紙の本
キリスト教を受け入れる人々
2023/07/12 09:08
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投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代のキリスト教というと、伴天連追放令として弾圧、棄教、殉教と重苦しいものを感じえない。あるいは、その中でも信仰に燃える人々に暑苦しさも感じる。少なくとも、今の時代に生きる私には、少し勘弁して欲しいと思える部分がある。
この小説は、そうではなくキリシタン大名であった大友宗麟の夢、キリシタン国をつくることを託された家来から始まり、キリスト教(カトリック)を当時の人が如何に受け入れ、信仰していったかといったことが肩肘張らず素直に描かれている。
今のように様々は情報の溢れる社会でなく、教育がいきわたっている訳でもない当時において、本当に素直に信仰を受け入れる人々がいたということに、自分を顧みて反省をした。この本を読むと、扨、今の時代に本当の信仰人がいるのかなと自分も含めて考えてしまった。
読みやすい小説で、良作だと思う。
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九州,大友宗麟の家来だった養父が高橋という村の大庄屋となって,大殿の夢である信仰の国を作るという思いにこういう武士もいたのだと感心した.伝道と祈りの世界が為政者の考えで翻弄される様子,それにも負けず百姓たちの素朴で純真な信仰が物悲しい.
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宗教心は無い。歴史ものは好きだけど、些細な史実を列記する史書的作風は苦手。本当なら、そんな私には苦手なタイプの作品のはずなのですが。。。
先日、九州北部豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市の近郊を舞台に、秀吉による禁教令から明治の解禁までの300年にわたり、一村全体で宗旨を守った隠れキリシタンの歴史を綴った上下2巻の大作です。
禁教が動きにどんどん追い詰められながら「胸の中で祈り信じる事さえ守れば良い」と踏み絵もし、寺へのお参りもする。そうして守った信心です。
印象に残るシーンがあります。藩から仏教寺院への宗旨人登録を要求され、村の代表として庄屋が僧侶の元を訪れる場面です。村人たちが互いに助け合って見事に農作業をし、他村の飢民や捨て子を受け入れてきた事を数十年にわたって見てきた僧侶は「それは仏の教えと同じだ」とキリシタンの教えを守りながら末代にわたり宗旨人登録を請け負うことを約束するのです。
この作品に描かれる江戸時代の禁教令だけでなく、十字軍遠征、昨今のイスラムテロなど、宗教には悲惨な歴史が付きまといます。それらは他教を排斥するという狂信的な信仰や、信仰の陰に隠れた権力争いが元になって居ます。ほとんどの宗教は本来、自らを律し、他者に慈愛を持つことを説いています。他教への寛容さがあれば、もう少し世界は良くなるのでしょうが。
この物語は、帚木さんの故郷である福岡県が舞台です。隠れキリシタンというとどうしても長崎が頭に浮かび、福岡県でもそうした村が有ったことを浅学にして初めて知りました。また登場人物の一人・ペドロ岐部神父の事も初めて知りました。江戸初期に国外追放され、マカオで日本人は司教になれないと悟ったペドロ岐部はローマを目指します。インドのゴアからは単独で水夫や駱駝曳きをしながら日本人として初めてエルサレムに足を踏み入れ、その後ローマまでたどり着きそこで司祭になります。その後、ますます禁教令の厳しくなった日本に潜入し、最終的には仙台で殉教するという凄まじい人生を送った人です。幾つか小説化されて居るようなので、そのうち読んでみたいと思います。
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海を渡り日本に来て、日本の言葉や文化を覚え、いろんな土地を渡り歩いて神の教えを伝えてゆく神父や修道士たち。その説教を聞き、農民たちは信者となってゆく。百人を超える農民たちがそれぞれ布や木で手作りしたロザリオを持ち、皆で祈りの言葉を唱えるシーンは、布教してきた神父たちにとっても圧巻であっただろうな。淡々としていたけれど読みやすかった。今度の日曜日は教会に行こう。
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キリスト教が日本にどのようにして入ってきたのか、人々にどのように受け入れられてきたのか、ずっと関心があったので、本作により、その一端を垣間見ることができた。
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戦国時代のような、混沌とした、秩序なきタイミングだからこそ、
宣教師たちは日本全国に足を運び、布教活動できたのだ、
と読み深めるにつれ、そう思うに至った。
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九州の戦国末期から江戸時代のキリシタン歴史小説。
上巻は戦国末期で時代的には信長の隆興から関ヶ原の戦いまでで、布教が広がってゆくのを感じました。
とはいえ、九州豊前の庄屋が舞台なので、直接歴史にはかかわらず、あくまで時代に流される人々が描かれる。
作者の歴史ものは淡々としていて感情移入しずらく、読み進みにくいのですが勉強にはなりました。
九州は不案内なので地図が欲しかったところです。
下巻は江戸時代のキリシタン弾圧を描くと思うので気が進まないですが、地図と年表は欲しいですね。
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大友宗麟がキリスト教の王国を夢見た九州を舞台に、信長、秀吉の死を経て関ヶ原の戦いが終わるまでの話。バテレン追放令が発せられこれまで順風だった宣教に波が寄せてきた。純真な農民たちの熱心な帰依が印象的。2024.2.9