリギリの小さな瞬間を、アメリア・グレイは見逃さない――”
訳者の後書きも合わせて読みたい、居にくさに対するやさしい答えみたいな本。世界からはみ出しそうな人たちへ。
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120編のショートショート
何気ない日常の一コマを切り取って,誰にでもあるようなシーンや不思議な状況を目の前にぱぁっと広げたような作品群.テレンスとチャールズがどうも箱に閉じ込められているらしいが,時々その様子が出てくるのだけど,結局どうなったのか(まあどうでもいいことなんだけど)気になった.
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あとから何か決定的だったかもしれないと思い出されるような、すこし特別な瞬間のようでもあり、なんでもない日常のすれ違いのようでもあるシーンを描く断章。
充たされない独特の空気。
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AMとPMが交互にだいたい1ページずつあり、何気ない日常が描かれていく。ただ描かれる日常は何かしら寂しさや悲しさを少し感じさせる。読後感としては絶望を感じることはなく、人の生に対して優しい気持ちになれる。
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あかん、俺にはちょっと合わない、少なくとも今読んでグっとくるものがない作品だった。
人物と彼らを巡る状況のの整理ができていれば、もっと楽しめたのだろう。でも、メモをとったり整理しつつじっくり読むという余裕がなかった。
松田青子訳ということで、面白そうと思ったのだが、出会うタイミングが違ったかな?
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時間と気力があったらそれぞれのページをバラバラにし、出てくる人名などをつなげたりして読み返せば楽しめるかもしれないパズルのような本でした。
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映像のインスタレーションを見ているような気持ちになった、とても好き。
1ページずつの掌編が、一見なんの脈絡もないようなんだけどどこか連続している。今までに読んだことのないタイプの作品。日常と非日常が混じり合って溶け合う感覚…感覚が鋭敏になって広がっていくよう。
人対人になった時は、えらく皮肉で孤独だなと思った。
きっと原語だったらもっとワードのセンスが読み取れたんだろうな…沢山あるけど、「生まれたてのビッチ」がお気に入り。
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"幼児にだってプライバシーが守られる権利がある。今は確かに幼い。我々が生活のために働いているというのに、ロンパースを着て転げ回っている。けれど近い将来彼らは深く考えるようになり、話すようになり、社会の一員となるのであり、幼児の権利と人間の権利を、砂場に線を引くように分けようとするあなたは何様なんですか?"(p.65)