紙の本
琥珀の夢
2017/11/05 23:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エクスカリバー - この投稿者のレビュー一覧を見る
サントリーの『やってみなはれ』は、佐治氏の口癖ではなく、創業者の精神だったのですね。
大阪では、昔から何かと話題の多い、世界企業のひとつサントリー。その歴史を人情味溢れるエピソードを折り込みながらの、なにわの商人(あきんど)物語。いやぁ、読みながらなんか懐かしい、船場言葉もちらほら。テンポもよく、いいお話しでした。
是非『読んでみなはれ』。
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日経の連載で読んでいた。いい話だった。
たまたま連載がはじまる前、北康利の『最強のふたり』や、開高健/山口瞳の『やってみなはれ みとくんなはれ』を読んでいた。 そこに連載がはじまったので、スッと入っていけた。
サントリーの上場もいよいよカウントダウンだと言われていた時期だっただけに、日経もサントリー創業者の話を取り上げることで、上場話を盛り上げるため、あるいは取材をしやすいようにと考えてのことかと勘ぐったもの。
日経の思惑は分からないけど、作者の伊集院静は、そんなたまたまのタイミングで執筆したのでもなく、何のゆかりもなく書き始めたのではないことを、連載が終わってしばらく経ってから当の日経の記事で知った(2017/9/10)。「一葉の写真」と題された一文。
著者の仙台の仕事場、茶褐色に色あせた写真が飾ってあり、そこには一人の老人と、隣りに二人の少年が兄弟のように肩を組み笑っている。
「私が東京で何かにつけて世話になり、相談にのってもらっていた人の写真だったからだ。」
その老人が、本書の主人公、鳥井信治郎その人だ。
これまで私小説を書いてきた著者が、経済、経営の話を書くのははじめてのことだったらしいが、いわゆる経済小説、経営者の成功譚というより、人物そのものに寄り添った内容だったのは、著者の作風によるものだろう。
”陰徳”を貫き通し、それを創業した企業の根幹に植え付けた波乱万丈の人生は実に読み応えがあった。
家から独立し仕事を始めたころ、手持ちの金を全部注ぎ込んで豪華客船の船旅に出たのは実話だったのだろうか? 若き日の信治郎の未来を見据えた行動力が実にまぶしかったなぁ。
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良い。
日本を代表する商人。経営の神様、松下幸之助が尊敬していた人物でけあって、物語にすると面白いお話になる。
長編だが、どんどん読める。
大金をはたいて、北海道への船旅をする判断、それを生かす才覚。
現代では通用しない古いお話しのようだが、若い時の苦労は買ってでもするのは、共通しているのではないか。
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サントリー創業者の物語。上巻は、信治郎が薬問屋さん丁稚奉公に始まり会社を起こすまで。経済小説でもなく深い人情物でもなく、固くならずに読み進められた(しかし、舞台は大阪、関東人の私にとって、大阪の言葉でスラスラと読めなかったところもあるが)。いくつかの面で、大成する人は違うなと思うところがありましたが、いきなり、船に乗ってしまうなんて。本当かどうかわからないけれど、そういうタイプの人なのねって。商いについて、陰徳について、興味深かったです。下が楽しみ。
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今年の上半期一番の小説でした。夢に向かって一途に邁進する主人公。刺激を受けずには入られません。夢を持つこと。人との出会い。感謝の気持ちを持ち、見えないところでの施しを行う姿勢に感動しました。
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冒頭の松下幸之助との出会いがらこの物語は始まる。幸之助少年が丁稚時代修理した自転車を寿屋に届けにいった時、
”坊、気張るんやで”と励ますプロローグがいい。
丁稚時代が面白い。
奉公先の小西儀助から目をかけられ(その誠実な働きぶり、信心深さ、聡明さで)ずっと洋酒作りの手伝いをしていたことでのちにこれが生かされるわけだけど、とにかくまわりの
大人たちが皆素敵。
父親の忠兵衛、母親のこま、そして困ったときはいつも助け、てくれる兄の喜蔵。茶屋のしの
この丁稚時代の小西儀助から学んだことが鳥井商店の基礎になったんだろうな。社員を家族のように大切にするとか、
その家族もまた大事にする、なんていい会社なのだろう。
で、上巻は丁稚時代から自分で合成酒を作りだしてひとり
実家の裏の納屋を作業場にしていよいよ独立するってとこで下巻へ。
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信治郎の魅力もさることながら,家族も素晴らしいし周りの人々も信治郎に影響されてお互いに良い面を出し関係を築き上げていくようで,子供のうちから上に立つもののオーラというものが確かにあるのだなと感じた.新次郎の兄がまた優しくて好きだ.洋酒作りにかける夢の実現,次巻が楽しみだ.
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商いの基本
みたいなのを小売業へ就職した時のOJTでよく見させられたけど
これは丁稚奉公から経営者へとのし上がったノンフィクション
成功者のサクセス本みたいなのは押しつけがましくて読んでてまったく面白くないけれど
こういう物語はワクワクする
後半が楽しみ
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サントリーの創業者である鳥井信治郎の一代記を描いた作品です。
伊集院さんの小説実は初めてなのですが、いつもこんな感じなのでしょうか。大坂の物語にしては比較的あっさりしていて上品な文体でした。 ちょっと迫力不足かな。
上巻では主人公が丁稚奉公下積み時代を卒業し、いよいよ本格的に自分で商売を始めるぞ、というところまでが描かれています。
奉公先では皆が一目置くほどの集中力と熱心さ、兄に用立ててもらった大金を豪華客船で使ってしまう大胆さ、信心深く人を大切にする優しさと律義さ、それらを兼ね備えたこういう人が人の上に立つ人になるんだなあ、としみじみ思いました。
それにしても、合成酒というのが時代だなあと面白い。。
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サントリー創業者の話。
商いは山を見つけたら誰より先に登ること。人ができないことをやるのが商いの大事。
商い人が見栄と遊びを覚えたら仕舞い。
踏ん切りがつかないのは自分のことをよくみていないから。
ハイカラはカラーが高いから。
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鳥井信治郎さんの気張り、心構えを見習いたい。
弱音を吐かない、好奇心が強い、人に好かれる人間性、陰徳…
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サントリーの創業者の話。13才から丁稚奉公するが、いつも前向きでやる気満々な信治郎にとても好感がもてるし、やっぱりただ者じゃない感じがある。
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伊集院静の本なら間違いないとおもった。
朝ドラでマッサンを見たときに受けた印象とはちがって真っすぐな主人公だった。
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面白くて上巻一気読み!サントリーの創設者・鳥井信治郎の物語。読んでいる間中、信治郎の虜だった。不満を言わず、殴られても告げ口もせず、好奇心旺盛でどんなことも前向きに取り組み、丁稚奉公2年で古株のような風格に。初めて遊廓に連れられて行った日、一緒にいた先輩奉公人がびっくりするくらい意気揚々と歩いていくシーンが好き。商いの資金にしてくれ、と兄からもらった百円の使い方には驚いた。なんて豪快なんだ!やっぱ大物になる人は面白い!
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国産ウイスキー造りは周囲からは猛反対にあっていた。そんな時、関東大震災が起きる。瓦礫と化した東京を見て、信治郎は誓う。「わてが日本をええ国にするんや。ウイスキーを作ってみせる」。